こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。太陽光パネルの撤去費用を調べていると、「10万円〜100万円」という、ずいぶん幅のある数字に出会いますよね。
その幅の正体は、屋根に載せた住宅用と、地面に並べた産業用が同じレンジに混ざっていることです。自分の家がどちらに近いのか分からないままでは、いくら備えればいいのかも見えてきません。
この記事では、住宅用に絞った撤去・処分費用の目安と内訳を先にお伝えします。そのうえで、誰に頼むのか、補助金やタイミングでどこまで下げられるのか、2026年8月18日に設置を終えたわが家の18枚・7.92kWならいくらになるのかまで、公的な資料の単価を使って試算しました。
- 住宅用パネルの撤去・処分費用は10万〜30万円、中心は15万〜20万円
- 総額を決めるのは処分費ではなく足場と屋根上の人件費
- 廃棄費用の積立制度は住宅用が対象外で、備えは自己負担になる
- わが家の18枚・7.92kWを公的単価で試算した金額と積立の考え方
太陽光パネルの撤去費用は10万〜30万円
先に結論です。屋根置きの住宅用(3〜5kWクラス)なら、取り外しから運搬・処分までの総額は10万円〜30万円、中心は15万円〜20万円が目安になります。屋根の高さや勾配、屋根材、パネルの枚数で上下する前提の数字です。

検索して出てくる「10万円〜100万円」という幅は、うちのような屋根置きと、地面に基礎を打った産業用を1つにまとめた言い方なんですよね。分けて見れば、身構えるほどの金額ではないことが分かります。
住宅用の撤去費で効いてくるのは、パネルの枚数よりも「屋根の上で作業するための固定費」です。
中心は15万〜20万円、100万円は産業用
住宅用と事業用を分けると、費用が膨らむ理由がまったく違うことが見えてきます。100万円という数字が出てくるのは、基礎の解体や重機が必要になる事業用のほうです。
| 区分 | 総額の目安 | 費用が膨らむ要因 |
|---|---|---|
| 住宅用(3〜5kW・屋根置き) | 10万円〜30万円(中心は15万円〜20万円) | 足場、屋根の高さ・勾配、屋根材、パネル枚数 |
| 事業用(50kW・地上設置) | 80万円〜100万円 | 基礎の解体、重機、フェンス・造成の復旧 |
事業用は基礎の撤去だけでも、スクリュー基礎で1万円/kW、コンクリート基礎で1.4万円/kWかかります。屋根の上にはそもそも基礎がないので、この費目がまるごと消えるわけです。
面白いのは、1kWあたりに割り戻すと立場が逆転することです。事業用でパネルの廃棄費だけを取り出した試算は0.57万円/kW、住宅用は総額20万円÷5kWで4万円/kW前後になります。量が少ないほうが単価は高くつく、ということですね。
つまり住宅用が割高に見えるのは、パネルの量ではなく屋根上作業のための固定費が少ない容量に乗っているからです。ここが分かると、見積書の読み方が変わってきます。
処分費は1枚2000円台、主因は足場
撤去費の中身は、取り外し(足場と人件費)・収集運搬・処分の3層です。このうち処分費はパネル1枚あたり2,000円〜3,000円程度で、総額の中では意外と小さい部分にとどまります。
公的な単価で検算してみます。環境省はリサイクル費用を8,000円〜12,000円/kW、埋立処分費用を2,000円/kW程度〜と示していて、同じ資料はパネル1枚を250W・20kgとして換算しています。(出典:環境省『太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律について』(令和8年6月))
5kW(20枚)に当てはめると、リサイクルに回した場合の処理費は4万円〜6万円、埋立なら1万円程度からです。1枚に割り戻すと2,000円〜3,000円で、実勢で言われる「1枚1,200円〜5,000円」ともおおむね重なります。自分の見積もりが妥当かを確かめる物差しとして、覚えておくと便利ですよ。
| 費目 | 単価・金額の実勢 | 備考 |
|---|---|---|
| 足場(撤去単独) | 3万円〜10万円 | 枚数に関係なく一律で発生する |
| パネルの取り外し | 1枚2,000円〜5,000円 | 足場・運搬を含む一式単価を出す店もある(1〜19枚9,000円/枚、20〜29枚8,000円/枚、30〜39枚7,000円/枚、40枚以上6,000円/枚) |
