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蓄電池は停電で何日持つ?実測は丸1日もたず約10時間・絞れば約2日

2026年8月4日

蓄電池7.7kWhの停電時の持続時間比較。普段どおりの生活なら約10時間だが、使う家電を絞れば約2日まで伸びることを示す図

こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。蓄電池を調べていると必ず出てくるのが「停電のとき何日もつのか」という疑問ですよね。容量7.7kWhと言われても、自分の家の暮らしにうまく置き換えられないと思います。

私は関西の新築一軒家に住む一般施主で、太陽光7.92kWと蓄電池7.7kWhを契約し、2026年8月18日に設置しました。決め手の一つは、災害で電気が止まっても最低限の電気は確保できる、という安心感でした。

ただ、その安心が何時間分なのかは、契約した時点では分かっていませんでした。設置が終わったのは2026年8月18日で停電はまだ経験していませんが、手元には自宅の電気使用量24ヶ月分の明細があります。それを蓄電池の容量に当てはめて先に計算してみたのが、この記事です。

答えは、普段どおりの生活なら約10時間で、丸1日はもちません。ただし諦める家電を先に決めておけば、同じ蓄電池で約2日まで伸びます。この落差の中身を、数字とその意味の両方から見ていきます。

  • 7.7kWhの蓄電池が普段どおりの生活で何時間もつかの実測計算
  • 「6kWhで1日」という目安が前提にしている家電の構成
  • 停電中にエアコン・IH・エコキュートが動く条件と出力の壁
  • 検針票から自宅の持続時間を出して諦める家電を決める手順

結論 停電で何日どころか1日もちません

先に結論です。わが家の使用量を7.7kWhの蓄電池に当てはめると、普段どおりの生活を支えられるのは約10時間で、丸1日ももちません。これは満充電から使い始めた場合の試算で、停電した瞬間の残量が少なければ、その分だけ短くなります。

満充電の蓄電池7.7kWhは普段どおりの生活だと約10時間しかもたないが、使う家電を絞ると約2日まで持続時間が伸びることを対比した比較図

「何日もつか」を調べに来た方には拍子抜けの答えかもしれません。ただ、これは蓄電池が役に立たないという話ではないんです。何を動かすかを先に決めれば、同じ容量でも答えは大きく変わります。

蓄電池の持続時間を決めるのは容量よりも、停電中に何をどれだけ使うかのほうです。

オール電化7.7kWhの実測で約10時間

新築オール電化に移ってからのわが家の使用量は、1日あたり13.8kWhでした。これを7.7kWhの蓄電池だけでまかなうと、約10時間で空になる計算になります。

計算の中身は単純で、蓄電池から実際に取り出せる電気量を、1日の平均消費電力で割るだけです。取り出せる量はカタログの数値そのままではない点だけ、あとの章でくわしく見ていきます。

生活の想定1日の消費量平均消費電力に換算7.7kWhがもつ時間
新築オール電化・2026年5月の実測13.8kWh約575W約9.6〜10.8時間
24ヶ月のうち2025年の年間平均15.2kWh約633W約8.7〜9.8時間
冬ピーク(2025年1月・旧居の実測)22.7kWh約946W約5.8〜6.6時間
照明・冷蔵庫・スマホに絞った節電運転2.6kWh110W約50〜56時間

同じ蓄電池なのに、答えが6時間から2日まで動きます。つまり容量の数字だけを見ても、自分の家が何日もつかは決められないということですよね。

なお冬ピークの数字は、引っ越し前の賃貸アパート(給湯はプロパンガス)で記録した実測です。新居がオール電化になったのは2026年5月からで、オール電化の冬はまだ経験していません。給湯が電気に乗る分は増え、断熱等性能等級5の家である分は減る方向に働くので、実際の値は次の冬の実測を待つしかない状況です。

過去事例が示す停電は1〜3日

備えるべき停電の長さは、広域災害でも多くの世帯で1〜3日というのが、過去事例から読み取れる目安です。

そもそも日本の停電はふだんきわめて短く、1軒あたりの年間停電回数は0.13回程度、停電時間も分単位で語られる水準とされています。日常のトラブルで蓄電池の容量が問題になる場面は、ほとんどありません。容量が効いてくるのは災害時の大規模停電だけ、と考えて差し支えないと思います。(出典:資源エネルギー庁「エネルギー動向(2025年版)第1章第4節 二次エネルギーの動向」)

