こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。
太陽光の収支を調べていると、必ず出てくるのが「自家消費率」。発電した電気を、どれだけ家で使えたかを表す指標です。ただ「平均は30%」と言われても、自分の家がどうなるのかは分かりませんよね。
わが家は2026年8月18日に、7.92kWの太陽光と7.7kWhの蓄電池が動き出しました。稼働初日のモニタに出た自家消費率は97%。ところが初月(8月18〜31日)の実測を集計すると、37.6%でした。
初日の97%は驚く数字ではありません。連系当日は蓄電池が空で、発電のほとんどが充電に吸い込まれるからです。実際、表示と同じ15時11分の電力の流れを分解すると、発電の76.5%は「蓄電池に入れただけ」。買電を減らす実力で見ると約86%相当でした。
この記事では自家消費率の計算方法と平均値、上げ方までひと通り整理します。あわせて「率が高い=得」とは限らない理由も、わが家の数字で見ていきますね。
手元の月次実測は、まだ初月(2026年8月18〜31日)だけです。月ごとの数字が貯まるたびに、この記事へ追記していきます(初月の実測は本文後半へ)。
- 自家消費率の計算方法と、よく混同される自給率との違い
- 国が置く平均30%・実績の35.2%・わが家の提案書21%の読み分け
- 初日表示97%が初月実測37.6%になった理由と、買電削減ベースでは86%相当になる内訳
- 自家消費率を上げる手段を同じ分母でポイント換算した効果順
太陽光の自家消費率とは売らずに使った割合
自家消費率とは、太陽光が発電した電気のうち売らずに家で使った分の割合です。計算式は「自家消費量 ÷ 発電量」。残りは余剰電力として系統へ流れ、売電収入になります。

住宅用の標準は、この余りを売る「余剰売電型」です。発電のすべてを家で使い切る日はめずらしく、たいていは余りが出ます。
蓄電池への充電は系統に流れないため、充電した時点で自家消費に計上されるのが一般的な定義です。
ここが後で効いてきます。充電した電気は、まだ家の電気を置き換えていません。実際に置き換わるのは、放電したあとです。
わが家のモニタ(シャープ JH-RWL8)にも「今日の自家消費率」の表示があります。公式の説明は「発電した電力のうち何%を自宅で活用できたか」。日単位の値なので、天候と運転モードで大きく振れます。
自家消費率の計算方法と自給率の違い
自分の家の自家消費率は、モニタやアプリの数字だけで出せます。必要なのは発電量と売電量の2つだけです。
- モニタやアプリで、1か月分の発電量(kWh)と売電量(kWh)を控える
- 自家消費量 = 発電量 − 売電量 を出す
- 自家消費率 = 自家消費量 ÷ 発電量 で割り出す
- 自給率 = 自家消費量 ÷(自家消費量 + 買電量)も併せて出す
混同されやすいのが自給率です。自家消費率は分母が発電量、自給率は分母が家の消費量。同じ家の同じ月でも、2つの値は一致しません。
| 指標 | 式 | 分母 | 上がる方向 |
|---|---|---|---|
| 自家消費率 | 自家消費量 ÷ 発電量 | 発電量 | 発電した電気を家で使い切るほど上がる |
| 自給率 | 自家消費量 ÷ 家の消費量 | 消費量 | 家で使う電気を自前でまかなうほど上がる |
違いは容量を動かすとはっきりします。パネルを増やせば分母の発電量が増えるので、自家消費率は下がって自給率は上がる。逆に容量を絞れば、自家消費率は上がって自給率は下がります。
つまり自家消費率100%は「発電を1kWhも余らせなかった」という意味です。家の電気をすべて自前でまかなえた、という意味ではないんですよね。
自家消費率は高いほど得とは限らない
自家消費率って、高ければ高いほどいいんだよね?
そう思いますよね。でも率は割り算なので、分母の発電量が小さいだけでも上がってしまうんです。
えっ、発電してない日のほうが数字はよく見えるってこと?
