こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。
「太陽光発電はやめたほうがいい」と調べてここにたどり着いたということは、営業を受けて迷っているか、家族と意見が割れているか、そのどちらかかなと思います。ただ、調べても出てくるのは「やめたほうがいいと言われる理由はこれです。でも実際はメリットのほうが大きいですよ」という流れの記事ばかりで、読み終わると結局背中を押されている。私も同じ順路をたどりました。
そこでこの記事は順番をひっくり返します。先に「やめたほうがいい家の条件」を6つ出して、1つでも当てはまるならそこで読むのをやめていい、という立場で書きます。私自身は2026年に太陽光7.92kWと蓄電池7.7kWhを265万円で契約した当事者です(2026年8月18日に設置が終わり、稼働が始まったところです)。
契約した側だからこそ、「自分はどの条件をクリアしたと判断したのか」を実額と屋根条件つきで開示できます。なお本文の数値は2026年7月時点で確認できたもので、あくまで目安として読んでください。
- 太陽光をやめたほうがいい家の6条件と、自分が当てはまるかの確かめ方
- 国が公表している売電8.3円・維持費75万円からという数字の中身
- 私が7.92kW+蓄電池265万円の契約に進むまでに確認したこと
- 見送る場合の電気代対策と、賃貸・集合住宅で取れる手段
結論、太陽光をやめたほうがいい家の条件
先に結論を書きます。下の6つのうち1つでも当てはまる家なら、太陽光発電は見送っていいというのが私の考えです。逆にどれにも当てはまらないなら、検討を進める価値は十分にあります。太陽光が良いか悪いかではなく、家の条件と契約金額で結果がほぼ決まる設備だからです。

「やめたほうがいい」って調べる人、けっこう多いんだね。みんな何が引っかかってるんだろう?
屋根の向きとか電気の使い方とか、そもそも条件が合っていない家がはっきりあるみたいですよ。まずはそこから見ていきましょうか。
うん、当てはまってるなら早めに知りたいもんね!
| やめたほうがいい条件 | 線引きの目安 |
|---|---|
| 屋根が北向き、または影がかかる | 南向き比60〜70%まで落ちる/影は面積以上に発電量を削る |
| 日中ほぼ不在、電気の使用量が少ない | 自家消費率30%を下回る見込み |
| 屋根が小さい・形が複雑で容量が載らない | 3kW未満しか載らない(kW単価36万円/kW前後まで上がる) |
| 見積もりのkW単価が高い | 35万円/kWを大きく超える |
| 10年以内に転居や屋根の葺き替えの可能性 | パネル脱着で20万〜40万円が別途発生 |
| 途中解約に違約金が生じる契約形態 | リース・PPAで10〜15年の縛り |
上の条件は「太陽光の良し悪し」ではなく「あなたの家との相性」を見るものです。当てはまったからといって、あなたの判断が間違っていたわけではありません。
北向き・影で発電量が6〜7割の屋根
屋根が北向きなら、それだけで見送っていいと思います。真南を100%としたとき、北向きの発電量は60〜70%(北面のみでは62%という値も示されています)。国の想定値から計算すると1kWあたり年間およそ1,200kWh発電するところが、北向きでは約750〜840kWhまで落ちる計算です。同じ設備を同じ金額で買って、収入だけが3分の2になるということですね。
| 屋根の方位 | 真南を100%としたときの発電量 |
|---|---|
| 真南 | 100% |
| 南東・南西 | 96% |
| 東・西 | 85〜90% |
| 北 | 60〜70% |
しかも北向き設置は、そもそもメーカー保証の対象になるかどうかを個別に確認しないといけません。雨でパネル表面の汚れが流れる自己洗浄の効果も、北向きはやや弱くなる傾向があります。載せられるかどうかと、載せて得かどうかは別の話です。
影も同じくらい重い条件です。影のかかったセルが電流のボトルネックになるため、影の面積以上に発電量が落ちます。モジュール内部のバイパスダイオードが影のセルを迂回して極端な低下を防いでくれますが、影のかかり方によっては出力が半分以下になることもあります。
電柱やアンテナのような細い影は比較的影響が小さい一方、隣家の建物や大きな樹木は時間帯によって複数の回路にまたがるので、影響が大きくなりやすいと言われています。
屋根の形と面積も、ここで一緒に確認しておきたいところです。1kWを載せるのに必要な屋根面積は5〜7㎡が目安(変換効率の高い機種なら4.75㎡程度から)で、実際にはパネルの周囲300mmのスペース確保も必要になります。寄棟や入母屋のように面が細かく分かれている屋根は1面あたりの有効面積が取れず、載る容量が減ります。
| 載せたい容量 | 必要な屋根面積の目安 |
|---|---|
| 3kW | 15〜21㎡ |
| 4kW | 20〜28㎡ |
| 5kW | 25〜35㎡ |
| 6kW | 30〜42㎡ |
| 10kW | 50〜70㎡(メンテナンススペース込みで130〜180㎡という試算もあります) |
そして屋根が狭いほど、1kWあたりの単価は高くなります。工事費や諸経費が容量で割り切れないためです。3kW未満しか載らない屋根は、それだけで回収できるかどうかの分岐点をまたいでしまうので、載る容量は必ず金額の話とセットで見てください。
確かめ方も書いておきます。影は業者の説明を待たずに自分で判定できます。よく晴れた日に、午前・正午・午後の3回、屋根を1回ずつ見てください。隣家や樹木の影がかかる時間帯があるなら、その時点で条件は不利側です。そのうえで業者には、方位・傾斜角・影の損失・損失係数の4点を明示した発電量シミュレーションを出してもらってください。この4つの前提が書かれていない試算は、そもそも他社と比べようがありません。
関連記事:一軒家の太陽光発電のデメリット|自宅の屋根で検討した実例