想定日数根拠となる事例
平常時のトラブル数分〜数時間年間停電回数0.13回・停電時間は分単位
広域災害の大半の世帯1〜3日北海道胆振東部地震で約2日で99%復旧
被害の大きい地域1〜2週間台風15号の千葉県で99%復旧まで約12日
孤立地域・甚大被害地域数週間〜1か月胆振東部地震の厚真町、能登半島地震の孤立集落

注意したいのは、復旧が長引く原因の多くが電柱や引込線といった配電設備の損傷、あるいは倒木・土砂崩れによる道路寸断だという点です。どちらも自宅の設備を強くしても短くできない要因になります。(出典:資源エネルギー庁「『台風』と『電力』〜長期停電から考える電力のレジリエンス」)

だから全期間を蓄電池だけで乗り切る設計は現実的ではありません。まず1〜3日を自力でしのぎ、それ以上は再充電の手段か生活の縮小で受ける、という前提のほうが実態に合っているのかなと思います。

6kWhで1日はテレビと照明と冷蔵庫だけ

新築オール電化住宅の外壁際に設置された実物のエコキュート一式、貯湯タンクとヒートポンプユニット
筆者宅に実際に設置されているエコキュート。停電時の消費計算にはこうした設備も含まれる

よく見かける「6kWhで1日」「12kWhで2日」という目安は、合計200〜430Wまで絞った節電運転を前提にした数字です。普段どおりの暮らしの消費量ではありません。

『6kWhで1日』という目安が想定するテレビ・照明・冷蔵庫だけの合計200〜430Wの節電運転と、エアコン・IH・エコキュートを含むオール電化の実測575Wを左右に並べて差を示した比較図
エネすけ
エネすけ

調べてたら「6kWhで1日もつ」って書いてあったよ。7.7kWhならもっといけるんじゃないの?

その数字、テレビと照明と冷蔵庫くらいに絞った前提みたいですよ。うちの明細を当てはめるとぜんぜん届かなかったので、どこが違うのか一緒に見てみましょう。

りょう
りょう

目安のもとになっている家電構成は、テレビ100Wに照明40W、冷蔵庫50W、スマホ充電10Wを足して合計200W前後、という組み合わせです。エアコンもIHもエコキュートも、最初から計算に入っていません。

項目一般的な目安の前提わが家の実測(春〜初夏)
1日の消費量約1,700〜4,800Wh(節電運転の試算例)13,800Wh
消費電力合計200〜430W(同時に使うときの合計)約575W(24時間の平均)
想定している家電テレビ・照明・冷蔵庫・スマホ充電エアコン・IH・エコキュートを含む生活のすべて
容量の扱い定格容量をそのまま使うことが多い実効容量とロスで約72〜80%に目減り

1日の消費量で見ると差は約3〜8倍もあります。目安そのものが間違っているというより、読む側が前提を引き継がないまま「普段どおり暮らして1日」と受け取ってしまうところに落とし穴があります。

同じ「1日」という言葉でも、切り詰めた1日と普段どおりの1日はまったくの別物なんですよね。目安を見かけたら、必ず前提の家電構成とセットで読むようにしてみてください。

実効容量とロスで7.7kWhが約6kWhに

カタログの7.7kWhがまるごと使えるわけではなく、実際に家電へ回せるのはおよそ5.5〜6.2kWhです。(出典:シャープ「クラウド蓄電池システム JH-WB2421/JH-WB2521 仕様/寸法」)

目減りは二段階で起きます。まず劣化防止のために充放電の範囲を制限しているぶん、実効容量は定格の80〜90%にとどまります。さらに直流を交流に戻すときの変換ロスが乗ります。

停電時の持続時間を試算する土台になるのは、メーカーが性能表示ラベルで公表する「初期停電時放電容量」です。新品が停電時に満充電から使える電力量で、ここまでの目減りを織り込んだ値になります。わが家が契約したシャープの7.7kWh機(JH-WB2421+JH-55NF3)では6.7kWhと示されています。通常時の「初期実効容量」とは別項目ですが、この機種は両方とも6.7kWhで同じ値です。(出典:シャープ「クラウド蓄電池システム 性能表示ラベル一覧」)

段階7.7kWhの場合
定格容量(カタログ値)7.7kWh
実効容量(定格の80〜90%)6.2〜6.9kWh
メーカー公表の初期停電時放電容量(性能表示ラベル)6.7kWh(シャープ JH-WB2421+JH-55NF3)
劣化・低温・残量の余裕を見た本記事の試算値約5.5〜6.2kWh

