こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。オール電化にしたのに電気代が下がらない、今の料金プランのままでいいのか——そう思って調べ始めた方は多いのかなと思います。
この記事では、わが家の電気代の実測をもとに、プランを見直すといくら動くのか、どこから損に転ぶのかを金額で出します。得する家と損する家の分かれ目は、思っているよりはっきりしています。
私は電気の資格を持つ専門家ではなく、オール電化の新築に住むただの施主です。だからこそ営業トークではなく、自分の明細を並べて確かめた結果をそのまま書きますね。
- 見直しで得する家と損する家を分ける2つの条件
- 会社ごとに違う深夜の時間帯と、はぴeタイムRの現行単価
- わが家の実測を割り付け直した再計算と、損益分岐の位置
- 切り替え前に確かめる1年の縛りと、戻せないプランの見分け方
昼不在なら見直し、旧プランなら動かない
結論から言うと、見直しで得しやすいのは平日の昼に家が空いていて、給湯や家事を夜へ寄せられる家です。反対に、旧来の割引率が高いオール電化プランに入っている家は、動かないほうが得というのが今の制度の作りです。

見るべき軸は2つです。平日の昼に在宅しているかどうかと、今の契約が旧メニューの高い割引付きかどうか。まずこの2つで方向が決まり、そのうえで使用量・燃料費調整・エコキュートの沸き上げ設定といった条件で最終的な金額が動きます。
| 家の状態 | 見直しの方向 |
|---|---|
| 平日の昼は不在。給湯を夜に寄せられる | 夜間単価が安い時間帯別プランが有利。夜間の長さと開始時刻を生活に合わせる |
| 平日の昼に在宅している | 昼夜の単価差が小さいプラン、または時間帯別をやめる選択肢も検討する |
| 旧メニューの高い割引が生きている | 動かさない方向で検討する。関西電力のはぴeタイム(はぴeプラン割引10%)のように、単価は同じで割引だけが半分になり戻せない例がある。年額で試算し、再加入できるかを確認する |
| エコキュートがあるのに従量電灯のまま | 時間帯別プランへの変更余地が大きい。加入条件(機器の容量)を確認する |
| IHがあるのに電化割引が未適用 | 手続きだけで割引が付く。プラン変更より先に確認する |
| 賃貸・高圧一括受電の建物 | そもそも選べないことがある。管理会社に契約形態を確認する |
プランを比べる前に、エコキュートのリモコンの電力契約設定が今の契約と合っているかを先に確かめてください。ここがずれていると、どのプランに変えても期待した節約効果が出にくくなります。
これから出す金額は、わが家の電気代の実測を時間帯へ割り付け直して計算したものです。条件が違えば結論も変わるので、最後はご自身の使用量で当て直してくださいね。
オール電化の電気代が高い原因は4つ
高いと感じる原因は、単価・使用量・時間帯のずれ・制度で乗る額の4つに分かれます。請求書だけを見ていると、この4つが混ざって1つの金額に見えてしまうんですよね。

1つめは単価です。時間帯別プランは昼間の単価が高めに設計されていて、関西電力はぴeタイムR(2026年11月1日改定後)のデイタイムはその他季26.96円/kWh、夏季29.59円/kWh。従量電灯Aの第3段階29.27円/kWhと同じか、それを上回る水準です。
つまり昼に使った電気は、オール電化プランのほうが割高になりうるということです。夜へ寄せられない電気が多い家ほど、この設計は不利に働きます。
2つめは使用量そのもの。オール電化は給湯・暖房・調理がすべて電力量に計上されます。家庭のエネルギー消費を用途別に見ると、2021年度は給湯28.7%、暖房26.3%、ちゅう房9.7%(エネルギー白書2023)でした。(出典:資源エネルギー庁『エネルギー白書2023』第2部第1章第2節)
