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蓄電池の全負荷型と特定負荷型の違い|切替盤14.7万円の実契約で選ぶ

2026年9月12日

全負荷型と特定負荷型の違いを、切替盤の実額147500円とオール電化での結論とともに示した図

こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。

蓄電池のカタログを見ていると、必ず「全負荷型」「特定負荷型」という言葉が出てきますよね。停電したときに家のどこまで電気が来るかの話なのですが、比較記事を読んでも「全負荷は高い」で終わってしまうことが多いです。

私は2026年8月に、自宅へ太陽光7.92kWと蓄電池7.7kWhを同時に入れました。契約明細には「全負荷専用切替盤 147,500円」という行がはっきり載っています。この実額を起点に、2つの型の違いを整理していきます。

  • 全負荷は分電盤ごと、特定負荷は決めた回路だけ。範囲を決めているのは切替盤
  • 停電時に200V機器が動く条件と、エアコンとIHを同時に使えない理由
  • 全負荷型の追加費用の中身(切替盤の実額14.7万円と部材差8万円)
  • 見積書のどこを見れば自分の契約が全負荷型か分かるか

結論はオール電化なら全負荷型

オール電化で停電に備えるなら、私は全負荷型をおすすめします。調理も暖房も給湯も電気に寄せた家では、使えない回路を作ると停電時の生活が止まりやすいからです。

全負荷型と特定負荷型を、停電時に電気が届く範囲とオール電化での向き不向きで対比した図解

ただ「安心だから全負荷」で決めると、費用の話が後から効いてきます。型の差は蓄電池本体ではなく、盤まわりの部材と工事に出るためです。何がどう変わるのか、順番に見ていきましょう。

型は「停電時にどこへ電気が行くか」を決めるだけで、使える電気の総量が増えるわけではありません。

前提を1つ。この選択は蓄電池を入れる家の話です。太陽光だけの家が停電時に使えるのは、パワコンの自立運転コンセント(AC100V・最大1,500W・日中のみ)に限られます。「太陽光を入れたから停電に強い」とは別の階層の話なんです。

分電盤ごとか、選んだ回路だけか

違いは給電の範囲です。全負荷型は分電盤ごと自立運転側へ切り替わり、家中のコンセントが生きます。特定負荷型は、あらかじめ決めた専用配線の回路だけに給電します。

この範囲を決めているのは、実は蓄電池本体ではありません。主分電盤の上流に入る切替盤と、200Vを作るトランスユニットが型を決めています。同じ蓄電池でも、構成しだいで型が変わるわけです。

構成停電時に給電する範囲要る部材
全負荷型分電盤ごと家中のコンセント自動切替盤(機種により200Vトランス)
特定負荷型あらかじめ決めた専用配線の回路切替盤(手動切替の構成もある)

パナソニックの創蓄連携システムなら、電力切替ユニットの品番で型が決まります。100Aや60Aのタイプが全負荷、30Aで特定負荷ブレーカ付なら特定負荷です。シャープは全負荷にする場合、指定機種の自動切替盤が必要だと明記しています。

効くのは調理と暖房、エコキュートは貯湯分

オール電化の負荷を分けて見ると、全負荷型の価値がどこにあるかが見えます。先に結論を言うと、効いてくるのは調理と冬の暖房。給湯は思ったほど型に左右されません。

オール電化の主な負荷停電時に電気が要るか代替できるか
給湯(エコキュート)タンクに湯が残っていれば蛇口から出る。電気が要るのは沸き上げの継続貯湯分でしのぐ。断水時は生活用水にも使える
調理(IH)定格5.8kWで自立出力を単体で食い潰すカセットコンロ・100Vの卓上IH
冷暖房(200Vエアコン)冷房830W前後・暖房950W前後。暖房は上限4,000Wまで振れる100Vエアコン1台に絞る・季節を選ぶ
冷蔵・照明・通信合計でも数百Wここは代替が効かない

