こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。
「オール電化とプロパンガス、結局どっちが安いの?」と調べていると、平均値をもとにした比較ばかりが出てきて、自分の家に当てはめづらいんですよね。プロパン物件にお住まいの方も、これから家を建てる方も、知りたいのは平均ではなく「実際にいくら払うことになるのか」だと思います。
私はちょうど2026年4月まで賃貸アパートでプロパンガス併用の暮らしをしていて、5月から新築のオール電化に移りました。ガスの明細34か月分と電気の明細24か月分が手元にあるので、この記事では同じ家族が両方に住んだ実額でどちらが安いのかを比べます。
そのうえで、あなたの家では結論がひっくり返るのかどうかまで判断できるように、条件ごとの分かれ目も整理しますね。数字はどれも一定の条件を置いた目安なので、最後はご自宅の検針票と突き合わせて読んでみてください。
- 同じ家族がプロパン併用とオール電化の両方に住んだ光熱費の実額
- 使わなくても毎月かかるガスの固定費がいくらだったか
- 在宅時間・使用量・ガス種で結論が逆転する条件の見分け方
- 切り替え費用と補助金を差し引いた回収年数の目安
結論はオール電化が安い。逆転する条件
先に結論をお伝えすると、今プロパンガスの物件に住んでいるなら、光熱費はオール電化のほうが安くなる可能性が高いです。わが家の実測でも、プロパン併用だった2025年の光熱費は年325,000円かかっていました。冷暖房がほとんど要らない5月・6月で比べても、新居に移ってからは月1万円前後下がっています。

理由は大きく2つあって、ガスの基本料金という固定費がまるごと消えることと、プロパンの従量単価がそもそも高い水準にあることです。裏を返せば、この2つが効かない家では結論が変わります。
逆転しうるのは、次のような家です。細かい条件の一覧は記事の後半でまとめて整理しますね。
| 逆転しうる条件 | なぜ結論が変わるのか |
|---|---|
| 今が都市ガスの物件 | もともとのガス代が安く、浮く額が工事費に追いつかない |
| 平日の昼間もずっと在宅している | 高い昼間の単価を長く踏むぶん、浮くはずの分が目減りする |
| 賃貸に住んでいる | 設備を入れ替える権利がそもそも無い |
| 住む予定が10年未満 | 工事費を取り戻す前に引っ越すことになりやすい |
「オール電化が安い」ではなく「プロパンからの切り替えなら安い」と読むのが、いちばん実態に近いと思います
この記事では、まず実際の明細でどれくらい違ったのかを見て、そのあとで金額の差がどこから来ているのか、そしてあなたの家ではどちらに傾くのかを順番に確かめていきます。
オール電化とガス併用の光熱費を実明細で比較

結論から言うと、プロパン併用だった2025年の光熱費は年325,000円(月平均およそ27,000円)で、そのうち約4割がガス代でした。オール電化になった今は、同じ月どうしで比べて1万円前後安くなっています。
ねえりょう、オール電化とプロパンって、実際どのくらい違うの?ネットの記事だと平均の話ばっかりでよく分からないんだよね。
そうなんですよね。うちはたまたま賃貸のプロパン併用から新築のオール電化に引っ越したので、同じ家族の明細で比べられるんです。まずはその実額から一緒に見ていきましょう。
プロパン時代は年32.5万円、同月で1万円差
旧居は奈良県の賃貸アパートで、給湯も調理もプロパンガスでした。2025年の1年分を分けると電気が190,766円、ガスが134,234円。合わせて325,000円、月あたりにならすと約27,083円になります。
ガス併用の家計でいちばん見落とされるのが、この「ガス側の重さ」かなと思います。電気の請求書だけを見て節約を考えていると、光熱費の4割を占める部分に手が付いていないことになるんですよね。
新居に移ってからの実額と、前年の同じ月を並べるとこうなります。
| 月 | 旧居 電気+プロパン | 新居 オール電化 | 差 |
|---|---|---|---|
| 5月 | 27,262円(2025年) | 12,891円(2026年) | −14,371円 |
| 6月 | 22,066円(2025年) | 12,398円(2026年) | −9,668円 |
5月と6月は、1年でいちばん冷暖房の負荷が軽い季節です。差が出にくいはずのその時期でも、月1万円前後の開きが出ました。