日中不在か電気使用量が少ない家
共働きで日中に誰もいない家、もともと電気をあまり使わない家も、見送っていい側です。理由は単純で、5年目以降、売った電気の価値は自分で使った場合のおよそ3割にしかならないからです。
| 期間 | 自家消費の便益(国の想定) | 売電単価 | 自家消費は売電の何倍か |
|---|---|---|---|
| 1〜4年目 | 27.31円/kWh | 24円/kWh | 約1.1倍 |
| 5〜10年目 | 27.31円/kWh | 8.3円/kWh | 約3.3倍 |
| 11年目以降 | 27.31円/kWh | 10.0円/kWh(想定) | 約2.7倍 |
1〜4年目は売っても使ってもほぼ同じ価値なので差が出ません。ところが5年目から売電単価が8.3円に落ちるので、そこから先は「発電した電気を家の中で使い切れるか」が収支をほぼ決めることになります。日中の在宅が少ない家ほど、5年目以降の便益が急に細くなる構造なんですね。
使用量の目安も置いておきます。1世帯あたりの年間電気使用量は全国平均で約4,175kWh、月あたり約348kWhです。一方で5kWの太陽光は年間およそ6,000kWh発電するので、平均的な世帯の年間使用量を発電量が上回ります。
余剰売電の契約なら、使い切れなかった分が売電に回ります。国の想定でも余剰売電比率は70.0%、つまり自家消費率は30%が前提に置かれていて、実態としても家庭用の自家消費率は全国平均で約30%とされています。
参考までにわが家の実測です。2026年4月に新築の一軒家へ入居してオール電化(エコキュート+IH)にしたので、給湯まで含めて全部が電気になりました。新居に移ってからは2026年5月が415kWh・12,891円、6月が385kWh・12,398円で、月400kWh前後。
全国平均の月348kWhは上回っています。まだ2か月分なので断定はできませんが、日中に給湯と空調を回せる家かどうかは、ここで見ておくべきだと思います。
もう少し長い実測もあります。旧居(賃貸アパート・ガス併用)に住んでいた2025年の1年間は5,559kWh・190,766円で、月平均は約1.6万円でした。ただ、この年でいちばん重かったのは冬です。2025年1月が704kWh・25,454円、いちばん軽い2025年6月が296kWh・9,668円で、冬のピークは底のおよそ2.6倍。
ここが太陽光との相性でやっかいなところで、電気をいちばん使う冬は、日照時間が短くて発電量がいちばん小さい季節でもあります。年間の合計だけを見て「うちは使用量が多いから大丈夫」と考えると、この季節のズレを見落とします。
確かめ方はこうです。まず検針票かアプリで月間の使用量kWhを出して、全国平均の月348kWhと比べます。次に、平日の日中に家族の誰かが在宅する曜日が週に何日あるかを数えます。最後に、エコキュートなどの給湯の沸き上げが夜間設定のままかどうかを見てください。日中の在宅がほぼ無く、給湯も夜間に寄せている家は自家消費率30%を下回りやすいので、その場合は見送り側と考えていいと思います。
もうひとつ見落としやすいのが、お住まいのエリアの電気単価です。自家消費の便益は「買わずに済んだ電気の単価」なので、もともと電気が安いエリアほど太陽光の経済効果は小さくなります。
従量電灯Bの第1段階単価は東京電力エナジーパートナー29.80円/kWh、東北電力29.62円/kWhに対し、中部電力ミライズ21.20円/kWh、九州電力18.37円/kWh。
中部・九州は東京・東北の6〜7割の水準で、国の想定27.31円/kWhよりも自家消費の便益が小さく出ます。
見積もりのkW単価を35万円で線引き
屋根の条件が良くても、契約単価が高ければ回収できません。私が線を引くとしたらkW単価35万円/kWを大きく超える見積もりは、屋根条件と無関係に見送りです。総額ではなく、必ず容量で割った単価で見てください。
| 区分 | kW単価 |
|---|---|
| FIT算定に使われた国の想定値 | 25.5万円/kW |
| 2025年設置・全体平均(実績) | 29.0万円/kW |
| 2025年設置・既築住宅(実績) | 30.1万円/kW |
| 2025年設置・新築住宅(実績) | 28.9万円/kW |
実勢は国の想定を1kWあたり3.1〜4.6万円上回っていて、5kWなら15.5万〜23万円の上振れに相当します。国が示している想定利回りのIRR(税引前)3.2%は25.5万円/kWを前提に置いた数字なので、実勢価格で買う限り実際の利回りはこれより下がります。住宅用の設置費用は2022年までは下落傾向でしたが、2023年から上昇に転じている点も頭に入れておきたいところです。
容量別の実勢価格(自社施工会社の相場・税込)はこのくらいの水準です。
| 容量 | kW単価 | 総額 |
|---|---|---|
| 3kW | 36.0万円/kW | 108.0万円 |
| 4kW | 29.8万円/kW | 119.0万円 |
| 5kW | 26.4万円/kW | 131.9万円 |
| 6kW | 23.6万円/kW | 141.4万円 |
| 7kW | 20.6万円/kW | 144.5万円 |
| 8kW | 19.1万円/kW | 152.4万円 |
| 9kW | 18.6万円/kW | 167.1万円 |
総額で「高すぎる」と判断する目安としては、太陽光単体で170万円以上、太陽光+蓄電池のセットで360万円以上という基準が示されています。販売会社経由の見積もりは自社施工より約3割高い傾向があるとされ、5kW+蓄電池セットで434万円という見積もり例も報告されています。同じ設備でも、どこから買うかで数十万円単位で変わるということですね。
単価の差がそのまま手残りの差になる