| 架台・支持金具の撤去 | 5万円〜20万円(一式) | 屋根補修とセットで見積もられることが多い |
| 収集運搬 | 2万円〜3万円 | 産廃の許可を持つ運搬業者の車両手配 |
| 処分(中間処理・リサイクル) | 1枚1,200円〜5,000円 | 地域・資源相場で動く |
足場は総額の30〜40%を占めることがあり、しかもパネルが10枚でも30枚でも同じようにかかります。処分費だけを値切っても総額はあまり動かないのは、このためです。
ここが分かると、見積書のどこを見ればいいかがはっきりします。安い処分単価を探すより、足場をどう扱っている見積もりなのかを先に確かめたほうが、結果として効いてきますよ。
枚数で丸めた実勢例を見ても、20枚で約14万円というケースがある一方、25枚(5kW)で約40万円という内訳例もあります。同じ住宅用でこれだけ開くのは、足場と取り外しをどう積むかの違いなんですよね。
わが家の18枚なら撤去費はいくら
わが家はシャープ製のパネル18枚・7.92kWで、2026年8月18日に設置しました。20年後の撤去費を、ここまでの単価を当てはめて自分で見積もってみました。
1つだけ補足を。下の表の処分費は1kWあたりの単価で置いていますが、この公的な単価はパネル1枚を250W・20kgと仮定して1kWあたりに換算されたものです。わが家のパネルは1枚440Wですが、重さは250Wクラスのパネルと大きくは変わりません。処理費が効いてくるのは主に重さと枚数のほうなので、出力(kW)で割り戻すと実態より高めに出ます。枚数ベースで見れば18枚×2,000円〜3,000円=3.6万円〜5.4万円という読み方もできるので、下の表は高めに見積もった側の数字だと思ってください。
| 費目 | 使った単価 | 18枚・7.92kWの場合 |
|---|---|---|
| 足場(撤去単独) | 3万円〜10万円 | 3万円〜10万円 |
| パネルの取り外し | 1枚2,000円〜5,000円 | 3.6万円〜9万円 |
| 収集運搬 | 2万円〜3万円 | 2万円〜3万円 |
| 処分(リサイクル) | 8,000円〜12,000円/kW | 6.3万円〜9.5万円 |
| 合計(架台撤去・屋根補修を除く) | ― | 約15万円〜31万円 |
出てきたのは、およそ15万円から31万円。住宅用の中心と言われる15万円〜20万円の下限に届き、条件が重なると30万円台に乗る、という位置づけでした。
わが家は7.92kWと住宅用としては大きめなので、平均的な4〜5kWの家より上振れしやすいのは自然かなと思います。あくまで単価を掛け合わせただけの試算で、実際の金額はそのときの見積もり次第です。
金額そのものより、ずっと先に一度だけ来る支出だと分かったことのほうが大きいかなと思います。毎月の家計とは切り離して、少しずつ用意しておけばいい種類のお金ですからね。
この表には、架台の撤去(一式5万円〜20万円)と屋根の防水処理を入れていません。架台まで含めると合計は約20万円〜51万円まで広がります。ここを含めるかどうかで見積もりは何万円も動くので、後の章で分けて見ていきます。
撤去は誰に頼む?自分では無理な理由
頼み先は設置した販売施工店・屋根業者・解体業者の3つが基本です。そして、屋根に載って系統につながっているパネルを自分で外して捨てる道は、現実的にはありません。

パネルって自分で外して粗大ごみに出せないの?外すだけなら大工仕事っぽいけどなあ。
それが、外す前に電気を切るところでつまずくんですよ。理由が3つ重なっていたので、順に見てみましょう。
感電と電気工事士、DIYが止まる壁
自分でできない理由は、法律1本ではなく次の3つが重なっているからです。どれか1つを避ければ通れる、という話ではないところがやっかいなんですよね。
- 屋根の上の作業そのものが危険(パネルは光が当たる限り発電を続けるため、遮光しないまま金具や配線に触れれば感電する)
- 配線の切断・絶縁処理は電気工事士が行うこととされている(ここが実質的な資格の壁)
- 捨て先がない(事業者が撤去して出たパネルは産業廃棄物で、許可を持つ収集運搬・処分業者にしか渡せない)
環境省のガイドラインは、撤去の流れを「作業周囲の環境確認 → 電路からの切り離し → モジュールの取り外し → 分別保管」と整理しています。受光面を下にするか遮光シートで覆う、プラスとマイナスのケーブルを同時に切らない、といった注意が並ぶ世界です。