エコキュートは「停電したらお湯が出ない」と思われがちです。実際は断水していなければ、多くの機種でタンクに残った湯が蛇口から出ます。ただし湯温の調節ができず高温になっていることがあるので、手元で温度を確かめてから使ってください。機種による条件もあり、ダイキンの2012年モデル以前(MB型)は停電前1時間以内にお湯を使っていた場合だけ、という制約が付きます。自宅の機種の取扱説明書を先に見ておくと確実です。

ここを知らないと、必要以上の容量を買ってしまうところかなと思います。1日で復旧する停電なら、給湯は貯湯分でしのげます。

効いてくるのは連泊の停電で、沸き上げを続けられるかどうかが分かれ目になります。1日分の沸き上げは、一般地・4人世帯の年間給湯電力量を日割りした目安で約3.8kWh相当。7.7kWh級だと実効容量の半分以上を持っていかれる計算です(冬の高温沸き上げならもっと要ります)。

停電時に200V機器は動くのか

動きます。ただし条件つきです。200V対応のパワコンかトランスユニットが構成に入っていれば、停電時も200V機器へ給電できます。問題は「動くか」より「同時に何台動くか」のほうですね。

停電時にエアコンやIHなどの200V機器が動く条件と、自立出力の上限を超えると同時使用に制限がかかる様子を示した図解
エネすけ
エネすけ

全負荷型にしたら、停電しても普段どおりの暮らしができるってこと?

そこは私も期待していたんですけど、調べたら違いました。使える場所が広がるだけで、電気の総量が増えるわけじゃないみたいですよ。

りょう
りょう
エネすけ
エネすけ

へえ、そうなんだ!じゃあ何を我慢すればいいの?

一緒に数字で見ていきましょう。

りょう
りょう

エアコンとIHは同時に使えない

理由は自立運転の出力上限にあります。停電時に取り出せるのは、メーカーの公表値で数kVAにとどまります。しかもこの公表値は太陽光の発電分を含む構成があり、夜間のように蓄電池だけで供給する時間帯はさらに小さくなります。(出典:シャープ JH-59TF4 仕様/寸法(公式))

メーカー・機種停電時の自立出力
シャープ JH-59TF45.9kVA(蓄電池のみは2.8kVA)
パナソニック 創蓄連携システムS+100V設定2.0kVA/200V設定2.0〜4.0kVA
ニチコン ESS-U4X1・ESS-U4M1片相1.5kVA・合計3.0kVA

一般的な戸建の主幹は単相3線式の60Aか75Aで、100V換算だと12〜15kVAです。自立運転の上限は、機種によって1割台から半分程度しかありません。家中に給電できても、蛇口の太さは変わらないイメージですね。

そこへIHが入るとどうなるか。ビルトインIHの定格は200Vで5.8kW、4.8kWに切り換えられる機種もあります。自立出力と同じ桁なので、フルに使えば他の機器はほとんど残りません。

エアコンも定格だけ見ると油断します。200Vの4.0kW機で暖房の消費電力は950W前後ですが、可変域の上限は4,000W。冬の立ち上げや低外気温では、上限側に張り付きます。

さらに、モーターで動く機器や運転開始時に大きな電流が流れる機器は要注意です。シャープは、こうした機器を使うと保護機能が働いてシステムが停止する場合があると注記しています。停電時は同時に何を動かすかを人が選ぶ運用になる、と考えておくと安全です。

特定負荷型でも200Vを1回路残せる

「特定負荷は100Vだけ」という説明を見かけますが、ここは正確ではありません。自立側が200V出力に対応している構成なら、切替盤に単相3線式の機種を選ぶことで200V用の分岐を残せます。盤だけで200Vが出るわけではなく、200V対応のパワコンかトランスユニットが要る点は前の節と同じです。

切替盤の実体は、日東工業の切替機能付ホーム分電盤です。単相2線式のHCD2L53-32DMは100V分岐が3回路。単相3線式のHCD3E53-63DMなら、100V用4回路に加えて200V用が2回路あります。

