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オール電化と都市ガスはどっちが安い?実測明細で比較

2026年8月10日

オール電化と都市ガスどちらが安いかを問いかけ、地域と条件で結論が変わることを示す図

こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。新築やリフォームを前にして、オール電化と都市ガスはどっちが安いのか、一度は調べますよね。

ところが調べていくと、電力会社の記事では「オール電化が得」、ガス会社の記事では「ガス併用が得」と真逆の結論が並びます。どちらも自社に有利な前提で平均額を出しているので、読み比べても「うちの場合はどっちか」は出てきません。

この記事では、公表されている単価と、わが家の電気24ヶ月・旧居のプロパン34ヶ月の実額明細を並べて、年間の差がどこから生まれるのかを分解します。都市ガスだけは私自身に使った経験がないので、公表単価から換算した試算だとはっきり断ったうえで進めますね。

  • 都市ガス地域とプロパン地域で年間差額がどれだけ変わるか
  • 基本料金の二重払いが消えても電気側の基本料金が上がる仕組み
  • 旧居のプロパン34ヶ月と電気24ヶ月の実額明細
  • 昼間の在宅・給湯量・地域から自分の家を判定する手順

オール電化と都市ガスの差は年1万円台

先に結論から言うと、都市ガス地域なら年1万円台の差、プロパン地域なら数万円単位の差になりやすい、というのが公表単価から見えてくる姿です。同じ「オール電化かガス併用か」でも、相手が都市ガスかプロパンかで桁がひとつ動きます。

都市ガス地域でのオール電化との年間差額を、給湯機の効率差・固定費の差引・昼間の使用量増加の3要素に分解し、最終的に年1万円台の差に落ち着くことを示す積み上げ式の図解
エネすけ
エネすけ

オール電化と都市ガスって、結局どっちが安いの? 電気代が高いって話もよく聞くよね。

それが、相手が都市ガスかプロパンかで答えが変わるみたいですよ。まずは差がどこから出ているのかを、一緒に分けて見ていきましょう。

りょう
りょう

都市ガス地域で差の中身を分けると、まず給湯機の効率差がオール電化側に効きます。パナソニックの公表試算(2026年3月時点・税込)では、エコキュートの年間ランニングコストが約36,000円、ガス給湯器が約64,800円で、差は年約28,800円です。(出典:パナソニック『エコキュートの電気代は月々いくら?ガス給湯器や電気温水器とのランニングコスト比較』)

ただ、この差がまるごと手元に残るわけではありません。オール電化向けプランに変えると基本料金が上がる会社があり、昼間に電気を使う家では割高な単価も踏むことになります。

都市ガス地域での差の内訳年間の効き方
給湯機の効率差(エコキュートとガス給湯器)オール電化が約28,800円 有利
固定費の差引(ガスの基本料金が消える分と電気の基本料金が上がる分)ガス併用が約1,392円 有利
昼間の使用が月100kWh増える場合ガス併用が約12,216円 有利
差引きで残る差オール電化が年1万円台 有利

この足し引きの結果が年1万円台です。数字だけ見ると小さく感じますが、都市ガス地域では生活の仕方ひとつで簡単にひっくり返る程度の差しかない、ということかなと思います。ただし給湯機の差は東京地区の試算、基本料金と昼間単価の差は中部電力ミライズの単価と、条件のそろっていない数字を足し引きした目安なので、同じ地域・同じ契約でそろえ直せば金額は動きます。

年1万円台という差は、設備の工事費を考えずに光熱費だけを比べたときの目安です。

プロパン地域は数万円安く都市ガスは逆転も

プロパン地域の話はまったくの別物です。同じ熱量を買うのに、プロパンは都市ガスの2倍前後を払う計算になります(後述の全国平均の例では約2.2倍)。ここが埋まるだけで年数万円が動きます。

都市ガス(13A)の発熱量は1m³あたり45MJ、プロパンは99MJです。同じ熱量を得るには都市ガスのほうが約2.2倍の体積が要るので、m³あたりの単価をそのまま並べても比較になりません。

石油情報センターの調査(2026年7月31日公表・税込)では、プロパン10m³の全国平均が9,785円。同じ熱量を都市ガスで買うと約22m³で、東京ガスB表(2026年1月検針分)なら約4,449円です。(出典:石油情報センター『一般小売価格 LP(プロパン)ガス 速報』)

