こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。
プロパンガスの請求書を見るたびに「都市ガスなら安いのに」と感じていませんか。私も引っ越し前の賃貸アパートがプロパンで、2025年の1年間にガス代だけで134,234円を払っていました。光熱費全体の約4割がガス代だった計算です。
ただ、賃貸だったので、都市ガスへの切り替えもガス会社の変更も私には選べませんでした。持ち家なら選べる一方で、切り替えには工事費がかかります。本当に元が取れるのか、ここがいちばんの悩みどころですよね。
この記事では、地域の都市ガス会社が公表している工事費の実績と、ガス料金の公的な統計から、切り替えの総額と回収年数を試算しました。手元に残る旧居のプロパン明細(34ヶ月分)から、2025年の1年分で計算した例も載せています。自宅の明細と見比べながら読んでみてください。
- 都市ガスに切り替えられる家の条件と、前面道路の本管の確かめ方
- 引き込み工事・給湯器・違約金まで含めた切り替え費用の内訳
- 自宅のガス代差から回収年数を出す計算方法と10年の境目
- 導管が無い・回収が長い家が先に試したいプロパン会社の見直し
切り替え費用は総額25万〜61万円・回収10年が境目
前面道路に都市ガスの本管がある家なら、切り替えの総額はおおよそ25万〜61万円が目安です。判断の境目は、総額を年間のガス代差で割った回収年数が10年に収まるかどうか。10年を超えるなら、都市ガス化より先にプロパン会社の見直しで単価を下げられないか先に検討するほうが、初期費用を抑えられます。

総額の幅を決めるのは、プロパン会社への違約金と、給湯器を部品交換で済ませられるかどうかです。公表されている工事費の実績と機器の相場から、私が3つのシナリオを組んでみました。
| シナリオ | 内訳 | 総額の目安 |
|---|---|---|
| A 違約金なし・部品交換 | 敷地内の配管工事 約20.5万円+給湯器の部品交換 約3万円+コンロの部品交換 約1万円(違約金なし) | 約24.5万円 |
| B 違約金あり | Aに違約金 約15万円を加算 | 約39.5万円 |
| C 給湯器買い替え+違約金 | 敷地内の配管工事 約20.5万円+給湯器の買い替え 約25万円+コンロの部品交換 約1万円+違約金 約15万円 | 約61万円 |
表の金額は、前面道路に本管があり、道路側の延長工事が要らず、ガス機器が給湯器とコンロだけの家の試算です。衣類乾燥機やファンヒーターなどほかのガス機器があれば、その部品交換や買い替えの費用も加わります。本管が無い家は、ここに道路部分の工事負担金が上乗せされます。あくまで一般的な目安で、実際の金額は現地調査の見積もりで決まります。
なぜ回収10年が境目?
給湯器の設計上の標準使用期間は、製造から10年とされています(ノーリツ)。回収が10年を超えると、元が取れる前に給湯器の更新時期が来て、その費用がもう一度乗ってしまう可能性が高くなります。今の給湯器を部品交換で使い続ける場合は、製造からの年数ぶん更新時期がさらに早く来ます。(出典:ノーリツ『点検・取り替えの目安について』)
月のガス使用量が多い家ほど差額が大きく、回収は早まります。逆に使用量が少ない家は、違約金が乗るだけで10年を超えやすい。導管が無い・回収が長い家は、都市ガス化にこだわらないほうが家計にやさしいかなと思います。
自宅は都市ガスに切り替えられる?導管の有無で決まる
切り替えられるかどうかは、自宅の前面道路に都市ガスの本管(導管)が埋まっているかでほぼ決まります。供給エリアの市区町村に入っているだけでは判断できません。最終的には、地域の都市ガス会社の現地調査で確定します。

都市ガスって、申し込めばどの家でも使えるものなの?
それが、そうでもないみたいですよ。家の前までガス管が来ているかどうかが、まず分かれ目なんです。
へえ、そこからなんだね。一緒に確かめてみよう!