季節の偏りも書いておきます。プロパン併用時代は冬に電気とガスが同時に重くなって、2025年の1月・2月は光熱費が月4万円近くまで膨らみました。
| 月 | 電気 | ガス | 合計 |
|---|---|---|---|
| 2025年1月 | 25,454円 | 12,591円 | 38,045円 |
| 2025年2月 | 21,716円 | 16,959円 | 38,675円 |
| 2025年8月 | 21,990円 | 5,382円 | 27,372円 |
夏はガスが軽くなって電気だけが重い一方、冬は両方が同時にピークを迎えます。プロパン併用の家計が冬にしんどく感じるのは、だいたいこの重なりのせいですね。
この実額比較で言えないこと
ここまでの差額を、そのまま「オール電化の効果」と受け取らないでください。旧居は賃貸アパート、新居は断熱等性能等級5の新築一戸建てで、建物の広さも断熱性能も同時に変わっているからです。
つまり差額には、家そのものが良くなった分が確実に混ざっています。この1万円前後がまるごとオール電化に替えた効果額だとは言えません。自分に都合のいい数字だけを切り取っても、読んでくださる方の判断材料になりませんからね。
この実データから言えることと、言えないことを分けておきます。
| この比較で言えること | この比較では言えないこと |
|---|---|
| ガスの基本料金という固定費が消えるのは確実 | オール電化そのものの効果額(建物性能が同時に変わっている) |
| プロパンの従量単価は地域平均どおりの会社でも高い水準 | 昼間ずっと在宅している世帯での結果 |
| 冬は電気とガスのピークが重なる | 切り替え工事費を含めた損得(新居は新築時に選んだため工事費が出ていない) |
もうひとつ条件差があります。旧居では賃貸契約の都合で電気料金プランの見直しができませんでした。持ち家に移って初めてプラン選択や設備投資という手段を持てたので、そこも差額を押し広げているはずです。
プロパンガスの料金が高い理由
プロパンガスが高いのは、悪い会社に当たったからとは限りません。熱量をそろえて比べても、プロパンは都市ガスのおよそ2.1倍の水準で、方式そのものにコスト差があります。

1m³あたりの発熱量は、プロパンが99MJ、都市ガス13Aが45MJ。プロパンの1m³は都市ガスの約2.2m³分に相当するので、単価をそのまま並べて比べると判断を誤ります。
熱量をそろえてもなお2倍ということは、使い方の工夫では埋まらない差だということですよね。ここが「節約で何とかなる話」と「方式そのものの話」の境目かなと思います。
構造的な理由は3つあります。どれも会社の姿勢というより、プロパンという仕組みの側にある話です。
- 自由料金である … 公共料金ではないため、販売会社が価格を決められる
- 分散型の供給コストがかかる … 導管ではなくボンベを各戸へ配送し、法定の保安点検も個別に行う
- 無償貸与の商慣行 … 賃貸では給湯器やコンロをガス会社がオーナーに無償で貸し、その費用を入居者のガス料金で回収してきた
この無償貸与については、2025年4月2日施行の改正で、賃貸住宅向けのLPガス料金にガス器具などの設備費用を計上することが禁止されました。ただし適用されるのは新規契約で、既存契約は早期に移行する努力義務にとどまります。築古で長く同じガス会社が入っている物件では、上乗せが残っている可能性があります。
基本料金の二重払いで年2.7万円
ガス併用の家は、電気とガスの基本料金を両方払っています。わが家の明細では、基本料金1,900円(税抜・税込2,090円)とガス警報器のリース220円で、毎月2,310円・年間27,720円が使用量と関係なく発生していました。
ガスを1m³も使わない月でも、これは必ず請求されます。旅行で家を空けようが自炊をやめようが減らない、いわば「そこにあるだけで出ていくお金」なんですよね。
この水準が高いのかどうかは、都市ガスと並べると分かりやすいです。(出典:大阪ガス『一般料金』)
| 区分 | ガスの基本料金 | 年間 |
|---|---|---|
| プロパン(都道府県別の分布) | 1,762〜2,250円/月 | 21,144〜27,000円 |
| プロパン(近畿局平均) | 2,032円/月 | 24,384円 |
| 都市ガス(大阪ガス一般料金・20m³以下) | 759円/月 | 9,108円 |