率でいえば定格の72〜80%が手元に残る、という係数になります。新品を満充電から使い切れれば公表値の6.7kWhに近づきますが、経年劣化や冬の低温、停電した瞬間の残量まで考えると短めに見ておくほうが安全なので、この記事の試算はすべてこの係数で統一しています。逆にカタログの定格のまま計算すると1〜2割ぶん多く見積もることになり、「思ったより早く切れた」という後悔の多くは、ここのズレから来ているようです。

もうひとつ見落としやすいのが、停電が起きた瞬間の残量です。電気代削減を優先した運転では残量が少ないタイミングもあるので、放電下限を20〜30%残す設定にしておくと停電用の備えになります。残す分だけ普段使える電気は減るので、そこは考え方次第かなと思います。

関連記事:夜もたない原因を実測で切り分けた記事

5kWhや10kWhも検針票で何時間もつか

自宅の持続時間は、検針票の使用量と容量から割り算だけで出せます。必要なのは月間の使用量と、検討している蓄電池の定格容量の二つだけです。

  • 検針票の月間使用量(kWh)を検針日数で割り、1日あたりの使用量を出す
  • 蓄電池の定格容量に0.72〜0.8を掛けて、実際に取り出せる電気量を出す
  • 2で出した電気量を1の1日使用量で割ると、普段どおりの生活での持続日数が出る

わが家の2026年5月なら415kWhを30日で割って13.8kWh。7.7kWhに係数を掛けた5.5〜6.2kWhをこれで割ると、答えは0.4日ほど、時間にして10時間前後になります。

この式のいいところは、営業さんのシミュレーションを待たなくても、自分の家の紙一枚で検算できることですよね。容量別に並べると、判断の物差しがもう少しはっきりします。

定格容量取り出せる目安1日13.8kWhの生活で110Wの節電運転で
5kWh3.6〜4.0kWh約6〜7時間約33〜36時間
7.7kWh5.5〜6.2kWh約9〜11時間約50〜56時間
10kWh7.2〜8.0kWh約13〜14時間約65〜73時間
15.4kWh(7.7kWh×2台)11.1〜12.3kWh約19〜21時間約100〜112時間

表を眺めて分かるのは、容量を倍にしても持続時間はせいぜい倍にしかならない、という当たり前の事実です。普段どおりの生活を丸1日支えるには実効で14kWh前後、2日なら28kWh前後が必要で、家庭用の現実的な容量帯を超えてしまいます。

一方、右端の列を見ると使い方を絞ったときの伸び方のほうがずっと大きいことが分かります。答えを大きく動かすのは容量ではなく1日の消費量のほうなんです。

ここまでは何時間もつかという時間の物差しでしたが、容量を上げる選択肢を検討するなら費用の物差しも要ります。工事費込みで1kWhあたり15万〜20万円が実勢の目安とされ、容量を増やすほど負担もおおむね比例して増えていきます。何時間伸びるかと何万円増えるかを並べて見ると、判断がぶれにくくなりますよ。

金額は機種と工事条件で大きく変わるので、見積もりの妥当性はこの相場と照らして確かめてみてください。最終的な機種選定や工事の可否は、有資格の施工業者に相談するのが確実です。

エアコンとIHは停電中に動くのか

答えは条件付きでイエスです。全負荷型で200V対応の蓄電池なら動く場合がありますが、長くは使えません。エアコンのようにモーターで動く機器は起動時に大きな電流が流れ、保護機能が働いて止まる場合があるとメーカーも案内しているので、機器と自立出力の組み合わせは事前の確認が要ります。

エネすけ
エネすけ

停電中でもエアコンって動かせるの? 夏に止まったら困りそうだね。

全負荷型で200Vに対応していれば動くみたいですよ。ただ、動くことと使い続けられることは別なので、そのあたりを一緒に確かめてみましょう。

りょう
りょう

6畳用のエアコンを冷房で動かすと約500〜700W、暖房なら約600〜1,000Wが目安です。ほかを何も使わずエアコン1台だけに全部を回した場合、冷房で約8〜12時間、暖房で約6〜10時間という計算になります。

ただし現実には冷蔵庫も照明も動かしますし、部屋が広ければエアコンの消費はさらに増えます。付けっぱなしを前提に計画すると、想定より早く電池が尽きると考えておいたほうが安全ですね。