地域プロパン10m³の平均価格
関東9,227円
中部9,641円
近畿9,475円
九州・沖縄9,755円
全国9,785円

差は月約5,336円、年にすると約64,000円になります(毎月10m³使う前提で、LPガスは2026年7月公表の全国平均、都市ガスは東京ガス2026年1月検針分の単価を当てはめた目安です)。沸かしているお湯も点けているコンロも同じなのに、住んでいる地域の供給方式が違うだけでこれだけ開くわけです。

ですからプロパン地域では、オール電化にすると年数万円規模で下がりやすくなります。ただしその節約額の相当部分は「プロパンをやめた効果」であって「オール電化にした効果」ではありません。

逆に都市ガス地域は燃料単価の差が小さいので、残る差額の本体は給湯機の効率差だけになります。昼に在宅する家やお湯をあまり使わない家では、そのわずかな差が逆転する場面も出てきます。

関連記事:プロパンガス料金の平均は?34ヶ月の実明細で高いか検証

世帯人数別の平均光熱費は目安どまり

世帯人数別の平均額はよく引用されますが、平均どうしを引き算しても「うちの場合」は出てきません。混ざっているものが違うからです。

総務省の家計調査(2025年平均・二人以上の世帯、平均世帯人員2.87人)では、1か月あたり電気代13,219円・ガス代4,882円・光熱水道の合計24,547円。単身世帯の光熱・水道は13,333円です。(出典:総務省統計局『家計調査』)

この統計は都市ガス世帯もプロパン世帯もオール電化世帯も区別せず全部混ぜた平均です。つまりガス代の4,882円は、どこかの家の実額ではなく、ガス代がゼロの家まで含めた混合値なんですよね。

世帯人数オール電化住宅の月平均電気代サンプル数
1人10,777円4,908
2人13,406円24,100
3人14,835円26,163
4人以上16,533円55,311

こちらは関西電力が会員データから集計したオール電化住宅の月平均電気代です。人数が増えても伸びは緩やかですが、住宅性能も生活時間帯もそろっていない集計なので、その理由が給湯の効率差にあるとまでは言えません。

ただし集計のもとは2020〜2021年の使用量で、その後に電気料金は大きく上がりました。今の水準として使える数字ではありません。

もうひとつ、オール電化世帯はこの金額が光熱費のほぼ全部だという点も見落としがちです。ガス併用の家と比べるなら、電気代とガス代を足したもの同士で並べる必要があります。

電力会社とガス会社の比較は前提がずれる

電力会社の記事とガス会社の記事で結論が真逆になるのは、どちらも自分に不利な前提を省いているからです。しかも省かれている場所は、だいたい決まっています。

電力会社側の記事は「基本料金が一本化される」を強調しますが、オール電化向けプランの基本料金が上がる会社があることには触れないことがあります。

ガス会社側の記事は停電時にコンロが使える点を強調します。これは事実なのですが、災害後の復旧は都市ガスのほうが大幅に遅いこと(内閣府の目標で電気6日・都市ガス55日)には触れないことがあります。

試算を読むときの3点確認

どの電力会社のどのプランか、どの地域の給水温度か、いつ時点の単価か。この3つが書かれていない金額は、そもそも比較に使えません。

特に単価は、年度どころか毎月動きます。東京ガス東京地区等の2026年8月検針分は、前月に比べて1m³あたり9.99円下がりました。

つまり比べるときは、何年何月検針分の単価かをそろえるのが最低条件になります。立場の違う二者の記事は、片方だけを読んで決めないのがいちばん安全かなと思います。

関連記事:オール電化の電気代シミュレーション|実測とのズレを検証

二重払いは消えるが電気の基本料金は上がる

ガスの基本料金は確かにゼロになります。ただし電気の契約がオール電化向けプランに変わるので、会社によっては固定費の合計がむしろ増えます。

ガス併用とオール電化で月々の基本料金を比較し、ガスの基本料金759円が消える一方で電気の基本料金が963円から1838円に上がり、合計ではほぼ差がないことを示す対比表

都市ガスの基本料金は、東京ガス・大阪ガスともA表(0〜20m³)で759.00円/月。会社が違っても同じ金額なので、月759円前後が一般家庭の実勢だと押さえておけます。

月あたりの固定費ガス併用(従量電灯B30A+都市ガスA表)オール電化(スマートライフプラン10kVAまで)
電気の基本料金963.42円1,838.44円
ガスの基本料金759.00円0円
合計約1,722円約1,838円