オール電化にすると、この固定費は丸ごと消えます。自炊が少ない単身世帯や共働き世帯ほどガスの使用量が小さく、料金に占める基本料金の割合が高いので、消せる効果は相対的に大きくなります。
ただし、ここには打ち消し合いもあります。電気の基本料金は方式にかかわらずかかりますし、オール電化はIH・エコキュート・エアコンが重なる分だけ契約容量を上げがちです。
東京電力の単価で30Aから60Aに上げると年11,223円増える計算になるので、ガスの基本料金が消えた分がここで相殺されることがある点は覚えておいてください。
関連記事:プロパンガスの三部料金制と設備料金の見方
わが家の単価は地域平均並みだった
「うちは高い会社に当たったのでは」と思う気持ちはよく分かるのですが、確かめてみるとわが家のプロパン単価は全国平均よりむしろ少し安く、近畿の平均とほぼ同水準でした。
旧居の最後の明細は2026年4月分で、17.4m³を使って14,061円。これを石油情報センターの確報(2026年4月調査・税込・基本料金込み)の同じ使用量に換算して並べます。(出典:エネ研・石油情報センター『一般小売価格 LP(プロパン)ガス 確報』)
| 比較対象 | 17.4m³相当の額 | わが家の実額との差 |
|---|---|---|
| 全国平均 | 14,308円 | −247円(1.7%安い) |
| 近畿局平均 | 13,734円 | +327円(2.4%高い) |
| 奈良県平均 | 12,801円 | +1,260円(9.8%高い) |
つまり、特別に高い業者だったわけではありません。それでも年13万円台のガス代がかかっていたので、悪徳業者に当たったから高かったのではなく、プロパンという方式の水準で差がついていると読むほうが正確だと思います(方式そのものの差は、このあと同じ熱需要でそろえた試算で確かめます)。
一方で、県内の平均よりは1割ほど高い位置にいました。同じ県の中でも会社選びで1割前後は動くということなので、切り替えを考える前に確かめる価値はありますよね。
関連記事:プロパンガス料金の平均は?34ヶ月の実明細で高いか検証
関連記事:プロパンガスの節約方法まとめ
あなたの家ではどちらが安いか
判断材料には効き方の順番があります。いちばん効くのは「今がプロパンか都市ガスか」で、その次が月間の電気使用量。昼間の在宅時間はそのあとに効いてくる要素です。

えっ、昼間ずっと家にいるかどうかが一番大事だと思ってた!
私も最初はそう思っていました。でも今の料金表を見ていくと、在宅時間より先に効いてくるものがあるみたいですよ。
へえ、じゃあ順番に確かめてみようよ。
| 条件 | どちらに傾くか | 理由 |
|---|---|---|
| 今がプロパン物件 | オール電化 | 熱源単価の差が大きく、年間の削減額が出る |
| 今が都市ガス物件 | 差が縮む | 光熱費だけを理由にすると回収に20年超の試算になる |
| 月400kWh超を使う | オール電化 | 三段階料金の3段目(40.49円/kWh)を避けられる |
| 月300kWh程度 | 差が出にくい | 夜間に25%以上寄せないとプラン変更の効果が出ない |
| 平日の昼間に在宅していない | オール電化 | 高い昼間単価を踏まずに済む |
| 在宅勤務・終日在宅 | ガス併用が有利になりうる | 空調・家電の使用が昼に寄る |
| 世帯人数が多い | オール電化 | 給湯量が多く、ヒートポンプの効率差が効く |
| 太陽光を載せる/載せている | オール電化 | 昼間の自家消費で沸き上げれば購入電力を減らせる |
| 火力調理にこだわる | ガス併用 | 鍋を振る・直火で炙る調理はIHでできない |
昼間在宅より月400kWh超かが効く
オール電化というと「夜間が安いプラン」を思い浮かべますが、今の料金体系ではその効き目はかなり小さくなっています。実際に効いているのは夜間割引よりも、三段階料金の3段目を踏まずに済むことのほうです。
東京電力のオール電化向けプラン(スマートライフS)の昼夜差は、35.76円と27.86円で7.90円/kWh、割引率にして約22%。安い時間帯は午前1時から午前6時までの5時間だけです。(出典:東京電力エナジーパートナー『スマートライフ(オール電化)』料金表)
かつての深夜電力のように、夜に家事を寄せれば劇的に安くなる、という時代ではなくなったということですね。