シャープも特定負荷モードについて、決めた専用配線だけに給電しながら200V機器にも対応できると説明しています。200Vが使えるかどうかは型の名前ではなく、どの回路を専用配線に含めたかで決まる、ということです。

実質的な制約は別のところにあります。特定負荷用の盤は主幹も盤定格も30Aに絞られていて、単相3線式30Aは100V換算で約6kVA。この枠の中で回路を選ぶ設計になっています。

全負荷型は本当に20万〜30万円高いのか

自宅に実際に設置された停電時切替ボックスの実物。配線用遮断器と、通常時Aと停電時Bを示す切替表示窓が写っている
契約で追加した全負荷対応の切替ボックス(自宅の実物)

結論から言うと、20万〜30万円という差額に一次情報の裏づけはありません。施工店や比較メディアの記載はこのレンジでそろっていますが、どちらも機器構成も工事範囲も示されていないんです。

公的な価格の目安も、型までは面倒を見てくれません。経済産業省の検討会がまとめた家庭用蓄電システムの水準は、補助事業で設備費11.1万円/kWhに工事費1.0万円/kWh。補助事業の外では設備費15〜20万円/kWhに工事費2万円/kWhとされています。(出典:経済産業省『2024年度 定置用蓄電システム普及拡大検討会 結果とりまとめ』(2025年3月))

いずれも蓄電容量あたりの単価で、全負荷か特定負荷かは織り込まれていません。切替盤やトランスは容量に比例しない固定的な追加費用です。容量が小さいほど、kWh単価を押し上げる方向に効きます。

ただ、部材の側は公表値が取れます。私の見積書に載っていた実額と、メーカーの標準価格を並べると、差額の中身が少し見えてきます。

切替盤の実額14.7万円と部材差8万円

私の御見積明細書には、機器の1行として「全負荷専用切替盤 HCD3M6-DSM6 1台 147,500円」が計上されていました。「高くなる傾向」としか書かれないことが多い部分の、実額の中身です。

部材種別標準価格(税別)
日東工業 HCD3L6-DSM(旧形・単3 60A)自動切替117,000円
日東工業 HCD3L53-DS(単3 30A)手動切替38,000円
日東工業 HCD2L2-30DS(単2 20A)手動切替40,500円
私の見積の全負荷専用切替盤自動切替147,500円(定価)

読み取れることは2つあります。まず私の147,500円は、メーカーが公表する同系統の標準価格と同じ桁の定価でした。突飛な上乗せではない、とは言えそうです。

もう1つが、型の価格差の一次的な内訳です。自動切替と手動切替の部材差は、標準価格ベースで約8万円。ただしこれは主幹60Aの自動切替盤と30Aの手動切替盤という、仕様の違う2製品を並べた例です。特定負荷用にも自動切替の盤はあるので、同じ条件で組んだシステムどうしの差額は見積書で確かめたいところです。(出典:日東工業 商品情報サイト『HCD3L6-DSM 自動電源切替盤』標準価格)

ただし私の契約は、機器と工事を通した一本値引きで総額265万円です。この行の実質負担額を明細から分離することはできません。見積書を見るときは、その金額が定価なのか値引き後なのかを必ず確かめてください。

残りは工事の手間と盤の置き場所

部材差が約8万円なら、残りの十数万円は何なのか。20万〜30万円という差額そのものに一次情報が無いので断定はできませんが、盤の設置と配線をやり直す電気工事の手間と、構成によっては200Vトランスなどの追加機器が乗る分だと考えられます。ここは見積書の建て方しだいで、見えたり見えなかったりします。

私の見積では工事費がkW単価建てでした。設置工事75,000円/kWと電気工事55,000円/kWで、合わせて130,000円/kWです。全負荷用の工事は別項目に切り出されておらず、型の差が含まれているかは内訳から読めませんでした。

