こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。
「FITの買取期間がもうすぐ終わるけど、うちはどうすればいいんだろう?」——満了のお知らせが届いて初めて、卒FITという言葉を真剣に調べ始めた方も多いと思います。売電単価が大きく下がるのは避けられない事実ですが、そこで何を選ぶかによって、その後10年の収支は変わってきます。
私は2026年8月18日に太陽光7.92kW+蓄電池7.7kWhを設置した施主で、卒FITを迎えるのは約10年先です。だからこそ「後で後悔しないために、単価が下がった後まで考えておきたい」という当事者の目線で、特定のサービスに肩入れせず、選択肢ごとの金額を横並びにして整理しました。この記事を読めば、ご自宅に合う一手が絞り込めるはずです。
- 卒FIT後の売電価格は大手で7〜9円/kWhに下がり、放置が一番損になる理由
- 売電先の切り替えやエコキュート昼間運転など、0円でできる対策とその効果額
- 蓄電池後付けの費用相場・補助金と、元が取れる家庭・取れない家庭の条件
- 満了通知が届く時期と、切れ目なく切り替えるための手続き期限・流れ
卒FITどうする?結論と損得の分かれ目
結論から言うと、一番損なのは、何も確認せず7〜9円/kWhで売り続ける「放置」です。卒FITといっても太陽光の設備が使えなくなるわけではなく、高い固定単価で売れる10年間が終わるだけ。そして満了後の最適解は、ご家庭の「日中の在宅状況」で分かれます。

卒FITって聞くと、太陽光がもう終わりみたいで不安になるよ…。
設備はそのまま使えますよ。売る単価が下がるだけなので、「下がった後にどう動くか」が本題みたいですね。一緒に整理してみましょう。
一番損なのは7〜9円で売り続ける放置
大手電力の多くは、卒FIT後も手続きなしで自社の買取プラン(7〜9円/kWh前後)に自動的に引き継がれます。「何もしなくても売れ続けるなら問題ないのでは?」と思えますが、実はこの状態こそが取り逃がしの温床です。
単価の高い売電先へ0円で替えられるのに替えていない、余剰を自家消費に回せば約31円/kWhの買電を置き換えられるのに8円前後で売り続けている——放置とは、この「取れたはずの得」を毎月逃し続ける状態のことなんですね。
自動継続の扱いは電力会社によって異なり、買取契約がどことも結ばれていない状態になると、余剰電力は無償で引き取られる(タダで電気を流し続ける)ことになります。まずは満了通知で「自分の契約が自動継続かどうか」の確認を。
放置で具体的にいくら損をするのかは、次の章で満了年別に試算します。その前に、「放置以外にどんな選択肢があるのか」の全体像を先に押さえておきましょう。
選択肢は4つ・分かれ目は日中の在宅状況
卒FIT後の選択肢は、大きく「売り続ける」系と「自分で使う(自家消費)」系に分かれ、現実的には次の4つに整理できます。
| 選択肢 | 初期費用の目安 | 向く家庭 |
|---|---|---|
| ① 売電先の切り替え | 0円 | ほぼすべての家庭(まずはここから) |
| ② エコキュート昼間運転 | 既設機なら0円(設定変更のみ) | オール電化の家庭 |
| ③ 蓄電池の後付け | 工事費込み平均 約210万円(補助金で圧縮可) | 日中不在で余剰が多い家庭 |
| ④ V2H+EV | 実売130〜160万円程度(補助金で圧縮可) | EVを保有・購入予定の家庭 |
分かれ目になるのは日中の在宅状況です。日中不在の共働き世帯なら「昼の余剰を貯めて夜使う」蓄電池、日中在宅で給湯が電気ならエコキュートの昼間運転や単価の高い売電先への切り替えが本命になります。
昼に電気を使う人がいない家庭はタイマー運転などの昼シフトだけでは使える量に限りがあり、余剰を大きく自家消費に回すには「貯める」が本命になり、逆に日中在宅の家庭は機器投資なしで自家消費を増やせる余地が大きいからです。
この4つは排他ではなく、組み合わせられます。0円でできる「切り替え+できる範囲の自家消費シフト」を土台にして、蓄電池・V2Hは条件が合う家庭だけ上乗せで検討する、という順番が実態に合っています。洗濯機・食洗機・スマホやEVの充電を発電時間帯に寄せる「生活時間の昼シフト」も、0円でできる立派な自家消費ですよ。
卒FIT後の売電価格はいくらまで下がる?