なお、高さ2m以上で墜落のおそれがある作業について、足場を組むなどして作業床を設けることを事業者に義務づける労働安全衛生規則(第518条)は、事業者が労働者を守るための規定です。所有者本人のDIYは法令の保護の外にあるというのが正確で、「法律で禁止されている」わけではありません。
ただ、保護の外というのは「やっていい」という意味ではないですよね。落ちても誰も守ってくれない、と読むほうが実態に近いと思います。
捨て方にも例外はあります。独立型のパネルなど、解体・撤去工事といった事業活動を伴わずに一般家庭から出る場合は一般廃棄物に該当することがあり、市町村に確認するよう求められています。
依頼先は販売店か解体業者か、選ぶ基準
最初の1本目の電話は、設置した販売店・施工店が基本です。太陽光発電協会も、まずそこへ相談し、屋根工事や家屋解体に伴う場合はそれぞれの工事業者へ相談するよう案内しています。
| 依頼先 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 設置した販売店・施工店 | 保証や設備情報が残っている/単独で撤去したい | 廃業・撤退していることがある。単独撤去は足場込みで高くなりがち |
| 屋根工事・リフォーム業者 | 屋根の葺き替え・塗装と同時に撤去する | 産廃処理は外部委託になりやすく、管理票を発行できるか確認する |
| 解体業者 | 家屋の解体と同時に撤去する | 解体見積のどこにパネル分が入っているかを分けて確認する |
| 産業廃棄物処理業の許可を持つ専門業者 | 処分まで一貫で任せたい | 屋根上の取り外しを自社でできるかは業者による |
わが家に当てはめると、20年後にまず電話するのは契約した販売施工店になります。ただ、うちは相見積もりを取らずに1社で即決していて、その会社がそのころ残っているかどうかまでは分かりません。
なので、契約書と見積書、それに施工後に届く保証書は、撤去の日まで使う書類だと思ってまとめて保管しておくつもりです。型番と出力が分かる書類さえ残っていれば、頼む先が販売店以外に変わっても話が早くなりますからね。
どこに頼むにしても、見積もりを取る前に確認しておきたいことがあります。ここを聞けるかどうかで、後から追加請求が出るかどうかがだいたい決まります。
見積もり前に確認する6つ
①産業廃棄物の収集運搬業・処分業の許可(品目に「金属くず」「ガラスくず等」「廃プラスチック類」が入っているか)②産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写しをもらえるか ③見積書で足場・取り外し・運搬・処分が分けて書かれているか ④屋根のビス孔・金具跡の防水処理が含まれるか ⑤パワコン・架台・蓄電池の撤去処分が含まれるか ⑥相見積もりは3社以上とる(許可を持つ業者は「優良産廃処理業者ナビゲーションシステム」という公的な検索の仕組みからも探せます)
特に効くのが3つ目です。「撤去工事一式」とだけ書かれた見積書は、他社と並べても比べようがありませんし、後から「屋根の補修は別」「処分費は実費」と積み上がる余地が残ります。
手続きのほうも、まるごと業者任せにはできません。撤去のときは、だいたい次の順で動くことになります。
- 販売店・施工店または工事業者へ相談し、現地調査と見積もり(複数社)
- 電力会社に売電(受給)契約の終了・解約を連絡する
- 工事(足場設置 → 電路の切り離し → パネル・架台の取り外し → 搬出)
- 業者から産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写しを受け取る
- FIT認定設備なら再生可能エネルギー発電事業廃止届出書を提出(管理票の写しを添付)
- 屋根の補修・防水処理の仕上がりを確認する
住宅用(10kW未満)は電気事業法では一般用電気工作物にあたり、廃止の届出を求める規定はありません。一方でFIT認定を受けているなら再エネ特措法の廃止届は必要で、その添付書類が管理票の写しです。
つまり、管理票をもらえない業者に頼むと手続きが止まってしまいます。工期の目安は、足場の設置に半日〜2日、パネルの脱着に1日〜1週間ほどです。
訪問してきた業者と、その場で撤去契約をしないでください。「無料点検」から不安をあおって高額な工事契約に持ち込む相談が増えています。
撤去費を下げる補助金とタイミング
撤去費を下げる手は大きく3つです。補助金を使う・家の解体と同時にやる・屋根工事と足場を共有する。どれも「撤去する日を自分で選べる」ことが前提になります。