IHはもっと厳しくて、2,000〜6,000Wと家庭内で最大級の消費です。数十分の調理で蓄電池が大きく減るので、オール電化の停電時に調理を電気でまかなうのは現実的ではありません。

現実解はカセットコンロとボンベの備蓄です。調理はガス、照明と通信は蓄電池、と役割を分けておくのが素直だと思います。乾電池で点火できるガスコンロがあれば、それも停電時に使えます。

全負荷型と特定負荷型の違い

停電時にどこまで電気が届くかは、全負荷型か特定負荷型かで最初から決まっています。オール電化の家で熱源も動かしたいなら、全負荷型かつ200V対応が前提になります。

項目全負荷型特定負荷型
停電時にカバーする範囲家全体(分電盤のほぼ全回路)事前に選んだ特定の回路のみ
200V回路対応(エアコン・IH・エコキュート)多くの機種が100V回路のみで非対応
電気の減り方家中で使えるぶん早い使える範囲が狭いぶん長持ち
価格同容量の特定負荷型より高い傾向相対的に安い

気をつけたいのは、この選択は導入時に決まり、あとから全負荷化や200V対応へ変えるのは通常できないという点です。カタログの容量ばかり見て、ここを確かめずに契約すると取り返しがつきません。

とはいえ特定負荷型は使える範囲が狭いぶん電気が長持ちします。どちらが正解というより、停電時に何を動かしたいかで選ぶものかなと思います。

わが家が契約したのは家中まるごと停電に対応するタイプですが、それでも「無制限に使える」わけではありません。同時に使える電力には別の上限があり、それが次の話です。

容量より先に自立出力が壁になる

見落とされやすいのですが、停電時に同時に使える電力の上限は容量とは別に決まっています。カタログの定格出力は平常時の値であることが多く、停電時はそれより小さくなります。

項目(シャープ JH-55NF3 の公式仕様)値
系統連系時の定格出力5.5kW
自立運転時の定格出力5.5kVA
自立運転時・蓄電池のみの場合2.0kVA(7.7kWh 1台)/4.0kVA(15.4kWh 2台)
自立運転時の出力電圧単相三線 AC202V/AC101V×2
電力変換効率97.0%(力率1.0)

太陽光が発電している昼間は5.5kVAまで使えても、夜間や雨天は蓄電池だけになります。このとき出せる電力は接続台数で決まり、わが家のように7.7kWhを1台つないだ構成では2.0kVAです。5.5kVAの約36%なので、全負荷型を選んでも日が沈めば同時に使える量は3分の1近くまで減ることになります。2台つないで15.4kWhにすれば4.0kVAまで上がります。(出典:シャープ「蓄電池連携型パワーコンディショナ JH-55NF3 仕様/寸法」)

エアコンは起動の瞬間に突入電流も乗ります。そこへ調理の電力を重ねるような使い方は、容量以前に出力の壁で成立しません。何を同時に動かせるかは、容量ではなくこの自立出力の数字で確かめるのが正解ですね。

カタログでは「定格出力」ではなく「自立運転時・蓄電池のみ」の出力を確認してください。

関連記事:自立運転コンセントの場所はどこ?見つけ方と無い時の対処

EVのバッテリーを家に給電するV2Hも停電対策の選択肢ですが、元が取れる家は限られます。
関連記事:V2Hがいらない家・向く家の条件

エコキュートのお湯は残る分だけ

停電してもタンクに残っているお湯はそのまま使えます。ただし使えるのは残っている分だけで、追加で沸かすのは現実的ではありません。

注意点は湯温の調節ができなくなることです。手元で温度を確かめながら使う必要があり、やけどに気をつけてください。貯湯タンクは魔法瓶構造なので、停電してもしばらくは高温を保ってくれます。

断水を伴う場合はシャワーや蛇口からお湯は出ませんが、タンク下部の非常用取水栓から中の水やお湯を取り出せます。トイレや手洗いといった生活用水に使えるので、手順を一度確認しておくと安心です。

取り出した水はそのまま飲用にしないというのがメーカーの案内です。飲む場合は煮沸してから使ってください。取り出す湯は高温になっていることがある点にも注意が必要です。

沸き上げのほうは1日あたり約4〜12kWh、3〜4人家族で7〜10kWh程度が目安とされています。つまり7.7kWh級の蓄電池では、沸き上げ1回でほぼ全量を使い切ってしまう計算です。