大手電力にそのまま売り続けた場合の単価は7〜9円/kWh前後。FIT期間中の単価と比べて、おおむね3分の1から6分の1まで下がります。この章では、満了年別の下落幅と、放置した場合に年間いくらの差になるのかを数字で確認していきます。

満了年別の下落幅と放置の年間損失試算
卒FITを迎える年の目安は「契約年度+10年」です(正確な満了日は売電開始日の10年後で、満了通知で確認できます)。最初の卒FITは2019年11月(2009年11月契約組の満了)で、この年だけで約53万件が満了を迎えました。ご自身の契約年度と照らし合わせてみてください。
| 満了を迎える年 | 契約年度 | FIT期間中の単価 | 卒FIT後の単価目安 |
|---|---|---|---|
| 2019〜2020年 | 2009〜2010年 | 48円 | 7〜9円(約6分の1) |
| 2024年 | 2014年 | 37円 | 7〜9円(約4分の1) |
| 2025年 | 2015年 | 33〜35円 | 7〜9円(約4分の1) |
| 2026年 | 2016年 | 31〜33円 | 7〜9円(約4分の1) |
| 2027年 | 2017年 | 28〜30円 | 7〜9円(約3.5分の1) |
金額に置き換えてみます。月100kWhを売電している家庭なら、FIT単価33〜35円で月3,300〜3,500円だった売電収入が、卒FIT後(7〜9円)は月700〜900円に。月2,400〜2,800円、年間で約3〜3.4万円の減収です。
もう少し条件を細かくした計算例も見てみましょう。太陽光4kW・年間発電量約4,000〜4,400kWh・自家消費率30%(住宅用の全国平均的な水準)とすると、年間の余剰売電量は約2,800〜3,100kWh。2016年度契約(31円)なら、FIT期間中は年約8.7〜9.6万円あった売電収入が、卒FIT後8円では年約2.2〜2.5万円。差額は年6.5〜7万円にもなります。
売る8円か、使う31円か
この減収自体は制度上避けられません。ここで押さえたいのは、家庭が買う電気の目安単価が約31円/kWh(2026年度の再エネ賦課金は4.18円/kWhで、買う側の単価は上昇傾向)だということ。同じ1kWhでも「売ると8円、使うと31円分の節約」と3倍以上の差があり、卒FIT後は「いかに高く売るか」より「いかに自分で使うか」が効く構造に逆転します。(出典:経済産業省ニュースリリース「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します」)
なお、ここで挙げた単価や試算はあくまで一般的な目安です。発電量や自家消費率は地域・屋根条件・生活パターンで変わるので、ご自宅の検針票や「購入実績のお知らせ」にある実績値で確かめるのが確実ですよ。
関連記事:太陽光の売電収入はいくら?7.92kW実例と容量別の計算方法
関連記事:卒FITの売電単価はいくら?大手と新電力の差と今からできる備え
売電先の切り替えは0円でできる一手
売電先の切り替えは、初期費用0円・工事不要でできる、卒FIT対策の土台の一手です。ただし上乗せ効果は年1万円前後のことが多く、劇的ではありません。単価の比較と「条件付きプランの落とし穴」をセットで押さえておきましょう。

大手10社と新電力の買取価格比較2026
まず、何もしなければ多くの場合はこの単価で自動継続になります。単価は改定されることがあるため、契約前に必ず最新の公表値をご確認ください。
| 電力会社 | 買取単価(円/kWh) | 備考 |
|---|---|---|
| 北海道電力 | 8 | ポイント付与あり |
| 東北電力 | 9 | シンプル買取 |
| 東京電力エナジーパートナー | 8.5 | 月額4,000円の預かりサービス「再エネおあずかりプラン」あり(預かり上限・加入条件つき) |
| 中部電力ミライズ | 8 | プラン次第で12円相当のオプションあり |
| 北陸電力 | 8 | 年間定額型(1.5万〜3.5万円)も選べる |
| 関西電力 | 8 | 貯めて使う預かり型サービスも併設 |
| 中国電力 | 7.15 | 毎月指定口座へ振込 |
| 四国電力 | 7 | 振込または電気代相殺 |
| 九州電力 | 7 | 基本プラン |