中部電力ミライズの公表単価(2024年4月1日実施・税込)で並べるとこうなります。ガスの759円は消えますが、電気の基本料金が約875円上がるため、差引では月約116円・年約1,392円の増加です。

「二重払いがなくなるから年1万円得」という説明を見かけますが、少なくともこの会社・この契約容量では成り立ちません。先に見るべきは、自分の地域の電力会社の基本料金の決まり方です。

決まり方は会社ごとに違います。東京電力エナジーパートナーのスマートライフS/Lは契約アンペアに比例するので、同じアンペアのままならガスの基本料金の分がそのまま浮きます。

関西電力のはぴeタイムRは、過去1年の最大需要で基本料金が決まる実量制です。わが家もこのプランで、IHとエコキュートと食洗機が重なる瞬間が増えるほど基本料金側に効いてくる仕組みになっています。

加入条件にも差があります。東京電力エナジーパートナーのスマートライフS/Lは1kVA以上の夜間蓄熱式機器(エコキュートや電気温水器など)を使っていることが条件で、機器がないとそもそも入れません。

一方で、ガスを残す側にも固定費を削る手はあります。東京ガスのガス・電気セット割は電気料金の合計から0.5%割引、大阪ガスはガス側に3%の割引という規模感です。

割引率は数%程度なので、基本料金の二重払いを打ち消すほどではありません。とはいえ「まとめるだけで劇的に安くなる」という期待は、いったん外しておいたほうがいいかなと思います。

オール電化にしても固定費が減るとは限りません。今のプランと切替先の基本料金を、明細を見ながら並べてみてください。

関連記事:オール電化のアンペア変更は得?関西の実量制で基本料金を検算

わが家の実測プロパン34ヶ月の実額

旧居で使っていたプロパンガスの2025年2月分料金明細のスクリーンショット。使用量23.1立方メートル、金額16,959円で冬のピークにあたる
実際のプロパンガス料金明細(2025年2月・冬のピーク月)

わが家の旧居は賃貸アパートのプロパン併用で、2025年の光熱費は電気190,766円+ガス134,234円で合計325,000円でした。月平均にすると約27,083円です。

旧居のプロパン併用2025年実績は電気19万円とプロパン13万円で合計32.5万円、新居オール電化の2026年5〜6月の実額は月1.2万円台と、両者の実測データを並べた棒グラフ

電気は2024年7月からの24ヶ月、ガスは2023年7月からの34ヶ月を、手元の明細から1ヶ月ずつ転記しています。平均値ではなく実際に払った額なので、季節の振れ幅がそのまま出るのが特徴です。

旧居(賃貸アパート・プロパン併用)の2025年年間合計月平均
電気代190,766円約15,897円
プロパンガス代134,234円約11,186円
光熱費合計325,000円約27,083円

重いのは冬でした。電気の冬ピークは2025年1月で704kWh・25,454円、ガスの冬ピークは2025年2月で23.1m³・16,959円です。

いちばん軽い月と比べると、電気は2025年6月の296kWh・9,668円が底で、冬ピークはその約2.6倍。ガスも夏の通常月なら4,450円まで下がっていました。

つまり電気とガスは同じ季節に同時に重くなるということです。年平均で語ると穏やかに見えますが、家計に効いてくるのは1月2月の請求なんですよね。

プロパンの料金構造も明細から読み取れます。基本料金は月1,900円(税抜)で全月据え置き、従量単価は使う量が少ない月ほど高い逓減型で、おおむね478円〜570円/m³。これに原料費調整と警報器のリース分が乗ります。

都市ガスの基本料金が759円前後だったことを思い出すと、固定費の時点ですでに差がついています。プロパンは公共料金ではなく自由料金なので、同じ地域でも販売店によって単価が違う点も押さえておきたいところです。

2026年5月からは新築の一戸建てに移り、オール電化(エコキュート+IH)になりました。ガス契約はなくなったので、ここから先は電気代がそのまま光熱費の全部です。

月旧居(電気+プロパン)新居(オール電化・電気のみ)
5月27,262円(2025年)12,891円(2026年)
6月22,066円(2025年)12,398円(2026年)

見かけ上は月1万円から1.4万円ほど下がっています。ただし同時に、賃貸アパートから断熱等性能等級5の新築一戸建てへ住まいそのものが変わっているので、この差をオール電化の効果として読むことはできません。