一方でガス併用世帯が使う標準プラン(スタンダードS)は、301kWhを超えた分が40.49円/kWhまで上がります。同じ30A契約で試算すると次のようになります。
| 月間使用量 | スタンダードS(ガス併用の標準) | スマートライフS 夜間20% | 夜間30% | 損益分岐となる夜間比率 |
|---|---|---|---|---|
| 300kWh | 11,063円 | 11,189円 | 10,952円 | 約25% |
| 400kWh | 15,112円 | 14,607円 | 14,291円 | 約4% |
| 500kWh | 19,161円 | 18,025円 | 17,630円 | 夜間0%でも有利 |
| 700kWh | 27,259円 | 24,861円 | 24,308円 | 夜間0%でも有利 |
読み方はシンプルです。月300kWh程度の家庭は、夜間に25%以上を寄せられないとオール電化向けプランに替える意味が出ません。月400kWhを超える家庭なら、夜間比率が低くても有利になります。
オール電化の家は給湯も調理も暖房も電気なので、そもそも使用量の多いゾーンに入りやすいんですよね。在宅時間を気にする前に、まずご自宅の検針票で月の使用量を確認するほうが早いと思います。
とはいえ昼間の単価が高いのは事実です。在宅勤務や終日在宅で昼に空調と家電を使い続ける生活だと、導入前の試算より高くつくことがあります。見積もりをもらったら「夜間にすべて寄せられる前提」で計算されていないかを必ず確かめてください。
都市ガスを含む3方式で比べると逆転
プロパン併用・都市ガス併用・オール電化を同じ熱需要でそろえると、オール電化と都市ガスの差は、プロパンとの差ほど大きくありません。
プロパン月10m³相当の熱を各方式で賄ったときの、月あたりの熱源コストです。電気の基本料金はどの方式でもかかるため除いてあります。
| 方式 | 月あたりの熱源コスト | 根拠 |
|---|---|---|
| プロパンガス併用 | 9,662円 | 石油情報センター全国平均・10m³使用時(税込・基本料金込み) |
| 都市ガス併用 | 4,544円 | 大阪ガス一般料金・22m³使用時(税込・原料費調整の反映前) |
| オール電化 | 2,496円 | エコキュート給湯1,401円+IH調理1,094円 |
オール電化がここまで下がるのは、エコキュートのヒートポンプが投入した電力の3〜4倍の熱を運べるからです。燃やして熱をつくるガス給湯器は、理屈のうえで100%を超えられません。
ただ、都市ガス世帯が切り替えた場合の年間削減額は約24,600円にとどまります。初期費用60万円だと回収に24年以上かかる計算で、エコキュートの寿命内に回収し切れません。
同じ「ガス併用からの切り替え」でも、プロパンからと都市ガスからでは結論が変わるということです。ご自宅がどちらなのかを確認してから費用の話に進むのが、遠回りに見えて確実かなと思います。
プロパンとの比較はここまでの通りですが、都市ガス地域ならどうなるかは条件が変わります。
関連記事:都市ガスとの比較
賃貸アパートは電気代が安く見え、会社も選べない
賃貸のプロパン物件では、給湯も調理もガスなので電気代だけを見ると安く見えます。わが家も旧居時代は電気の請求が1万円台で収まる月がありましたが、その裏で光熱費の約4割はガス代でした。
しかも賃貸の集合住宅では、入居者の一存でガス会社を変えられません。契約者はオーナーで、建物全体を1社が供給しているためです。
背景にあるのは、オーナーとガス会社の間で結ばれる設備の無償貸与契約です。契約期間はおおむね10〜15年で、期間内に解約するとオーナー側に違約金が発生します。築年数が浅いほど残りの価値が大きく、切り替えの壁になります。
打つ手がないわけではありません。2024年7月2日施行のルールで、入居希望者がLPガス事業者に直接情報提供を求めた場合、事業者はそれに応じる義務を負うことになりました。内見や申し込みの段階で、その物件のガス料金表を取り寄せて比べられます。
反対に、オール電化の賃貸を選ぶときに見るべきは給湯器の種類です。エコキュートと電気温水器は別物で、電気ヒーターで直接沸かす電気温水器はエコキュートの約4倍の電力を使います。屋外にヒートポンプユニットがあるかどうかを内見時に確認してください。