しかも沸き上げや追い焚きは瞬間的に大きな電力を求める場面があり、保護装置が働いて家全体が落ちるおそれも指摘されています。停電中のお湯は「タンクにある分を使い切るまで」と割り切るのが安全です。

わが家は小さい子どもを含む4人家族ですが、停電中に沸き上げを回すことは最初から計算に入れていません。タンクに残ったお湯は体を拭く分に回して、蓄電池の残りは照明と冷蔵庫に振る。お風呂を諦める側に置いておくほうが、いざというとき迷わずに済むと思っています。

停電中にどの回路まで電気が来るかは、全負荷型か特定負荷型かで決まります。
関連記事:全負荷型と特定負荷型の違い

関連記事:エコキュートの昼間沸き上げは得?太陽光の余剰で沸かす設定を検証

太陽光を併用すると毎日補給できる

太陽光を併用すると、停電の性質が「使い切ったら終わり」から「晴れた日中に補給できる」へ変わります。ただし補給できるのは日射がある時間帯だけで、夜間の発電はゼロです。

太陽光を併用すると日中は発電した電気で家電を動かしながら蓄電池に充電できるが、夜間は発電がゼロになり蓄電池の残量だけで賄う1日の電気の流れを示した図

日中は発電した電気で家電を動かしながら、余った分を蓄電池に充電できます。晴天の日中に満充電近くまで戻せれば、停電が何日続いても最低限の生活を続けられる状態に近づきます。何日もつかという問いの答えが、構造から変わるわけです。

では実際にどれくらい戻せるのか。発電量は1kWあたり年間1,000kWh前後が一般的な目安とされ、わが家が契約した7.92kWなら年間約7,920kWh、1日平均に均すと約21.7kWhという計算になります。蓄電池から取り出せる5.5〜6.2kWhに対して、晴れた日の日中に1日分を戻すのは無理な話ではないということですね。

ただし年間平均を1日に均した数字は、冬の実力を大きく上回ります。日照時間が短く日射も弱い冬は年平均の6〜7割程度まで落ちる季節があり、冬の停電で日中に戻せる量は想像よりずっと小さくなります。あくまで年間をならした目安として読んでください。

太陽光だけでも自立運転の機能があり、停電時に発電した電気を直接使えます。ただし使えるのは自立運転用の専用コンセント(多くは1口)・合計1,500Wまでで、切り替えも手動が基本です。口数も上限も機種で違うので、手元のパワコンの取扱説明書で確かめておいてください。

メーカーの案内では冷蔵庫300W以下、洗濯機400W以下、パソコン45W程度なら使える例が挙げられています。一方でドライヤーや電子レンジのように消費電力が大きい機器は、上限に近いうえ起動の瞬間に大きな電流が流れるため、使えないことがあります。冷蔵庫や洗濯機のようにモーターで動く機器も、天候で発電が揺れると止まる場合があるとメーカーは案内しています。全負荷対応の蓄電池と組み合わせれば、この専用コンセントだけという制約からは解放されます。

併用しても残る弱点内容
夜間は発電ゼロ日没から日の出までは蓄電池の残量だけで賄う
天候依存雨や曇りが続くと充電量が減り、回復しないまま消費が進む
冬は発電が少ない日照時間が短く日射も弱いため、年間で最も発電量が少ない
出力の壁夜間・雨天は蓄電池のみの自立出力(2.0〜4.0kVA程度)に制限される
パネルの被害災害でパネルや配線が損傷していれば発電しない

つまり「太陽光があれば無限に電気が使える」わけではないんですよね。曇りや雨の日は出力が下がり、使用中の家電が不安定になることもあると案内されています。

長期化を想定するなら、蓄電池を夜に使い切らない運用が要点になります。夜間にゼロにしてしまうと、翌朝に太陽が出るまで完全に電気が無くなるからです。消費の大きい家電は、発電が最大になる正午前後に短時間だけ、という順序が現実的です。

自立運転のコンセントには、人工呼吸器など生命に関わる機器を接続しないようメーカーが注意しています。

太陽光だけの自立運転で1500Wをどう割り振るか、切り替え手順まで含めた具体的な使い方は別記事で整理しています。
関連記事:太陽光の自立運転の使い方|1500Wで動く家電と動かない家電

