こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。オール電化の家で新電力への乗り換えを調べていると、デメリットを並べた記事ばかり出てきますよね。
ただ、そこに並ぶ「停電しやすくなる」「ポイントが複雑」といった話は、オール電化かどうかで重みが変わりません。本当に効くのは、深夜割引が消えることと、旧プランに二度と戻れないことです。
この記事では、関西のわが家の実測と各社の公表単価から、乗り換えが黒字になる単価の境目を数字で出します。読み終わるころには、動くべきか動かないべきかを自分の検針票で判断できます。
- 損得を決めるのは今のプランが新規受付中かと夜間比率と解約金の3条件
- 受付終了プランは解約すると戻れず新電力側から申し込みを断られることもある
- 関西・月450kWh・夜間40%なら乗り換え先に必要な一律単価は25.49円/kWh以下
- 倒産しても電気は止まらないが時間帯別プランは戻り先として保証されていない
オール電化で新電力が損する3条件
先に結論です。オール電化の家が新電力に移って得をするのは、深夜割引が消える分を上回る単価差がある場合だけでした。旧来の電化プランを持っている家は、動かないほうが得になります。

判断を分けるのは次の3つです。会社の知名度や口コミではなく、自分の契約の中身で決まる。これがわが家の請求書と各社の公表単価で試算してみた結論でした。
| 確認する条件 | どこで分かるか | 損しやすいのはこの場合 |
|---|---|---|
| 今のプランが新規受付中か | 検針票のメニュー名と電力会社の公式ページ | 受付終了メニューを契約している |
| 夜間の使用比率 | 会員サイトの時間帯別使用量 | 夜間に寄っているほど不利 |
| 解約金と契約の縛り | 料金プランではなく割引特約の規約 | 更新月以外に解約する |
とくに1つ目が重い条件ですね。新規受付が終わったメニューは、解約すると二度と戻れません。戻り先として国が残しているのは段階制の従量電灯だけで、時間帯別のオール電化プランは含まれないからです。
オール電化の乗り換えは、会社選びではなく「自分の契約メニュー名の確認」から始まります。
わが家は関西・奈良の新築戸建で、給湯はエコキュート、コンロはIH。契約は関西電力のはぴeタイムRです。新居に移ってからの3か月は月平均450kWhほどで、この記事の試算もその規模を土台にしています。
そもそも最大のデメリットは深夜割引の消滅
オール電化にとって最大のデメリットは、単価が少し上がることではありません。「夜間」という区分が無くなることです。深夜に寄せても安くならないので、エコキュートを夜に動かす意味そのものが消えます。

深夜電力の割引って、廃止されちゃったって聞いたよ。もう安い時間帯は無いの?
全部が廃止というより、形を変えて静かに消えていく感じみたいですよ。一緒に中身を見てみましょう。
実際に起きているのは3つの形です。旧メニューの新規受付終了、割引特約の終了、そして夜間時間帯の短縮。どれも「廃止」という言葉では説明されないので、気づきにくいところですね。
東京電力エナジーパートナーでは、全電化住宅割引が2025年3月31日で終わりました。電力量料金の5%・上限2,200円/月という割引です。深夜電力A・Bの基本料金も引き上げられ、電力量単価だけが据え置かれました。(出典:東京電力エナジーパートナー『低圧のお客さま向け電気料金プランの一部見直しについて』(2024年9月30日))
1kWhあたりの夜の得は変わらないのに、固定費だけが増えた形です。深夜に寄せる努力は同じでも、手元に残る金額は静かに減っていきます。
新電力に移ると、これがもっと極端になります。時間帯別メニューを持たない会社へ移った場合、深夜に寄せても単価はまったく下がりません。沸き上げを夜に設定している家ほど、失うものが大きくなります。
対応する新電力はどこで、なぜ少ないのか
オール電化向けの時間帯別メニューを持つ新電力は、数えるほどしかありません。「多すぎて選べない」ではなく、そもそも選択肢が足りないのがオール電化世帯の実情です。