オール電化物件は設備の分だけ家賃が高めに設定されることもあります。家賃の差と光熱費の差を足して比べないと、得したつもりで損をするので気をつけたいところですね。
安さと引き換えの停電・湯切れ・水圧
安さだけで決めると後悔しやすいので、オール電化の弱点も正直に書いておきます。停電すると、調理も暖房も止まり、お湯も新しく沸かせなくなります。断水していなければタンクに残った湯を蛇口から使える機種もありますが、その場合も温度調節はできません。
よく挙がる不満と、その中身を並べます。
| 弱点 | 内容 |
|---|---|
| 停電に弱い | 調理・暖房が止まり、新たな沸き上げもできない。断水していなければ残り湯を蛇口から使える機種もある(温度調節は不可)。断水時も貯湯タンクの水は生活用水として取り出せる |
| 湯切れ | 来客や帰省でタンクの湯を使い切ると、沸き増しに時間がかかる |
| 水圧が低い | ガス給湯器の約500kPaに対しエコキュートは約180kPa程度という比較がある(高圧タイプの機種もある) |
| 使えない鍋がある | 土鍋・多くの銅鍋やアルミ鍋はIHで使えない。鍋を振る調理もできない |
| 更新費用が周期的に来る | 給湯機器の寿命は10〜15年で、交換に45万〜70万円かかる |
逆にプロパン側の強みもあります。各戸にボンベを置く分散型なので、災害時の復旧が早いんです。東日本大震災では、岩手・宮城・福島で地震発生から約3週間で大方の復旧が完了し、都市ガスより12日、電気より58日早く全面復旧しました。
50kg容器を2本置くのが標準で、1本目が切れても2本目で1か月以上使い続けられます。家に在庫があるという安心感は、金額の比較には出てきにくい価値かなと思います。
オール電化向けの電気料金プランは各社で新規受付の停止・終了が進んでいます(四国電力の「でんかeマンションプラン」は2026年3月31日で新規加入の受付を終了。加入済みの方は引き続き利用できます)。今の条件が将来も続く前提で計算しないほうが安全です
湯切れは、沸き上げ量の設定をどこまで絞るかでも変わってきます。節約側に寄せたときにどこで湯切れが出るのかは、実機で試した記録があります。
関連記事:エコキュートの電気代節約術|実機の設定でどこまで下がるか実践
関連記事:オール電化の電気代シミュレーション|実測とのズレを検証
持ち家はガス会社の変更を先に試す
持ち家の戸建てでプロパン代に困っているなら、オール電化の工事より先に、ガス会社の変更や値下げ交渉を試すほうが早いです。見積もりを取る・交渉するところまでは費用がかからないので、まず試す価値があります。ただし実際に会社を替えるときは、契約内容によって解約金や設備の撤去費を求められることがあるので、後述の「契約前に確認したい4点」と合わせて確かめてください。

正直に言うと、わが家は賃貸アパートだったのでこの手が使えませんでした。毎月の明細を見て単価の高さは分かっていても、入居者の一存では会社を替えられないんですよね。持ち家の方はその壁が無いので、先に試す価値があると思います。
手順はだいたい次の流れになります。
- 検針票を用意して、基本料金・従量単価・使用量・設備料金の内訳を確認する
- 石油情報センターの都道府県別データと突き合わせ、地域の相場からどれだけ離れているかを見る
- 今の会社に値下げ交渉をする、または比較サービスや他社から見積もりを取る
- 申し込む。保安の引き継ぎ、ボンベとメーターの入れ替え、ガス漏れ検査と進み、工事自体は数時間で終わる
どこまで下がるかの目安として、プロパンガス料金消費者協会は都市ガス並みの水準を「適正価格」と呼び、近畿なら基本料金1,980円・従量単価411円/m³という数字を掲げています(2026年7月時点の掲載値・税込)。関東の10m³使用時では、平均約7,380円に対し適正価格4,950円で約33%の削減という例も示されています。
ただしこの数値の性格には注意がいります。同協会は適正価格で供給する会社への紹介事業を行っていて、中立の第三者統計ではありません。石油情報センターの平均が実勢の平均であるのに対し、こちらは交渉や切り替えで到達しうる下限側の目安として読むのが妥当かなと思います。
変更できるかどうかは、住まいの形態で決まります。
| 住まいの形態 | 変更の可否 |
|---|---|
| 持ち家の戸建て | 自分の判断で変更できる |
| 借家の戸建て | オーナーの承諾が要る。集合住宅よりは通りやすい |