そうなんです。だからうちも97%で喜ぶ前に、中身を確かめてみました。
先に結論です。自家消費率は率であって金額ではありません。率が低い家のほうが、自家消費の絶対量も便益も大きいことがあります。

比べるなら「自家消費量×自家消費の単価 + 売電量×売電単価」の合計金額です。率だけを他の家と並べても、判断を誤ります。
もうひとつ、率を上げても減らない費用があります。わが家のはぴeタイムRは、基本料金が最初の10kWまで月2,842.84円(2026年11月1日改定後。10月までは2,409.40円)。使った量ではなく、契約の大きさで決まる固定費です。
昼安のプランはもっと極端です。東京電力のおひさまエコキュート専用プランは、120kWhまで月3,670.40円の定額。買電をそれ以下に減らしても、この部分は残ります。
自家消費率を上げきった先では、1kWhあたりの実効単価がむしろ上がることもあります。
最後の数ポイントを買う手段は、たいてい蓄電池です。補助事業外の標準的な水準で、設備費15万〜20万円/kWhに工事費2万円/kWhが乗ります。いちばん高い設備を、いちばん効きにくい部分に足す形ですね。
しかも蓄電池を通した電気は、充放電ロスの分だけ目減りします。表示の率は上がるのに、削減額はその分だけ小さい。この差は後の章で数字にします。
発電が少ない日ほど率は高く出る
自家消費率は分母が発電量です。だから需要の出方が同じなら、発電が少ない日ほど率は高く出ます。曇りの日の高い数字は、うれしい知らせとは限りません。
わが家の数字で検算してみます。提案書の年間発電量は8,645kWhで、1日平均だと約23.7kWhです。
大阪の全天日射量は8月が18.4MJ/m²、年平均が13.6MJ/m²(気象庁の平年値)。比は約1.35なので、8月は1日32kWh前後の発電が見込めます。(出典:気象庁『大阪(大阪府)平年値(年・月ごとの値)』)
対する需要は、施工直前の2026年7月で549kWhでした。1日あたり約17.7kWhです。この量をどれだけ昼へ寄せられるかが、率の上限を決めます。
昼にそのまま使える分を1日需要の3〜4割(5.3〜7.1kWh)、蓄電池の実効容量を6.7kWhと置くと、自家消費できる上限は12.0〜13.8kWh。32kWh発電する日なら、率の天井は約37〜43%です。
この置き方だと、夏の晴天日に97%は出ません。稼働初日の97%は、その日の発電が小さかったことの裏返しと読むのが自然です。
容量の違う家どうしを比べにくいのも、同じ理屈から来ています。容量を絞った家の90%と、大きく載せた家の35%。後者のほうが自家消費の絶対量は多い、ということが起こります。
関連記事:太陽光の発電量の目安は?1kWあたりの年間量と7.92kW実測
全量自家消費は住宅では選べない
「売電をやめて全部自分で使えばいい」という発想は、住宅ではほぼ選べません。機器の側にも制度の側にも制約があります。
全量自家消費型は、系統へ電気を流さない前提の接続方式です。逆潮流を検知するとRPR(逆電力継電器)が働き、発電そのものを止めます。余った電気は売られるのではなく、捨てられる形です。
需要より発電が上回る状態が続くと、RPRは繰り返し作動します。発電ロスが大きくなるうえ、設備の劣化が進む原因にもなると大手電力は説明しています。
そもそも住宅の昼間は、需要が薄い時間帯です。妻が64歳以下の世帯で見ると、2024年の共働き世帯は1,300万世帯、専業主婦世帯は508万世帯。昼に人がいない家では、捨てる時間が長く発生します。
制度の側も出口がありません。FIT期間中は、設備を廃止しない限り制度から離脱できないとされています。二段階買取の適用案件は、特定契約によらない売電ができない条件付きの認定です。
5年目に単価が落ちてから「売るのをやめて自家消費に全振り」という制度上の切り替えはできません(物理的に自家消費を増やすことは可能です)。
ZEHの定義でも、再生可能エネルギーの導入要件は「容量不問。全量売電を除く」と書かれています。制度は自家消費を伴う導入を前提に組まれている、と考えておくとよさそうです。(出典:資源エネルギー庁『ZEHの定義(改定版)』)
家庭用の平均30%とわが家の提案書21%