都市ガスが来ているのは国土の約6%だけ
都市ガスの会社は全国に約200事業者あります。それでも、ガス管が通っているエリアを合計すると国土面積の約6%にとどまります(日本ガス協会)。都市ガスは、ガス管を敷ける地域に限られたインフラなんです。
世帯数で見ると、令和3年度末でLPガスが約36%、都市ガスが約44%、オール電化などその他が約20%でした。都道府県別では、32都道府県でLPガスの普及率が50%を超えています(2022年3月末。沖縄86%、岩手・山梨76%など)。
プロパンの家の多くは、そもそもガス管が来ていない地域にあります。工事費を調べる前に、自宅がどちら側にあるのかを確かめるのが先ですね。
供給エリアの確認方法と前面道路の本管
最初に見るのは、地域の都市ガス会社が公表している供給エリアの一覧です。自分の市区町村を担当する会社は、日本ガス協会のガス事業者検索で探せます。
注意したいのは、市区町村が一覧に載っていても切り替えられるとは限らない点です。東京ガスネットワークも、一部の地域だけが供給エリアになっている市区町村があると明記しています。決め手は、前面道路に本管が埋まっているかどうかです。
本管の有無は、都市ガス会社に「プロパンから都市ガスに切り替えたい」と伝え、現地調査を頼むのが確実です。大阪ガスネットワークや静岡ガスは、調査と見積もりを無料と案内しています。自宅の状況は、次の3段階のどれかに当てはまります。
| 自宅の状況 | 必要な工事 | 費用の決まり方 |
|---|---|---|
| 前面道路に本管あり・以前に引き込み済み(中古住宅で以前は都市ガスだった等) | 敷地内の配管と機器の部品交換だけ | 敷地内の工事費+機器の費用 |
| 前面道路に本管あり・引き込みなし | 引き込み管+敷地内の配管+機器 | 同上(敷地外の引き込み管は都市ガス会社の負担が一般的)。道路を掘る許可手続きで約2か月 |
| 前面道路に本管なし | 本管(本支管)の延長工事が必要 | 上記に工事負担金が上乗せ。金額は見積もり次第 |
いちばん手間が少ないのは、以前に都市ガスを引いたことがある中古住宅です。反対に本管が無い家は、費用も期間も読みにくくなります。
導管が無い場合は工事負担金が上乗せ
前面道路に本管が無い場合は、道路の下に本管を延ばす工事が必要です。延ばした本管は都市ガス会社の資産になりますが、工事費の一部は利用者の負担。これを工事負担金と呼びます。
負担額の計算は「本支管の総工事費 − 都市ガス会社の負担額」です(岡山ガスの説明)。会社側の負担額は、設置するガスメーターの能力で決まります。
| メーターの能力 | 京葉ガスの負担額 | 岡山ガスの負担額 |
|---|---|---|
| 1.6m³/h以下 | 136,800円 | ―(2.5m³/h以下で一括) |
| 2.5m³/h(岡山ガスは以下) | 213,750円 | 185,000円(例: コンロ+衣類乾燥機) |
| 4m³/h | 342,000円 | 296,000円(例: コンロ+給湯器) |
| 6m³/h | 513,000円 | 444,000円(例: コンロ+24号給湯器) |
| その他 | 1m³/hにつき85,500円 | 1m³/hにつき74,000円 |
給湯器までガスで使う家ほどメーターが大きくなり、会社側の負担枠も広がります。ただし本支管の総工事費そのものは、どの会社も単価を公表していません。延ばす距離や道路の状況によっては、負担金が数十万円単位で上乗せされる可能性もあります。
本管が無いと分かったら、見積もりの金額を見てから回収年数を計算し直すのが安全です。都市ガス化以外の選択肢は、この記事の最後の章でまとめて比べています。
切り替え費用の内訳|工事費はいくら?