| 沖縄電力 | 7.7 | 基本単価。再エネEポイントプランは別途申込のオプション |
大手の水準はおおむね7〜9円/kWh、平均イメージは8円台前半です。一方、新電力やガス会社には10円台のプランがあります。
| 事業者・プラン | 買取単価(円/kWh) | 主な条件・注意点 |
|---|---|---|
| Q.ENEST「エネまかせ」 | 14円台(2025年の月平均実績例14.59) | 市場連動型で毎月変動・固定保証なし。対応は関東・東北・中部・関西・中国・四国・九州の7エリア(離島除く)。解約金・初期費用なし |
| スマートテック「スマートFIT」 | 14.6 | キャンペーン価格・定員制 |
| エネクスライフサービス「卒FITでんきプラス」 | 13.5 | 電気とのセット契約時。買取のみだと10円前後 |
| 京葉ガス | 13.8 | 電気供給セット(プラチナプラン)が条件 |
| 東邦ガス | 13(1年目のみ) | 2年目以降は9.5円に低下 |
| idemitsuでんき | 11.5 | 電気契約セット前提 |
| 東急パワーサプライ | 11.1 | 電気契約セット前提 |
| 東京ガス「蓄電池購入サポートプラン」 | 23 | 東京ガスで蓄電池を購入した人向け・適用は半年間限定 |
表の上位にある市場連動型は、買取単価が卸電力市場(JEPX)の価格に連動して変動するタイプです。2022〜2024年の実績では固定型より高値で推移した期間が多かった一方、単価の保証はなく、市場価格が下がる局面(春や秋の昼間は特に安くなりやすい)では大手の固定型を下回る可能性もあります。
「実績が高い=将来も高い」ではない点が最大の注意点で、確実さを取るなら固定型、期待値を取るなら連動型、というリスクの好みで選ぶことになります。
Q.ENESTでんき「エネまかせ」
市場連動型のため単価の保証はありませんが、2025年の月平均実績例で14円台と水準が高く、解約金や初期費用なしで始めやすい卒FIT向け買取プランです(対応エリアは関東・東北・中部・関西・中国・四国・九州の7エリア・離島除く。単価は毎月変動します)。
セット条件や期間限定単価の落とし穴
高単価プランの多くは条件付きです。買取単価の高さだけで選ぶと、トータルでは損をすることがあるので、次の4点は申し込み前に確認しておきましょう。
- セット契約条件:電気(ガス)契約ごとの切り替えが必要なプランは、単価の上乗せ分より電気料金プランの差額の方が大きい場合がある。売電側と買電側を合算して比較する
- 期間限定単価:「1年目だけ13円、2年目以降は9.5円」のような設計は、2年目以降の単価で収支を再計算する
- 定員・キャンペーン:申込時点で受付が終了していることがある
- 違約金・解約条件:買取契約自体は違約金なしが多いが、セットの電気契約側に縛りがある場合がある
効果の規模感も冷静に見ておきます。年間余剰2,500kWhの家庭が8.5円から13.5円のプランへ替えた場合、上乗せは年12,500円。0円ででき、条件が合えば堅実に効く一方で、劇的な金額ではありません。
切り替えは「土台の一手」と割り切り、大きく変えたいなら自家消費側の対策と組み合わせるのが現実的です。なお20円超のような突出した単価は「蓄電池購入者向け」「期間限定」の販促プランで、ずっと続く単価ではない点もお忘れなく。
エコキュート昼間運転も0円で効く自家消費

オール電化のご家庭なら、エコキュートの沸き上げを深夜から昼の余剰時間帯へ移すだけで、0円で自家消費を増やせます。対応機種ならリモコンの設定変更だけで済み、買い替えは不要です。
理屈はシンプルです。エコキュートはこれまで「安い深夜電力で沸かす」前提で使われてきましたが、卒FIT後は単価が逆転します。例えば関西電力のオール電化向けプラン「はぴeタイムR」の夜間単価は14.93円/kWh。
卒FIT後の売電単価は8円前後なので、「余剰を8円で売って、夜に約15円の電気でお湯を沸かす」より「売れば8円にしかならない余剰で、そのまま昼に沸かす」方が1kWhあたり7円前後お得なんですね。通常プラン(目安31円/kWh)で沸かしている場合は、差はさらに大きくなります。
効率の面でも昼が有利です。エコキュートの消費電力の大半は沸き上げが占めますが、昼間は外気温が高くヒートポンプの効率が良いこと、沸かしてから入浴までの時間が短く放熱ロスが少ないことから、平均で11%程度の省エネ効果があるとされています。
