こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。
EVの購入時や太陽光の商談で、V2Hを勧められた方も多いですよね。一方で「いらない」「意味ない」という声も目にして、迷っているかもしれませんね。
私は2026年8月に、太陽光7.92kWと家庭用蓄電池7.7kWhを自宅に入れた一般施主です。
そして、EVと家をつなぐ機器は今のところ入れていません。電気代と停電対策の両面で、まだ出番ではないと判断したからです。
この記事では、いらない家と向く家を3つの条件で切り分けます。わが家の2026年8〜9月の実測も使い、なぜ今は入れないのか、いつ見直すのかまで正直にお伝えしますね。
- V2Hがいらない家と向く家を分ける3つの条件
- FIT期間中・太陽光なしで元が取れない1kWhあたりの計算
- 停電対策ならV2L・家庭用蓄電池で足りるかの判断軸
- 蓄電池7.7kWhの施主がV2Hを5年目に見直す理由
V2Hはいらない?結論は3つの条件で決まる
結論から言うと、EVが日中に家にない・太陽光がない・FITの売電単価が高い期間中なら、多くの家庭でV2Hはいらないと私は考えています。判定の軸は「EVが家にある時間」「売電単価」「停電で何を何日動かしたいか」の3つです。

V2Hって、EVの電気を家で使える機械だよね?みんな付けたほうがいいの?
営業ではよく勧められますよね。でも、家の条件しだいで「いらない側」の家も多いみたいですよ。
じゃあ、うちがどっち側なのか一緒に確かめてみよう!
まずは不要側・必要側の分かれ目を表にまとめます。当てはまる列が多いほうが、あなたの家の答えに近いはずです。
| 条件 | 不要側に寄る | 必要側に寄る |
|---|---|---|
| EV・PHEV | 持っていない・買う予定がない | 対応車を保有または発注済み |
| 日中の駐車 | 平日昼は通勤で家にない | 在宅勤務・近所使いで昼に家にある |
| 太陽光 | 無い | 有り、しかも余剰が多い |
| 売電単価 | FIT期間中(2026年度認定なら1〜4年目24円/kWh) | 卒FIT後、または5年目以降(8.3円/kWh) |
| 停電への備え | 100V機器で足りる・短時間の停電想定 | 200V機器を含め家全体を数日動かしたい |
| 家庭用蓄電池 | すでにある(重複投資になりやすい) | 無く、EVを家の備えとして使いたい |
EVが昼に家にない・太陽光なし・FIT中はいらない
V2Hで太陽光の余剰をEVに貯めるには、発電している日中にEVがケーブルにつながっている必要があります。メーカーの経済効果試算も「EVは平日に自宅に駐車し、主に近隣への移動に使用する想定」です。
つまり平日に車で通勤する家では、試算の前提そのものが成り立ちません。昼に車がいない限り、余剰はEVに入らず売電に回るだけです。
夜にEVを充電して朝に乗るだけなら、必要なのは双方向のV2Hではなく普通充電(200Vコンセントなど)です。戸建てのコンセント型充電器は、国の令和7年度補正で5万円定額の補助対象になりました。V2H補助とは別の制度です。
太陽光が無い家は、V2Hでできる節約が「安い時間に買って高い時間に使う」時間差だけになります。FIT期間中の家は、余剰を売ったほうが高いケースがほとんどです。どちらも次の章で1kWhあたりの数字で確かめます。
見落としやすいのが補助の条件です。国のV2H補助は、個人宅だとEV等を保有または発注済みであることが条件でした。「いつかEVを買うかもしれないから先にV2H」は、補助の対象外になります。
EVが昼にない・太陽光なし・FIT中のどれかに当てはまるなら、電気代目的のV2Hは急がなくていい側です
卒FIT後・昼EV在宅・長期停電に備える家は向く
反対に、V2Hが元を取りやすいのは売電単価が低く、昼にEVが家にあり、停電で家全体を長く動かしたい家です。具体的には次のような条件がそろう家ですね。
- 卒FIT後、または二段階FITの5年目以降で売電単価が低く、余剰が多い
- EVが平日も昼に家にあり、走行距離が短い
- 停電時に200V機器を含む家全体を長時間動かしたい
- 家庭用蓄電池をまだ持っておらず、EVを大きな電池として兼用したい
EVの電池は、家庭用蓄電池よりひと回り大きいのが強みです。家庭の電力使用量は、環境省の公的平均で年3,911kWhあります。
1日あたり約11〜12kWhの家なら、20kWh級の軽EVでも満充電で1日半〜2日弱分の計算です。日産サクラは複数の報道で総電力量20kWhとされています。これは変換ロスや内部消費を除いた単純計算なので、実際はもう少し短くなります。
自分の家がどちら側か迷ったら、次の3問で切ってみてください。
- 対応車種のEVを持っている、または発注済みか(いいえなら不要側)
- そのEVは平日の昼に家にあるか、売電単価は低いか(両方いいえなら電気代面では不要側)
- 停電時に200V機器も含めて数日動かしたいのに、家庭用蓄電池が無いか(はいなら必要側)
V2Hが意味ないと言われる理由と後悔例
V2Hが「意味ない」と言われる理由は、初期費用が蓄電池と同じ桁・補助の締切・対応車種の縛りの3つにほぼ集約されます。よく聞く後悔例も、たいていこのどれかが原因です。