国の想定値だけを積み上げて5kWの20年収支を計算すると、初期費用が想定どおり25.5万円/kW(127.5万円)なら20年で約44万円、実勢平均の29.0万円/kW(145万円)なら約27万円の手残りです。利回りに直すとIRRは3.4%と1.9%。屋根が同じでも、kW単価が3.5万円違うだけで想定利回りがほぼ半分になります。ここに撤去費や出力制御、経年劣化が乗ってくるので、薄いほうから先に消えていく水準だということです。
10年以内の転居や屋根の葺き替え予定
10年以内に引っ越すかもしれない、あるいは屋根の葺き替えや塗装が近いという家も見送り側です。屋根が先、太陽光は後という順番を崩すと、あとから余計な費用が乗ってきます。
パネルを載せたまま屋根のカバー工法や葺き替えはできないので、屋根を触るときにはパネルの一時脱着が必須になります。脱着費用の相場は約20万〜40万円(枚数や足場によります)。パネル20枚の戸建てで、カバー工法に伴う脱着・新規金具設置・足場までを一括施工した費用が489,000円(税別)、工期は約2週間という実例も示されています。屋根工事の費用とは完全に別建てで発生するお金です。
築年数が古い家も慎重に見たほうがいいところです。1981年以前に建てられた建物は構造計算の対象になることが多く、老朽化で耐震性が下がっている住宅では補強工事が必要になる場合があります。古い家の野地板は薄いベニヤ板のことがあり、メーカーによっては野地板の厚さ12mm以上を設置条件にしています。瓦屋根は他の屋根材の約2〜3倍の重量があるため、耐荷重の検査が前提になります。
転居の可能性がある場合は、売却時の手続きも足し算になります。太陽光付き住宅を売るには設備認定IDの名義変更が必要で、電力会社との契約変更には平均2〜3か月程度かかります。ローンを使っていれば残債の処理を売却手続きに組み込む必要があり、補助金を受けていれば処分制限期間内の売却には交付元への財産処分承認申請が要ります。
設備の評価に専門の鑑定士を頼むと費用は平均約10万円。設置から10年未満はFIT期間が残っているぶん売却時の評価が高くなりやすいという見方もありますが、手続きのコストと時間は確実に発生します。
確かめ方としては、まず新築時の屋根材と築年数から、次の屋根更新がいつ来るかを逆算してください。スレート屋根なら塗装や葺き替えの周期が先に来やすく、太陽光より屋根の更新が先になります。
判断がつかないときは、太陽光の話を進める前に工務店やリフォーム会社に屋根の状態を見てもらい、次の更新時期の目安を聞いておくのが安全です。そのうえで、10年後・20年後にこの家に住んでいるかを一度書き出してみてください。
20年以上住み続ける見込みが立たないなら、それだけで見送る理由になります。
多雪・塩害・強風は別枠で確認
ここまでの6つの条件とは別枠で、地域によって追加確認が要る条件があります。多雪地域・寒冷地・塩害地域・強風地域は、各メーカーがそれぞれ設置基準を設けていて、基準外の設置はメーカー保証の対象外になることがあります。積雪地域なら耐荷重を確保しているか、沿岸部なら塩害仕様の指定があるか、といった具合です。
パネルを支える架台の設計は、JIS C 8955という規格で計算方法が決まっていて、風圧荷重は設置地点ごとの基準風速(30〜46m/s)から算定します。全国どこでも同じ強さで守られるわけではなく、地域によって追加要件が付くということですね。心当たりがあるなら、契約前にメーカーの設置基準を書面で確認しておいてください。
やめとけの理由を国の公表値で確かめる
ここからは「やめとけ」と言われる中身を、感情論ではなく国が制度設計に使っている数字で確かめます。結論を先に言うと、国の想定そのものが「住宅用太陽光は20年動かして年3.2%」という薄い利回りの前提で組まれています。国が示す想定利回りのIRR(税引前)3.2%は、10年のFIT期間だけを見た数字ではなく、11年目以降の自家消費まで含めた20年通期のキャッシュフローで計算されたものです。

同じ「太陽光の費用対効果」でも、誰が出した数字かで前提が違います。制度設計の一次資料(調達価格等算定委員会の資料など)は想定値ではあるものの、システム費用・運転維持費・設備利用率・IRRまで前提が開示されていて検証できます。
一方、設備や電力サービスを売る立場の解説記事は網羅性が高くても結論が導入推奨に寄ります。以下で扱う単価や維持費は、販売側の試算ではなく国が制度設計に使っている前提値です。前提が開示されているぶん、お手元の見積もりと突き合わせてご自身で検算できます。
売電8.3円と出力制御で減る収入
2026年度の住宅用(10kW未満)のFIT調達価格は、1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhの二段階制です。「24円に上がった」という説明だけを見ると条件が良くなったように見えますが、5年目からは8.3円まで落ちます。調達期間10年の「年数」で単純に平均すると(24円×4年+8.3円×6年)÷10年=14.58円/kWh。これは各年の発電量で重みを付けた平均ではなく、年数で割っただけの計算上の値です。
2025年度上半期までの一本値15円/kWhと比べて、10年トータルではほぼ横ばい〜わずかに低い水準です。(出典:経済産業省『再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します』)
住宅用FIT単価は、制度開始年の2012年度が42円/kWh、2024年度が16円/kWh、2025年度(上半期)が15円/kWh。そして2026年度から二段階制に変わりました。この二段階価格は初期投資の回収を前倒しして、後半は自家消費を促す狙いで設計されています。つまり制度そのものが「後半は売らずに使ってください」と言っているわけで、日中の使い方が合わない家に不利なのは設計どおりなんですね。