この塊が丸ごと電気に乗ってくるわけです。わが家も1年でいちばん軽い月と重い月で請求額が約2.6倍違いました(2025年6月が9,668円、2025年1月が25,454円)。
冬に跳ねるのは暖房のせいだけではありません。エコキュートは外気が冷えるほど熱を取り込みにくくなり、同じ湯量でも消費電力量が増えて沸き上げ時間も延びます。
3つめは時間帯のずれです。会社を切り替えたのにエコキュートのリモコンが古い設定のまま、食洗機や洗濯乾燥機が昼に回ったまま、在宅勤務や育休で生活が変わったのに契約は当時のまま——このあたりが典型例です。
4つめは制度で乗る額。再生可能エネルギー発電促進賦課金は2026年度が4.18円/kWhで、2026年5月分から2027年4月分まで適用されます。燃料費調整額は毎月動き、自由料金には変動幅の上限がありません。(出典:経済産業省『2026年度の再エネ賦課金単価を設定します』報道発表)
この2つは、プランを変えても無くなる部分ではありません。ただし再エネ賦課金が同じ使用量なら同額で相殺されるのに対し、燃料費調整額は規制料金か自由料金かで単価が違います。基本料金と電力量料金だけを見比べると、ここが丸ごと抜け落ちます。
今のプランと割引、合っていますか
出発点は、今の契約メニュー名と、適用されている割引を正確に押さえることです。ここが曖昧なままだと、どんな試算をしても出てくる金額は当てになりません。
メニュー名は検針票か、Web会員サービスの契約内容画面で確認できます。関西電力なら「はぴeみる電」のマイページ上部に契約メニューが出ます。紙の請求書は1通110円(税込)が加算されるので、Web側で見るほうが早いです。
「オール電化だから当然オール電化プラン」とは限らないのが厄介なところ。中古住宅を買って従量電灯のまま、エコキュートを後付けしてメニュー変更をしていない、電気温水器時代の深夜電力A/Bとの組み合わせが残っている、といったずれが実際に起きます。
見落とされがちな5%割引
関西電力の電化割引は、エコキュート等を設置してはぴeタイムRに加入している契約者が、IHクッキングヒーター等を設置している場合に適用されます。割引額は基本料金+電力量料金の5%で、燃料費調整額は対象に含まれません。申請が漏れていると付かないので、契約内容の確認時にここも見てみてください。
ちなみにわが家の新居はオール電化で、契約メニューははぴeタイムRでした。自分の目で確認して初めて分かることもあるので、まずは1画面開くところからかなと思います。
使用量を時間帯へ割り付ける
次にやるのが、月の使用量kWhを時間帯ごとに分ける作業です。ここができて初めて、プランごとの金額差が出せます。
いちばん正確なのはスマートメーターの30分値です。関西電力のはぴeみる電は過去25か月分の料金・使用量を保持していて、1日ごと・1時間ごとのグラフも見られます。東京電力エナジーパートナーのくらしTEPCO webには、30分ごとの数値をダウンロードする案内があります。
30分値が取れないときは、精度を落として近似します。1時間ごとのグラフを目視で時間帯別に合計する、月合計しかなければ給湯分を夜間に置いて残りを在宅パターンで按分する、旧メニューの検針票に昼間/夜間別のkWhが印字されていればそれを使う、という順番です。
ただし近似で出した金額は、数百円の差を比べる用途には使えません。月に数千円動くかどうかを見るための道具、と割り切るのが安全かなと思います。
プランごとに時間帯の切れ目が違うので、割り付けは比べたいプランの数だけやり直すことになります。地味な作業ですが、ここを飛ばした試算は当たりません。
関連記事:オール電化の電気代シミュレーション|実測とのズレを検証
関連記事:電気使用量を時間帯別に確認する手順
深夜電力は何時から安いのか

深夜電力って、どこでも23時からじゃないの?