本管がある家なら、費用の中心は敷地内の配管工事で、平均は約20万円です。これに機器の部品交換か買い替えの費用と、契約によってはプロパン会社への違約金が加わります。敷地外の引き込み管とガスメーターは都市ガス会社の負担が一般的で、道路部分のガス管は都市ガス会社と利用者の双方で負担する区分になっています。

大阪ガスネットワークの案内では、工事は4つの層とメーターに分かれ、それぞれ誰が払うかが決まっています。見積書もこの区分で出てくるので、先に全体像をつかんでおくと読みやすくなります。
| 工事の層 | 中身 | 費用の負担 |
|---|---|---|
| 道路部分(本支管) | 道路に都市ガスの本管を敷く。本管があり引き込み済みなら不要 | 都市ガス会社と利用者の双方 |
| 引き込み管(敷地外) | 本管から敷地の境界まで | 都市ガス会社 |
| 敷地内のガス工事 | 敷地内・建物内の都市ガス用の配管 | 利用者 |
| 機器の部品交換・取付 | プロパン用の機器を都市ガス用に変える | 利用者 |
| ガスメーター | ― | 都市ガス会社 |
引き込み工事費は平均約20万円・補助金なし
一般に「引き込み工事費」と呼ばれる費用のうち、利用者が払うのは敷地内の部分です。大阪ガスネットワークは、プロパンなどから都市ガスに切り替えた家の敷地内ガス管工事費を公表しています。2024年度の実績を2026年4月の単価改定で補正した税込の金額で、機器の費用は含みません。
| 工事費 | 件数 | 構成比(件数から算出) |
|---|---|---|
| 0〜5万円 | 5件 | 約0.7% |
| 5〜10万円 | 102件 | 約13.3% |
| 10〜15万円 | 297件 | 約38.6% |
| 15〜20万円 | 200件 | 約26.0% |
| 20〜25万円 | 76件 | 約9.9% |
| 25万円〜 | 89件 | 約11.6% |
平均は1件あたり204,823円(税込)で、10万〜20万円の帯に全体の約65%が入ります。多くの家は、このあたりに収まると考えてよさそうです。
一方で、25万円以上の高額な工事も1割強ありました。見積もりが平均より高く出ても、それだけで割高とは限りません。
配管の長さも金額を左右します。比較サイトや消費者団体の資料では、引き込み配管は1mあたり約1万円(1万〜2万円とする資料も)が目安です。10m以上引くケースが多く、10万〜15万円になる例がよく挙がっています。都市ガス会社は公式の単価を出していないので、参考程度に見てください。
既存のプロパン用の屋内配管は、都市ガス会社の基準に合えばそのまま使える場合があります(大阪ガスネットワーク)。流用できれば敷地内の工事費を抑えられる可能性があるので、現地調査で確認しておきたいポイントです。
費用面で気になるのが補助金ですよね。家庭の都市ガス引き込み工事に使える公的な補助金は、私が調べた範囲では見つかりませんでした。比較サイトも「家庭向けの補助金は無い」と説明しています。
代わりに、ガス会社が独自の分割払いを用意している例はあります。静岡ガスは、工事費などを月々1,000円から、2〜60回の均等払いにできると案内しています。制度は年度で変わるので、お住まいの自治体の窓口にも念のため確認しておくと安心です。
給湯器の交換は必要?部品交換で済む条件
給湯器やコンロは、必ずしも買い替える必要はありません。プロパン用のガス機器は、一部の部品を都市ガス用に替えればそのまま使えます(大阪ガスネットワーク)。ただしメーカーに部品が無い機種は、都市ガス用への買い替えが必要です。
| 対応 | 費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| コンロの部品交換 | 約1万円 | 複数の資料で一致する目安 |
| 給湯器の部品交換 | 約3万円(機種・作業時間で3万〜4万円) | 複数の資料で一致する目安 |
| 給湯器の買い替え | 約15万〜25万円 | エコジョーズ24号の定価は30万〜35万円前後 |
| コンロの買い替え | 10万円前後 | ビルトインを想定 |
部品交換で済むかどうかは、メーカーに都市ガス用の部品があるかどうかで決まり、機器の年式がその大きな目安になります。リンナイは、器具が古いと部品を供給できない場合があると案内しています。ノーリツも、補修用の部品を持つのは生産終了から7〜10年で、その後は対応できない場合があるとしています。
目安としては、製造から10年未満で、メーカーに部品が残っている機種なら部品交換の候補です。給湯器本体のラベルで製造年を確かめ、現地調査のときに型番を伝えておくと話が早いかなと思います。
部品交換は保証期間内でも有償で、部品の準備には通常1〜2週間かかります(リンナイ)。切り替え日が決まったら、早めに手配してもらいましょう。給湯器がプロパン会社からの貸与品なら、次の違約金の話にも関わってきます。