11年目以降、いわゆる卒FIT後の売電単価は国の想定で10.0円/kWhですが、実勢は買取先で幅があります。大手電力会社の余剰買取プランは7〜8円台/kWhが中心、新電力・買取専門事業者では東京電力エリアの例で11.1〜14.6円/kWhという水準も示されています。キャンペーン対象外エリアでは7.0〜9.0円/kWhという値もあり、住んでいる地域で選択肢の幅が変わります。
もうひとつ、発電しても売れない時間があります。出力制御です。九州電力管内の太陽光の出力制御率は2023年度に8.3%でピークを付け、2024年度見込みが6.2%、2025年度見込みが6.1〜6.2%。
2024年度の1発電所あたりの制御回数は年18〜19回相当とされています。出力制御が起きる地域では、収支計算の売電分がその率だけそのまま目減りします。九州は太陽光の設置容量が突出していて、晴天時に需要を大きく超える発電が起きるのが背景です。
季節と気温でも発電量は動きます。結晶シリコン型パネルの温度係数は-0.4〜-0.5%/℃程度で、性能の基準になるのはパネル温度25度。ところが真夏は気温30〜35度以上でパネル温度が60〜70度まで上がり、25度から60度への上昇(35度差)で発電効率は14〜17.5%低下します。結果として真夏の発電量は春・秋より5〜10%程度少なくなることがあります。曇天時は晴天時の3分の1から10分の1程度まで落ちます。
「夏がいちばん発電する」というイメージとは逆で、発電量がいちばん伸びやすいのは春(4〜5月)と秋(9〜10月)です。変換効率そのものはパネルが冷えているほど高いので、日射量が多いのにパネル温度が上がりきらない春と秋が、条件のバランスとしていちばん良い時期になります。営業の試算は年間の合計で示されることが多いので、月ごとの上下はこのくらい振れると思っておいてください。
20年の維持費は75万円から
初期費用のほかに、20年動かすなら下限側で見ても75万〜90万円の維持・撤去コストがかかります。実勢で積むと定期点検が2〜5万円×5回、パワコン交換が30万〜34.5万円、撤去・処分が足場込みで35万円前後、という内訳です。ここを見積もりに入れないまま「10年で元が取れる」という話を聞くと、あとで話が合わなくなります。
| 項目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 運転維持費(国の想定) | 0.30万円/kW/年=5kWで年15,000円・20年で30万円。定期点検5回とパワコン交換1回を年額に均した値 |
| うちパワコン交換(実勢) | 約30万円(一般的な住宅用3〜5kW)・実勢では約34.5万円 |
| うち定期点検(実勢) | 1回2万円(国の資料の想定)/実勢2〜5万円・4年に1回程度 |
| 撤去・処分(国の想定に含まれない) | 住宅1棟で15万円前後+足場20万円前後 |
| 屋根更新時のパネル脱着(別途) | 約20万〜40万円 |
パワコンの寿命は10〜15年程度で、20年運用するなら最低1回は交換が必要になります。ここで効いてくるのが時間軸のズレです。売電単価は5年目に8.3円まで落ち、卒FIT後も大手電力の買取なら7〜8円台にとどまります。その細った売電収入のところへ、30万円前後の出費が来ます。
入ってくるお金が小さくなった時期に大きな支払いが重なる形なので、住宅用太陽光の収支を圧迫する構造になっているんですね。ひとつ注意点です。国の想定値である運転維持費0.30万円/kW/年(5kWで20年30万円)は、上の定期点検とパワコン交換1回をならして年額にしたものなので、国の数字で収支を組むときに、そこへパワコン交換をもう一度足すと二重に数えることになります。
上振れ側の試算も見ておきます。5kW・初期費用120万円で20年運用した場合の積み上げとして、初期費用120万円+定期点検15万円+清掃60万円+パワコン交換30万円+その他修理・交換50万円+廃棄撤去30万円=合計305万円という例が示されています。
初期費用を除いた維持・撤去だけで185万円です。ただし清掃60万円は実施頻度で大きく変わり、住宅用では自然の降雨に任せて清掃しないケースも多いので、幅を持って見るのがよいと思います。
見落とされがちですが、定期点検は法令上の位置づけがある話です。2017年施行の改正FIT法で、それまで50kW以上の産業用だけだった保守点検・維持管理の義務が、FIT認定を受けた住宅用を含む小規模設備まで拡大されました。
ただし義務の中身は「保守点検・維持管理の計画を立てて、その計画どおりに実施すること」で、資源エネルギー庁の事業計画策定ガイドラインに点検頻度の数字は書かれていません。4年に1回以上という頻度は、太陽光発電協会など民間団体のガイドラインが示す推奨です。
計画も実施もしていなければ指導・改善命令や認定取消の対象になり得ますが、4年ごとの点検を1回抜かしたら即処分、という話ではありません。
災害で壊れたときの扱いも、維持費と一緒に見ておきたいところです。台風や地震などの自然災害による破損は、メーカー保証の対象外になります。ただし住宅の火災保険は台風などの風災・水災による被害を補償対象にしていることが多く、太陽光パネルも建物の付属設備として補償を受けられるケースが多いとされています。
気をつけたいのは地震で、地震・噴火・津波による損害は火災保険では支払われず、地震保険の付帯が必要です。パネルが飛散して他人の身体や財物に損害を与えた場合に備える保険もあり、少額の保険料で支払限度額が手厚い設計のものもあります。ご加入中の火災保険が太陽光設備まで含むかどうか、地震保険を付けているかどうかは、契約前に保険会社へご確認ください。
投資が得という反論を数字で仲裁
「同じお金をインデックス投資に回したほうが得だ」という反論があります。先に立場を書くと、この反論は数字としては正しいのですが、論点が少しずれています。太陽光は増やすための商品というより、毎月必ず出ていく固定費を減らす設備だからです。