| 賃貸アパート・マンション | 入居者の一存では変更できない。建物全体で1社供給のため |
契約前に確認したい4点
契約期間が書面に明記されているか。違約金の有無と金額、その算定根拠。原料費調整以外の値上げがどう扱われるか。そして設備の所有者が誰か(ガス会社の所有だと、解約時に撤去費や残存費用を請求されることがあります)。
国民生活センターなどに寄せられたプロパンガス関連の相談は2022年度で2,140件あり、強引な勧誘や値上げ、違約金といった金銭トラブルが中心でした。極端に安い見積もりを出しておいて契約後に段階的に値上げする例もあるので、価格だけで選ばないでください。
契約条件で不安なことがあれば、消費生活センターや消費者ホットライン188に相談できます。ひとりで抱え込まずに、公的な窓口を使うのが確実ですよ。
オール電化の切り替え費用と補助金・回収年数

既存の住宅をオール電化にする費用は、標準的な構成で70万円〜150万円が目安です。国の補助金ではエコキュート1台あたり7万円(性能加算の要件を満たせば最大10万円)の補助を受けられます(予算上限に達し次第終了)。プロパンからの切り替えなら、回収は7年〜16年ほどという計算になります。

まずは既存の住宅を切り替える場合の内訳から見ていきます。これから家を建てる方は費用の見え方がまるごと変わるので、そちらはこの節の後半で別に整理しますね。
| 項目 | 費用の目安 |
|---|---|
| エコキュート本体 | 15万円〜35万円 |
| エコキュート設置工事(基礎・配管・電気工事込みの総額) | 45万円〜70万円 |
| IHクッキングヒーター本体 | 5万円〜10万円 |
| IH設置工事(200V専用回路の増設を含む) | 3万円〜10万円 |
| 標準的な構成での総額 | 70万円〜150万円 |
幅が2倍以上あるのは、分電盤の交換や200V回路の新設、貯湯タンクを置く基礎工事、搬入経路の確保といった追加工事の有無で変わるからです。見積もりを取るまで自分の家がどちら寄りか分からない、と思っておくのが安全ですね。
ここからは、これから家を建てる方向けの話です。新築では費用の構造がまるごと変わります。既存の給湯器を撤去したり、あとから200Vの回路を引き回したりする工事が要らないので、比べる対象は「どちらの設備を選ぶか」の差額だけになるからです。
新築でオール電化とガス併用を並べると、設備費の目安はガス併用が10万円〜40万円、オール電化が50万円〜100万円ほど。差額はおおむね30万円〜60万円で、オール電化のほうが高くつきます。
ただし、ガス併用側にはガス管を敷地へ引き込む工事費が別にかかります。前面道路に本管が来ていれば10万円〜20万円程度、引き込み距離が長い土地では1mあたり1万円前後が上乗せされるのが目安です。本管が遠ければ、この一項目だけで数十万円規模になることもあります。
プロパンなら引き込み工事そのものは要りません。その代わり、配管や給湯器をガス会社が負担する無償貸与・貸付配管の契約だと、その費用が設備料金などの形で月々のガス料金に乗り、長く払い続けることになります(2025年4月からは基本料金・従量料金・設備料金を分けて通知することが義務づけられたので、契約前に内訳と設備の所有者を確認してください)。新築で比べるときは、設備費の差だけでなく住み続ける年数分のガス代まで並べるのが公平かなと思います。
補助金は「給湯省エネ2026事業」が該当します。エコキュートの基本額は7万円/台で、性能加算の要件を満たすとさらに3万円/台。戸建て住宅は2台までで、交付申請の受付は2026年12月31日まで(予算上限に達し次第終了)です。(出典:経済産業省 給湯省エネ2026事業『対象機器の詳細(エコキュート)』)
注意したいのが撤去加算です。加算が付くのは電気蓄熱暖房機や電気温水器を撤去した場合で、ガス給湯器からの切り替えでは撤去加算は付きません。よく見かける「最大14万円」は、性能加算を満たすエコキュートの10万円に電気蓄熱暖房機1台分の撤去加算4万円を足した金額なので、プロパンからの切り替えでは届きません。
申請は登録事業者(給湯省エネ事業者)が代理で行う仕組みで、消費者が直接申請することはできません。契約前に、その業者が登録事業者かどうかを確認しておいてくださいね。
最後に回収年数のモデル計算を置いておきます。前提は「プロパンを月10m³使う家庭」なので、まずご自宅がその前後どちらなのかを見てください。事業者や比較サイトの集計を突き合わせると、世帯人数ごとの目安はこのくらいです。