それが会社ごとに違うみたいですよ。うちの関西は23時からですけど、東京は1時からなんです。
安い時間帯の開始時刻も長さも、電力会社とメニューごとにばらばらです。「深夜電力は23時から」と覚えていると、2時間分を取りこぼしたり、安い時間の外で沸かし続けたりします。
| 会社・メニュー | 安い時間帯 | 長さ | 安い時間帯の単価 |
|---|---|---|---|
| 関西電力 はぴeタイムR | 23:00〜翌7:00 | 8時間 | 16.00円/kWh(2026年11月1日から) |
| 関西電力 eスマート10 | 22:00〜翌8:00 | 10時間 | 16.16円/kWh(同) |
| 東京電力EP スマートライフS/L | 1:00〜6:00 | 5時間 | 27.86円/kWh |
| 中部電力ミライズ スマートライフプラン | 22:00〜翌8:00(21時/23時開始も選択可) | 10時間 | 16.52円/kWh |
| 九州電力 電化でナイト・セレクト | 21時/22時/23時開始から選択 | 10時間 | 14.59円/kWh |
自分のエリアの時間帯を確かめて、エコキュートの沸き上げがその中に収まっているか。プランを比べる前にここを合わせるだけでも、請求額は動きますよ。
はぴeタイムRと東京の夜間単価差
同じ「オール電化プランの夜間」でも、金額はまったく違います。関西電力はぴeタイムRのナイトタイムは16.00円/kWh(2026年11月1日から)。東京電力エナジーパートナーのスマートライフS/Lの夜間は27.86円/kWhで、およそ1.7倍の開きがあります。
しかも東京側は昼間が35.76円/kWhなので、昼夜の差は7.9円/kWhしかありません。
差が小さいということは、生活を夜へ寄せても効きが小さいということです。「オール電化プランは深夜が劇的に安い」という説明は、エリアによっては成り立ちません。
関西電力エリアのように昼夜差が10円/kWh以上あるなら、沸き上げや家事を夜へ動かす手間に見合います。自分の会社の単価表を見て、まず差の大きさを確かめてみてください。
旧プランと現行は単価が同じで割引が半分
旧メニューの家が動くと損をしやすいのは、単価は同じままで割引だけが半分になるからです。ここは制度の作りとして、かなりはっきりしています。
関西電力の場合、新規加入を停止している「はぴeタイム」と現行の「はぴeタイムR」は、基本料金も時間帯単価も時間帯の定義も完全に同一です。違うのは適用される割引だけ。
| 割引 | 割引率 | 上限 |
|---|---|---|
| はぴeプラン(全電化住宅)割引 | 割引対象額の10% | 1か月につき3,300円 |
| 電化割引(はぴeタイムR) | 割引対象額の5% | 上限なし |
割引対象額が21,095.40円の月で比べると、10%なら2,109.54円、5%なら1,054.77円。差は月1,054.77円、年にすると12,657.24円です。
しかもこの割引は、はぴeタイム以外のメニューへ変えた時点で終了し、転宅でも失います。一度手放すと二度と戻せないので、旧メニューの家は動かさないのが基本になります。
ただし割引対象額が33,000円を超える月は、10%の割引が上限3,300円で頭打ちになります。冬のピーク月のように使用量が大きい月では、差が縮むという但し書きは付きます。
新電力に変えるとオール電化はどうなるか
オール電化向けの時間帯別メニューを持つ新電力は、実はかなり限られます。多くの会社が用意しているのは従量電灯A相当の従量制メニューです。
関西エリアでは、大手都市ガス系の家庭向け電気メニューにもオール電化専用の時間帯別メニューは含まれていません。そのため切り替え先の候補は、自然と絞られていきます。
オール電化向けを持つ例がオクトパスエナジーで、夜に沸かす従来型の「オール電化オクトパス」と、デイタイム9:00〜15:00を安く設定した「オール電化オクトパス - サンシャイン」の2種類があります。
サンシャインのほうは、給湯器の沸き上げ時間を昼へ設定変更できることが申込の前提です。設定変更ができずプランを案内できない事例が発生していると公式に明記されているので、機種の対応可否を先に確かめる必要があります。
オクトパスエナジー オール電化オクトパス
編集部が2026年8月に関西エリアの主な家庭向けメニューを確認した範囲では、オール電化向けの時間帯別メニューを提供している新電力のひとつです。ただし夜型の生活のまま昼が安いサンシャインへ移ると割高になりますし、自由料金なので燃料費調整額に上限がありません。自分の使用量で試算し、公式サイトで条件を確かめてから検討してください。
なお「新電力に変えると売電できなくなる」というのは誤解です。買電と売電は別契約で、関西電力は買電を他社と契約していても自社と売電契約を結べると公式に案内しています。
関連記事:新電力に乗り換えると損する3条件を実測検証した記事
実測24ヶ月で再計算した差額
実際のところ、プランを変えたらいくら変わるの?