プロパン会社の違約金は14条書面で決まる
違約金を求められうるのは、給湯器や配管の費用をプロパン会社が負担し、無償貸与として扱っている契約(貸付配管を含む)の場合です。精算のしかたは、契約時に受け取った「14条書面」に書かれた計算方法で決まります。14条書面とは、液化石油ガス法にもとづいてプロパン会社が交付する契約内容の書面のこと。
法令では、14条書面に次のような事項を書くよう定めています。
- 供給設備と消費設備(配管・給湯器など)の所有関係
- 設備の設置・撤去にかかる費用の負担方法
- 配管の所有権を利用者に移すときの精算額の計算方法
全国LPガス協会の販売指針では、書面に配管の所有関係や精算額の計算方法が無ければ、配管の清算金は請求できないとされています。設備の撤去費用を請求できるのも、書面に根拠がある場合に限られます。
金額の感覚をつかむために、二次資料の計算例を1つ挙げます。配管14万円と給湯器9万円の計23万円を、15年契約で回収する設定の例です。5年目に解約すると、式の上では残り10年分の約15.3万円を求められる計算です。実額は契約ごとに違うので、必ず自分の書面で確かめてください。
消費者契約法では、解約に伴う違約金のうち、事業者の平均的な損害を超える部分は無効です。2024年7月2日施行の改正で、切り替えを妨げるような高額な違約金・買取条項は新しい契約で禁止されました。古い契約でも、更新や名義変更の時点で新規扱いになる場合があります。
2025年12月23日の最高裁判決では、設備費とガス料金の関係がはっきりしない契約で、解約時に残りの設置費用を払わせる条項が、その全部について無効と判断されました。請求された金額を払う前提で考える必要はありません。(出典:最高裁判所 令和7年12月23日第三小法廷判決(令和6年(受)第204号))
請求額に納得できないときは、各都道府県のLPガス協会にある「お客様相談所」や、消費者ホットライン188に相談できます。書面が手元に見当たらない人は、まずプロパン会社に契約内容と精算方法を問い合わせるところから始めるといいですよ。
何年で元が取れる?回収年数の計算方法
回収年数は「切り替えの総額 ÷ 年間のガス代差」で出せます。公表値で試算すると、違約金が無く給湯器も部品交換で済む家なら、月5m³の少ない使用量でも約7年で回収できる計算でした。一方で、違約金や給湯器の買い替えが重なると、使用量の少ない家は10年を超えます。

工事費が25万円くらいなら、すぐに元が取れそうな気がするけど、どうなの?
うちの旧居の明細でも計算してみたんですが、使う量と違約金しだいで年数がかなり変わるみたいですよ。
じゃあ、計算のしかたから一緒に見ていこう!
回収年数は総額÷自宅のガス代差で出す
回収年数の計算式
回収年数 = 総額(敷地内の工事費+本支管の工事負担金+機器の部品交換または買い替え+違約金)÷ 年間のガス代差(月々の差×12)
難しいのは、分母の「ガス代差」です。プロパンと都市ガスは同じ1m³でも熱量が違うので、使用量をそのまま比べられません。
プロパンは1m³あたり約99MJ、都市ガス(大手の13A)は45MJです。つまりプロパン1m³は都市ガス約2.2m³分にあたります。明細のプロパン使用量を2.2倍してから、都市ガスの料金表に当てはめてください。
- プロパンの明細から、1年分の使用量(m³)と請求額を集める
- 使用量を2.2倍して、同じ熱量の都市ガス使用量に直す
- 都市ガス会社の料金表で、その使用量の年間料金を出す
- プロパンの年額から都市ガスの年額を引き、年間のガス代差にする
都市ガスの料金は、政府の負担軽減支援が入る前の「支援適用前」の単価で計算するのがおすすめです。支援は期間限定の値引きなので、組み込むと差額が実力より大きく見え、回収年数が短く出てしまいます。
検針票のプロパン単価は税抜で書かれていることが多いので、比べるときは税込(×1.1)にそろえましょう。平均値ではなく自宅の明細で計算することが、いちばん大事なポイントです。
使用量別の回収年数|少ない家ほど元が取れない
では、使用量によって回収年数はどう変わるのか。関東のプロパン平均料金と、東京ガスの一般契約料金で試算しました。プロパンは石油情報センター速報(2026年8月31日公表)、都市ガスは2026年10月検針分の支援適用前の料金です。
| プロパン使用量/月 | 同じ熱量の都市ガス | プロパン(関東平均) | 東京ガス(支援適用前) | 差額/年 |
|---|---|---|---|---|
| 5m³ | 約11.0m³ | 5,620円 | 約2,795円 | 約3.4万円 |
| 8m³ | 約17.6m³ | 約7,791円 | 約4,017円 | 約4.5万円 |