手元で実測できているのは2026年5月・6月の2ヶ月分(関西電力のはぴeタイムR)だけで、給湯の負荷が最大になる冬はまだ通っていません。

それと旧居では、電気料金プランの見直しが賃貸契約上できませんでした。オール電化の損得を「プランを選べる前提」で語れるのは持ち家に限られる場合がある、というのも実際に住んでみて分かったところです。

未体験の都市ガスは公表単価で換算

先に正直に書いておくと、私は都市ガスを使ったことがありません。旧居はプロパンだったので、都市ガスとの比較は公表単価からの試算になります。

やり方はこうです。旧居のプロパン使用量を熱量で換算し(プロパン1m³=都市ガス約2.2m³相当)、東京ガス一般契約の2026年1月検針分の単価を月ごとに当てはめました。

使った単価はA表が基本759.00円+169.09円/m³、B表が基本1,056.00円+154.24円/m³です。月によってA表とB表をまたぐので、平均単価をかけるのではなく、月ごとに料金表を選び直しています。

2025年(旧居の使用量ベース)金額
実際に払ったプロパンガス代134,234円
同じ熱量を都市ガスで買った場合の試算約65,540円
差額約68,694円

結果は年約6.9万円の差。旧居の光熱費全体のおよそ2割が、都市ガスの引ける地域に住んでいるだけで消える計算になります。

ここが大事なところで、この6.9万円は「オール電化にしたから浮いた」お金ではありません。プロパン地域の方がオール電化の節約額として語られる数字を見るときは、この分が混ざっていないか疑ってみてください。

試算の前提も書いておきます。熱量換算はプロパン99MJ/m³・都市ガス45MJ/m³で約2.2倍、単価は東京地区等のもので、関西など他エリアでは基本料金も単位料金も違います。

原料費調整や政策の値引きで単価は毎月上下するので、この試算はあくまでひとつの目安です。正確な料金は、お住まいの地域のガス会社の公式サイトで最新の料金表をご確認ください。

自分の家に当てはめると結論はどう動くか

結論を動かす変数は限られていて、ガスの種類・昼間の在宅・給湯量の3つでだいたい決まります。残りは電力会社の基本料金体系と、太陽光発電の有無です。

ガスの種類・昼間の在宅時間・給湯量・電力会社の基本料金体系・太陽光発電の有無という5つの変数が、オール電化とガス併用のどちらに有利に働くかを一覧にした判定マトリクスの図解
エネすけ
エネすけ

変数って言われても、うちの場合ってどこから調べたらいいの?

検針票と、電力会社のマイページですね。うちも明細を1年分そろえるところから始めましたよ。

りょう
りょう
変数オール電化に有利ガス併用に有利効き方の大きさ
ガスの種類プロパン地域都市ガス地域最大(熱量あたりで約2.2倍の差)
昼間の在宅日中は不在日中も在宅大(昼100kWh/月の差で年約12,216円)
給湯量家族が多く給湯が多い給湯量が少ない大(差額の本体)
電力会社の基本料金体系アンペア制実量制で基本料金が上がる会社中(年1,392円程度)
太陽光発電ありなし中〜大(買電量を約7%削減した例)

この表のどこに自分が乗るかを決めるには、手元の数字を拾い出す作業が要ります。手順にすると次の7つです。

  • 検針票でガスの種類を確認する(発行元が「〇〇ガス株式会社」なら都市ガス、販売店名でボンベ設置ならプロパン。使用量はどちらもm³表示なので単位では見分けられません)
  • 直近12ヶ月の電気とガスの使用量(kWhとm³)を書き出す
  • プロパンなら使用量を約2.2倍して都市ガス相当に換算する
  • 自分の地域のガス料金表(基本料金+単位料金)に当てはめる
  • スマートメーターの30分値や会員サービスで昼と夜の使用割合を見る
  • オール電化にした場合の給湯分の電気を、自分のエリアの目安で上乗せする
  • 設備の更新費を寿命で割って、1年あたりの金額に直す

金額ではなく使用量から始めるのがコツです。単価は原料費調整や政策の値引きで毎月動くので、金額のまま比べると去年の自分とすら比較できなくなります。

ここまで出せば、あとは足し引きだけです。判断に迷うくらいの金額なら、無理に切り替えず今の設備を使い切るという選択も十分ありかなと思います。

差額の本体は給湯で地域差は2倍から3倍

差額の本体は給湯です。パナソニックの公表試算(2026年3月時点・税込)では、エコキュート約36,000円/年に対しガス給湯器は約64,800円/年で、その差が年約28,800円になります。