| 会社・メニュー | オール電化向け時間帯別の扱い | 条件・エリア |
|---|---|---|
| HTBエナジー ぜんぶでんき | あり | 東北・東京・中部・関西・中国・四国・九州/夜間蓄熱式機器の使用が条件 |
| eo電気 オール電化プランK | あり | 関西電力エリア/エコキュート等の設置が申し込み条件 |
| オクトパスエナジー | あり(従来型と昼シフト型の2種類) | 夜間蓄熱式機器等の所有が条件 |
| auでんき | あり | オール電化住宅向けの提供は関東・中部・関西のみ |
| シン・エナジー 生活フィットプラン | 時間帯別だがオール電化専用ではない | 夜間単価は大手のオール電化メニューより高め |
| Looopでんき | なし | 現行は市場連動型のスマートタイムONEのみ |
少ない理由のひとつは、時間帯別メニューが機器とセットで設計されている点にあります。総容量1kVA以上の夜間蓄熱式機器の使用を条件にする会社が多いためです。給湯の一部だけを賄う小型の電気温水器では、条件を満たしません。
つまりオール電化住宅であっても、機器の構成しだいで時間帯別プランに入れないことがあります。会社を比べる前に、自宅の機器が条件に合うかを見ておきたいところですね。
メニューが消える側のリスクもあります。Looopでんきは2022年12月1日に市場連動型へ全面移行しました。既存の契約者にも12月の検針日から新料金が適用されています。乗り換えた先のメニューが数年で無くなることは、実際に起きています。
夜間時間帯がずれて割引が効かない
乗り換えで見落としやすいのが、夜間時間帯の時刻です。契約より先に、エコキュートのリモコンで沸き上げ時刻を変えられるかを確認します。ここを飛ばすと、安いはずの時間帯を丸ごと取りこぼします。
夜間の開始時刻は会社とプランでばらばらです。21時・22時・23時・午前1時とあり、長さも5時間から12時間まで幅があります。「深夜電力は23時から」という通念は、もう成り立ちません。
旧プランの感覚のまま沸き上げていると、高い時間帯に当たります。乗り換えた翌月の請求で初めて気づく、というのがいちばん痛い失敗ですね。
オクトパスエナジーの昼シフト型プランは、申し込み前の確認を公式に求めています。沸き上げ時間をデイタイムへ変更できるかどうかです。設定変更ができず、プランを案内できない事例が出ているとも明記されています。
時間の長さも効いてきます。東京電力エリアの現行プランは、夜間が午前1時〜6時の5時間しかありません。エコキュートの沸き上げは370L・460Lクラスで7〜8時間かかるため、夜間帯に収まりきらない可能性があります。
機器側で沸き上げ時刻を動かせないなら、その乗り換えは成立しません。単価を比べるより先に、リモコンの設定画面を開いてみてください。
新規受付終了プランは解約すると戻れない
今のメニューが新規受付を終えているなら、この条件がいちばん重くなります。よほど大きな単価差が続く見込みでもない限り、動かないのが正解です。解約した時点で契約する権利が消え、同じプランには二度と入れません。

受付を終えたメニューは各社にあります。転居先でも新規契約の扱いになるため、引っ越しても復活しません。
| 電力会社 | 新規受付を終えたプラン | 新規受付終了 |
|---|---|---|
| 東京電力EP | 電化上手 | 2016年3月31日 |
| 東京電力EP | おトクなナイト8/おトクなナイト10 | 2016年3月31日 |
| 東京電力EP | 深夜電力A・B/第2深夜電力 | 2016年3月31日まで |
| 関西電力 | はぴeタイム | 新規加入停止中 |
| 東北電力 | よりそう+ナイト12 | 2023年3月31日 |
| 北海道電力 | eタイム3プラス | 2024年4月1日 |
国が残している戻り先は、大手電力の従量電灯です。全面自由化のあとも経過措置として残されていて、今も新規に申し込めます。ただし保証されているのは段階制の従量電灯だけで、時間帯別のオール電化プランは含まれません。