逆に言えば、雨漏りやパワコンの故障が先に来て「今すぐ外すしかない」状況になると、この3つはどれも使いにくくなります。まだ時間があるうちに考えておく価値があるところですね。
東京都なら出力×25000円が戻る
撤去・廃棄そのものを対象にした補助は全国的にはほとんどありませんが、東京都は例外です。発電出力(kW)×25,000円が戻る制度を令和5年度から続けています。(出典:東京都環境局『使用済住宅用太陽光パネルのリサイクル支援』)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助対象者 | 都が指定する中間処理施設に処理を委託する排出事業者、または排出事業者に撤去を委託した所有者 |
| 対象パネル | 都内の住宅から排出される使用済住宅用パネル(発電出力50kW未満) |
| 補助金額 | 発電出力(kW)×25,000円 |
| 申請受付期間 | 令和9年9月30日まで(先着順) |
| 必要書類 | 交付申請書、誓約書、産業廃棄物管理票、発電出力が分かる資料、工事契約書等 |
5kWの住宅なら12.5万円。撤去総額15万円〜20万円のかなりの部分が戻る計算で、これは無視できない規模ですよね。所有者からも申請できるのが、この制度の使いやすいところです。
条件は、都が指定する中間処理施設でリサイクルすることです。業者選びの段階で「指定施設に出せるか」を確認しておかないと、後から条件を満たせません。申請には産業廃棄物管理票も必要になります。
ちなみに関西のわが家では、この制度は使えません。撤去そのものへの補助が全国的にほとんどないのは事実なので、都外にお住まいの方は過度に期待しないほうがいいと思います。それでも、住んでいる自治体が何を補助の対象にしているかは調べてみないと分かりませんから、撤去を考え始めたら一度、自分の自治体の要綱に目を通しておくといいですよ。
制度は年度で変わりますし、先着順の予算です。実際に申請するときは、必ず都の公式サイトで最新の要件と受付状況をご確認ください。
家の解体と同時なら平均8.9万円
環境省のガイドラインが引く事業者アンケートでは、建物解体業者経由が平均8.9万円、太陽光の施工業者経由が平均18.9万円と、倍近い差がついています。(出典:環境省『太陽光発電設備のリサイクル等の推進に向けたガイドライン(第三版)』)
| 調査対象 | 住宅用設備1件あたりの受領額 | サンプル数 |
|---|---|---|
| 建物解体業者(建物の解体に伴って撤去) | 平均8.9万円 | n=42 |
| 施工業者(太陽光の施工業者による撤去) | 平均18.9万円 | n=50 |
| 施工業者が埋立処分業者に支払った費用 | 平均6.6万円 | n=6 |
これは平成25年度の古い調査なので、金額の水準そのものを今の相場として読むのは無理があります。ただ、依頼先で費用が変わるという構造の根拠としては、いまも十分に使えます。
差が生まれる理由ははっきりしていて、解体工事なら足場も重機も人手も共有できるからです。太陽光分の上乗せが、単独で頼むより小さくて済みます。
そもそも住宅用のパネルの多くは、建物の解体と一緒に外される想定です。国の委員会が住宅用の運転年数を20年と置いているのも、その前提に立っています。
注意したいのは見積書の書き方です。「解体費用一式」に紛れると、後から産廃処分費として追加請求される余地が残ります。パネルの枚数と出力を伝えて、内訳を出してもらいましょう。
もうひとつ、床面積80㎡以上の建物の解体は建設リサイクル法の対象で、着手7日前までに都道府県知事への届出が必要です。届出の実務は解体業者が代行することが多いのですが、義務を負っているのは発注者、つまり施主のほうです。
屋根の葺き替えと足場を1回で済ます
足場は撤去単独でも3万円〜10万円、屋根工事を伴えば15万円〜40万円かかります。撤去と屋根工事を別々の年にやると、この足場代を二重に払うことになります。
実際の施工事例を見ても、14枚の屋根塗装+脱着で171,600円(税込)、20枚のカバー工法+脱着で489,000円(税別)というように、屋根工事の中にパネル作業が溶け込む形で総額が決まっています。
パネル単独の撤去費という項目で考えるより、「屋根に手を入れる回数を減らす」と考えたほうが総額は下がる、ということですね。
タイミングの目安になるのが屋根の更新周期です。国の委員会が住宅用の運転年数を20年と置く理由のひとつに、外壁や屋根の塗り替えが想定されることが挙げられています。