給湯機年間ランニングコスト
エコキュート約36,000円
ガス給湯器約64,800円
石油給湯機約92,400円
電気温水器約157,200円

前提は東京地区の外気温と給水温度、電気は東京電力エナジーパートナーのスマートライフL、ガスは東京ガスの従量料金単価136.07円/m³、運転モードはおまかせ節約です。条件が変われば金額も当然変わります。

実際、同じ機種でも住む地域で大きく動きます。パナソニックが公表している月平均電気代は、東京電力エリアで約3,000円、関西電力エリアで約1,700円、九州電力エリアで約1,600円。北海道電力エリアは寒冷地仕様の別機種で約4,800円です。

同じ機種どうしでも約2倍、寒冷地仕様まで含めれば3倍の開きです。給水温度が低いほどヒートポンプの仕事が増えるので、寒い地域ほどエコキュートの取り分が減っていく、と考えると分かりやすいかなと思います。

ガス側も同じ事情を抱えていて、ノーリツはエコジョーズの年間光熱費を都市ガスで約6万円、プロパンで約9万円としています。「オール電化にすると年◯円安くなる」という数字は、どのエリアのどの単価で試算したかで簡単に倍近く変わります。

もうひとつ、給湯で見落としやすいのがタンク容量です。370Lで使えるお湯は約650〜750Lで2〜3人向け、460Lは約800〜950Lで4人向け、550〜560Lなら約1,000Lで5〜6人向けが目安になります。

容量が足りないと湯切れが起きて、昼間の高い単価で追加の沸き上げが走ります。せっかくの夜間単価という前提が崩れてしまうので、家族の使い方に対して余裕があるかは事前に見ておきたいところです。

ちなみにわが家の貯湯ユニットは、パナソニックのHE-S37LQという型番の2025年製が設置されています。関西という条件も含めて、ここから先は実際の請求で確かめていく予定です。

昼間在宅だと年1万円以上不利になる

オール電化向けプランは、夜が安い代わりに昼が高い料金です。昼間の使用が月100kWh増えるような家では、この構造だけで年1万円以上の不利がつく計算になります。

中部電力ミライズの単価(2024年4月1日実施・税込)で見ると、スマートライフプランのデイタイム(10〜17時)は38.80円/kWh。同じ会社の従量電灯Bはいちばん高い段階でも28.62円/kWhなので、差は10.18円/kWhです。

在宅ワークや小さい子どもがいて昼間の使用が月100kWh増えると、約1,018円/月、年間で約12,216円の差になります。夜間割引で浮かせたつもりの分を、昼の単価でそのまま返してしまう形ですね。

逆に給湯や食洗機、洗濯乾燥をナイトタイム(22〜翌8時・16.52円/kWh)に寄せられれば、同じ100kWhで従量電灯Bの上位段階より約1,210円/月安くなります。

つまり同じ家・同じ設備でも、昼に使うか夜に使うかだけで年1〜2万円動くということです。平均値の比較では絶対に出てこない部分で、ここを見ずに決めるのがいちばんもったいないかなと思います。

時間帯の区切りも会社ごとに違います。関西電力のはぴeタイムRはデイタイムが10〜17時、東京電力エナジーパートナーのスマートライフS/Lは昼が6時〜翌1時と、区切り方そのものが別物です。

わが家には1歳の子どもがいるので、日中に家族が在宅している時間があります。夜に家事を寄せられるかどうかは家庭の事情次第なので、ここは正直に自分の生活リズムを当てはめるしかありません。

判定の材料は、スマートメーターの30分値やウェブの会員サービスで手に入ります。昼と夜にどれだけ使っているかが分からないと、オール電化向けプランの損得は計算のしようがないんですよね。

リフォームの回収年数と新築で浮く工事費

光熱費だけで判断すると、設備の工事費が抜け落ちます。都市ガス地域では、リフォーム費を光熱費の差だけで回収するのは寿命内では難しいのが正直なところです。

工事内容費用の目安
ガス給湯器 → エコキュート約50万円〜100万円
ガスコンロ → IHクッキングヒーター約20万円〜40万円
IH+エコキュートのセット約60万円〜100万円
総額の目安(暖房等も含む場合)約60万円〜120万円