| メーカー | 機能名 | 内容 |
|---|---|---|
| パナソニック | ソーラーチャージ | 台所リモコンから沸き上げ時間帯を昼に設定。9〜17時の間で1時間単位・最大4時間 |
| 三菱電機 | お天気リンクEZ / お天気リンクAI | 天気予報と連動し、晴れる日は夜間沸き上げを抑えて昼に沸かす。AI版は過去の発電実績も学習 |
| ダイキン | 昼間シフト機能 | 夜間の沸き上げ量を抑え、翌日昼の余剰電力で沸き上げ(手動設定) |
天気の悪い日に昼間沸き上げを固定すると、割高な昼間の買電でお湯を沸かすことになり逆効果です。天気予報連動機能がない機種では天候に応じた手動調整が必要で、昼の沸き上げ量を絞りすぎると夜の沸き増し(買電)が発生する湯切れリスクもあります。
実はわが家のエコキュートもパナソニック製で、2026年8月18日に太陽光の設置が終わったので、これからソーラーチャージの設定を試すところです。設定だけで移行できるなら、投資ゼロの一手として最初に手を付ける価値があるかなと思っています。
もう一段踏み込むなら、給湯器の更新期が近い家庭は「おひさまエコキュート」への買い替えも選択肢です。昼間の沸き上げを標準運転とする設計の機種で、エコキュート自体の寿命は10〜15年程度。ちょうど卒FITと更新期が重なる家庭が多いはずです。
国の給湯省エネ2026事業では基本7万円+性能加算3万円の最大10万円/台(撤去加算2万円/台は電気温水器を撤去する場合のみで、既設エコキュートの撤去は加算対象外)、東京都では14万円/台+加算の例もあります(いずれも予算上限や登録事業者経由などの要件があるため、最新の公式情報をご確認ください)。
故障してからの緊急交換ではなく、卒FITを機に計画的に更新する、という順番が賢いですよ。(出典:経済産業省「給湯省エネ2026事業」公式サイト)
蓄電池の後付けは元が取れるのか
正直に言うと、定価ベース・補助金なしでは、経済性だけで元を取るのは難しいのが現実的な相場観です。複数の試算で回収期間は15〜20年とされ、蓄電池の寿命や保証期間(10〜15年)を超えてしまうケースがあるからです。分かれ目は「補助金と相見積もりで初期費用をどこまで圧縮できるか」と「停電・防災への備えをいくらと見るか」。順に見ていきます。

回収に15年って聞くと、ちょっとひるむね…。それでも入れる意味はあるの?
条件次第みたいですよ。補助金が厚い地域だとだいぶ変わるようなので、費用と補助金から順に見ていきましょう。
費用相場と補助金・回収年数の目安
| 項目 | 相場(2026年時点) |
|---|---|
| 本体+工事費の平均(平均容量12.25kWhの調査値) | 約210万円(税込) |
| kWhあたり単価(工事費込み) | 平均17.2万円/kWh・契約実勢は15〜20万円/kWh |
| 5kWh前後の小容量 | 約80〜120万円 |
| 全負荷型(停電時に家全体へ給電) | 約175〜270万円 |
| 特定負荷型(停電時は一部回路のみ) | 約115〜208万円 |
経済産業省は「2030年度までに工事費込み7万円/kWh以下」という普及目標を掲げていますが、現状の15〜20万円/kWhはまだその2倍以上。価格は下落傾向にあるものの、劇的には下がっていません。だからこそ、補助金の活用が実質負担を左右します。
| 制度 | 金額 | 注意点 |
|---|---|---|
| 国のDR補助金(家庭用蓄電池) | 上限60万円 | 2026年度分は予算到達により2026年5月29日で公募終了。次回公募の有無は公式サイトで要確認 |
| 東京都の蓄電池補助金 | 10万円/kWh・上限120万円 | 都内在住者のみ。国のDR補助金と併用可で最大190万円規模の例 |
| その他自治体 | 数万〜数十万円 | 卒FIT世帯への上乗せ補助を設ける自治体もある |
補助金は「申請してから工事」など手順の要件が厳格で、年度途中の予算切れが常態化しています。導入時期の計画に直結するので、契約前に必ず最新の公募状況を確認してください。