20年目前後で「戻す(脱着)のか、戻さない(撤去)のか」を決めれば、足場は一度で済みます。逆に、卒FIT(10年)で慌てて外すのは多くの場合もったいない選択です。
買取で相殺できることも
状態が良く型番が新しいパネルは中古買取が成立することがあり、1枚5,000円〜12,000円という提示例があります。20枚なら10万円〜24万円で撤去費と同じ規模ですが、割れ・変色・出力低下がないことなど条件は厳しめです。新品価格から見た残価率は5〜6%程度という見方もあるので、値が付かない前提で見積もり、付いたら撤去費から引くくらいの構えが現実的だと思います。撤去業者が買い取る場合は、買取額の内訳が見積書に書かれているかを確認してください。
関連記事:太陽光の後付けデメリット7つ|新築時に見送った家が知る差額
撤去後の屋根は雨漏りするか、補修費は
パネルを外したこと自体で雨漏りするわけではありません。ただ、屋根置きのパネルは支持金具を屋根材に貫通させて固定する工法が多く、その場合は屋根に穴(ビス孔)が残るので、その処理をしないまま放置すれば雨水の侵入経路になります。

えっ、パネルを外したあとの屋根って、そのままじゃダメなんだ?
穴と日焼けの跡が残るんですよ。しかも撤去の見積もりに、その補修が入っているとは限らないんです。
外したあとの屋根に残るのは、だいたい次の3つです。
- 支持金具のビス孔(コーキングで埋める、屋根材と防水シートを部分的に張り替えるといった処理が要る)
- 色ムラ(パネルの下は紫外線が当たらないため、周囲だけ退色して境目がはっきり出る)
- 屋根材の割れ・欠け(撤去作業中や金具まわりの経年劣化で発生する。瓦は割れやすい)
つまり、パネルを外して終わりの見積もりと、防水処理まで含む見積もりでは、比べている中身が違うわけです。同じ「撤去費用」という言葉で並んでいると、気づかないまま安いほうを選んでしまいそうですよね。ここを揃えておかないと、後から追加分が乗ってきます。
| 工事内容 | 費用の目安 | 工期の目安 |
|---|---|---|
| 足場(屋根工事を伴う場合) | 15万円〜40万円 | 半日〜2日 |
| 支持金具まわりの部分修理 | 10万円〜30万円 | 1日〜4日 |
| 屋根全面リフォーム・その他補修 | 30万円〜100万円 | 5日〜2週間 |
| 屋根塗装 | 50万円〜100万円 | ― |
| カバー工法 | 80万円〜150万円 | ― |
| 葺き替え(下地から全面刷新) | 120万円〜200万円 | ― |
見てのとおり、撤去そのものより、その後の屋根工事のほうが高くなり得ます。既存の屋根の傷み具合によって、部分補修で止めるか、カバー工法や葺き替えまで進むかの判断が出てきます。
わが家の場合は、屋根がガルバリウム鋼板の片流れで、穴あけ不要の工法で設置しました。雨漏りリスクが小さいことは、この設備を契約した決め手のひとつでもありました。
とはいえ、色ムラのほうは工法に関係なく残ることがあります。ガルバリウム鋼板の耐用年数は30〜40年とパネルの実用寿命に近いので、屋根の更新と撤去のタイミングを合わせやすい条件ではあるかなと思っています。
屋根一体型(建材一体型)のパネルは事情が違います。パネルが屋根材を兼ねているので、撤去すると屋根に穴が空いた状態になり、防水シートの再施工や板金の復旧が連鎖して、屋根置きより費用のインパクトが大きくなりがちです。
原状回復の範囲を書面で
撤去費用の見積もりに「屋根の原状回復」が含まれているとは限りません。ビス孔の防水処理までを含むのか含まないのかを、口頭ではなく書面で確認してください。屋根の状態をどう直すのが妥当かは現地を見ないと判断できないので、最終的には屋根の専門業者にも見てもらうのが安心です。
積立制度は住宅用が対象外、自分で積む
太陽光の廃棄等費用積立制度は、10kW以上のFIT・FIP認定事業が対象で、住宅用(10kW未満)は対象外です。撤去・廃棄費用は全額が所有者の自己負担になります。(出典:資源エネルギー庁『廃棄等費用積立ガイドライン』)

しかも、売電単価にも撤去費は織り込まれていません。国の事業計画策定ガイドラインは、10kW未満は建物の解体と同時に撤去される場合が多いという想定から、調達価格の算定に廃棄等費用を考慮していないと明記しています。
事業用は売電収入から自動で積み立てられるのに、うちらの分は何もないの?