うちの明細で計算してみたんですけど、条件しだいで符号がひっくり返るんですよ。順番に見ていきましょう。
わが家の使用量を割り付け直して計算すると、夜に寄せられている限りは時間帯別が有利、昼在宅型に変わると差が消えて逆転しました。分岐は月の使用量と昼の在宅率、この2軸です。

手元にあるのは2024年7月から2026年6月までの24か月分の実測で、下の表にはその後に届いた2026年7月分の明細も足しています。ただし2026年4月までは賃貸アパート住まいで、そもそもプランを選べませんでした。オール電化になったのは2026年5月の検針分からです。
| 年月 | 使用量 | 請求額 | 住まい |
|---|---|---|---|
| 2025年1月 | 704kWh | 25,454円 | 旧居(賃貸・冬ピーク) |
| 2025年8月 | 670kWh | 21,990円 | 旧居(賃貸・夏ピーク) |
| 2026年5月 | 415kWh | 12,891円 | 新居(オール電化) |
| 2026年6月 | 385kWh | 12,398円 | 新居(オール電化) |
| 2026年7月 | 549kWh | 17,442円 | 新居(オール電化) |
このkWhを、関西電力の2026年11月1日改定後の単価で2つの割り付けパターンに当てはめます。夜に寄せた家をナイト6割・リビング3割・デイ1割、昼在宅の家をナイト3割・リビング4割・デイ3割と置きました。
つまり24か月の請求実績から代表的な4つの使用量を抜き出し、時間帯の内訳は仮定で置いた試算です。30分値まで取り切れていないので、数百円単位の精度ではなく、符号と桁を見るための計算だと思ってください。
| 月の使用量 | はぴeタイムR(夜に寄せた場合) | はぴeタイムR(昼在宅の場合) | 従量電灯A |
|---|---|---|---|
| 385kWh(2026年6月) | 9,779円 | 10,855円 | 10,177円 |
| 415kWh(2026年5月) | 10,330円 | 11,491円 | 11,056円 |
| 549kWh(2026年7月・夏季単価) | 12,931円 | 14,741円 | 14,978円 |
| 704kWh(旧居の冬ピークと同じ量) | 15,643円 | 17,612円 | 19,515円 |
いずれも基本料金+電力量料金に電化割引5%を反映した金額で、燃料費調整額と再エネ賦課金は含めていません(総使用量が同じなら賦課金は同額になるためです)。
表から見えてくるのは、使用量が大きい月ほど時間帯別プランの優位がはっきりするという傾向です。冬ピーク並みの704kWhでは、従量電灯Aとの差が月3,872円まで開きました。
反対に、385kWh程度で昼在宅の使い方だと、時間帯別のほうが約678円高くなります。同じ家・同じ契約でも、季節と生活パターンで符号が変わるということですね。
だから1か月だけを切り取った比較は、ほぼ確実に外れます。12か月、できれば2年分をそろえて年額で比べるのが最低限の作法かなと思います。
ここでの金額はわが家の使用量と関西電力の2026年11月1日改定後の単価にもとづく目安です。エリア・家族構成・機器が違えば結果も変わるので、契約前には必ず公式サイトの条件で確かめてください。
燃料費調整の上限で逆転する
上の表には、あえて燃料費調整額を入れていません。実はここに、規制料金と自由料金で上限の有無が違うという、見直しでいちばん見落とされる論点があります。
従量電灯Aのような規制料金は、燃料費調整額に加算される変動幅に上限があります。はぴeタイムRやなっトクでんきのような自由料金には、その上限がありません。