よく見かける「一般家庭の平均30%」は、国が価格算定のために置いた想定値です。実測を集計した平均ではありません。(出典:調達価格等算定委員会『令和8年度以降の調達価格等に関する意見』)
同じ「平均」という言葉で、性質の違う3つの数字が流通しています。分けて並べると、自分の家の位置づけが見えてきますよ。
| 数字の出どころ | 値 | 性質と注意点 |
|---|---|---|
| 国の想定値(FIT価格算定) | 自家消費率30%(余剰売電比率70.0%) | 2026・2027年度の調達価格を逆算するための前提。置いた値であって実測平均ではない |
| 定期報告からの実績値 | 自家消費率 平均35.2%・中央値39.3% | 2025年1〜8月に収集。蓄電池なしのシングル発電案件だけを分析した値 |
| 事業者のシミュレーション | 案件ごとに異なる(わが家の提案書は21%) | 営業提案の前提。国の想定より低く置かれることもある |
実績の中央値は39.3%。半数の家は約39%より上にいる計算になります。「平均30%」は国の想定としては正しくても、直近の実績としては低めですね。
気をつけたいのは、この実績値が蓄電池なしの家の値という点です。太陽光を持つ世帯のうち蓄電池を使っているのは26.4%(2023年度)で、併設世帯だけを集めた公的統計はまだありません。
蓄電池のある家が、自分のモニタ値をこの35.2%と比べても意味は薄い。単純に土俵が違います。
そしてわが家の提案書です。月の前提は自家発電720kWh・自家消費152kWh・余剰568kWh。自家消費率は152÷720で約21%でした。
7.7kWhの蓄電池を併設する提案なのに、蓄電池なしの平均を下回る置き方です。その結果、月17,217円という効果額のうち、売電収入8,281円が最大項目になっていました。
自家消費率を実勢並みに置き直せば、内訳は売電が減って電気代の削減が増える方向へ動きます。営業の試算を見るときは、この前提を確かめておくと安心かなと思います。
平均値と見比べるときの注意
モニタが出すのは「今日」の値、国の実績値は年間の集計です。期間の桁が違う数字を並べると、誤読につながります。
稼働初日の表示97%を分解してみた

わが家のモニタに出た自家消費率は97%。ただしこれは稼働初日の、しかも1時点の表示です。実際、初月(8月18〜31日)を集計した自家消費率は37.6%でした(この章の末尾に追記しています)。

記録しているのは2026年8月18日15時11分のモニタ画面です。連系運転中で、発電2.00kW・充電1.53kW・消費0.42kW・売電0.05kW。当日の自家消費率が97%と表示されていました。
そもそも連系当日の午後は、空の蓄電池に発電のほとんどが吸い込まれていく時間帯です。97%はむしろ当然の数字で、設備の実力を示すものではありません。ここからは、この15時11分の電力の流れを分解していきます。
15時11分の内訳では76.5%が充電
この15時11分の数字を発電比で並べ直すと、印象がだいぶ変わります。発電の76.5%は、蓄電池に入れただけでした。
| 電気の行き先 | 電力 | 発電に占める割合 |
|---|---|---|
| 蓄電池への充電 | 1.53kW | 76.5% |
| 家の消費(そのまま使用) | 0.42kW | 21.0% |
| 売電(系統へ) | 0.05kW | 2.5% |
そのとき家で使っていたのは0.42kW、割合にすると21.0%です。残りは充電と、わずかな売電でした。
充電した分は、この時点ではまだ家の電気を1kWhも置き換えていません。置き換わるのは放電したあとです。定義上は自家消費でも、家計への効き方には時差があるんですね。
買電削減ベースでは約86%相当だった
この15時11分に系統へ流さなかった割合は、(2.00−0.05)÷2.00で97.5%。ただし充電した電気は、入れた量のまま戻ってきません。買電削減ベースに置き直すと、97.5%は86%相当まで下がります。
わが家の蓄電池ユニット(JH-WB2521)は、JIS性能表示ラベルのシステム充放電効率が85.4%。充電した1kWhのうち、取り出せるのは0.854kWhです。(出典:シャープ『蓄電池 JIS性能表示ラベル一覧』)