元が取れるかどうかの構造は、「夜へシフトできた電力量 ×(買電単価31円−売電単価8円)」で決まります。シフトできる量は「昼の余剰」と「夜の使用量」の小さい方で頭打ちになる点がポイントです。4人家族・太陽光4kW・蓄電池7kWh・月間使用量400kWhの公開試算例では、売電収入の減少が年▲約3万円に対して電気代の削減が年+約8万円、実質の年間メリットは約5万円。
補助金を活用した場合の回収期間は約15年でした。15年以内の回収を狙うには導入単価をおおむね10万円/kWh以下に抑える必要があるという試算もあり、実勢単価との差を補助金と相見積もりでどこまで埋められるかが回収年数の急所です。
もう1つ、見積もりの際はパワーコンディショナー(パワコン)の交換も一緒に考えるのがおすすめです。パワコンの寿命は10〜15年で、ちょうど卒FITの時期に交換期(相場30〜40万円)が重なります。太陽光と蓄電池のパワコンを一体化するハイブリッド型なら交換を兼ねられて二重投資を避けられます(逆にパワコンがまだ新しいなら、単機能型の方が安く済むこともあります)。
なお国民生活センターも「必ずしも売電より自家消費の方が経済的メリットが大きいとは限らない」と注意を促しています。ここで挙げた金額はあくまで目安なので、最終的な判断はご自宅の余剰量に基づく複数社の見積もりと、公式の補助金情報を確かめたうえで行ってください。
蓄電池が向く家庭・向かない家庭
判断材料として心強いのは、卒FIT世帯には10年分の発電・売電の実績データがあることです。検針票や「購入実績のお知らせ」の月別売電量から余剰を正確に把握できるので、新築時と違って実績ベースで容量を決められます。実際に使える実効容量は「定格−1kWh」程度が目安で、「昼の余剰」と「夜の使用量」の小さい方に合わせると無駄がありません。
| 向く家庭 | 向かない家庭 |
|---|---|
| 日中不在で余剰が多い | 余剰が少ない(自家消費率が既に高い) |
| 夜間の電力使用が多い | 補助金がほぼ使えない |
| 補助金が厚い自治体(東京都など)に住んでいる | 18万円/kWh超の見積もりしか取れない |
| パワコンの交換期が来ている | 10年以内に住み替えの予定がある |
| 停電・災害への備えに価値を感じる | — |
気を付けたいのが、卒FIT世帯を狙った訪問販売です。国民生活センターへの家庭用蓄電池の相談件数は2016年度の325件から2020年度には1,314件へと約4倍に増えており、卒FIT世帯が増えた時期と重なります。
「この値段は今日限り」と契約を急かす、「太陽光の無料点検」で訪問して蓄電池を売り込む、電力会社の関連会社を名乗って信用させる、といった手口が典型です。(出典:国民生活センター「家庭用蓄電池の勧誘トラブルにご注意!」)
その場では契約せず、最低3社の相見積もりを。同一機種でも業者間で数十万円の差が出ることがあり、訪問販売の一社単独見積もりは相場より高い傾向が指摘されています。困ったときは消費者ホットライン(188)へ相談を。
V2Hは電気自動車がある家庭の大容量シフト
V2Hが向くのは、「EVをすでに持っている・購入予定がある」かつ「日中に車が家にあることが多い」家庭です。逆に言うと、EVのない家庭がV2Hのために車まで買うのは投資として過大になりやすい、というのが正直なところです。
V2H(Vehicle to Home)は、EV・PHEVの駆動用バッテリーと家をつないで、太陽光の余剰をEVへ充電したり、EVから家へ給電したりできる機器です。EVの電池容量は家庭用蓄電池より大幅に大きいことが多く、昼に余剰で充電して夜に家へ給電すれば、「売るより使う」を大きな規模で実現できます。ガソリン代・充電コストの置き換え効果も加わり、停電時の非常用電源にもなるのが強みです。
| 項目 | 相場(2026年時点) |
|---|---|
| V2H機器本体(定価) | 約50〜100万円 |
| 設置工事費 | 30万円〜 |
| 実売の導入総額の目安 | 130〜160万円程度(例:本体128万円+工事25万円=約153万円) |
補助金では、国のCEV補助金(V2H充放電設備)で機器と工事を合わせて最大100万円超規模の支援があり得ます。ただし上限額の条件は年度・公募回で異なり、こちらも予算上限に達し次第終了する方式です。自治体補助と併用できる場合は実質負担が大きく下がるケースもあるので、公募時期と最新の条件確認が必須です。