ここが非対称なところですね。現行のオール電化メニューが新規受付中のエリアなら、加入条件(総容量1kVA以上の夜間蓄熱式機器の使用など)を満たすかぎり、時間帯別プランを選び直せる余地が残ります。ただし単価も条件も改定され得るので、同じ内容で戻れる保証ではありません。関西のはぴeタイムR、東京のスマートライフS/L、中部のスマートライフプラン、九州の電化でナイト・セレクトなどです。
逆に、受付終了メニューしか持っていない契約者ほど、撤退リスクの実害が大きくなります。会社の財務よりも、自分の契約が取り戻せるかどうかを先に見るべき理由がここにあります。
はぴeプラン割引を捨てると年7337円
関西の旧メニュー「はぴeタイム」を使っている家は、乗り換えの前に割引率を見てください。現行プランへ移るだけで年7,337円を失う計算になります。
はぴeタイムと現行のはぴeタイムRは、基本料金も時間帯単価も時間帯の定義もまったく同じです。違うのは割引率だけ。旧プランのはぴeプラン割引が10%、現行の電化割引が5%です。
モデル世帯(関西・月450kWh・その他季・夜間40%)で計算すると、割引の対象額は月12,228.04円(2026年11月1日改定後の単価)。5ポイントの差は月611円、年に直すと7,337円になります。
この金額は、あとで見る乗り換えの差(年3,798円・公表単価ベース)を上回ります。はぴeプラン割引が生きているなら、新電力どころか現行プランへ移るだけで損になる、ということですね。
割引は復活しません
割引はメニューを変更した時点で終了し、あとから戻すことはできません。旧プランを持つ家にとってのデメリットは、単価差ではなく二度と取り戻せない不可逆性のほうです。
同じ構図は関東にもあります。電化上手から現行のスマートライフへ移ると、夜間時間帯は8時間から5時間へ短くなります。旧夜間だった3時間に月60kWh使っている家なら、月474円・年5,688円の増加です。
エコキュートなら沸き上げ時刻を寄せて吸収できますが、8時間の通電を前提にした蓄熱式暖房機は吸収できません。設備の中身しだいで、同じプラン変更でも痛みの大きさが変わります。
新電力側から申し込みを断られる
旧プランの契約者は「戻れない」だけではありません。乗り換え先の新電力から、申し込みを断られることがあります。
東京ガスの時間帯別プランは、旧来のオール電化系メニューの契約者を原則として受け付けません。対象外に挙がっているのは、電化上手・オトクなナイト8/10・深夜電力などです。idemitsuでんきも、2016年4月以前のオール電化用契約からの切り替えはできないと明記しています。
auでんきのようにエリアで区切っている会社もあります。オール電化住宅向けプランの提供は関東・中部・関西だけで、エリア外では受け皿が従量電灯相当になります。
困るのは、この判定が比較サイトでは分からない点ですね。並んでいるのは現行メニューの単価だけで、今の契約が申し込み対象かどうかまでは見ていないことが多いためです。
「比較して申し込んだのに審査で弾かれた」という失敗は、ここで起きます。候補を絞ったら、公式ページの申し込み条件を自分の目で確かめてください。
わが家の実測で見る夜間40%の損益分岐25.49円
関西・月450kWhの家で夜間比率が40%なら、乗り換え先に必要な一律単価は25.49円/kWh以下です。基本料金0円・一律単価のプランへ移った場合を、電化割引5%適用後のはぴeタイムR(2026年11月1日改定後の単価)を基準に、公表単価ベースで比べた目安です。これを上回る単価のプランへ移ると、ほかの料金項目が同じでも割高になる計算です。

モデルの置き方も書いておきます。月450kWhは、わが家が新居に移ってからの3か月(1,349kWh)の平均です。夜間40%は東京電力が料金見直しの説明で使ったモデルケースに合わせました。月610kWhのうち夜間246kWh、比率にして約40%という水準です。