設備を別々の時期に工事すると割高になり、まとめて施工したほうが総額は下がります。既設の配管や搬入経路、分電盤の容量でも金額は動くので、上の幅はあくまで目安として見てください。

補助金も確認どころです。給湯省エネ2026事業ではエコキュートが基本70,000円/台、性能を満たせば追加30,000円/台。交付申請の受付は2026年3月31日から予算上限に達するまで(遅くとも12月31日まで)で、申請と受け取りは登録された事業者が行います。(出典:経済産業省『給湯省エネ2026事業』対象機器(エコキュート))

面白いのは、ハイブリッド給湯機が基本100,000円+加算20,000円、エネファームが170,000円と、ガスを残す機器のほうが補助額が大きい点です。オール電化にしないと補助が受けられない、という話ではありません。

新築なら前提が変わります。前面道路の本管から建物へ引き込む工事は約10万円〜20万円が相場で、敷地内のガス配管はさらに別(京葉ガスの例では標準的な木造戸建の新築で165,700円)です。

オール電化を選べばこの費用がまるごと不要になるので、初期費用を比べる出発点がそもそも違います。わが家も新築でガスを引かなかった側で、ここは選択の理由のひとつでした。

一方、すでに都市ガスが引き込まれている家では、その費用は払い済みで戻ってきません。比べるべきなのは「ガス機器を更新する費用」と「オール電化にする費用」の差のほうになります。

関連記事:プロパンガスから都市ガスへ切り替える費用と回収年数

オール電化はやめたほうがいいは本当か

「やめたほうがいい」と言われる中身を分解すると、電気代の高騰・停電・エコキュートの交換費用・昼間の割高単価の4つに集約されます。どれも条件が変われば当てはまらなくなる性質のものです。

オール電化でよく挙げられる後悔ポイントとして、昼間の電気代の高さ・初期費用・停電時の弱さ・IHで使えない調理器具などを一覧にしたチェックリスト図

実際に挙がっている後悔の中身を並べると、こうなります。

  • 昼間の電気代が高く、夜間割引のメリットを受け取れない
  • プランと生活時間帯が噛み合わず、想定より光熱費が高い
  • 設備一式の初期費用が数十万円から100万円規模になる
  • 停電すると照明・暖房・調理が同時に止まる
  • エアコン暖房中心になり、暖房の立ち上がりが弱く感じる
  • タンク容量が家族の使用量に合わず、来客時や冬に湯切れする
  • 土鍋や中華鍋など、IHで使えない調理器具が出る

裏を返せば、当てはまらない条件もはっきりしています。夜に給湯や家事を寄せられる生活リズム、プロパン地域、太陽光発電の併設。この3つが揃うほど有利に働きます。

普及の状況も参考になります。オール電化住宅は2013年度で562万戸、2025年度には普及率が20%を超え、およそ5戸に1戸という水準に達する見通しが示されています。

ただし地域差が非常に大きく、新築戸建の電化率は九州で約7割、居住者の比率では中国・四国が3割を超えます。多い地域に住んでいるほど、当たり前の選択肢に見えるわけですね。

もうひとつ触れておくと、資源エネルギー庁によればプロパンは全国のおよそ4割の世帯で使われています。「都市ガスと比べてどうか」という議論が、そもそも当てはまらない読者が4割ほどいるということです。

エコキュートは10〜15年で交換費用

エコキュートの寿命はおおむね10〜15年です。年1万円台の差額に対して、10〜15年ごとに数十万円の更新費が乗る——これが都市ガス地域で結論の渋くなる最大の理由かなと思います。

メーカーの多くは耐用年数を約10年としていて、補修用の部品を持っている期間も製造終了後10年程度です。部品が入らなくなると、直したくても直せなくなります。

状況工事費込み総額の目安
既存エコキュートからの交換約35万円〜50万円
電気温水器などからの切り替え約40万円〜60万円
370L〜460Lクラスの交換(別調査)約385,000円〜660,000円

価格帯の分布では40万円台が約57%、50万円台が約26%で、工事を含めて総額60万円未満に収まる例が約8割です。同じ機種・容量でも、業者間で10万円から30万円の差がつくことがあります。

修理で粘る手もありますが、こちらも安くはありません。ヒートポンプユニットの修理で8万円〜22万円、貯湯タンクの修理は30万円前後、冷媒回路の故障だと73,000円〜180,000円という幅があります。