もう1つ見落としやすいのが置き場所です。切替盤はヨコ172〜464mm・タテ325mm・フカサ124mmで、既存の分電盤の隣に並べる余白が要ります。

わが家では工事後、洗面脱衣室の天井際に盤が3台並びました。既設の分電盤の左に増設盤、右に切替ボックスが増えた形です。図面で見るより実物の存在感があるので、分電盤まわりに空きがない家は先に確認しておくといいかなと思います。

増えるのは盤まわりだけ、という点は押さえておいてください。蓄電池ユニット本体は7.7kWh機で458×360×608mm・68kgあり、この寸法と重さは型によって変わりません。わが家も屋外の犬走りに既製のコンクリートブロックを置いて据えています。

相場の照合が難しい点も知っておいてください。全負荷用の現行機は、日東工業が標準価格を公表していません。読者側で金額の妥当性を照らす手段が実質的に無いので、複数社の見積で同じ型番の金額を並べるのが現実的な確認方法になります。

関連記事:蓄電池の補助金2026の条件

全負荷型は実効容量で何時間もつのか

計算は「使える容量 ÷ その時間帯の消費電力」です。カタログの定格容量で計算すると、機種によっては持続時間を4割ほど長く見積もることになるので、JISの性能表示ラベルの値を使ってください。ラベルには通常時の「初期実効容量」と停電時の「初期停電時放電容量」が別々に載っていて、停電の試算で見るのは後者です(わが家の機種はどちらも6.7kWhでした)。

カタログの定格容量と、停電の持続時間計算に使う初期停電時放電容量の違いを比較した図解
エネすけ
エネすけ

7.7kWhもあるなら、停電しても1日は余裕なんじゃないの?

私も契約前はそう思っていました。でも実際に取り出せる量は、カタログの数字より少し小さいみたいですよ。

りょう
りょう
エネすけ
エネすけ

えっ、そうなんだ!じゃあ何を見ればいいの?

性能表示ラベルの初期実効容量ですね。そこから一緒に計算してみましょう。

りょう
りょう

わが家はシャープの7.7kWh機で、ラベルの初期実効容量も初期停電時放電容量も6.7kWhでした。この6.7kWhを、その時間帯の消費で割ります。ただし表は容量だけを見た計算です。同時に取り出せる電力には別の天井があって、わが家の構成は自立5.9kVAですが、これは太陽光の発電を含めた値。蓄電池だけなら2.8kVAまでです。

停電時の使い方消費の目安6.7kWhで持つ時間の目安
冷蔵庫+照明+通信+スマホ充電約0.15kW約45時間
上記+200Vエアコン1台を冷房で連続運転約0.98kW約6.8時間
上記+エアコンの暖房が可変域上限に張り付く時間帯(太陽光の発電と併用が前提)約4.15kW約1.6時間
普段どおりの暮らしをそのまま続ける約0.67〜1.08kW約6〜10時間

いちばん下の行は、わが家の日次消費16.1〜26.0kWhから出した数字です。2026年8月19〜31日のモニタ実測なので、13日分の短い期間の目安になります。

それでも言えるのは、全負荷型で普段どおり使うと7.7kWh機は丸1日もたない、ということ。「全負荷型なら安心」と「1日もつ」は別の話です。ここを混同したまま容量を決めると、停電の2日目に足りないと気づく順番になってしまいます。

平均的な家庭に置き換えても、印象はそれほど変わりません。環境省の家庭CO2統計による世帯当たりの年間消費は3,911kWhで、日平均にすると約10.7kWh。6.7kWhは半日強という位置づけになります。(出典:環境省『家庭部門のCO2排出実態統計調査(家庭CO2統計)』家庭でのエネルギー消費量)