夜にたくさん使ってる家のほうが、乗り換えでお得になりそうな気がするけどな。
それが逆だったんですよね。夜に寄せているほど、いま安い単価で買えているので。
| ナイトタイム比率 | 乗り換え先に必要な一律単価(損益分岐) |
|---|---|
| 60% | 24.06円/kWh 以下 |
| 50% | 24.77円/kWh 以下 |
| 40% | 25.49円/kWh 以下 |
| 30% | 26.20円/kWh 以下 |
| 20% | 26.92円/kWh 以下 |
表の読み方はシンプルです。夜に寄せられている家ほど、乗り換えのハードルが上がります。今すでに安い単価で買えているぶん、それを超える条件を新しい会社に求めることになるからですね。
逆に在宅勤務などで昼型に寄っている家では、損益分岐が26円台まで上がります。乗り換えが成立し得る領域に入ってくるわけです。可否を決めているのは会社名ではなく、自宅の夜間使用比率でした。
オール電化プランを失って段階制に移ると、差はもっと大きくなります。関西電力の従量電灯Aは300kWh超の第3段階が29.27円/kWh。はぴeタイムRの従量部分の加重平均20.86円/kWh(いずれも2026年11月1日改定後)とは、8円以上も開きます。
地域による効き幅の違いにも触れておきます。東京電力のスマートライフS/Lは昼夜差が7.90円/kWhしかなく、夜間も5時間だけ。夜間比率を10ポイント動かしても、実効単価は0.79円/kWhしか変わりません。
関東エリアでは、深夜に寄せる節約も夜間の安い新電力へ移る節約も、効き幅が構造的に小さいということです。使用量そのものを減らす対策の重みが、相対的に大きくなります。
ひとつ注意も書いておきます。わが家の2026年7月分は549kWh・17,442円で、請求ベースの実効単価は約31.8円/kWhでした。ただしこれは燃料費調整額と再エネ賦課金を含んだ数字です。公表単価ベースの損益分岐とは土俵が違うので、そのまま並べられません。
電化割引5%で単価差はほぼ消える
公表単価だけを並べると、新電力のほうが安く見えます。ところが大手側の電化割引5%を勘定に入れると、差はほとんど消えます。
| プラン | 月額(450kWh・その他季) | 実効単価 |
|---|---|---|
| 関西電力 はぴeタイムR(電化割引5%適用後・2026年10月31日までの単価) | 10,912円 | 24.25円/kWh |
| HTBエナジー ぜんぶでんき(関西エリア) | 10,596円 | 23.55円/kWh |
差は月317円、年にして3,798円です。ただしこれは基本料金と電力量料金だけを並べた差で、燃料費等調整額・再エネ賦課金・容量拠出金反映額は含んでいません。公表単価どうしではナイトタイムに1.08円/kWhの差がありますが、割引後で比べると0.31円/kWhしか違いませんでした。
比較サイトが並べる差額をそのまま得だと読むと、この5%分だけ過大に見積もることになります。オール電化世帯の比較は、割引特約を適用したあとの実効単価で並べ直す必要があります。
しかもこの年3,798円は、そのまま得になる金額ではありません。毎月の燃料費等調整額まで入れると、順番が変わります。2026年8月分は関西電力のはぴeタイムR側が▲0.03円/kWh。HTBエナジー側は電源調達調整単価を含めて11.11円/kWh(15kWh超過分・国の支援適用後)でした。
月450kWhなら5,000円前後の差がこちらに乗るので、公表単価の差はあっさり打ち消されます。年3,798円という規模は、毎月の調整額で符号が反転し得る水準だということですね。解約手数料や、乗り換え先のメニューが数年で廃止されるリスクと天秤にかける以前の話です。
解約金と縛りは割引特約側にあります
解約金の有無は、プラン名を見ても分かりません。縛りは料金プランではなく、割引特約のほうに付いていることが多いためです。