関西電力の2026年9月分の燃料費調整単価は、国の値引き前で規制料金が2.24円/kWh、自由料金が3.80円/kWh。算定のもとになった平均燃料価格が50,100円/klで、規制料金の上限40,700円/klを超えたため、規制料金側が頭打ちになっています。
差は1.56円/kWh。わずかに見えますが、使った分だけ効いてくるので、金額にすると無視できません。
| 月の使用量 | 燃料費調整の差(1.56円/kWh) |
|---|---|
| 385kWh | 約601円 |
| 549kWh | 約856円 |
| 704kWh | 約1,098円 |
さきほどの549kWhの月を思い出してください。昼在宅パターンでは時間帯別のほうが237円安いという結果でしたが、ここに856円の差が乗ると約620円の負けに転びます。
つまり単価表だけを見て「自由料金のほうが安い」と判断すると、この部分が丸ごと抜け落ちます。関西電力自身も、燃料費調整額を考慮しない試算でおトクになる場合でもおトクにならないことがある、と公式に注意しています。
一方で704kWhのような重い月なら、燃調の差を引いてもまだ2,800円ほど時間帯別が有利でした。上限の話は「必ず逆転する」ではなく、差が小さいときに符号を変えるものだと覚えておくとよさそうです。
切り替える前に確かめる落とし穴
金額差を出したら、次に見るのは合わなかったときに戻れるかどうかです。ここを飛ばすと、月数百円のために1年の身動きを失うことがあります。

プラン変更のデメリットは、たいてい料金表の外側にあります。契約の縛り、戻れるかどうか、基本料金の決まり方、割引の消滅、支払い方法。この5つを先にまとめて見ておくと、後で慌てずに済みますよ。
| 確かめること | 内容 |
|---|---|
| 1年間の変更制限 | 関西電力のはぴeタイムR・はぴeタイム等は、適用後1年に満たないと原則ほかのメニューへ変更できない |
| 元に戻せるか | 新規受付を終了したメニューは、一度離れると同じ条件に戻れない |
| 基本料金の方式 | 実量制は30分ごとの最大使用電力で決まり、当月と過去11か月の大きいほうが採用される(はぴeタイムRは10kWまで定額で、超えた分だけ加算) |
| 割引の消滅 | はぴeプラン割引は、ほかのメニューへの変更や転宅で適用が終了する |
| 支払い方法 | 関西電力の自由料金は口座振替かクレジットカードに限定。紙の請求書は1通110円(税込) |
受付終了プランと1年の縛り
新規申し込みを停止しているメニューは、解約すると同じ条件へ戻れません。関西電力なら、はぴeタイム・時間帯別電灯・季時別電灯PS・低圧蓄熱調整契約・第2深夜電力が「新規加入を停止しているメニュー」として公式に並んでいます。
東京電力エナジーパートナーでも、電化上手が2016年3月31日で新規加入受付を終了し、スマートライフプランも現在は新規加入の受付を停止しています。今入っている人だけが使い続けられる状態です。
つまり旧メニューは、それ自体がちょっとした資産みたいなものですね。試しに変えてみるという発想が通用しない領域だと考えたほうが安全です。
縛りのほうも実務的に重くて、関西電力は適用後1年未満のメニュー変更を原則認めていません。中部電力ミライズも原則1年以上の継続が必要とされ、四国電力も原則1年間は元に戻せないと案内しています。
もうひとつ、実量制の基本料金は1回のピークが長く効きます。沸き上げ中にIH・食洗機・洗濯乾燥機・エアコンが重なると、その30分の値で契約電力が決まり、以後11か月ほど残ります。はぴeタイムRの基本料金は10kWまで定額なので、高い基本料金が続くのはピークが10kWを超えたときです。
電力量料金は下がったのに基本料金が上がって、差し引きではマイナス。プラン変更をきっかけに沸き上げ時間を動かしたときに起きやすい失敗なので、同時使用の分散もセットで考えたいところです。