そうなんです。だから自分で積んでおくしかなくて、金額を先に決めてしまうのが一番ラクだと思いますよ。
撤去費は20年の総コストの1割弱
5kWの標準的なケースで並べると、初期費用138万円〜150万円、20年の維持費35万円〜85万円、撤去費15万円〜20万円。撤去費は総コストの1割弱という位置づけになります。
大きな支出ではあるけれど、太陽光をやめる理由になるほどの比率ではない。私はそう受け止めました。問題はむしろ、20年後にまとまった現金が要るという点のほうです。
そこで、月いくら積めば足りるのかを先に決めておきます。
| 積立額 | 20年後の残高 | 何をまかなえるか |
|---|---|---|
| 月1,000円 | 24万円 | 撤去・処分(10万円〜30万円)のほぼ全域 |
| 月2,000円 | 48万円 | 撤去・処分+撤去後の屋根の部分補修(10万円〜30万円) |
| 月3,000円 | 72万円 | 上記+パワコン交換1回(25万円〜60万円)の一部 |
月1,000円〜2,000円。これが、この記事で一番持ち帰ってほしい数字かもしれません。缶コーヒー数本分を20年続けるだけで、撤去費はだいたい自分で用意できてしまいます。
ただ、表の残高は積んだ金額をそのまま足し上げただけの単純な計算です。利息も物価の変動も入れていないので、この金額がそのまま20年後の実力になるとは考えず、目安として受け取ってくださいね。
わが家は265万円・20年ローンで契約したので、返済とは別に月1,000円〜2,000円を積んでおくつもりです。20年の維持費(撤去費を除いて35万円〜85万円)とは別枠、という考え方が抜けやすいところかなと思います。
もちろん、20年の時点では外さずに、将来の家の解体と同時に撤去するのであれば、20年の時点でまとまった現金支出が出ていくことはありません。ただ、撤去費そのものが消えるわけではなく、解体工事のときに(単独で頼むより小さい上乗せとして)払うことになります。それでも、選べる状態にしておけるかどうかの差は大きいはずです。
リサイクル義務化は住宅用にも及ぶか
2026年5月29日に成立し、6月5日に公布された「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」は、義務の中心が事業用パネルで、住宅用は直接の義務対象ではありません。
義務の中身は、多量の事業用パネルを廃棄する事業者に対する廃棄実施計画の事前届出と、国が定める判断基準に沿ったリサイクルの取組です。施行は、公布から1年6か月を超えない範囲で政令が定める日とされています。
では住宅用は関係ないのかというと、そうとも言い切れません。附則の検討規定に、幅広い廃棄者を対象とした義務付けを検討して制度を見直すことが明記されているからです。
背景にあるのは、パネルの排出量が2030年代後半以降に増え、年間で最大50万トン程度に達すると見込まれていることです。受け皿になる処理側の体制も、まだ追いついていません。
環境省の調査では、使用済パネル専用のリサイクル施設は全国87件・処理能力は約13万トン/年で、8府県には専用施設そのものがありません。リサイクル費用と埋立処分費用の差が大きいことも、リサイクルが進まない課題として挙げられています。
当面のところ、住宅用の撤去費は業者の見積もりで決まる状況が続きそうです。制度は年度で動くので、実際に撤去するときは環境省や自治体の公式情報で最新の扱いを確認してくださいね。
太陽光パネルの撤去費用のよくある質問
設置した販売店が廃業していたら、どこに頼めばいいですか?