V2H導入前の注意点
EVが外出中は家に給電できないため、通勤などで日中に車が家にない家庭では昼の余剰を充電できず効果が出にくくなります。また、充放電の頻度が増えるとEVの駆動用バッテリーの劣化が進む懸念があること、機器が大きく駐車場脇に設置スペースが必要なこと、給電規格に対応した車種が前提になることも、契約前に確認しておきたいポイントです。
関連記事:V2Hがいらない家・向く家の条件
満了通知はいつ届く?手続きの期限と流れ
「買取期間満了のお知らせ」は、満了の4〜6か月前に、現在の買取先(電力会社)から郵送などで届くのが一般的です(3か月前を目安とする事業者もあります)。通知には満了日・満了後の買取単価・継続手続きの要否が書かれているので、まずはここで自動継続かどうかを確認しましょう。

売電先を切り替える場合は、満了日の1か月前までを目安に申し込むと、満了日の翌日から新しい単価で切れ目なく買取が始まる事業者が多いです(受付期限は事業者ごとに異なるため要確認)。流れは次の3ステップです。
- 満了通知で満了日・満了後の単価・自動継続かどうかを確認する
- 住んでいるエリアで卒FIT買取を受け付けている事業者を確認する(資源エネルギー庁のサイトにエリア別の一覧がある)
- 変更先の事業者へWebまたは電話で申し込む(旧買取先への解約連絡は原則不要・変更先が切り替えを代行)
申し込みに必要なのは、受給地点特定番号(電力系統上の地点を特定する22桁の番号。検針票・購入実績のお知らせ・満了通知に記載)、お客さま番号、FIT満了日、設備容量などの設備情報、本人確認書類、売電収入の振込先口座あたりです。
通知を紛失しても現在の売電先に再発行を依頼できるので、慌てなくて大丈夫ですよ。通知が届いてから満了まで数か月の比較検討期間があるので、届いたら早めに単価の横並び比較を始めるのがおすすめです。(出典:資源エネルギー庁「どうする?ソーラー」(買取期間満了をむかえる方向け特設サイト))
卒FIT後も売電は続きますが、毎月の売電代金がいつ口座に振り込まれるのか気になる方もいるはず。
関連記事:太陽光の売電はいつ振り込まれる?電力会社別の入金日と確認方法
関連記事:FITの10年はいつから?認定日と受給開始日の違い
10年後に卒FITを迎える私の契約時の疑問
最後に、これは「これから10年かけて卒FITに向き合っていく人間」としての正直な話です。私は2026年8月に太陽光7.92kW+蓄電池7.7kWhを設置する契約を結んだばかりの施主で、卒FITを迎えるのは約10年先。つまりこの記事は、卒FITを経験した人の振り返りではなく、「10年後の自分のために、今のうちに調べておきたかった」当事者が書いたものです。
わが家の契約は2026年度のFIT制度なので、売電単価は最初の4年が24円/kWh・残りの6年が8.3円/kWh(10年をならすと約14.58円/kWh)です。
この記事を書きながら気づいたのですが、私の場合は5年目から、卒FIT後の水準(7〜9円)とほぼ変わらない8.3円の期間が制度の中で始まります。「卒FITは10年後の遠い話」と思って契約しましたが、単価が下がった後の生活は、実は契約の途中からもう始まっているようなものなんですよね。
契約の決め手は「毎月のローン支払いより電気代削減+売電の利益が上回る」という収支シミュレーションでした。ただ、今思うと「そのシミュレーション、卒FIT後(売電単価が下がった後)まで考えたらどうなんだ?」という疑問は残っています。
しかも相見積もりを取らずに1社で決めました。結果的に金額は自分で調べた中でも安い部類でしたが、この記事で読者の皆さんに相見積もりをおすすめしている自分との矛盾は、隠さず書いておきます。
だからこそ、これから太陽光を入れる方にも、いま満了通知を手にしている方にも伝えたいのは、「単価が下がった後の絵まで描いてから決める」ということです。わが家は蓄電池7.7kWhを最初から入れたので、単価が下がった後に自家消費へ軸足を移す受け皿だけはあります。これからは発電・売電の実測を公開しながら、「卒FIT後まで含めて本当に得だったのか」をこのサイトで検証していくつもりです。
関連記事:太陽光の後付けデメリット7つ|新築時に見送った家が知る差額
卒FITはどうする?よくある質問
卒FIT後、太陽光パネルはあと何年くらい使えますか?