賃貸ではそもそも見直せない
そもそもプランを選べない住まいもあります。私自身、旧居の賃貸アパートでは料金プランの見直しをしたくても契約上できませんでした。
節約策として真っ先に思いつくのがプラン変更なのに、その一手が最初から封じられている。当時は毎月の明細を眺めるくらいしかできなかったのを、わりとよく覚えています。
制度の側から見ても、賃貸で手が出せない事情はいくつもあります。建物が高圧一括受電なら各戸で電力会社を選べませんし、時間帯別メニューの加入条件(夜間蓄熱式機器の総容量が原則1kVA以上など)を満たさないこともあります。
メニュー変更にメーター交換や供給設備の追加が必要な場合、設備は建物側の所有物なので貸主や管理会社の承諾が要ります。深夜電力A/Bに至っては、動力専用計量器等が無いと契約自体できません。
旧居はプロパンガス併用でした。2025年の実測で電気が190,766円、ガスが134,234円、合わせて325,000円。月平均にすると約27,083円が、手を出せない固定費として出ていった計算になります。
持ち家になって初めて、給湯機の選定も契約メニューも設備投資も自分で決められるようになりました。光熱費のコントロール手段を持てるかどうかは住まいの形でかなり変わるのだと、身をもって感じています。
賃貸にお住まいなら、まずは建物が高圧一括受電かどうかを管理会社に確認するところからかなと思います。個別契約であれば、入居者名義でプランを選べる余地は残っています。
賃貸は契約上プランを動かせなくても、持ち家(新築)なら入居後に選び直せます。新築で電気契約がいつ・どう決まるかの流れは、こちらで確認できます。
関連記事:新築の電気契約はいつ・誰が?入居後も選び直せる流れを実例で解説
関連記事:オール電化オクトパスのデメリット|実明細で損する条件を試算
エコキュートの沸き上げ設定を直す

プランを変えなくても請求額は動きます。最初に手を付ける価値が高いのは、エコキュートのリモコンの電力契約設定を今の契約に合わせ直すこと。費用はかかりません。
エコキュートのリモコンには、契約している料金プランに合わせて割安な時間帯に沸き上げるための「電力契約設定(電力契約の選択)」があります。メニューの初期設定画面から契約プランを選ぶ方式が一般的です。
ここが実態とずれるのは、電力会社やメニューを変えたのにリモコンを直していない、施工時の初期値のまま一度も確認していない、中古住宅で前の住人の設定が残っている、といったケースです。
安い時間帯が23時から翌7時なのに、リモコンが22時開始のままだと、毎日1時間分は高い単価で沸くことになります。1日あたりは小さくても、毎日効いてくるぶん効果は長く続きます。
わが家はパナソニックのエコキュートで、貯湯ユニットとヒートポンプユニットが家の側面に据えられています。ヒートポンプユニットはエアコンの室外機とよく間違われますが、大気の熱を集めて湯を沸かす心臓部のほうです。
だから外気温が下がる冬は効率が落ち、同じ湯量でも消費電力量が増えます。冬に電気代が跳ねるのは暖房のせいだけではない、というのは住んでみて実感したところですね。
| 打ち手 | 費用 | 効き方 |
|---|---|---|
| リモコンの電力契約設定を現契約に合わせる | 0円 | 沸き上げを安い時間帯に戻す。設定ずれがあれば即効性がある |
| 沸き上げ時間帯を手動で固定する | 0円 | 安い時間帯に確実に寄せる。湯切れリスクと引き換え |
| 沸き上げ量・湯温を実使用に合わせる | 0円 | 沸かす熱量そのものを減らす |
| 食洗機・洗濯乾燥を安い時間帯へ移す | 0円 | 電力量料金が動く。同時使用のピークには注意 |