もう一つ、電気を行き来させるたびに目減りする変換ロスもあります。こちらは損得の計算に直結するので、次の章でまとめて扱いますね。
初期費用128万円と追加工事・補助の締切
代表機のニチコン EVパワー・ステーション VSG3は、希望小売価格が機器だけで128万円(税抜・工事費別)です。家庭用蓄電池とほぼ同じ桁の買い物になります。(出典:ニチコン『EVパワー・ステーション VSG3』製品ページ)
工事費込みの販売総額は、販売店サイトで約99万〜160万円と表示されています。時期やページで表記が違うので、あくまで参考程度に見てください。
国のV2H補助(令和7年度補正)は、個人宅で機器1/2・上限75万円、工事1/1・上限55万円と手厚い内容でした。ただし申請受付は2026年8月27日に終了しています。
2026年10月時点では、国の補助を前提にした見積もりは組めません。次の公募がいつ出るかも決まっていないので、営業の「補助で安くなる」には要注意ですね。
自治体の補助は国とは別にあります。たとえば奈良県のスマートハウス普及促進事業(令和8年度)は、V2Hに10万円(南部東部は13万円)でした。ただ予算に達し、2026年7月29日時点で申請できるのは太陽熱利用システムだけになっています。次年度の公募も含めて、お住まいの自治体の公式サイトで確認してみてください。(出典:奈良県『スマートハウス普及促進事業』)
補助や見積もり以外にも、設置してから気づく後悔がいくつかあります。よく挙がる型を表にしました。
| 後悔の型 | 中身 | 確認できる事実 |
|---|---|---|
| 補助の条件・締切 | 補助前提で見積もったが受付終了・EV未保有で対象外 | 交付決定前の発注・着工も不可。補助を受けると5年間の保有義務 |
| 置き場所・配線 | 駐車位置と分電盤が遠く追加工事、狭くて置けない | 旧VCG-666CN7は本体91kg・ケーブル7.5m・屋外設置 |
| 運転音 | 室外機のようなファン音が気になる | VCG-666CN7の運転時騒音は40dB-A(強制空冷) |
| 停電時の操作 | 切替が手動で停電時に慌てる | 旧VCG-666CN7は手動切替。VSG3は自動切替開閉器付き |
| 充電が遅い | 倍速充電の電力が契約に足りない | ニチコン取説「倍速充電を十分使うには最大6kWの電力が必要」 |
| 電池の劣化不安 | 充放電が増えて車の電池が傷まないか | 電池保証との関係を明記した自動車メーカー公式の記載は確認できず |
見積もりを見るときは、機器代だけでなく配線距離と置き場所まで確認するのが大事かなと思います。追加工事は、現地調査をしないと金額が読めない部分だからです。
テスラは非対応で次の車選びも縛られる
国内V2Hの代表機であるニチコン VSG3の対応車種一覧には、テスラの記載がありません(2026年10月確認)。国内では「テスラ車はV2H非対応」とする解説が中心です。
米国では2026年10月6日、テスラがModel 3/Model Yの家庭向け給電機能「Powershare Home Backup」を発表したと報じられています。ただし対象は米国で、同社の家庭用蓄電池Powerwall 3などが必要です。
報道では、日本への展開予定は示されていません。国内のV2H機器でテスラ車が使えるようになる話ではないので、混同しないようにしたいですね。
テスラ以外にも、対応が「停電時のみ」や「制限付き」の車があります。停電時のみの車は、平常時に太陽光の余剰を充放電できません。つまり電気代を下げる目的のV2Hは成り立たないということです。
| 車種 | V2Hでの扱い(ニチコン一覧ほか) |
|---|---|
| テスラ | 対応車種一覧に記載なし |
| ヒョンデ IONIQ 5 | 停電時のみ(変換ロスが理由) |
| BYD 旧型SEAL系 | 停電時のみ |
| FCEV(MIRAIなど) | 停電時のみ |
| BYD RACCO 200/300 | 充電約4.5kW以下・放電約2.0kW以下の制限付き |
| 三菱PHEV | エンジン作動中・イグニッションON中は充放電不可 |
もう一つの落とし穴が次の車です。V2Hは今の車と次の車の両方が対応して、はじめて10年単位で使えます。
同じメーカーでも車種で対応が分かれます。ヒョンデはKONA・INSTERが対応でIONIQ 5は停電時のみ、BYDもSEALION 7は対応で旧型SEAL系は停電時のみです。
非対応車の家でも、目的別の手段はあります。自宅で充電するなら普通充電、停電に備えるなら家庭用蓄電池やポータブル電源です。
とくに家庭用蓄電池は、車の有無や車種に左右されません。車を買い替えても使い続けられる点は、V2Hにない強みですね。
一覧の更新時期もメーカーごとにばらばらです。車の買い替えを考えているなら、購入前に機器メーカーの最新の対応車種一覧を確認してください。
太陽光なし・FIT期間中は元が取れない計算
先に答えを言うと、FIT1〜4年目に余剰をEV経由で家へ戻すと、1kWhあたり約7〜12円の損になります。太陽光が無い家では、得はあっても1kWhあたり数円です。
電気を貯めて使うだけなのに、損になることがあるの?