具体例を見たほうが早いですね。ENEOSでんきの「にねん とく2割」は、割引と引き換えに期間の縛りが付く形になっています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 適用期間 | 割引の適用開始日から24ヵ月間(以降は自動更新) |
| 割引額 | 1〜2年目 0.2円/kWh引き/3年目以降 0.3円/kWh引き |
| 解約手数料 | 1,100円(税込) |
| 更新月 | 適用開始から23ヵ月目・24ヵ月目 |
| 手数料がかかる場合 | 更新月を除く適用期間中の解約(引っ越しによる解約も含む) |
月400kWhの家なら、0.2円/kWhの割引は月80円ほど。対して解約手数料は1,100円です。割引で取り戻すのに14ヵ月近くかかる水準の手数料が付いている、という読み方ができます。
もちろん手数料を設けていない会社もあります。idemitsuでんきは、移転手続きや料金プランの変更に手数料も違約金もかからないと明記しています。
見落とされがちですが、大手電力側にも縛りはあります。時間帯別のオール電化メニューには、加入後は原則1年間ほかへ変更できないという条件が付く会社があります。中国電力や中部電力ミライズがそうですね。
契約前に見る4点
解約金の金額、それが料金プランと割引特約のどちらに付いているか、更新月がいつか、引っ越しが免除の理由になるか。年間の差額が数千円規模のときは、この4点で損得の符号がひっくり返ります。
新電力が倒産しても停電はしません
先に不安をひとつ消しておきます。新電力が倒産・撤退しても、その瞬間に電気が止まることはありません。送配電網を動かしているのは一般送配電事業者で、小売の契約先とは切り離されているからです。
電気の品質も変わりません。周波数や電圧の維持は一般送配電事業者の責任で、停電時の復旧や問い合わせ窓口も同じです。切り替えたから復旧が後回しになる、ということもありません。(出典:資源エネルギー庁『電力小売全面自由化 よくある質問』)
とはいえ撤退そのものは、珍しい話ではなくなりました。帝国データバンクの調査では、2021年4月時点で登録のあった新電力706社のうち119社が撤退・倒産・廃業しています。2022年3月調査の17社から、2年で約7倍です。
同じ調査では、約4割の新電力が値上げを公表していました。会社が続いていても、安さを理由に移った差が値上げで消えることはあります。ここは覚えておきたいところですね。
手続き自体は簡単です。切り替えは新しい会社へ申し込むだけで、今の会社への解約連絡は原則いりません。スマートメーターの交換が必要なら2週間程度、不要なら4日程度が目安になります。
交換に費用は原則かかりませんが、工事のときに1軒あたり15分ほどの停電を伴う場合があります。手続きが簡単だからこそ、条件の確認だけは申し込み前に済ませておきたいところです。
失うのは電気ではなく料金プラン
撤退で家庭が失うのは電気ではなく、今の料金プランです。ここが実害の中身になります。
撤退する会社は、事前に契約終了を通知します。需要家は期限までに次の会社と契約する必要があり、放っておくと供給が止まり得ます。誰かが自動で引き継いでくれるわけではありません。
セーフティネットの範囲も誤解されがちです。最終保障供給は高圧・特別高圧が対象で、低圧の一般家庭は対象外。よく引用される契約件数5,912件も、家庭の数字ではありません。(出典:関西電力送配電『最終保障供給の契約手続きについて』(よくあるご質問))
家庭の受け皿は経過措置料金、つまり大手電力の従量電灯です。ただし従量電灯は段階制で、時間帯の区分がありません。同等のプランに戻れるかどうかは、エリアの現行メニューが新規受付中かで決まります。
だから確認の順番は、会社の財務ではありません。自分の契約メニュー名と、それが今も新規に申し込めるかどうかが先です。
市場連動型は深夜も跳ね上がる
市場連動型プランは、オール電化との相性がとくに悪いプランです。契約上の夜間単価が固定されていないため、沸き上げを寄せている深夜帯もひっ迫時には跳ね上がります。