| 世帯人数 | プロパンの月間使用量の目安 |
|---|---|
| 1人 | 約4〜6m³ |
| 2人 | 約6〜9m³ |
| 3人 | 約8〜11m³ |
| 4人以上 | 約11〜12m³ |
4人を超えても使用量があまり伸びないのは、給湯の量が頭打ちになるからですね。むしろ季節差のほうが大きく、4〜9月の平均が約8.0m³なのに対し10〜3月は約10.3m³という集計もあります。冬の検針票だけを見て「うちは使いすぎかも」と落ち込む必要はないですよ。
そのうえで、月10m³の家庭を前提にしたモデル計算がこちらです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 前提 | プロパン月10m³/給湯8割・調理2割/エコキュートの年間給湯保温効率3.5/沸き上げは夜間単価 |
| 年間の削減額 | 約86,000円(プロパン代115,944円 − 増える電気代29,947円) |
| 初期費用70万円のとき | 補助金10万円を引いて実質60万円 → 回収 約7.0年 |
| 初期費用150万円のとき | 補助金10万円を引いて実質140万円 → 回収 約16.3年 |
読み方としては、追加工事が少なく済む家ほど7年側に、分電盤や基礎工事が重なる家ほど16年側に寄る幅だと思ってください。同じ「オール電化にする」でも、家によって倍以上ちがう買い物になるということです。
前提を1つ変えるだけで年数は動きます。この試算は補助金10万円(性能加算あり)・契約容量の変更なしで計算しているので、性能加算の対象外で補助が7万円にとどまる場合や、契約アンペアを上げて電気の基本料金が増える場合は16年を超えることもあります。あくまで一定の条件を置いた目安として受け取って、最終的には自宅の使用量と実際の見積もりで計算し直してください。制度の条件や金額は年度で変わるので、必ず各事業の公式サイトで最新の内容をご確認ください。
回収を早める太陽光、遅らせる機器更新
回収年数を大きく動かす要素が2つあります。早めるのが太陽光、遅らせるのが機器の更新費用です。
太陽光を載せると、昼間の自家発電でお湯を沸かせます。天気予報と連動して晴れの日は昼に沸き上げる「おひさまエコキュート」なら貯湯タンクの放熱ロスも減るため、従来の夜間沸き上げに比べて光熱費を約26%削減できるとするメーカー説明もあります。
昼間の単価が高く夜間割引が縮んだ今の料金体系では、「安い深夜に沸かす」よりも「自分で作った電気で沸かす」ほうが効く方向へ構造が変わってきているんですよね。
私自身も新居に7.92kWの太陽光と7.7kWhの蓄電池を契約して、2026年8月18日に設置を終えました。稼働が始まったばかりで効果を語れる段階ではありませんが、実測値が貯まりしだいこのサイトで出していきます。
一方で、回収を遅らせるほうの話もしておきます。エコキュートの設計上の標準使用期間は10年で、ヒートポンプユニットが5〜10年、貯湯タンクが10〜15年とされています。交換費用は工事費込みで45万円〜70万円が主流です。
つまり回収に15年かかる計算だと、回収し終わる前に次の更新費用がやってくることになります。回収年数が10年を大きく超える試算になったら、そこは「元が取れる」と言い切れない領域だと考えたほうがいいと思います。
料金プランの前提も変わりえます。夜間の単価そのものが上がって昼夜差は縮んでいますし、オール電化向けプランの受付停止も続いています。今の単価で出した回収年数が将来にわたって保証されるわけではない、という点は押さえておいてください。
オール電化とプロパンガスの比較でよくある質問
プロパンから都市ガスに切り替えるのは選択肢になりますか?
前面道路に都市ガスの本管が来ていれば有力な選択肢です。引き込み工事費は本管が近ければ10万円〜20万円程度、距離が長いと1mあたり1万円前後が加算されるのが目安になります。プロパン用と都市ガス用のガス機器は互換性がないので、コンロや給湯器の買い替え費用も見ておいてください。熱量をそろえるとプロパンの半分以下の単価になるため、使用量が多い家庭ほど効果が大きくなります。まずは自治体やガス事業者の供給エリア図で本管の有無を確認するところからです。
一人暮らしや二人暮らしでも、オール電化のほうが安くなりますか?