この効率を通して計算し直します。0.42kW + 1.53kW × 0.854 = 1.727kW。発電2.00kWで割ると約86%になりました。
差は11ポイント。これが蓄電池を経由したことによるロスです。表示の率と実際の削減率は、発電のうち蓄電池を経由する割合が大きいほど離れていきます。
自家消費率の分子には充電時の満額が乗るのに、削減額は目減りしたあとの量という非対称があります。
上位の解説記事が「蓄電池で自家消費率が上がる」と書くとき、たいていこのロスは省かれています。上がるのは表示の率、というのが正確なところかなと思います。
97%はクリーンモードと天候の結果
97%という数字は、設備の性能というより設定と条件の結果です。同じ設備でも、運転モードを変えれば率は大きく動きます。
稼働初日の運転モードはクリーンモード(夜間充電なし)でした。太陽光の余剰でまず充電するモードで、メーカーは自家消費を優先する使い方として案内しています。
| 運転モード | 充電のしかた | 売電への影響 |
|---|---|---|
| クリーンモード(夜間充電なし) | 太陽光の余剰電力で充電し、買電中に放電 | 余剰がまず充電に回るため売電量は最小 |
| 経済性モード(自動) | 夜間時間帯に充電し、それ以外の買電中に放電 | 昼の余剰は系統へ流れるため売電量は多め |
経済性モードにすると、昼の余剰は充電に使われず系統へ流れます。売電量は増え、表示の自家消費率は下がる。設定ひとつで数字が入れ替わるわけです。
その日の天候も条件のうちです。15時11分の発電2.00kWは、7.92kWの定格に対して約25%。南向き片流れの晴天としては、かなり低い出力でした。
だから97%を語るときは、設備・モード・天候の3つをセットで書く必要があります。数字だけが独り歩きすると、読む人の家には当てはめられませんからね。
追記:稼働初月の自家消費率は37.6%だった
【2026年9月1日追記】お約束していた月次実測の1回目です。8月分(8月18日の連系から31日まで。18日は午後だけの部分日)の月別履歴が、モニタで見えるようになりました。
本文の手順どおり、発電量と売電量から計算します。発電505.4kWh−売電315.3kWh=自家消費190.1kWh。自家消費率は190.1÷505.4で37.6%でした。
初日の97%は、月の集計では跡形もありません。位置づけは提案書の21%より高く、国の想定30%や蓄電池なしの実績平均35.2%を少し上回るあたりです。
そして本文で書いた「発電が少ない日ほど率は高く出る」が、日別の実測でそのまま出ました。同じ家の同じ週でも、率は3倍近く動きます。主な理由は発電量の落ち込みですが、その日の使い方の違いも多少は効いています。
| 日 | 天気の傾向 | 発電量 | 売電量 | 自家消費率 |
|---|---|---|---|---|
| 8月24日 | 晴天 | 46.2kWh | 34.9kWh | 約24% |
| 8月28日 | 曇雨天 | 24.1kWh | 8.0kWh | 約67% |
率が高かったのは曇りの日のほうです。もちろん家計に良かったのは発電も売電も多い晴天の日で、「率の高さは良い知らせとは限らない」を自分の家で確認する形になりました。
ついでに指標の罠をもうひとつ。モニタの当月自給率は182%と表示されていました。数字を突き合わせると、これは発電量÷消費量(505.4÷276.9)の定義です。本文の式(自家消費量÷消費量)で出すと190.1÷276.9で68.7%。同じ「自給率」という名前でも、機器の定義しだいで倍以上違って見えます。
生活のほうも少し変わりました。夜にしか回していなかった食洗機を晴れた日の昼に回すようになり、衣類乾燥機も「どうせ0円だし」と昼に気軽に使っています。本文の効果順で言う家電の昼シフトは、費用ゼロなのもあって自然に始まりますね。
連系から約2週間・夏の値である点にはご注意ください。冬は給湯の負荷が増えて発電が減るため、率はここから動くはずです。月次がそろい次第、この追記を重ねていきます。
自家消費と売電はどっちが得か
売るのと使うの、結局どっちが得なのかな?
1kWhの値段で比べると分かりやすいですよ。うちのプランだと、昼に使う電気は30円前後でした。
じゃあ売電より使ったほうが得ってこと?