| 10m³ | 約22.0m³ | 9,238円 | 約4,802円 | 約5.3万円 |
| 約13.6m³ | 30m³(標準家庭) | 約11,803円 | 6,164円 | 約6.8万円 |
| 20m³ | 約44.0m³ | 16,286円 | 約8,548円 | 約9.3万円 |
使用量が多いほど、1年で浮くお金が大きくなるのが分かります。この差額で3つのシナリオの総額を割ると、回収年数は次のとおりです。
| プロパン使用量/月 | A 約24.5万円 | B 約39.5万円(違約金あり) | C 約61万円(買い替え+違約金) |
|---|---|---|---|
| 5m³ | 約7.2年 | 約11.7年 | 約18年 |
| 8m³ | 約5.4年 | 約8.7年 | 約13.5年 |
| 10m³ | 約4.6年 | 約7.4年 | 約11.5年 |
| 約13.6m³ | 約3.6年 | 約5.8年 | 約9年 |
| 20m³ | 約2.6年 | 約4.3年 | 約6.6年 |
表から読み取れるのは、回収年数を左右するのは工事費より「使用量」と「違約金・給湯器の買い替え」という点です。月5m³前後の家は、違約金が乗るだけで10年を超えます。給湯器まで買い替えると、どの使用量でも年数が大きく延びました。
10年を超えると、回収が終わる前に給湯器の更新時期が来る可能性が高くなります。本管が無く工事負担金が乗る家は、この表のどの列よりも長くなる点にも注意が必要です。使用量の少ない家ほど、都市ガス化の効果は出にくいと考えておいたほうがよさそうですね。
近畿で同じ計算をすると、標準家庭30m³相当(プロパン約13.6m³)の差額は年約6.2万円でした(大阪ガス一般料金S・支援適用前)。どちらも平均どうしの比較なので、自宅の単価が平均より安ければ差はもっと縮みます。(出典:大阪ガス『2026年10月ガス料金の原料費調整について』)
旧居のプロパン明細で計算すると何年?
ここからは、私の旧居のプロパン明細で同じ計算をしてみます。旧居は関西の賃貸アパートで、2025年の1年間の使用量は157.4m³、請求額は134,234円でした。冬がいちばん重く、2025年2月は23.1m³・16,959円の請求でした。
使用量が多い冬ほど、都市ガスとの差も大きく開く計算になります。都市ガス側は、大阪ガス一般料金Sの料金構成(基本料金1,415円/月・支援適用前の単位料金 約177.93円/m³)で概算しました。
| 項目 | 旧居の実額・試算 |
|---|---|
| 2025年のプロパン使用量・請求額 | 157.4m³・134,234円 |
| 同じ熱量の都市ガス使用量 | 約346m³/年(月約28.9m³) |
| 大阪ガス一般料金S(支援適用前)での概算 | 年約7.9万円 |
| 年間のガス代差 | 約5.6万円 |
| 回収年数 A(約24.5万円) | 約4.4年 |
| 回収年数 B(約39.5万円) | 約7.1年 |
| 回収年数 C(約61万円) | 約10.9年 |
違約金が無いAはもちろん、違約金ありのBでも10年以内に回収できる計算です。ところが給湯器の買い替えと違約金が重なるCでは、旧居の明細でも10年を超えました。給湯器が部品交換で済むかどうかが、損得を分ける大きな要素だと分かります。
旧居の従量単価は約478〜570円/m³で、全国平均(5〜10m³帯で約766円/m³)よりかなり安い部類でした。それでも差は年5万円台あり、プロパンと都市ガスの価格差の大きさを実感します。単価が平均並みの家なら、回収はもっと早まる可能性があります。
ただ、旧居は賃貸だったので、この計算ができても私には切り替えを選べませんでした。都市ガス化もプロパン会社の変更も、持ち家だからこそ取れる選択肢です。持ち家の人は、ぜひ自分の明細で一度計算してみてください。
都市ガス化の回収が長い場合に、プロパンのまま使い方と単価の両面でガス代を下げる方法は、こちらで効く順に整理しています。
関連記事:プロパンガスの節約方法|使い方と単価の二本柱
切り替えの手順と期間|申し込みから約2か月
道路の工事が必要な家は、申し込みから使用開始まで約2か月が目安です(大阪ガスネットワーク・西部ガス)。前面道路に本管があり、引き込みも済んでいる家なら、道路の許可手続きが要らないぶん短くなります。(出典:大阪ガスネットワーク『都市ガスへの切り替え』)
自分でやることは、問い合わせ・契約・プロパン会社への解約連絡・当日の立ち会いの4つくらい。配管や機器の作業は、すべて資格を持つ事業者の仕事です。全体の流れは次のとおりです。
| 順番 | やること | 主体 | 期間・注意 |
|---|---|---|---|
| 1 | 都市ガス会社へ切り替えの相談・見積調査の依頼 | 本人 | 調査・見積もりは無料の会社が多い |