差は出にくくなります。給湯量が少なく、月の電気使用量も300kWh程度にとどまることが多いためで、その水準だと夜間に25%以上を寄せないとオール電化向けプランの効果が出ません。ただしプロパンの基本料金が月2,000円前後かかっている点は世帯人数と関係ないので、そこが消える効果自体は小さくないです。賃貸なら設備を替えられませんから、今の会社の料金表を確認したり、次の物件選びで比べたりするほうが現実的かなと思います。
オール電化にせず、給湯器だけを高効率のものに替えるのでは駄目ですか?
十分に選択肢になりますよ。従来型のガス給湯器は効率が約80%ですが、エコジョーズ(潜熱回収型)なら約95%まで上がります。給湯省エネ2026事業では、ガスと電気を組み合わせたハイブリッド給湯機に10万円/台、性能加算を満たせばさらに2万円/台の補助があります。全面的な切り替えより初期費用が軽く、火力調理も残せるのが利点です。ただしプロパンの従量単価そのものは変わらないので、会社変更の検討と合わせて考えるのがおすすめです。
賃貸ですが、オーナーや管理会社にはどう相談すればいいですか?
「高いので下げてください」ではなく、数字を添えて事実として渡すのがおすすめです。検針票から基本料金と従量単価を書き出し、石油情報センターの都道府県別データと比べて「県の平均より1割ほど高い」という形にすると、話が具体的になります。決定権はオーナー側にあり、ガス会社との無償貸与契約の期間内だと解約に違約金が発生するため、すぐには動けないと言われることも珍しくありません。断られても粘るより、契約更新や引っ越しのタイミングで見直す前提に切り替えるほうが現実的かなと思います。強引な勧誘や不当な値上げが絡む場合は、消費生活センターや消費者ホットライン188に相談できます。
エコキュートの電気代は月にどれくらいかかりますか?
メーカー公式の試算では、パナソニックの機種(HE-JPU37NQS・「おまかせ節約」運転)で給湯分の月平均が関西電力エリアで約1,700円、東京電力エナジーパートナーエリアで約3,000円、北海道電力エリアで約4,800円とされています。地域でこれだけ違うのは、水温と電気単価が違うためです。同社の試算では、東京電力エリアでガス給湯器と比べて年間約28,800円の差としています。あくまで一定条件での試算値なので、実際の請求は家族の人数や設定によって変わるとお考えください。
まとめ:プロパン併用ならオール電化が安い
結局、今の家がプロパンかどうかで話が全然違うってことだったんだね。
そうなんです。プロパンなら効果は大きいですけど、都市ガスなら急がなくていい。まずは検針票を見るところからですね。
同じ家族がプロパン併用とオール電化の両方に住んだ実額から見えてきたことを、最後に整理します。

- プロパン併用だった2025年の光熱費は年325,000円で、うち約4割がガス代だった
- ガスの基本料金と警報器で毎月2,310円・年27,720円が、使わなくても発生していた
- わが家の単価は全国平均並みで、業者の当たり外れではなく方式の水準として差がついていた
- 効き方の順番は「今がプロパンか都市ガスか」→「月の使用量」→「昼間の在宅時間」
- 切り替え費用は70万円〜150万円、補助金を差し引いた回収は7年〜16年が目安
- 停電・湯切れ・水圧・使えない鍋という弱点は、金額と切り離して確かめておく
旧居と新居では建物の断熱性能まで変わっているので、この差額をそのままオール電化の効果と受け取らないでくださいね。あくまで「プロパン併用の家計がどれだけ重いか」を実額で示したもの、という位置づけです。
料金プランも補助制度も年度で条件が変わります。ここに書いた金額はいずれも一定の条件を置いた目安なので、最終的にはご自宅の検針票と、電力会社・ガス会社・各補助事業の公式サイトでご確認のうえ判断してください。
設備の選定や工事の可否は住まいの条件で変わるので、迷ったら施工業者や専門家にご相談を。電気工事は資格が必要な領域なので、工事そのものは必ず有資格の業者に依頼してくださいね。
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