実際に家庭内で交わされている論拠はかなり具体的です。5kW・140万円で設置して30年運用した場合の利益を約138万円(140万円に対する単利換算で年3.3%相当)と見積もり、同額を全世界株式インデックスに投じて年7.3%の複利で30年運用すると約1,160万円になる、という対比。
加えてパネル交換1枚19.5万円、パワコン交換約15〜20万円(15年ごと)、屋根葺き替え15万円といった維持費の積み上げ、北国・積雪地域での効率低下、気温30度以上での出力低下なども挙げられています。
ここは正直に書きますが、この「30年で138万円」という見積もりは極端に悲観的なものではありません。国の想定値だけを積み上げて計算した5kWの20年純便益が約171万円(初期費用を差し引く前)なので、桁は同じです。反対している側の数字が間違っているわけではないんですね。
では何で決まるのかというと、初期費用の水準です。同じ屋根・同じ設備でも、契約金額だけで20年後の結果が黒字にも赤字にも振れる。ですので家庭内の議論は「太陽光は儲かるのか」ではなく、「この見積もり金額と、この屋根条件で、20年持ちこたえられるか」に置き換えたほうが噛み合います。反対している側も、この形なら「いくらまでなら賛成できるか」で答えられるようになります。
「結局、何年で元が取れるのか」も、前提しだいで答えが変わります。一般に言われる目安は10年前後、楽観側の試算では約7〜8年、5kWで初期投資支援スキームを適用した試算では約12.6年(従来制度では約13.3年)とされています。
国が制度設計に使っているIRR(税引前)3.2%は「20年運転してようやく年3.2%相当の利回り」という水準なので、制度そのものが10年で回収しきる設計にはなっていません。7〜8年という数字を提示されたら、初期費用・自家消費率・補助金のどれをどう見込んだ計算なのかを必ず確認してください。
この試算は有利側の前提です
上の20年収支は「南向き・影なし・自家消費率30%・出力制御なし・経年劣化を織り込まない」という条件で組んだものです。北向き、影あり、出力制御のあるエリア、日中不在といった不利側の条件がひとつ増えるごとに、この薄い黒字は消えていきます。
ローンを使う場合は利息も足してください。200万円を金利2.5%固定・15年(180回)で借りると月々約13,335円、総支払は約240万円で利息が約40万円です。20年純便益の約171万円から見ると、利息だけで便益の2割強を食う計算になります。
ソーラーローンの金利相場は2026年時点で年1.5〜4.0%。返済期間が15年以上なら固定金利や住宅ローンへの組み込みを選ぶほうが安全という指摘もありますが、住宅ローンに入れると返済期間が長くなるぶん利息総額が必ずしも下がるとは限りません。
どれも当てはまらないなら進んでいい
ここまでの条件にひとつも当てはまらず、契約単価が相場の内側なら、迷わず進んでいいと私は思います。判断を止めるべき理由がないからです。この章では、私が実際に何を確認して契約まで進んだのかを、そのまま出します。

私が265万円で契約に進んだ判断
わが家は2026年4月に新築の一軒家へ入居しました。契約内容はシャープ製パネル18枚・7.92kWと蓄電池7.7kWhで、合計265万円・20年ローン。施工は2026年8月18日に終わりましたが、下に挙げる判断はすべて契約前に材料を並べて決めたものです。判断材料にしたのは次の5つです。
- 屋根: ガルバリウム鋼板の片流れ・南向き。方位は100%の水準で、穴を開けないキャッチ工法が選べた
- 電気の使い方: 新居はオール電化で給湯まで電気。前の章で見た使用量の水準を、わが家では「昼間に自家消費へ回せる時間帯があるか」で見た
- 金額: 太陽光+蓄電池のセット相場が約280万円、高すぎるの目安が360万円以上とされる中で、7.92kW+7.7kWhの265万円は内側に収まっていた
- 収支の試算: 提示された試算で、20年ローンの毎月の返済額を「電気代の削減+売電」が上回る計算になっていた
- 居住年数: 新築に入ったばかりで、20年以上住み続ける前提で計算できた
1つめの屋根から補足します。片流れは1面が大きく最も多くパネルを載せられる形状で、屋根材としてもガルバリウム鋼板は最も軽くて耐久性が高い。しかも穴あけ不要の工法だったので、雨漏りリスクを小さくできる点が大きな判断材料になりました。飛び込みで来た営業の方にも「太陽光パネルを置く前提で作られているのかと思いました」と言われたくらいで、屋根の条件だけは恵まれていたと思います。
決め手になったのは4つめです。提示された収支の試算で、毎月のローン返済額よりも「電気代の削減+売電」のほうが上回る計算になっていました。蓄電池を入れると収支がマイナスになることが多いと言われる中で、プラスの試算だったのが大きかったです。
それでも蓄電池7.7kWhを一緒に入れたのは、地震などで電気が止まったときに最低限の電気を確保できることが大きな理由でした。電気は毎日必ず使うのに、燃料価格や国際情勢で費用が大きく動く。その振れ幅を自分の側で減らしておきたかった、という事情もあります。ここは経済合理性だけの判断ではありません。
意外だったのが、20年ローンに団体信用生命保険(団信)が付いていたことです。住宅ローンでは定番ですが、ソーラーローンにも付くとは思っていませんでした。万一のときは残債が保険で完済されて、設備は家族に残ります。「20年ローンは重い」という不安に対しては、かなり大きな安心材料でした。
私の失敗しているところ
卒FIT後の売電単価が落ちたあとまで含めてどうなのかという疑問は、今も残っています。これはこれからの実測で検証していくつもりです。もうひとつ、私は相見積もりを取らずに1社で即決しています。記事では3〜5社の相見積もりを推しておきながら自分は取っていないので、ここは真似しないでいただきたいところです。経緯は次の章に書きます。
関連記事:太陽光ローン20年はきつい?月々1.5万円の実契約で検算
同じ基準を自分の見積もりに当てる