修理費が10万円を超える場合や使用10年超なら、交換のほうが合理的という判断が一般的です。ガス給湯器も寿命は10年前後ですが、東京ガスが示す交換費用の相場は暖房機能なしで15万円〜20万円、暖房機能付きでも30万円〜35万円。1回あたりの交換費用はエコキュートより一段小さく収まりやすいという差が残ります。

ですから比べるときは、年間のランニングコストだけでなく、更新費を寿命で割った金額まで足してみてください。10年後の出費を今の家計に均してみると、見え方がずいぶん変わるはずです。

電気料金が上がるとどこまで逆転するか

オール電化の経済性は、夜間単価の安さに乗っています。その割引が縮むと前提そのものが崩れるのですが、これは過去に実際に起きています。

東京電力エナジーパートナーの「電化上手」(季節別時間帯別電灯)では、2023年7月1日の見直しで夜間時間の電力量料金が15円71銭/kWhから29円05銭/kWhへ、約1.8倍になりました。基本料金は6kVA以下で1,375円44銭のまま据え置きです。

夜間の単価がこれだけ上がれば、給湯を夜に寄せた設計で見込んでいた得はその分だけ削られます。もっとも比べる相手のガス料金も同時に動くので、目減り幅がそのまま単価の上昇率になるわけではありません。いずれにしても設備は10年以上使うものなので、契約時点の単価差がそのまま続くと考えないほうが安全ですよね。

とはいえ、これはガス側も同じです。電気に燃料費調整があるように、ガスには原料費調整があり、どちらも燃料価格と為替で毎月動きます。片方だけが外部環境の影響を受けない、ということはありません。

自由料金のプランでは燃料費調整の上限を撤廃しているものが多く、市況が高騰すると上限なく上がりうる点も頭に入れておきたいところです。政策による値引きも期間限定で、2026年は1〜3月使用分と7〜9月使用分について実施されています。

この不確実さを薄める手が太陽光発電です。昼の自家発電で沸き上げるおひさまエコキュートは夜間割引に依存しないので、深夜料金が上がるリスクを受けにくくなります。

パナソニックは翌日の日射量予報と連動して沸き上げをずらす機能で年間の買電量を約7%削減したとしていて、給湯省エネ2026事業の加算要件にも同じ趣旨の機能が入っています。

わが家も太陽光と蓄電池を契約していますが、設置が終わったのは2026年8月18日で、月単位の発電の実測はまだ手元にありません。この記事の数字に太陽光の効果は入っていない、という前提で読んでいただければと思います。

停電と復旧の早さはどちらが不利か

停電した瞬間に強いのはガス併用です。ただし復旧の早さで見ると、電気のほうが大幅に早く戻ります。どちらが不利かは、時間軸で答えが変わります。

状況オール電化ガス併用
停電のみ調理・給湯・暖房が停止電池点火のガスコンロは使用可(給湯器は電源が要る機種が多い)
断水のみ貯湯タンクから生活用水を取り出せる給湯器は貯めないため取り出せる水はない
停電+断水貯湯タンクの水は取り出せる(機種による)ガスコンロのみ使用可

エコキュートの貯湯タンクには非常用取水栓が標準で付いていて、370Lなら4人家族の約3日分、460Lなら約4日分の生活用水にあたります。わが家のタンクにも「非常時は生活用水として使えます」というラベルが貼られていました。

ただし飲用は推奨されていません。停電時に蛇口からお湯が出る機種でも湯温の調整ができず、高温のお湯が出てやけどの危険があるので、使い方は必ず取扱説明書でご確認ください。

復旧側の実績はこうです。東日本大震災では電気が約1週間、水道が約3週間、ガスが約5週間。熊本地震では電気と水道が約1週間で大きく改善し、ガスは約2週間でほとんど復旧しました。

内閣府の復旧目標も電気6日・上水道30日・都市ガス55日と大きな差があります。都市ガスは1戸ずつ安全確認と開栓が要り、その戸数は阪神・淡路大震災で約85万戸、東日本大震災では仙台市ガス局管内だけで約36万戸にのぼりました。

つまり「オール電化は災害に弱い」は復旧の早さという点ではむしろ逆です。ガス会社の記事が言う「停電中もコンロが使える」は事実で、それが効くのは最初の数日という整理になります。

その数日をどう埋めるかは、自分で決められる部分です。カセットコンロと予備のボンベがあるかどうかで、この項目の重みはかなり変わってきますね。

オール電化と都市ガスはどっちが安いかのよくある質問

プロパンから都市ガスに変えるのと、オール電化にするのはどちらが安くなりますか?