仕組みはシンプルです。電力量料金の一部を卸電力取引所のスポット価格に30分単位で連動させる設計で、LooopでんきのスマートタイムONEのように基本料金と燃料費調整を0円に置くプランもあります。固定単価のプランでは事業者が負っていた変動リスクを、家庭が引き受ける形になります。
平常時は確かに安く見えます。スポット取引の年間平均価格は2023年度が10.74円/kWh、2024年度が12.31円/kWhでした。ところが需給がひっ迫すると、桁が変わります。
2021年1月には1日48コマの平均が154.6円/kWhに達し、15日には251.00円/kWhを記録しました。国はこのあと、インバランス料金の単価に200円/kWhの上限を設けています。(出典:電力・ガス取引監視等委員会 制度設計専門会合『2020年度冬期スポット市場価格の高騰について』(2021年6月14日改訂))
平均が安いことは、高騰した月の請求を守ってくれません。夜間の使用量が大きいオール電化ほど、この揺れをまともに受けることになります。
市場連動型は、夜間の使用量が大きいオール電化世帯にとってリスクの取り方が重くなります。
検針票とリモコンで確認する6項目
最後に、動く前の確認手順をまとめます。検針票1枚とエコキュートのリモコンがあれば、判断材料はそろいます。

- 検針票か会員サイトで、いま契約している料金メニュー名を確認する
- そのメニューが公式サイトで新規受付中か、受付終了の一覧に載っているかを見る
- 受付終了なら、電化割引やはぴeプラン割引などの割引特約が付いているかも確認する
- 直近12か月の夜間kWhと昼間kWhを会員サイトで調べ、夜間比率を出す
- 候補のプランを、自エリアでの提供・今の契約が申し込み対象か・夜間時間帯の時刻・解約金と更新月の4点で公式ページから確認する
- エコキュートのリモコンで、沸き上げ時間帯を変更できるかを確かめる
実効単価は請求額÷使用量で簡単に出せます。わが家の2026年7月分なら、17,442円÷549kWhで約31.8円/kWhでした。ただし燃料費調整額と再エネ賦課金が乗った数字なので、公表単価とは直接比べられません。
この6項目を埋めた時点で、答えはだいたい出ています。1つ目で「受付終了」に当たったなら、その時点で動かないほうが得になる可能性がかなり高くなります。
なお、料金プランの条件も単価も改定されます。ここに書いた数字は2026年8月時点で確認したものなので、最終的な判断は必ず各社の公式サイトと自分の検針票で確かめてください。契約内容に迷ったら、契約先の窓口に直接問い合わせるのが確実です。
太陽光と蓄電池で判断はどう変わる
太陽光や蓄電池を入れると、判断の軸そのものが動きます。買電量が減るぶん、基本料金の重みが増えて昼間単価の重みが減るためです。
基本料金は使用量が減っても下がりません。買電が半分になれば、1kWhあたりに乗る固定費は倍になります。単価の安さより、基本料金の決まり方を見る場面が増えるわけですね。
昼が安い逆転型のプランも出てきました。中部電力ミライズの昼とくプランや、九州電力のおひさま昼トクプランなどです。対象はエコキュートや蓄電池、EVを持ち消費を昼へ寄せられる家庭。「深夜が常に最安」という前提は崩れつつあります。
売電の扱いも押さえておきます。FIT期間中(10年)の売電単価は認定時に決まるので、買電の会社を切り替えても変わりません。卒FIT後の買取単価は事業者ごとに違い、自社の電気とセットで上乗せする設計が広く採られています。
つまり卒FIT後は、買電と売電をどこにまとめるかという軸が増えます。今の時点では「将来の売電先まで判断に入ってくる」と覚えておけば十分かなと思います。
わが家は2026年8月18日に太陽光7.92kWと蓄電池7.7kWhを設置し、同じ日に連系運転が始まりました。稼働初日の夕方で発電2.00kW、その日の自家消費率は97%。ただし実測はまだ日単位です。金額での検証は、月次のデータが貯まってから続編で出します。
新電力とオール電化のデメリットのよくある質問
新電力に切り替えると停電しやすくなりますか?