手元に見積書があるなら、総額を容量で割ってkW単価を出すところから始めてください。営業トークを聞くより速く、判断がつきます。蓄電池とのセット見積もりなら、太陽光と蓄電池の内訳を分けてもらったうえで比べます。蓄電池のkWh単価は約15〜20万円が実勢の目安です。
- 総額を容量で割ってkW単価を出す(35万円/kWを大きく超えていないか)
- 提示された年間発電量を容量で割る(1kWあたり1,300kWh/年を大きく超えていたら前提を確認する)
- 内訳がパネル・パワコン・架台・工事費・諸経費・足場・電気工事・申請代行費に分かれているか見る
- 自社施工か販売会社経由かを確認する(販売会社経由は約3割高い傾向)
- 出力保証・機器保証・雨漏り保証の年数と免責条件を確認する
- 現地調査後の正式見積もりで、3〜5社を同じ条件で比べる
4番目の「自社施工か販売会社経由か」は、私も実際に確かめた項目です。契約したのは全国でも施工実績が上位だと説明を受けた会社で、シャープの直接的な代理店でした。誰が工事をするのかがはっきりしていたので、ここは信用材料のひとつにしています。ただし施工体制で安心できることと、金額が妥当かどうかは別の話です。この項目は相見積もりの代わりにはなりません。
2番目の発電量シミュレーションは、意外と差が出るところです。太陽光発電協会が示す目安は1kWあたり年間1,000kWh、国のFIT算定に使われる設備利用率13.7%から計算すると1kWあたり約1,200kWh、民間集計の全国平均は1,237kWh/kW/年(秋田1,095、甲府・高知・宮崎1,339という地域差もあります)。
シミュレーションの計算方法は各社で異なり、結果に保証を付けている会社はほとんどありません。方位・傾斜角・影の損失・損失係数をどう見込んだかを揃えないと、比較になりません。
出力保証は各社で差があります。長州産業30年、パナソニック25年、シャープ20年。主要メーカーの主力モデルはリニア出力保証が主流で、初年度の初期劣化(約2%)のあと毎年0.4〜0.5%ずつ保証値が下がり、25〜30年後に公称出力の80〜85%を保証する設計が一般的です。実際の経年劣化率は一般に0.5〜0.8%/年とされ、年0.5%劣化なら20年後に初期出力の90%が残る計算になります。
補助金は年度ごとに制度が変わり、予算上限に達すると受付が終了します。交付決定を受ける前に設置工事を始めると対象外になる制度もあるので、着工前の確認が必須です。補助金の最新の要件と受付状況は、必ず自治体や交付元の公式情報でご確認ください。ここまでの数値はいずれも一般的な目安なので、最終的な判断はご自身の見積書を持って専門家にご相談いただくのが確実だと思います。
6条件に当てはまらなかった人が次にやるのは、渡された試算を自分の数字で置き直す作業です。
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悪徳業者の営業トークが出たら断る
屋根の条件が良くても、相手を間違えると台無しです。下のような言葉が出た時点で、その場で断って構いません。判断に迷う必要はなくて、言葉そのものが判定材料になります。

「点検が義務になりました」って言われたら、断っていいの?ほんとに義務だったらこわいなあ。
義務があること自体は本当なんですよね。でも「だからこの工事が必要です」は別の話なので、そこは切り分けていいみたいですよ。
なるほど、事実と提案は別ものってことか!
- 電力会社や自治体を装う(「電力会社から来ました」など)
- 「絶対に元が取れる」と断言する
- 相見積もりを嫌がる
- 今日中の決断を迫る
- 「点検が義務化された」と言って無料点検から高額工事へ誘導する
- 費用の内訳が不透明、または相場から大きく乖離した見積もりを出す
先に自分のことを書いておきます。私が契約したきっかけも、飛び込みの訪問営業でした。ですので「訪問販売はすべて悪質」と言うつもりはありません。ただ、私は相見積もりを取らずに1社で決めています。自分なりに相場を調べたうえでの判断でしたし、結果として安い部類だったとは思いますが、比べる材料を持たないまま決めたのは事実です。上のサインが出ていないかを確かめるには、他社の見積もりという物差しがあったほうが確実で、そこは私の反省点でもあります。
点検義務を材料にした点検商法が11倍
この手口が厄介なのは、前提が嘘ではないところです。FIT認定を受けた住宅用設備に保守点検・維持管理の義務が課されているのは事実で、4年に1回以上の点検も民間団体のガイドラインで推奨されています。「点検義務がある」という事実を材料に、不要な高額工事へ誘導する手口が成立してしまうわけです。義務の内容と、提案されている工事の必要性は別物として切り分けてください。
相談件数も伸びています。国民生活センターに寄せられた点検商法の相談は、2017年度57件、2021年度90件、2022年度154件、2023年度304件、そして2024年度が613件(後日集計で677件、前年度比2.2倍という報道もあります)。
2017年度から2024年度でおよそ11倍で、2025年度も9月末時点で371件。太陽光発電全般では毎年平均3,000件以上の相談が寄せられています。無料点検をうたって訪問し高額工事に誘導する手口で、高齢者世帯を狙った事例が目立ちます。(出典:国民生活センター『太陽光発電システムの点検商法が急増!』(2025年6月4日))
穴あけ工法と雨漏り保証を確認する
営業の言葉づかいだけでなく、工事の中身も見ておきたいところです。スレート屋根などで一般的な直打ち工法は、屋根材と防水シートに穴を開けてパネルをビスで垂木に留めます。この穴あけが雨漏りの原因になる事例が多く報告されています。
設置時に瓦が割れる、コーキングが不十分、ビスを貫通させてしまうといったものが具体例で、背景には工事スタッフの慢性的な不足や価格競争の激化があるとも指摘されています。屋根材によっては、ハゼ掴み金具などで固定して穴を開けないキャッチ工法が選べる場合があるので、見積もりの段階で工法と雨漏り保証の年数・免責条件をセットで確認してください。