| 同時使用を分散して契約電力を下げる | 0円 | 契約電力が10kWを超える家なら、基本料金に11か月効くため効果が長い(10kWまでは定額) |
| 電化割引などの申請漏れを解消する | 0円 | 手続きだけで効く |
| エコキュートを更新する | 機器・工事費 | 補助金の対象になりうる。対象機種なら効率向上や昼シフト機能を使える場合がある(既設機と性能値・機能を比べる) |
昼に沸かす「昼間シフト」や「ソーラーチャージ」は、太陽光がある家か、昼が安いメニューを契約している家でだけ意味を持ちます。太陽光が無く、昼間単価が夜間より高いプランのまま昼に沸かすと、単に高い単価で沸かすだけになります。
機器を更新するなら補助制度も見ておきたいところ。給湯省エネ2026事業のエコキュートは基本額7万円/台、性能加算3万円/台で、合わせて1台あたり最大10万円です。(出典:給湯省エネ2026事業『対象要件の詳細(購入・工事タイプ)』)
要件も補助額も年度で変わりますし、対象機種の条件も細かいです。申請の前に必ず公式サイトで最新の条件を確認してください。
なお、リモコンの設定変更は住まい手ができる範囲ですが、機器の交換や配線に関わる工事は有資格の業者の領域です。判断に迷うときは施工店や電力会社にご相談ください。
太陽光を入れると正解は変わるのか
結論は「変わりうる」です。ただし導入後の実測を取り直さないと、どのプランが正解かは決められません。買う電気の量と時間帯の分布そのものが変わってしまうからです。
昼は発電が消費を上回る時間帯の買電がほぼ無くなり、デイタイム単価が高いことのデメリットが薄れます。夕方から夜は買電が発生し、蓄電池があれば昼の余剰を回して減らせます。
結果として昼間単価の重みが下がり、夜間単価と基本料金の重みが上がります。昼の高い単価を避けるために時間帯別を選んでいた根拠が、少し弱まるわけですね。
| 状況 | 効いてくる単価 | プラン選びへの影響 |
|---|---|---|
| 太陽光なし | 全時間帯の買電単価 | 夜間単価が安いプランが有利になりやすい |
| 太陽光あり・蓄電池なし | 夕方〜朝の買電単価 | 昼間単価の高さのデメリットが薄れる |
| 太陽光+蓄電池 | 深夜の買電単価と充放電ロス | 買電量が小さくなり、基本料金の比重が増す |
| 卒FIT後 | 買取8.00円/kWhと買電単価の差 | 自家消費(蓄電池・エコキュートの昼沸かし)が有利に動く |
関西電力の卒FIT後の買取単価は8.00円/kWh。買う側はナイトタイムで16.00円/kWh、デイタイム(その他季)で26.96円/kWh(2026年11月1日から)ですから、売る価値より使う価値のほうが大きくなります。
だから買取期間が終わった後は、売らずに使う方向へ最適解が動きます。蓄電池に貯める、エコキュートで湯として貯める、という自家消費の選び方が現実味を帯びてきます。
昼を安く設計したメニューも登場しています。九州電力の「おひさま昼トクプラン」は10:00〜16:00が割安、オクトパスエナジーの「サンシャイン」はデイタイム9:00〜15:00を安く設定しています。
ただし夜型の生活のまま昼が安いプランへ移れば、単に高い時間に買うだけです。機器側で沸き上げを昼へ寄せられるかどうかが、前提条件になります。
わが家は太陽光7.92kWと蓄電池7.7kWhを契約済みで、2026年8月18日に設置しました。実測はまだ数日分しかありませんから、導入後にどのプランが最適かをここで断定するつもりはありません。
施工が終わったら買電の実測を取り直して、同じやり方で再計算します。そのときの数字も、またこのサイトで出していきますね。
オール電化の電気料金プラン見直しでよくある質問
プランを変えるのに工事や費用はかかりますか?