わが家はオール電化で平均より使う家なので、持続時間はさらに短くなります。停電に備える設計では、この短さを前提に「何を落とすか」まで決めておきたいところですね。

全負荷でも落とせば特定負荷と同じ

分母を減らせば時間は伸びます。全負荷型でも停電時にブレーカーで回路を落とせば、実質的に特定負荷型と同じ使い方ができます。

だから全負荷型は特定負荷型の使い方を含む上位互換で、持続時間の差は型ではなく運用で決まります。「全負荷は電池の消費が早い」とよく言われるのも、給電範囲が広いぶん人が消費を絞りにくい、という運用の話ですね。

太陽光がある家なら、日射と消費しだいで持つ時間が日中にリセットされます。わが家の実測では、晴天日の発電が44.7〜46.2kWh、曇りや雨の日でも23.8〜24.1kWhありました。ただしこれは8月の13日間・連系運転での数字なので、冬や悪天候が続く時期にそのまま当てはめることはできません。日中に充電しながら使えれば、実際は夜をどう越すかの勝負になります。

ただし停電中に取り出せる電力は、自立出力の上限に縛られたままです。発電量が多くても数kVAまで。容量とは別の天井として覚えておいてください。

容量と型は別々に決めるのが基本です。型は電気がどこへ行くかを、容量はどれだけ持つかを決めます。全負荷型にしたからといって、容量が増えるわけではありません。

冷蔵庫と照明の回路で足りるなら特定負荷型

すべての家に全負荷型が要るわけではありません。停電時に電気が要る場所を冷蔵庫・照明・通信・スマホ充電に絞れるなら、特定負荷型で足ります。

特定負荷型で十分な家庭の条件をチェックリスト形式で示した図解。停電時に優先したい回路を冷蔵庫や照明などに絞れるかがポイントであることを表す

私が整理した「足りる家」の条件は次の5つです。1つでも欠けるなら、全負荷型を検討する側に寄ります。

  • 調理がガス、または停電時はカセットコンロで代替できる
  • 給湯がガス、またはエコキュートの貯湯分でしのぐ想定でよい(ガス給湯器も制御に電源が要るので、優先回路に入れるか要確認)
  • 冷暖房を停電時に使わない、または100Vのエアコン1台で足りる季節に限る
  • 停電時に電気が要る場所を、優先回路に入れる範囲(冷蔵庫・照明・通信・充電など)に絞れる
  • 停電時にどの回路が生きるかを、家族全員が把握して運用できる

逆に足りにくくなるのは、位置を動かせない負荷が優先回路の外にあるときです。在宅医療機器・電動シャッター・電動水栓・浄化槽ブロワあたりが代表格ですね。二世帯や三階建てで、回路を1〜2系統に絞ると生活が成り立たない家も同じです。

盤の相線式も、契約前に決めておく項目です。単相2線式の切替盤を選ぶと、優先回路は100Vだけになります。200Vを1回路でも残したいなら、単相3線式の盤を最初に選んでおく必要があります。

そしていちばん大事なのが、回路は施工時に確定し、あとから変えるには配線工事が要るという点。盤の分岐回路数(3回路+予備2、または6回路+予備3)と、盤定格30Aが上限になります。

つまり回路の選定は、契約前に「停電時に家族がどこに立つか」を決めておく種類の作業です。停電のたびに屋内の盤まで行って切り替える構成もあるので、誰が操作するかまで含めて話しておくと安心ですよ。

特定負荷型で始めるなら

長州産業のように、トランスユニットの追加で特定負荷型から全負荷型へ構成変更できる製品もあります。あとから全負荷にできるかはメーカー・機種で決まるので、拡張の可否を契約前に確認しておくと選択肢が残ります。

見積書の切替盤とトランスで見分ける

著者が実際に受け取った蓄電池・太陽光の御見積明細書。機器名と金額が記載された明細部分
実際に受け取った御見積明細書。切替盤やトランスの記載があるかで型を見分けられる