変わりません。どの会社と契約しても電気は同じ送電網を流れ、周波数や電圧の維持は一般送配電事業者の責任です。停電時の復旧対応や停電情報の窓口も、小売の会社ではなく一般送配電事業者のままです。切り替え作業そのもので停電することもありません。
切り替えにはどれくらいの期間と費用がかかりますか?
新しい会社へ申し込むだけで、今の会社への解約連絡は原則不要です。目安はスマートメーターの交換が必要な場合で2週間程度、不要なら4日程度。交換費用は原則かかりませんが、工事の際に1軒あたり15分ほどの停電を伴う場合があります。申し込みには検針票の供給地点特定番号とお客さま番号が必要です。
電化上手やはぴeタイムを解約したあと、やっぱり戻したくなったら戻せますか?
戻せません。新規受付が終了したメニューは、解約した時点で契約する権利が消えます。引っ越し先でも新規契約の扱いになるため復活しません。国が経過措置として残しているのは大手電力の従量電灯で、時間帯別のオール電化プランは対象外です。元に戻せない選択なので、慎重に判断してください。
オール電化でも「新電力はやめたほうがいい」というのは本当ですか?
条件しだいです。受付終了メニューを契約している家や、夜間比率が高い家は動かないほうが得になりやすいところ。一方で昼型の生活で、時間帯別ではないプランでも単価が十分に低いなら成立し得ます。会社の評判ではなく、自分の契約メニュー名と夜間比率で判断するのが確実かなと思います。
太陽光を入れたら電力会社も見直したほうがいいですか?
FIT期間中の売電単価は認定時に決まるので、買電の会社を切り替えても変わりません。見直しが効くのは買電側で、基本料金と昼間単価の重みが変わります。卒FIT後は事業者ごとに買取単価が違い、自社の電気とセットで上乗せする設計もあります。わが家も設置したばかりなので、実測が貯まってから検証していきます。
まとめ:新電力とオール電化は3条件で判断する
結局うちみたいな家は、どこを見て決めればいいの?
会社を探す前に、いま契約しているメニュー名ですね。そこで答えが出てしまう家も多いみたいですよ。
オール電化の新電力乗り換えは、単価表を並べるだけでは決まりません。わが家の実測と各社の公表単価で確かめた要点をまとめます。

- 損得を決めるのは、今のプランが新規受付中か・夜間使用比率・解約金と縛りの3条件
- 新規受付が終了したメニューは解約すると戻れず、新電力側から申し込みを断られることもある
- 関西・月450kWh・夜間40%なら、乗り換え先に必要な一律単価は25.49円/kWh以下
- 大手の電化割引5%を入れると公表単価の差はほぼ消え、残る年3,798円も毎月の燃料費等調整額で反転し得る
- はぴeプラン割引10%を捨てると年7,337円の損で、乗り換えの得を上回る
- 縛りは料金プランではなく割引特約側に付き、大手のオール電化メニューにも変更制限がある
- 倒産しても即座に停電はしないが、期限までに次の契約が必要で、戻り先として保証されるのは段階制の従量電灯だけ
数字は関西(奈良)のわが家の実測と、2026年8月時点で確認した各社の公表値がもとです。料金プランも条件も改定されるので、あくまで目安として読んでください。最終的な判断は公式サイトで最新の情報を確認し、迷うときは契約先の窓口に相談してみてくださいね。
損する条件を避けたうえで、実際に乗り換え先を比較検討したい方はこちらの記事も参考になります。
関連記事:損しない乗り換え先の比較記事
関連記事:新築の電気契約はいつ・誰が?入居後も選び直せる流れを実例で解説
新電力に乗り換えるなら、太陽光がある家は昼の買電量で向き不向きが分かれます。
関連記事:新電力に移る前に、オクトパスのサンシャインが太陽光の家に向くかを確認