関連記事:太陽光は蓄電池なしで停電をしのげる?使える条件と限界

関連記事:充電時間帯の決め方

関連記事:太陽光と蓄電池の併用の使い方|設定4つと電気の流れを実測で解説

関連記事:停電の夜に太陽光は使える?蓄電池あり・なしで何が動くか

季節で6〜17時間 冬は発電も減る

同じ7.7kWhでも、季節によって持続時間は約6時間から約17時間まで動きます。いちばん厳しいのは冬です。

同じ蓄電池7.7kWhでも春秋は約11〜17時間、夏は約6〜9時間、冬は約6〜17時間・1〜2月は約6〜8時間と、季節によって持続時間が大きく変わることを棒グラフで示した比較図
季節1日の消費量(わが家の実測)7.7kWhがもつ時間日中の再充電
春・秋8.9〜11.7kWh約11〜17時間発電量は中程度。晴天なら回復が見込める
夏16.0〜21.6kWh約6〜9時間発電量は最大。回復が最も期待できる
冬8.9〜22.7kWh(1〜2月は18〜23kWh)約6〜17時間(1〜2月は約6〜8時間)発電量が年間で最少。回復量は小さい

冬が厳しいのは、消費が年間で最大になる時期と、太陽光の発電が年間で最少になる時期が重なるからです。夏も消費は大きいのですが、日中にしっかり発電できるぶん立て直しがきくんですよね。

わが家の明細では、年間の底が296kWhで冬ピークが704kWh。使用量ベースで約2.4倍という開きがあります。請求額で比べると約2.6倍になりますが、こちらは単価や燃料費調整の影響が混ざるので、持続時間の計算に使うのは使用量の比のほうです。

この冬の数字が旧居(賃貸・給湯はプロパンガス)の実測である点は、割り引いて読んでください。オール電化の新居では給湯も電気に乗るため、冬の1日消費はこれより大きくなる可能性があります。断熱等性能等級5の家である分は下がる方向で、どちらが勝つかは次の冬まで分かりません。

冬に電気で暖を取ろうとすると、持続時間はさらに縮みます。電気ヒーターは1,000〜2,000W級で、これを蓄電池でまかなうと3〜5時間で使い切る計算です。電気毛布なら50〜80W程度で済むので、同じ暖でも桁が違います。

だから冬の停電は暖房を電気以外で確保することが、持続時間を伸ばす最大の要素になります。蓄電池は照明・通信・冷蔵に温存する、という割り切りが効いてきます。

電源不要の石油ストーブやカセットガスストーブを使うときは、こまめな換気で一酸化炭素中毒を防いでください。

冬に太陽光がどれだけ発電量が落ちるかの月別目安はこちらです。
関連記事:太陽光は冬にどれだけ発電量が落ちる?月別の実測と目安

関連記事:蓄電池の冬の運用|充電モードと残量設定の切り替え方

停電前に諦める家電をW数で決める

持続時間を伸ばす最短ルートは容量を増やすことではなく、停電したら何を諦めるかを先に決めておくことです。合計110W程度まで絞れば、7.7kWhでも約2日まで伸びます。

LED照明やスマホ充電など消費電力の小さい家電は残し、IHクッキングヒーターや洗濯乾燥機など消費電力の大きい家電は諦めるという停電時の優先順位を、W数の小さい順に並べたリストで示した図

停電が起きてから考えるのでは遅いんですよね。直後は情報が乏しく、どれくらい続くか分からないまま消費だけが進みます。あらかじめ順番を決めておくことが、容量を増やすことの代わりになります。

家電消費電力の目安停電時の扱い
LED照明(1灯)10〜20W最優先で残す
スマートフォン充電15〜20W最優先で残す
Wi-Fiルーター5〜15W通信が生きていれば残す
冷蔵庫運転中50〜150W(1日0.5〜1.0kWh)残す価値が高い
テレビ50〜120W災害情報の把握に有効
電気毛布50〜80W冬の暖房では効率が良い部類
エアコン約500〜2,000W体温管理が必要な場合を除き後回し
電子レンジ・炊飯器・電気ケトル約1,000〜1,500W使うなら短時間の最小限に
IHクッキングヒーター2,000〜6,000W諦めてカセットコンロへ
洗濯乾燥機(乾燥)1,500〜2,000W諦める

表を上から下へ眺めると、残すべきものほど消費が小さく、諦めるものほど消費が大きいことが分かります。迷ったら消費電力の大きい順に切っていけば、だいたい正しい順序になります。