スマートメーターが未設置なら交換が必要ですが、交換自体に原則費用はかかりません(工事の内容によって費用が発生する場合はあります)。交換時に1軒あたり15分程度の停電を伴うことがあります。切り替えに要する期間の目安は、メーター交換が必要な場合で約2週間、不要なら約4日程度とされています。
切り替えの申し込みには何が必要ですか?
主に、お客さま番号と供給地点特定番号の2つです。会社によっては、契約者情報や切り替え希望日、支払い方法の登録もあわせて求められます。どちらも検針票や、Web会員サービスの契約内容画面で確認できます。見つからなければ、今契約している電力会社に直接問い合わせても教えてもらえます。現在の契約の解約手続きは、消費者の同意にもとづいて切り替え先の会社が代行できることになっています。
比較サイトのシミュレーターで安く出たら、そのまま信じていいですか?
鵜呑みにしないほうがいいかなと思います。燃料費調整額の上限の有無、キャンペーンの期限、1年の変更制限が反映されていないことがあるためです。関西電力自身も、燃料費調整額を考慮しない試算でおトクになる場合でもおトクにならないことがあると注意しています。モデルケースの使用量ではなく、自分の実測kWhを入れて公式の条件で確かめてください。
電気代が下がったのですが、プラン変更の効果でしょうか?
時期によっては、国の電気・ガス料金支援と重なっている可能性があります。2026年は7月・8月・9月の使用分が対象で、電気(低圧)は7月分3.5円/kWh、8月分4.5円/kWh、9月分3.5円/kWhの値引きです。値引きは燃料費調整単価から差し引く形なので、支援が終われば請求額は戻ります。効果を見るなら、支援の無い月どうしで比べるのが確実です。(出典:経済産業省 資源エネルギー庁『電気・ガス料金支援』)
オール電化なのに従量電灯のままですが、変えるべきですか?
時間帯別プランへ移る余地は大きいですが、加入条件があります。関西電力のはぴeタイムRなら、総容量が原則1kVA以上の電気式給湯設備等を使っていることが条件で、台所や洗面だけをまかなう小型電気温水器は対象外です。また月の使用量が小さい家では、基本料金の負担で時間帯別のほうが高くつく反転も起こりえます。まずは自分の使用量と機器の容量を確かめて、電力会社の公式ページで条件をご確認ください。
オール電化の料金プラン見直しは昼在宅と旧プランで決まる
結局、うちはどうすればいいのかな?
昼に人がいるかと、今が旧メニューかどうか。まずこの2つを見てみましょうか。
オール電化の料金プラン見直しは、金額の大小よりも先に条件で決まります。最後に、判断の順番を整理しておきますね。

- 得しやすいのは、平日の昼が不在で給湯や家事を夜へ寄せられる家
- 旧メニューの高い割引が生きている家は動かない。単価は同じで割引だけが半分になり、戻せない
- 深夜の時間帯は会社ごとに違う。関西電力は23時〜翌7時で16.00円/kWh(2026年11月1日から)、東京電力エナジーパートナーは1時〜6時で27.86円/kWh
- わが家の実測を割り付け直すと、夜寄せなら時間帯別が有利。月400kWh前後で昼在宅だと逆転した
- 自由料金は燃料費調整額に上限が無く、差が小さいときはこれだけで符号が変わる
- プラン変更より先に、エコキュートのリモコンの電力契約設定と沸き上げ時間帯を確認する
- 1年の変更制限と、新規受付終了メニューには戻れないことを必ず確かめる
ここに書いた単価や制度は2026年8月時点で確認したもので、金額はあくまで目安です。契約前には必ず電力会社の公式サイトで最新の条件を確かめ、判断に迷うときは電力会社や専門家にご相談ください。
太陽光と蓄電池が動き出したら、同じやり方で買電を測り直して続きを書きます。まずは自分の明細を1枚開くところから始めてみてくださいね。
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では具体的にどこと比較すればいいか、次の記事で確認できます。
オール電化オクトパスとの比較はこちら