訪問販売なら8日間はクーリング・オフ
もし勢いで契約してしまっても、訪問販売ならクーリング・オフができます。期間は契約書面を受け取った日を1日目として8日間。書面に不備がある場合や交付されていない場合は、8日間という期間に関係なく解除が可能とされています。
工事が始まったあとでも、事業者は自らの費用でパネル等を撤去して原状回復する義務を負い、消費者の費用負担は生じないとされています。ただし実際の可否や手続きはケースで異なるので、通知の出し方も含めて消費生活センターにご確認ください。
不安を感じたらその場で契約せず、消費生活センターや国民生活センターにご相談ください。制度の詳細や最新の相談窓口は公式情報でご確認いただくのが確実です。
導入しない場合はプラン見直しと窓
見送ると決めても、電気代に対して打つ手はあります。申込みだけで始められるのが電力プランの見直し、工事を伴うぶん効果が長く続くのが窓の断熱です。プランの切り替えは申込みから反映まで数週間かかるのが普通で、契約期間の縛りや解約金があるプランもあるので、そこだけは申込み前に確認してください。太陽光と違って、発電量や売電単価の変動にも日中の在宅有無にも左右されないのが構造的な強みですね。

| 手段 | 初期費用 | 効果の目安 | 撤回のしやすさ |
|---|---|---|---|
| 電力プラン・電力会社の見直し | 0円 | 年1,600円〜数万円(条件差が大きい) | 原則いつでも可(解約金の有無は要確認) |
| 窓の断熱改修(先進的窓リノベ2026) | 工事費から最大100万円補助 | 冷暖房効率の改善(通年で効く) | 工事のため不可逆 |
| 給湯(エコキュート)設定の最適化 | 0円 | 沸き上げの無駄を削減 | いつでも戻せる |
| LED・待機電力の見直し | 数千円〜 | 継続的に小幅な削減 | いつでも戻せる |
| ポータブルソーラー+ポータブル電源 | 数万円〜 | 停電時の非常用が主目的 | 撤去容易 |
プラン見直しで効くのは、同じ使用量でも契約プランで基本料金と電力量料金が変わるからです。日中は外出して夜に電気を使う家庭なら時間帯別料金、在宅時間が長い家庭なら単価と基本料金のバランスを見ます。
ただし注意点として、多くの新電力・大手電力の自由料金プランで燃料費調整額の上限が撤廃されているため、燃料の輸入価格次第で想定以上に高くなるリスクがあります。キャンペーンの割引額だけでなく、基本料金と燃料費調整額を含めたトータルで比べてください。
窓の断熱は、環境省の先進的窓リノベ2026事業が使えます。既存住宅の窓・ドアの断熱改修が対象で、補助上限は1戸あたり最大100万円。2026年の変更点として、内窓設置はUw1.5以下(S・SSグレード)のみが対象になり、従来のAグレード(Uw1.9以下)は対象外になりました。
申請は登録事業者が行う仕組みで、消費者が直接申請することはできません。要件は年度で変わるので、事業の公式情報で最新の条件をご確認ください。(出典:環境省『先進的窓リノベ2026事業』事業概要)
給湯まわりも効きます。エコキュートは電気代の安い時間帯にお湯を沸かして貯める設備なので、必要以上に沸かすと無駄になります。お湯をあまり使わない日は「昼間休止」、数日空けるときは「沸き上げ休止設定」を使う。
家族人数に対して大きすぎる容量を選ぶと、その分だけ電気代が上がります。給湯は家庭のエネルギー消費の大きな割合を占めるので、設定を見直すだけでも効果が出る領域です。あわせてLEDへの交換、待機電力の削減、エアコンのフィルター清掃といった基本も効いてきます。
急いで決める理由は薄い
FITの二段階価格(24円/8.3円)は2026年度・2027年度とも同額で据え置きが決まっていて、システム費用の想定値も2027年度まで据え置く方針が示されています。つまり2027年度末までは制度面での急な不利化はありません。「今年中に決めないと損する」という営業トークに乗る必要はなく、屋根の葺き替え時期や蓄電池の要否が固まるまで待つのも十分ありだと思います。ちなみに再エネ賦課金は2026年度に4.18円/kWhへ上がり、標準的な家庭(月300kWh)で年間約15,000円の負担です。
賃貸や集合住宅で取れる手段
賃貸や分譲マンションにお住まいなら、そもそも屋根に太陽光を載せるという選択肢はほぼありません。屋根は共用部分にあたるのが通常で、管理規約により個人が設置することは基本的にできないからです。賃貸では建物所有者の許可が必要で、原状回復義務との兼ね合いもあります。
現実的な選択肢として挙がるのは、工事不要のポータブル型ソーラーパネルとポータブル電源の組み合わせです。ベランダの手すりや床面に置ける軽量パネルで発電して、スマートフォンの充電やLED照明などに使います。ただし位置づけは停電時の非常用電源が中心で、電気代削減の主力にはなりにくいのが実際のところです。導入前には管理規約の確認と、管理会社・管理人への問い合わせをしておいてください。
ここは私自身が引っかかったところなので書いておきます。2026年4月まで住んでいたのは賃貸アパートで、プロパンガスとの併用でした。電気料金プランの見直しをやりたかったのですが、賃貸の契約上それができませんでした。
設備投資はもちろん、プランを選ぶ自由すらないことがあるんですね。参考までに旧居の2025年の実測は電気が5,559kWh・190,766円、プロパンガスが134,234円で、光熱費の合計はおよそ32.5万円(月平均約27,000円)でした。
そう考えると、賃貸・集合住宅で取れるのは機器の運用改善と、契約が変えられるならプランの見直しが中心になります。太陽光は「持ち家を持ったときに検討する選択肢」と割り切って、今は使い方のほうを詰めるのが現実的かなと思います。
太陽光発電をやめたほうがいいか迷う人のよくある質問
蓄電池も一緒に入れたほうがいいですか?