残す順は命の機器 照明 通信 冷蔵庫

優先順位は命に関わる機器 → 照明 → 体温管理 → 通信 → 冷蔵庫 → 情報の順で考えると迷いません。複数の解説で共通している並びでもあります。

  • 在宅医療機器(人工呼吸器・酸素濃縮器など)。最優先で電力を確保する
  • 最低限の照明。夜間の転倒やけがを防ぐ。10〜20Wと負荷が軽い
  • 体温管理。乳幼児や高齢者がいる家庭では熱中症や低体温が命に関わる
  • スマートフォンの充電。情報収集と安否連絡に不可欠で消費も小さい
  • 冷蔵庫。食品の腐敗を防ぎ、食中毒のリスクを下げる
  • テレビ・ラジオ。災害情報の把握に使う

冷蔵庫については、停電直後は通電を急がないという手もあります。扉を開けなければ冷蔵室で2〜3時間、冷凍室なら半日から丸1日は冷えを保つとされています。

復旧の見通しが立たない段階から通電させたほうが、限られた電気を有効に使えるという考え方です。詰め方は場所によって逆になり、冷凍室は凍った食品同士が保冷剤の代わりになるので詰めるほど長持ちしますが、冷蔵室は詰め込みすぎると冷気の流れが悪くなるため7割程度に留めるのが目安とされています。

わが家に当てはめると、三つ目の体温管理がいちばん悩みどころです。まだ小さい子どもがいるので、真夏や真冬の停電では順位を機械的に守るより、体温管理を照明の次まで上げる判断もあるかなと思っています。家族構成によって並びは動く、というくらいに受け取ってもらえたらと思います。

在宅で医療機器を使っているご家庭は、蓄電池だけに頼らない備えが要ります。機器ごとの必要電力や停電時の対応は、主治医や機器メーカーに必ずご相談ください。

照明と冷蔵庫とスマホなら約2日

照明40Wと冷蔵庫50W、スマホ充電20Wの合計110Wまで絞ると、7.7kWhの蓄電池は約50〜56時間、およそ2日もつ計算になります。

ここでの2日は、前に触れた「6kWhで1日」という目安とは土台が違います。あちらは定格容量をそのまま使った一般論の数字で、こちらは実効容量とロスを引いた5.5〜6.2kWhを110Wで割った値です。

同じ日数の表現でも土台が違うので、目安を比べるときは前提までセットで見てください。

前半で出した数字も含まれますが、絞り方の段階ごとに一枚で見比べられるよう、間の水準も足して並べ直しました。上から下へ、少しずつ生活を戻していく順番だと思って見てください。

残す家電の合計1日の消費量7.7kWhがもつ時間
約21〜42W(冷蔵庫だけを動かす)0.5〜1.0kWh約6〜12日
110W(照明・冷蔵庫・スマホ充電)2.6kWh約50〜56時間(約2日)
200W(テレビやWi-Fiを追加)4.8kWh約28〜31時間(約1.2日)
約413W(年間でいちばん使わなかった月の水準)9.9kWh約13.3〜15.0時間
約575W(普段どおりの生活)13.8kWh約9.6〜10.8時間

普段どおりから110Wまで落とすと、同じ蓄電池で持続時間はおよそ5倍になります。容量を5倍にするのは無理でも、使い方を絞るのは今日からでも決められることですよね。

停電前にやっておく一手間

停電したらどの家電のブレーカーを落とすかを紙に書き、分電盤の近くに貼っておく。決めて共有しておくこと自体が、追加の費用をかけずに容量の不足を補える対策になります。

蓄電池が停電で何日もつかのよくある質問

停電したとき、蓄電池は自動で自立運転に切り替わりますか?

機種によります。停電を検知して自動で自立運転へ移る機種もありますが、無停電電源装置(UPS)ではないため数秒の瞬断が生じるという説明が一般的です。太陽光の自立運転コンセントのほうは手動切替が基本で、パワコンの操作手順を知らないと停電時に使えません。パソコンや録画機器など瞬断で困る機器がある場合は、別途UPSの検討も要ります。切替方式は機種ごとに違うので、取扱説明書やメーカー公式サイトでご確認ください。

寒冷地でも停電時に蓄電池は使えますか?