パネルの寿命は一般に25〜30年で、メーカーの出力保証も25年(25年後に初期出力の80〜85%を保証する水準)が主流です。劣化による出力低下は年0.25〜0.5%程度とゆるやかで、メンテナンス次第で30年以上発電を続ける例もあります。一方でパワーコンディショナーの寿命は10〜15年と短く、卒FITの時期に交換期(相場30〜40万円)が重なりやすい点は見込んでおきましょう。
満了通知が届く前に、自分の卒FIT時期を知る方法はありますか?
あります。売電開始日(連系日)の10年後が満了日なので、当初の受給契約書類や、電力会社から届く「購入実績のお知らせ」で売電開始日を確認すれば計算できます。契約年度が分かる場合は「契約年度+10年」でも目安がつきます。満了通知を紛失した場合も、現在の売電先に再発行を依頼できます。
売電先を一度切り替えた後で、また別の会社へ変更できますか?
できます。卒FIT後の売電先はいつでも再変更できるので、まず自動継続で様子を見て、後からより条件の良い先へ移ることも可能です。買取契約自体は違約金なしのことが多いですが、電気料金プランとのセット契約にしている場合は、電気側の解約条件だけ確認しておくと安心です。
売る・使う以外に、電気を「預ける」選択肢もあると聞きました。どんな仕組みですか?
大手電力の一部には、余剰電力を預かって別の時間帯に使えるようにするサービスがあります(東京電力エナジーパートナーの「再エネおあずかりプラン」、関西電力の預かり型サービスなど)。また北陸電力のように年間定額型(1.5万〜3.5万円)を選べる会社もあります。蓄電池を買わずに自家消費に近い効果を狙える一方、月額のサービス料金・預かり量の上限・加入条件が設定されている場合があるため、単純な売電継続と比べてどちらが得かは各社公式サイトの条件でご確認ください。
オール電化ではなくガス給湯の家でも、0円でできる卒FIT対策はありますか?
あります。売電先の切り替えは給湯方式に関係なく0円ででき、洗濯機・食洗機・充電などを発電時間帯に寄せる「生活時間の昼シフト」も0円の自家消費策です。売れば7〜9円にしかならない余剰で約31円/kWhの買電を置き換えられるので、1kWhあたり20円強の差がそのまま節約になります。
まとめ:卒FITどうするかは日中の在宅状況で決まる
整理すると、「まずは0円でできることから」だったね!
そうですね。放置だけは避けて、切り替えと自家消費のシフトから順番に、でしたね。
最後に、この記事の要点を振り返ります。

- 一番損なのは何も確認せず7〜9円/kWhで売り続ける放置。契約がどことも結ばれていない状態だと無償引き取りになることも
- 売電先の切り替えは0円・年1万円前後の上乗せが目安。まず検討したい土台の一手(セット条件・期間限定単価は要確認)
- オール電化ならエコキュートの昼間シフト設定も0円で効く。給湯器の更新期なら「おひさまエコキュート」+補助金も選択肢
- 蓄電池は補助金+相見積もりで初期費用を圧縮できるかが分かれ目。回収15〜20年が現実的な水準で、日中不在の家庭向き
- EVがある家庭はV2Hも候補。満了通知は4〜6か月前に届き、切り替えは満了日の1か月前までの申し込みが目安
買取単価や補助金は、年度や会社によって変わります。正確な最新情報は各社・各制度の公式サイトでご確認のうえ、蓄電池やV2Hのような高額な機器は複数社の見積もりと専門業者への相談を経て、ご自宅の余剰量と生活パターンに合わせて判断してください。10年後に卒FITを迎える身として、私もわが家の実測でこのテーマを追いかけていきます。