自分の見積書が全負荷型かどうかは、5つのポイントを上から順に見ていきます。ただ「切替盤」の行やトランスユニットは特定負荷の構成にも出てくるので、判定が一意に決まるのは品番のA数・盤の主幹容量・単線結線図の3つ。このどれかが当たれば全負荷型と考えて大丈夫です。

型が書かれていない書類は珍しくありません。だからこそ、部材の名前で確かめる手順を持っておくと迷わずに済みます。

切替盤の品名記号と主幹容量を見る

  • 明細に「切替盤」「自動切替盤」「電源切替盤」「全負荷専用切替盤」の行があるか
  • 「トランスユニット」「200Vトランス」の行があるか
  • 電力切替ユニットの品番のA数(パナソニックは100A・60Aなら全負荷、30Aなら特定負荷)
  • 単線結線図に「全負荷分電盤」が主分電盤の上流に描かれているか
  • 盤の主幹容量(60A・75Aなら全負荷側、30Aなら特定負荷側)

品名記号の読み方も覚えておくと早いです。HCDで始まっていれば日東工業の切替機能付ホーム分電盤で、末尾がDMやDSM系なら自動切替、DS系なら手動切替。私の明細のHCD3M6-DSM6も、この読み方で全負荷用と分かります。

パナソニックの創蓄連携システムなら、電力切替ユニットの品番が手がかりです。LJTS1A01とLJTS1601Kが全負荷、LJTS3353とLJTS2322が特定負荷。200Vを足すLJTR241というトランスユニットが、別の行で乗ることもあります。

図面まで見られるなら、単線結線図がいちばん確実です。全負荷なら主分電盤の上流に全負荷分電盤が入り、特定負荷なら代わりに特定負荷用切替器が描かれます。

盤定格も手がかりになります。全負荷用のHCD-DM形は盤定格60Aか75Aで、感震ブレーカーを組み込んだHCD3M6-DM-MGという機種もあります。特定負荷用の盤が30Aに絞られているのとは、はっきり差が出るところです。

型が書いていないとき施工店に聞く

書類のどこにも型が書かれていないときは、聞き方を変えてください。「全負荷ですか」と聞くより、部材を聞いたほうが答えが一意に決まります。

具体的には、切替盤の品名記号・トランスユニットの有無・盤の主幹容量の3つ。この聞き方なら、担当者の解釈が入る余地がありません。あわせて、その蓄電池メーカーが指定する切替盤かどうかも確認しておきましょう。指定品以外だと正常に動作しない可能性があるためです。

費用側で聞くことも決まっています。切替盤やトランスの行が定価か値引き後か。電気工事費がkW単価建てか実費建てか。kW単価建てだと、私の見積のように型の差が内訳から読めません。

安全面で1つ、あまり語られない話も書いておきます。非接地の自立電源に切り替わっている間は、ブレーカーの漏電機能が働かない回路が生じます。日東工業のカタログも、自立電源側の安全性は電力会社ではなく施主・施工業者側の責任になると明記しています。

全負荷型は、この状態の回路が家中に広がるということでもあります。だからこそ、施工品質を確認できる相手を選びたいところですよね。

私は相見積もりを取らず1社で即決しました。あとから友人の契約額を聞いて「やっぱり複数社に出すべきだった」と感じています。型を指定したうえで複数社に出せば、非公表の切替盤の金額もある程度は比べられます。

最後に、この型選びでよく起きる失敗も並べておきます。どれも契約前にひと言確認すれば避けられるものばかりです。

  • 定格容量で持続時間を計算し、実際は1〜3割短かった
  • 全負荷型にしたのに、停電時にIHとエアコンを同時に入れて保護機能で止まった
  • 特定負荷型で優先回路に冷蔵庫は入れたが、電動シャッターと電動水栓が外れていた
  • 見積書に切替盤の行が無いまま「全負荷です」と口頭で言われた
  • エコキュートは停電時に使えないと思い込み、必要以上の容量を買った

なお電気工事は、有資格者と施工業者の領分です。ここに挙げた数値はいずれも目安なので、機種の仕様は必ずメーカーの公式サイトで確認し、自宅に合う構成は施工店や専門家にご相談のうえ判断してください。

蓄電池の全負荷型・特定負荷型のよくある質問

全負荷型なら停電中も普段どおりに家電を使えますか?