使える機種が多いですが、動作温度の下限を先に確認してください。たとえばシャープの7.7kWh蓄電池は公式仕様で動作温度が−10℃〜+40℃、組み合わせるパワーコンディショナの使用周囲温度は−20℃〜40℃と示されています。屋外に置く前提で外気が下限を下回る地域では、この範囲が機種選定の条件になります。冬は消費が増えて発電が減る時期でもあるので、寒冷地では容量よりも設置場所と温度条件のほうが先に効いてくる場合があります。対応の可否は機種ごとに違うため、メーカー公式の仕様と設置環境を施工業者にご確認ください。

ポータブル電源では蓄電池の代わりになりませんか?

用途を絞れば十分に選択肢になります。相場は300Wh前後で2万〜3万円、1,000Whを超えると10万円以上とされ、据置型よりずっと安く始められます。ただし家の分電盤には接続できず延長コード運用になるので、家全体を賄うことはできません。調理はカセットコンロ、照明とスマホはポータブル電源というように手段を分ける考え方なら、停電対策として現実的だと思います。

あとから蓄電池を増設して容量を増やせますか?

機種によっては可能です。7.7kWhを2台にして15.4kWhにする構成のように、増設に対応する製品があります。ただし設置から5年以内といった期限が付く例もあり、あとから自由に足せるとは限りません。増設のときにも追加の工事費がかかる場合があるので、初期構成と増設した場合の総額を施工店の見積もりで比べたうえで、必要な容量を最初に見極めておくと判断がぶれにくいと思います。

停電が1週間以上続いたらどうすればいいですか?

蓄電池だけで1週間を賄う設計は現実的ではありません。過去には台風15号で千葉県の99%復旧までに約12日かかった例もあります。太陽光を併用して日中に補給する、消費を110W前後まで絞る、調理や暖房を電気以外の手段へ逃がす、という三つを組み合わせて生活を縮小するのが基本になります。あわせて自治体の給電支援や避難所の情報も確認しておくと安心です。

蓄電池7.7kWhの停電対策は優先順位で決まる

エネすけ
エネすけ

結局さ、7.7kWhだと何日もつって言えばいいの?

普段どおりなら約10時間、絞れば約2日ですね。答えが一つに決まらないところが、この質問のいちばん大事なポイントかなと思います。

りょう
りょう

この記事の要点を並べておきます。停電で何日もつかは容量だけでは決まらず、何を動かすかで答えが数倍動きます。

蓄電池7.7kWhの実効容量は5.5〜6.2kWh、普段どおりなら約10時間・絞れば約2日、季節で6〜17時間動くなど記事全体の要点を1枚にまとめた俯瞰図
  • 7.7kWhから停電時に取り出せるのはメーカー公表の初期停電時放電容量で6.7kWh、劣化や残量を見込むと約5.5〜6.2kWh
  • 普段どおりの生活(1日13.8kWh)なら約10時間、冬並みに使う日なら約6時間
  • 「6kWhで1日」は合計200〜430Wまで絞った節電運転を前提にした目安
  • 全負荷型でも夜間・雨天は自立出力が落ち(7.7kWh1台なら2.0kVA)、大物家電の同時使用は難しい
  • 太陽光の併用で晴れた日中は補給できるが、夜間はゼロで冬は発電が最少
  • 照明・冷蔵庫・スマホの110Wまで絞れば約2日。効くレバーは容量より1日の消費量

私自身は2026年8月18日に設置を終えたばかりで、ここに書いた数字は自宅の明細とメーカーの公表仕様から組み立てた計算です。これから実際の発電量と蓄電池の動きを実測して、この試算がどれだけ合っていたかを確かめていきます。

容量や出力の仕様は製品ごとに違うので、検討中の機種の数値は必ずメーカー公式サイトでご確認ください。ご家庭の状況に合わせた設計や工事は、有資格の業者や専門家にご相談いただくのが確実です。ここに挙げた数値はあくまで目安として、判断の入口に使ってもらえたらうれしいです。

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実測データから蓄電池の必要性が見えてきたら、太陽光とまとめて依頼できるサービスを確認しておくと話が早く進みます。
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  • この記事を書いた人

りょう / エネすけ運営者

関西の新築一軒家(オール電化)で、妻と子ども2人と暮らす一般の施主です。2026年8月に太陽光7.92kW+蓄電池7.7kWhを設置しました。導入前24ヶ月分の電気代実測をもとに、「太陽光は本当に元が取れるのか」を導入前後の比較で検証していきます。

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