| 2 | 現地調査→見積書の受け取り→工事契約 | 都市ガス会社・本人 | 道路・引き込み・敷地内・機器の4層の内訳を見る |
| 3 | 工程の打ち合わせ、道路管理者への許可申請 | 都市ガス会社 | 道路工事がある場合、手続きだけで約2か月 |
| 4 | 手元の機器のガス種変更部品の手配 | 都市ガス会社・メーカー | 部品手配に約1〜2週間。部品が無い機種は買い替え |
| 5 | プロパン会社へ解約の連絡(解約日=切り替え工事日、設備撤去の依頼) | 本人 | 14条書面で違約金・配管精算の計算方法を先に確認 |
| 6 | 道路・引き込み管の工事→切り替え当日の工事と開栓 | 都市ガス会社・プロパン会社 | 立ち会いが必要。事前工事が1日入る場合あり |
申し込みから2か月と聞くと、けっこう長く感じますよね。気をつけたいのは、プロパン会社への解約連絡のタイミングです。工事日が決まる前に解約すると、ガスが使えない期間が出るおそれがあります。工事日が確定してから、解約日=切り替え工事日として連絡しましょう。
解約を伝える前に、14条書面で違約金と配管の精算方法を確かめておくと慌てずに済みます。機器の部品は手配に日数がかかるので、見積もりの段階で型番を伝えておくと安心です。
切り替え当日は、ボンベとメーターの撤去、敷地内の配管、メーター設置、部品交換、開栓・点火テストまでが行われます。静岡ガスは、敷地内の工事と器具の調整は1日で完了すると案内しています。工事内容によっては1日で終わらない場合もあるので、日程には余裕を持たせておきましょう。
導管が無い・回収が長いならプロパン会社を見直す
前面道路に本管が無い家や、回収年数が10年を超える家は、まずプロパン会社の見直しで単価を下げるのが、初期費用を抑えやすい方法です。原則として初期費用がかからず、下がった単価の差がそのまま毎月の差になります。都市ガス化の判断は、そのあとでも遅くありません。

ほかの選択肢も含めて、初期費用と効き方を並べるとこうなります。
| 手段 | 初期費用 | 効果の出方 | 制約 |
|---|---|---|---|
| プロパン会社の切り替え | 原則かからない(違約金がある契約は精算が必要) | 単価の差がそのまま毎月の差になる | 持ち家であること。精算の有無は14条書面しだい |
| 今の会社への値下げ交渉 | かからない | 単価が下がればすぐ効く | 結果は会社しだい |
| オール電化(エコキュート+IH) | 数十万円規模(エコキュート370Lの交換は工事費込みで約42万〜53万円) | ガスの基本料金がゼロになる | 電気料金プランと使い方に左右される。機器の寿命は10年前後 |
| 都市ガス化(本管あり) | この記事の試算で約24.5万〜61万円 | 単価差が大きいほど早く回収 | 本管が無いと工事負担金が上乗せ |
プロパン会社を替えた場合の効果も試算してみました。月10m³使う家で従量単価が100円/m³下がれば、月1,000円・年1.2万円の節約です。200円/m³下がれば、年2.4万円になります。
都市ガス化の年間差(月10m³で約5.3万円)には届きません。それでも回収を待つ期間が無いので、10年かけて元を取る計画より、早く効果を実感しやすいかなと思います。
自分の単価に下げる余地があるかは、地域の平均と比べると見当がつきます。石油情報センターの速報(2026年8月31日公表)から、5〜10m³帯の1m³あたりの単価を逆算しました。全国は約766円/m³、関東は約724円/m³、近畿は約726円/m³です。(出典:石油情報センター『LPガス一般小売価格(毎月調査)』)
これは基本料金込みの請求額から逆算した税込の目安で、各社の従量単価そのものではありません。明細の単価(税抜なら×1.1)がこれより高い家は、見直しの効果が出やすいはずです。
ただし平均には高い料金の家庭も含まれるので、平均並みなら安心とは言い切れません。民間の切り替え仲介団体が平均の半分以下の水準を「適正価格」として示す例もあります。こちらは発行元の独自基準で、どの家でもその単価で契約できる保証はない点に注意してください。
2025年4月からは、請求書に基本料金・従量料金・設備料金の3区分を並べて書くことが義務になりました。自分がいくらの単価で払っているのか、明細で確かめやすくなっています。見直しを始める前に、今の契約の14条書面で違約金と配管の精算方法も確認しておきましょう。
今の家は新築のオール電化なので、わが家にはガスの契約自体がありません。既存の家をオール電化にするなら数十万円の機器代がかかります。ガス代を下げることだけが目的なら、初期費用のかからない会社の見直しから試すのが順当です。
プロパンガスから都市ガスへの切り替え費用のよくある質問
賃貸住宅でもプロパンから都市ガスに切り替えられますか?