そこが少しややこしくて。蓄電池に貯めて夜に使う場合は、話が変わるんです。
結論から言うと、わが家の単価条件では、昼にそのまま使える負荷へ回すのが最優先です。判断が割れるのは「余った分の行き先」だけですね。

まず自家消費1kWhの価値を出します。買わずに済んだ電気代のことで、電力量料金に再エネ賦課金4.18円/kWhを足した額が目安になります。毎月変わる燃料費調整額や政府の値引き支援は含めていないので、実額はここから動きます。
| 時間帯(はぴeタイムR・2026年11月1日改定後) | 電力量料金 | +賦課金 | 自家消費1kWhの価値 |
|---|---|---|---|
| デイタイム 夏季(平日10〜17時・7〜9月) | 29.59円/kWh | 4.18円/kWh | 33.77円/kWh |
| デイタイム その他季(平日10〜17時) | 26.96円/kWh | 4.18円/kWh | 31.14円/kWh |
| リビングタイム(平日7〜10時・17〜23時ほか) | 23.52円/kWh | 4.18円/kWh | 27.70円/kWh |
| ナイトタイム(毎日23〜翌7時) | 16.00円/kWh | 4.18円/kWh | 20.18円/kWh |
わが家の請求ベースの実効単価は、2026年7月で約31.8円/kWhでした。ただしこれは基本料金や燃料費調整も混ざった総平均で、昼の電気を減らしたときの価値そのものではありません。それでも表のデイタイムと同じオーダーではあるので、昼に1kWh使えたときの価値はおおむね30円前後と置いておきます。
売電側は2026年度の認定で、1〜4年目が24円/kWh、5〜10年目が8.3円/kWhです。卒FIT後は国の想定で10.0円/kWh。単価が途中で3分の1に落ちる形ですね。
この段差があるせいで、最初の4年と5年目以降で最適な運用が入れ替わります。順に見ていきます。
FIT1〜4年目は貯めるより売るが有利
意外に思われるかもしれません。最初の4年は、余剰を蓄電池に貯めるより売るほうが得という計算になります。
理由は充放電ロスと夜間単価です。昼の余剰1kWhを充電しても、夜に取り出せるのは0.854kWh。それがナイトタイムの買電を置き換えます。
0.854kWh × 20.18円/kWh = 約17.23円/kWh。これが「貯めて夜に使う」1kWhの価値です。売電24円/kWhのほうが、7円近く高いことになります。
つまりこの区間は、昼の余りを売って夜は安い電気を買うほうが有利です。夜間が割安なプランを契約していることが前提の話ですね。
優先順位で書くと、1〜4年目は「昼に直接使う > 売る > 蓄電池に貯める」。運転モードを選ぶときの、そのまま判断材料になります。
5年目に8.3円へ落ちて価値が反転する
5年目に売電単価が8.3円/kWhへ落ちると、評価は逆転します。貯めて夜に使う約17.23円のほうが、8円以上高くなるからです。
| 期間 | 売る | 貯めて夜に使う | 有利なのは |
|---|---|---|---|
| 1〜4年目 | 24円/kWh | 約17.23円/kWh | 売る(+6.77円/kWh) |
| 5〜10年目 | 8.3円/kWh | 約17.23円/kWh | 貯める(+8.93円/kWh) |
| 卒FIT後 | 10.0円/kWh(国の想定) | 約17.23円/kWh | 貯める(+7.23円/kWh) |
卒FIT後も向きは同じです。買取メニューの実勢は平均10.0円/kWh・中央値9.5円/kWh。貯めて使うほうが有利な状態が続きます。
では自家消費率の1ポイントが、いくらの話になるのか。年間発電8,645kWhなら1ポイントは86.45kWhです。売電へ回していた分を昼にそのまま使う側へ振り替えた場合、5〜10年目の単価差22.84円/kWh(デイタイムその他季31.14円 − 売電8.3円)をかけて年1,975円ほどになります。
提案書の21%を国の想定30%まで上げれば、同じ条件の9ポイント分で年1万7,000円ほど。パネルを増やさなくても、振り分けを変えるだけで動く金額です。
5年目以降は、増えた発電をそのまま売電に回すなら、発電量を1割増やす(8.3円/kWhで約7,200円)より自家消費率を10ポイント上げる(約2万円)ほうが効く計算になります。