使える場所は家中に広がりますが、同時に使える量は増えません。自立運転の上限はメーカー公表値で数kVAで、家の主幹容量(100V換算で12〜15kVA)の1割台から半分程度が目安です。公表値に太陽光の発電分を含む構成もあるので、夜間に蓄電池だけで出せる値も確かめておくと確実です。停電時は、何を同時に動かすかを人が選ぶ運用になります。

特定負荷型から全負荷型へ、あとから変更できますか?

メーカーと機種によります。長州産業のようにトランスユニットの追加で構成変更できる製品もありますが、切替盤ごと入れ替える構成なら配線工事を伴います。特定負荷型で始めるなら、拡張の可否を契約前に確認しておくと安心です。

停電したら自動で切り替わりますか?

自動切替の盤と、人が手で切り替える盤があります。全負荷用の自動切替盤は、正面の表示窓で商用電源側か自立電源側かが分かる仕組みです。自動でも切替の瞬間に一時的な停電はあります。わが家は引き渡し時にブレーカーを落として、実際に切り替わるところを実演で見せてもらいました。

切替盤は日常のピークシフトにも使えますか?

使えません。日東工業のカタログは、自動切替開閉器の開閉耐久回数を超える可能性があるため常時切替はできない、と明記しています。通電状態での開閉耐久性能は自動切替で6,000回、手動の切替開閉器で1,500回。切替盤は停電時にだけ動く部材として設計されています。

太陽光だけの家でも全負荷型を選べますか?

全負荷か特定負荷かは、蓄電池を入れる家の話です。蓄電池がなく太陽光だけの場合、停電時に使えるのはパワコンの自立運転コンセント(AC100V・最大1,500W・日中のみ)に限られます。夜間まで備えるなら蓄電池が必要になります。

まとめ:全負荷型と特定負荷型は切替盤で選ぶ

エネすけ
エネすけ

結局、うちはどっちを選べばいいのかな?

停電のときに何を動かしたいかを先に決めると、答えが出やすいですよ。うちはオール電化なので全負荷型にしました。

りょう
りょう

この記事の要点を振り返ります。

記事全体の要点をまとめた図解。型の違いは電気が届く範囲であり、持続時間は容量とその日の使い方で決まることを示す
  • 型を決めているのは蓄電池本体ではなく、切替盤とトランスユニット
  • 全負荷型でも自立出力は数kVAで、IHをフルに使うとエアコンとの同時使用は成り立たない
  • 特定負荷型でも単相3線式の盤を選べば、200Vを1回路残せる
  • 切替盤の部材差は標準価格ベースで約8万円。私の見積の実額は147,500円(定価)
  • 持続時間はラベルの容量で計算する(停電時は初期停電時放電容量。わが家の7.7kWh機は6.7kWh・普段どおりで6〜10時間)
  • 回路は施工時に確定するので、停電時の暮らし方を契約前に家族で決めておく

最後にもう一度だけ。型の違いは「どこへ電気が行くか」であって、「どれだけ持つか」ではありません。持つ時間を決めるのは、容量とその日の使い方です。

ここに挙げた数値は、2026年9月時点で確認できた公表値と、わが家の短い期間の実測に基づく目安です。機種の仕様は公式サイトで確かめ、自宅に合う構成は施工店や専門家にご相談ください。

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りょう / エネすけ運営者

関西の新築一軒家(オール電化)で、妻と子ども2人と暮らす一般の施主です。2026年8月に太陽光7.92kW+蓄電池7.7kWhを設置しました。導入前24ヶ月分の電気代実測をもとに、「太陽光は本当に元が取れるのか」を導入前後の比較で検証していきます。

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