どちらも大きく下がりますが、性質が違います。わが家の旧居のプロパン代134,234円を同じ熱量の都市ガスに置き換えると年約65,540円で、差は約68,694円でした。これは供給方式が変わるだけで消える差です。オール電化はそこに給湯機の効率差が乗る形なので、まずは都市ガスが引ける地域かどうかを確認するのが先かなと思います。

オール電化にすると基本料金は本当に一本化されて安くなりますか?

電力会社によります。契約アンペアに比例する会社なら、ガスの基本料金(都市ガスで月759円前後)がそのまま浮きます。一方でオール電化向けプランの基本料金が高い会社では差引で増えることもあり、中部電力ミライズの公表単価では月約116円・年約1,392円の増加という計算になりました。切替先プランの基本料金は、契約前に公式サイトでご確認ください。

単身や二人暮らしでもオール電化のほうが安いですか?

給湯量が少ないほど効率差のメリットは小さくなり、オール電化向けプランの高めの基本料金が相対的に重くなります。差額の本体は給湯なので、お湯をあまり使わない世帯ほど有利さは薄まると考えておくのが無難です。もちろん、プロパン地域かどうかで結論が変わる点は世帯人数にかかわらず同じです。

都市ガスを残したまま光熱費を下げる方法はありますか?

給湯器を高効率のエコジョーズに替える、電気とガスを同じ会社にまとめてセット割を使う、といった手があります。電気とガスの両方を使うハイブリッド給湯機という中間の選択肢もあり、給湯省エネ2026事業では基本100,000円+加算20,000円の補助対象です。ただしセット割の割引率は数%程度なので、過度な期待はしないほうがいいかなと思います。

新築でオール電化にすると、ガスを引く費用はどれくらい浮きますか?

前面道路の本管から建物への引き込みが約10万円〜20万円、これに敷地内の配管工事が加わります(京葉ガスの例では標準的な木造戸建の新築で165,700円)。オール電化ならこれが不要になるので、リフォームで切り替える場合とは初期費用の前提が変わります。実際の金額は本管までの距離や敷地条件で動くため、見積もりで確認してみてください。

関連記事:新電力のデメリットと損する3条件を実測で検証

オール電化と都市ガスの損得を分ける条件

エネすけ
エネすけ

結局、うちがどっちかは自分で計算しないと分からないんだね。

そうなんですよ。ただ見るところは少ないので、まずは検針票を1年分そろえてみてください。

りょう
りょう

オール電化と都市ガスのどちらが安いかは、平均額ではなく自分の家の条件で決まります。最後に要点を並べておきますね。

都市ガス地域の差は年1万円台にとどまりやすいこと、プロパン地域は年数万円下がること、差額の本体は給湯であること、昼間在宅が多いと不利になることなど、記事全体の要点を1枚にまとめた図解
  • 都市ガス地域の差は年1万円台にとどまりやすく、生活の仕方で逆転する
  • プロパン地域は年数万円規模で下がるが、その多くはプロパンをやめた効果
  • ガスの基本料金は消えても電気の基本料金が上がる会社があるので差引で見る
  • 差額の本体は給湯で、同じ機種でも地域で約2倍、寒冷地仕様まで含めれば3倍動く
  • 昼間の在宅が多いと年1万円以上不利になり、夜に寄せられれば逆に有利になる
  • エコキュートは10〜15年ごとに数十万円の更新費がかかる
  • 停電直後はガス併用が強いが、復旧の早さは電気が大きく上回る

ここまでの金額は、すべて公表されている単価とわが家の明細から出した目安です。料金表も補助金も年度で変わるので、最終的にはお住まいの地域の電力会社・ガス会社の公式サイトで最新の条件をご確認ください。

設備の入れ替えを伴う判断は、どうしても金額が大きくなります。迷ったら見積もりを複数取ったうえで、専門家にご相談いただくのが安全かなと思います。

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りょう / エネすけ運営者

関西の新築一軒家(オール電化)で、妻と子ども2人と暮らす一般の施主です。2026年8月に太陽光7.92kW+蓄電池7.7kWhを設置しました。導入前24ヶ月分の電気代実測をもとに、「太陽光は本当に元が取れるのか」を導入前後の比較で検証していきます。

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