撤去そのものは、販売店でなくても引き受けてくれる先があります。屋根の葺き替えや塗装と同じタイミングなら屋根工事・リフォーム業者、家を解体するなら解体業者、設備だけを外したいなら産業廃棄物処理業の許可を持つ専門業者、という分け方です。心当たりの業者がなくても、許可の有無は「優良産廃処理業者ナビゲーションシステム」で調べられます。ただ、施工した会社が消えていると設備の情報をたどる先もなくなるので、契約書・保証書や配線図の控えは残しておいてください。
卒FIT(10年)になったら撤去したほうがいいですか?
多くの場合はもったいない判断になるかなと思います。パネルには可動部がなく、20年程度では交換対象になりませんし、出力の劣化も年0.5〜1%程度です。売電単価が下がっても、自家消費に切り替えれば発電はそのまま使えます。撤去を急ぐ理由になるのは、雨漏りが出ている、パワコンの交換費(25万円〜60万円)が必要になった、屋根の葺き替えが必要になった、といった別の事情が先に来たときです。
保証書や型番が分からないと、撤去のときに困りますか?
工事ができなくなるわけではありませんが、損をする場面が出てきます。東京都の補助金は発電出力が分かる資料の提出を求めますし、パネルの買取査定も型番と状態で決まるので、機種や出力が分からないと申請も査定も通りにくくなるんですね。保証書を再発行しないメーカーもあるので、手元に見当たらないときは、まず購入した販売施工店に発行状況を確認し、そこで分からなければメーカーの窓口に設置年月や施工店名を伝えて登録の有無を照会する、という順で当たってみてください。
相場よりかなり安い見積もりは、そのまま受けても大丈夫ですか?
安いこと自体が問題なのではなく、確かめてほしい場所が1つあります。産業廃棄物管理票(マニフェスト)の写しを渡してもらえるかどうか、つまり処分先が適正かどうかです。処理費を惜しんで設備を放置したり不適正に処分したりするケースは業界の課題として指摘されていて、その分が金額に表れている可能性があります。管理票はFIT設備の廃止届の添付書類でもあるので、出せないという返事なら、金額を比べる前に候補から外していいと思います。
パワコンや蓄電池、架台の撤去費用は別料金ですか?
見積もりの作り方しだいで、含まれることも別立てになることもあります。だからこそ、パネルの枚数だけで話を進めず、パワコン・架台・(あれば)蓄電池まで込みの金額なのかを最初に聞いてください。屋根の上の架台と支持金具は一式5万円〜20万円が目安で、屋根の直しと一緒くたに書かれやすい部分でもあります。蓄電池は撤去工事費・運搬費・処分委託費を合わせて7万円〜15万円ほどという案内があり、こちらは家庭から出る場合の扱いが自治体で違うので、まずお住まいの市区町村のルールを確認するところからになります。
太陽光パネルの撤去費用と備え方の要点
撤去っていくらか分からなくて怖かったけど、金額が見えると意外と身構えなくていいんだね。
そうなんですよ。しかも、いつ外すかを自分で選べれば、けっこう下げられる費用でもあるんです。
住宅用パネルの撤去費用は、10万円〜30万円(中心は15万円〜20万円)が目安です。あくまで一般的な水準で、屋根の条件や依頼先によって動きます。

- 住宅用の撤去・処分費は10万円〜30万円が目安で、中心は15万円〜20万円
- 総額を決めるのは処分費(1枚2,000円〜3,000円程度)ではなく、足場と屋根上の人件費
- 屋根の系統連系パネルは自分で外して捨てられない。頼み先は販売施工店・屋根業者・解体業者
- 見積書は足場・取り外し・運搬・処分・防水処理が分けて書かれているかで比べる
- 家の解体や屋根の葺き替えと同時にすれば足場を共有でき、東京都なら出力×25,000円の補助がある
- 撤去後はビス孔と色ムラが残り、補修費が撤去費を上回ることもある
- 廃棄費用の積立制度は住宅用が対象外。月1,000円〜2,000円の自主積立で20年後に備える
私自身は2026年8月18日に設置を終えたところで、20年後の撤去はずっと先の話です。それでも、撤去費が総コストの1割弱だと分かっていれば、20年ローンの重さの受け止め方も変わってきますよね。
費用も制度も年度で動きます。補助金の要件や届出の様式は必ず公式サイトで最新のものを確認して、屋根や配線に関わる判断は有資格の業者・専門家にご相談ください。