自家消費率を上げる効果はありますが、初期投資が大きく増えるため回収年数は太陽光単体より長くなります。蓄電池のkWh単価は約15〜20万円が実勢の目安で、6kW+蓄電池13kWhのセットで294万〜351万円という価格帯が示されています。ただし後付けにすると工事が二度手間になって余計に費用がかかるため、後悔の理由としてよく挙がります。入れるなら最初から、迷うなら判断が固まるまで待つ、という切り分けがよいと思います。
太陽光を載せると固定資産税は上がりますか?
10kW未満で後付け・個人利用のケースは、基本的に固定資産税はかかりません。一方で屋根一体型(屋根材として建物と一体化しているもの)は家屋全体の評価額が上がって課税対象になり得ますし、賃貸住宅や店舗併設住宅など事業収益目的の場合は10kW未満でも課税対象になり得ます。地面設置(野立て)は償却資産として課税対象です。判断が分かれる場合は、お住まいの自治体の税務課にご確認ください。
近隣トラブルは実際にどのくらい起きますか?
代表的なのはパネルの反射光で、過去に裁判に至った事例もあります。もうひとつがパワーコンディショナーの稼働音で、一般に40〜50dB、50dBは家庭用エアコンの室外機くらいの音量です。産業用太陽光の苦情全体に占めるパワコン騒音の割合は4%程度と報告されています。トラブルの多くは音や光そのものより「断りなく始められた」という不信感が発端になるという指摘があるので、工事前に反射光の検討結果や機器仕様書を示して近隣へ説明しておくのが予防策になります。
火災のリスクはどう考えればいいですか?
消費者庁の消費者安全調査委員会が「住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等」として調査報告を出しています。平成20年3月から平成29年11月までに事故情報データバンクへ登録された127件のうち72件を調査対象とし、内訳は太陽電池モジュールまたはケーブルからの火災等が13件、パワーコンディショナまたは接続箱からの火災等が59件でした。事故情報データバンクに登録された太陽光パネルの火災件数は2024年4月時点で374件です。設置形態によって傾向が異なるとされているので、詳細は公的機関の公表資料でご確認いただくのが確実です。(出典:消費者庁 消費者安全調査委員会『住宅用太陽光発電システムから発生した火災事故等』報告書)
0円ソーラー(PPAやリース)なら、やめる理由はなくなりますか?
初期費用の問題は消えますが、別の制約が乗ります。契約期間は10〜15年程度と長く、途中解約が難しいのが最大の注意点です。解約時は残存期間の想定利益に加えて撤去費用も請求されることがあり、契約から数年での解約では100万円以上のケースもあると報告されています。リースは発電量に関わらず月々定額なので、季節で発電量がぶれる分だけ収支もぶれます。また契約期間中は設備の所有権が事業者にあるため、屋根の葺き替えや住宅の売却時に制約が出ます。契約書の解約条項は必ず事前にご確認ください。
まとめ:6条件に当てはまらない家だけ進む
「やめたほうがいい」って、全員に当てはまる話じゃなかったんだね。
そうなんですよね。条件で分かれるだけなので、自分の家がどっち側なのかを先に見るのがいちばん早いと思いますよ。
最後に要点をまとめます。やめるべき条件に1つでも当てはまるならやめていい、当てはまらない人だけ進めばいい。この順番で見ると、営業や家族への説明もしやすくなるはずです。

- 北向き・影あり、日中不在、3kW未満しか載らない屋根、kW単価35万円超、10年以内の転居や葺き替え、途中解約に違約金が生じる契約。1つでも当てはまるなら見送ってよい
- 2026年度のFITは1〜4年目24円/5〜10年目8.3円の二段階で、10年を年数で単純平均すると14.58円/kWh。5年目以降は自家消費できるかで収支が決まる
- 20年の維持・撤去コストは実勢の積み上げで75万〜90万円。パワコン交換約30万円は売電収入が細った時期に来る
- 国の想定でもIRRは3.2%。5kWの20年の手残りは初期費用127.5万円なら約44万円(IRR3.4%)、145万円なら約27万円(IRR1.9%)で、契約単価が分岐点
- 私は屋根(ガルバリウム片流れ南向き)・オール電化での使用量・セット265万円・提示された試算で毎月の返済額を電気代削減+売電が上回ること・20年以上の居住予定の5つを確認して契約に進んだ。ただし相見積もりは取っていない
- 見送る場合は電力プランの見直しと窓の断熱(先進的窓リノベ2026・最大100万円)が現実的。賃貸は管理規約の確認が先
本文の数値はいずれも2026年7月時点で確認できた一般的な目安であり、実際の発電量や収支は地域・屋根条件・家族構成・契約内容で変わります。FIT単価や補助金といった制度は年度ごとに変わりますので、正確な情報は経済産業省・自治体・電力会社などの公式サイトでご確認ください。
そのうえで、最終的な判断はご自身の見積書をもとに専門家へご相談いただければと思います。わが家は2026年8月18日に設置が終わったので、これから実測値をそのまま公開して、この記事の前提が合っていたかを検証していきます。
ここまでは「やめたほうがいい条件」を国の公表値から見てきましたが、実際に導入した人が何に後悔しているのかも判断材料になります。
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