ただし単価も料金プランも、年度で変わります。ここに挙げた金額はあくまで目安として見てくださいね。
自家消費率を上げる方法を効果順に並べる
上げ方はいくつもありますが、効き方の桁が違います。費用ゼロで動かせるのは、理論上の合計で14.7ポイント前後。そこから先は設備投資の話になります。

わが家の年間発電量8,645kWhを分母にそろえて、各手段が昼へ移せる量をポイントに直しました。1ポイントは86.45kWh/年です。移せる量は、給湯機が統一省エネラベルの想定(一般地・4人世帯で年1,389kWh)、家電がメーカー公表条件での試算例です。機種や住まい方で変わるので、順番を見るための目安として読んでくださいね。
| 手段 | 移せる年間電力量 | 自家消費率ポイント |
|---|---|---|
| 蓄電池7.7kWh(実効6.7kWh)を毎日満充放電 | 2,446kWh | 約28.3ポイント(理論上限) |
| おひさまエコキュート(昼間沸き上げ比率80%) | 1,111kWh | 約12.9ポイント |
| 既存エコキュートのソーラーチャージ(昼50%) | 695kWh | 約8.0ポイント |
| ドラム式洗濯乾燥機を昼に運転(毎日1回) | 292kWh(0.80kWh/回×365日) | 約3.4ポイント |
| 食器洗い乾燥機を昼に運転(毎日1回) | 281kWh(0.77kWh/回×365日) | 約3.3ポイント |
並べてみると、蓄電池が突出して、次が給湯機。家電の昼シフトは1つあたり3ポイント台です。洗濯を昼に回すだけで率が跳ね上がることはありません。
とはいえ家電の昼シフトは追加費用ゼロ。洗濯乾燥と食洗機の2つで約6.7ポイントです。既存エコキュートのソーラーチャージと合わせれば、設備投資なしで約14.7ポイント。ただしこれは3つとも新たに昼へ移せた場合の上限で、実際の増分はこれを下回ります。
提案書の21%を起点にすれば、単純計算では35.7%。お金をかけずに国の想定30%を超えられる余地はある、という見方ができます。順番はコストのかからないほうから考えるのがおすすめです。
- 家電のタイマーを昼へ動かす(費用0円・1機器あたり約3ポイント)
- 既存エコキュートのソーラーチャージを入にする(費用0円・約8.0ポイント)
- 給湯機の買い替え時に昼間沸き上げ形を選ぶ(約12.9ポイント)
- 蓄電池を導入する(効果は最大だが費用も最大)
- EVやV2Hを使う(昼に車が家にいる前提が必要)
注意点がひとつあります。給湯機・家電・蓄電池は、同じ昼の余剰を奪い合う関係です。晴れた日は全部立ちますが、余剰が少ない日は優先順位で決まるので、単純な足し算にはなりません。
ソーラーチャージには上限もあります。パナソニックは対応機種について「年間を通して昼間消費電力量比率は50%以下」と公式に示しています(他社の同種機能の上限は未確認です)。設定を入にすれば給湯の全量が昼へ移る、というわけではないんですね。(出典:パナソニック『ソーラーチャージ|エコキュート 特長一覧』)
蓄電池で自家消費率はどのくらい上がるか
わが家の7.7kWh(初期実効容量6.7kWh)を毎日満充放電できたとして、上げ幅の上限は約28.3ポイントです。ただしこれは理論値になります。
計算は6.7kWh×365日で年2,446kWh。これを分母の8,645kWhで割ってポイントに直した値です。冬や雨の日は余剰そのものが足りず、充電しきれません。
効き方には天井もあります。国のモデル試算(5kW・設備利用率14%・蓄電ロス20%)では、必要十分な蓄電池を置くと発電量と需要量がほぼ同程度になる、という結果が示されています。
そこから先は余剰が残らないので、容量を足しても率は伸びません。蓄電池の容量に比例して自家消費率が上がり続ける、という話ではないわけです。
費用も見ておきます。公的に確認できる価格水準は、補助事業データで設備費11.1万円/kWh+工事費1.0万円/kWh。補助事業外なら設備費15万〜20万円/kWhに工事費2万円/kWhが目安です。
率の最後の数ポイントを買う手段としては、いちばん高い買い物になります。効果と費用を並べて、家計に合うかで判断したいところですね。
蓄電池で売電単価は下がる?