賃貸では、都市ガスに切り替えるかどうかは建物の所有者(大家さん)が決めることで、入居者だけでは決められません。入居者とプロパン会社の間では、給湯器や配管など消費設備の精算も生じない決まりです。私も旧居は賃貸のプロパンで、切り替えを選べませんでした。気になる場合は、まず大家さんや管理会社に相談してみてください。
都市ガス会社の現地調査や見積もりは無料ですか?
大阪ガスネットワークや静岡ガスは、切り替えのための調査と見積もりを無料と案内しています。見積書を受け取ってから工事契約を結ぶ流れなので、金額を見て回収年数を計算してから決められます。対応は会社ごとに違うため、依頼するときに無料かどうかを確かめておくと安心です。
以前都市ガスだった中古住宅なら、切り替え費用は安くなりますか?
前面道路に本管があり、過去に引き込み済みの家なら、敷地内の配管と機器の部品交換だけで済むケースがあります。道路を掘る許可手続きも要らないため、期間も短くなりやすいです。古い配管がそのまま使えるかは都市ガス会社の基準で判断されるので、現地調査で確認してください。
ガス乾燥機やガスファンヒーターも交換が必要ですか?
都市ガスで使うには、給湯器やコンロに限らず、家にあるガス機器すべてでガス種の変更が必要です。プロパン用の機器は部品交換で都市ガス用にできる場合があり、メーカーに部品が無ければ買い替えになります。使っているガス機器は、現地調査のときに漏れなく伝えておきましょう。
都市ガスに切り替えると基本料金はどれくらい変わりますか?
プロパンの基本料金は、都道府県平均で1,774円(鹿児島県)〜2,285円(北海道)でした(石油情報センター 2026年6月確報)。東京ガスの一般契約料金は、月20m³までで759円、21〜80m³で1,056円です(2026年10月検針分・税込)。基本料金だけを比べても、都市ガスのほうが低い水準です。なお、この都道府県平均は基本料金だけの値です。私の旧居のプロパンは基本料金だけで月2,090円、警報器のリース料を足すと毎月2,310円の固定費がかかっていました。使用量が少ない家ほど、この固定費の差が請求額に効いてきます。
まとめ:都市ガスへの切り替え費用は回収10年で判断
工事費だけじゃなくて、何年で元が取れるかまで考えるのが大事なんだね。
そうなんです。うちの旧居の明細でも、条件しだいで10年を超えましたからね。
プロパンから都市ガスへの切り替えは、費用の総額だけでなく回収年数で判断するのがおすすめです。最後に要点を振り返ります。

- 都市ガスが来ているのは国土の約6%。切り替えの可否は前面道路の本管で決まり、現地調査は無料の会社が多い
- 本管がある家の総額はおよそ25万〜61万円。中心は敷地内の配管工事(平均約20万円)で、家庭向けの公的補助金は見当たらない
- 給湯器は製造から10年未満でメーカーに部品があれば、部品交換(約3万円)で済む場合がある。違約金は14条書面の精算方法で決まる
- 回収年数は総額÷年間のガス代差。10年を超えると回収前に給湯器の更新が来やすい
- 本管が無い・回収が長い家は、初期費用のかからないプロパン会社の見直しを先に
紹介した金額や回収年数は、公表値と私の旧居の明細から出した一般的な目安です。正確な工事費や料金は、地域の都市ガス会社の見積もりや各社の公式サイトで必ずご確認ください。違約金など契約の判断に迷ったときは、LPガス協会のお客様相談所や消費者ホットライン188など、専門の窓口に相談するのが安心です。