下がりません。単価を分けていた「ダブル発電」の区分は2019年度に廃止され、いまは蓄電池を併設してもシングル発電と同じ単価です。
太陽光の自家消費率のよくある質問
モニタに自家消費率の表示がない機種でも計算できますか
できます。必要なのは発電量と売電量の2つで、この2つはたいていの機器やアプリが月単位で出してくれます。発電量から売電量を引けば自家消費量、それを発電量で割れば自家消費率です。月ごとに記録しておくと、季節による動きも見えてきますよ。
自家消費率は何%を目指せばいいですか
目標の数字を決めるより、金額で考えるほうが失敗しにくいです。国が価格算定で置く想定は30%、蓄電池なしの実績は平均35.2%・中央値39.3%なので、まずはこのあたりが目安になります。ただし率を上げる費用が削減額を上回れば意味がないので、手段ごとの費用と効果を見比べて決めてください。
東西向きの屋根だと自家消費率は上がりますか
上がる可能性はありますが、発電量そのものは落ちます。傾斜30度など条件をそろえた民間の試算では、真南を100とすると東西面は約83〜85%が目安。屋根勾配や影の付き方で幅が出ます。一方で発電のピークが朝夕にずれるため、昼の在宅が少ない家では使うタイミングと噛み合うことがあります。率は上がっても総量は減るので、屋根の向きは新築の設計段階で総合的に判断したいところです。
出力制御で売電できなくなるから自家消費を増やすべきと言われました
住宅用の10kW未満は、当面の間は出力制御の対象外という整理です。制御が最も多い九州エリアでも、10kW未満は対象外と案内されています。ただし将来的に対象となる可能性は否定されていないので、最新の扱いは各送配電会社の公式情報でご確認ください。
自家消費率は一年のうちどの月が高くなりますか
わが家はまだ通年の実測がないので予測になりますが、冬が高く春が低く出ると見ています。冬は給湯の負荷が最も重く日射が最も少ない一方、春は日射が最大で余剰が増えるためです。ここで注意したいのは、率が最も高い月が家計にとって最も良い月とは限らないこと。発電量が小さいから率が高いだけ、という月もあります。
乾燥機や食洗機などを昼へ移して自家消費を増やすやり方と、売電単価で変わる損得はこちらで解説しています。
関連記事:太陽光の昼間に家電を動かすと得か
自家消費を増やす具体例として、衣類乾燥機を昼に回すか夜に回すかの1回あたりの差額を売電単価別に試算しています。
関連記事:衣類乾燥機を晴れた昼に回したときの電気代と昼夜の差額
太陽光の自家消費率は率でなく金額で見る
結局、自家消費率って高ければいいわけじゃないんだね。
そうなんです。同じ発電量をどこへ振り分けたかで金額が決まる、という感じですね。
自家消費率は、太陽光の収支を読むうえで欠かせない指標です。ただ率そのものを他の家と競っても、家計は良くなりません。要点をまとめます。

- 自家消費率 = 自家消費量 ÷ 発電量。分母が発電量なので、発電が少ない日や容量の小さい家ほど高く出る
- よく見る平均30%は国が価格算定で置いた想定値。蓄電池なしの実績は平均35.2%・中央値39.3%
- わが家の初日表示97%は条件込みの一時的な数字で、初月(8月18〜31日)の実測は37.6%。同時刻の流れで見ると発電の76.5%は蓄電池へ充電しただけだった
- 充放電効率85.4%を通すと、買電削減ベースでは約86%相当。蓄電池を経由する割合が大きいほど表示と実力は離れる
- 2026年度の売電単価は1〜4年目24円・5年目以降8.3円。貯めて夜に使う価値は約17.23円で、5年目に評価が反転する
- 上げる手段は家電の昼シフトとソーラーチャージで理論上約14.7ポイント。蓄電池は最大だが費用も最大
ここに書いた数値は、わが家の条件(関西・南向き片流れ・オール電化・はぴeタイムR)での目安です。FITの単価も電気料金プランも年度で変わるので、正確な情報は公式サイトをご確認ください。
契約や設備の判断は金額が大きくなります。見積書を手元に置いて、最終的には専門家にご相談ください。設置や電気の工事は、資格を持つ業者の領域です。
最後にもう一度お伝えします。手元の月次実測は、まだ初月(8月18〜31日)の分だけです。初月の自家消費率37.6%は本文に追記したので、月ごとの数字が貯まり次第さらに重ねていきますね。