売電の単価と、変換で目減りする分を並べてみると見えてくるみたいですよ。
計算の前提は次のとおりです。買電単価は関西電力はぴeタイムRの2026年11月1日改定後の単価で、変換効率はメーカー試算の前提値を借りています。どれも単純計算の目安として見てください。
| 項目 | 単価・値 |
|---|---|
| 売電(2026年度認定FIT 1〜4年目) | 24円/kWh |
| 売電(同 5〜10年目) | 8.3円/kWh |
| 売電(卒FIT・関西電力の標準買取) | 8.00円/kWh |
| 買電 ナイトタイム(毎日23時〜翌7時) | 16.00円/kWh |
| 買電 リビングタイム(平日7〜10時・17〜23時、休日7〜23時) | 23.52円/kWh |
| 太陽光→EV→家の往復効率 | 約72% |
変換ロス3割込みで売電24円のほうが得
ニチコンは経済効果試算の前提に「AC↔DC変換効率85%」「EV内部消費 充放電時300W」を置いています。太陽光の電気をEVに入れて家へ戻すと、充電と放電で2回の変換が入ります。

85%を2回掛けると約72%です。1kWh余らせても、家で使えるのは0.7kWh程度という目安になります。実機の実測ではなく、メーカーの前提値からの単純計算です。
この目減りを入れて、余剰1kWhを「売る」場合と「EV経由で家に戻す」場合を比べたのが下の表です。
| 期間 | 夕方に充てた場合 | 深夜に充てた場合 | 売った場合 | 差 |
|---|---|---|---|---|
| FIT 1〜4年目 | 約17.0円 | 約11.6円 | 24円 | 約7〜12円の損 |
| FIT 5〜10年目 | 約17.0円 | 約11.6円 | 8.3円 | 約3〜9円の得 |
| 卒FIT(関西 8.00円) | 約17.0円 | 約11.6円 | 8.0円 | 約3.5〜9円の得 |
表の金額は、買電単価に往復効率の約72%を掛けた値です。夕方なら23.52円、深夜なら16.00円が元になります。
あなたの家の単価に置き換えれば、同じやり方で損得を計算し直せますよ。
FIT1〜4年目は、V2Hで自家消費を増やすほど売電収入が減る構造です。この期間に元を取る材料は、停電対策くらいしか残りません。
ちなみにEVの走行用に充電する場合も、FIT1〜4年目は夜に16円で充電したほうが約8円安くなります。5年目以降は逆に、余剰で充電したほうが約8円安い計算です。
走行用なら放電は不要
走行用の充電なら、昼に家で普通充電できれば足ります。放電機能が必要なのは、あくまで「家へ戻す」使い方だけです。
5年目以降でも回収は楽ではありません。仮に余剰を月300kWhずつEVへ回し、夕方に充てた場合で年約3.1万円です。深夜に充てるなら年約1.2万円にとどまります。
月300kWhはあくまで想定で、実際は昼にEVが家にある日しか貯められません。機器代128万円と比べると、余剰の置き換えだけで回収するのは難しいと言えそうです。
営業資料の試算を読むときにも注意点があります。ニチコンの試算(2025年5月現在の参考値)では、年間エネルギー購入代が「太陽光のみ 7万8千円」から「太陽光+V2H+EV 2万9千円」に下がります。
ただ、この差にはガソリン代がEVの電気代に置き換わる効果が含まれています。V2H機器だけの削減額ではないんですね。さらに試算の売電単価は8.5円で、FIT期間中の家とは前提が違います。
V2H単体の効果を見るなら「EVはすでにある前提で、普通充電とV2Hを比べる」のが正しい比べ方です
太陽光なしは時間差の得が数円止まり
太陽光が無い家では、V2Hの節約は「安い夜に買って、高い時間帯に使う」時間差だけです。結論として、得は1kWhあたり数円で、機器代を回収できる規模になりにくいです。
ナイトタイムの16.00円で買った電気を、往復ロス込みで家へ戻すとします。家で使える1kWhあたりの実質コストは、16.00円を約72%で割って約22.1円です。
安い電気を買っているはずが、戻した時点で昼間の単価に近づいてしまうわけです。この実質コストで、どの時間帯に充てると得になるかを見てみます。
| 充てる時間帯 | その時間の買電単価 | 1kWhあたりの得 |
|---|---|---|
| リビングタイム | 23.52円/kWh | 約1.4円 |
| デイタイム(平日10〜17時・夏季) | 29.59円/kWh | 約7.4円(その時間にEVが家にある必要あり) |
デイタイムに充てれば得は増えますが、平日の昼にEVが家にいることが条件です。昼に車で出かける家では、この使い方自体ができません。
メーカーの試算も太陽光5kWありで組まれていて、太陽光なしのケースは示されていません。太陽光の無い家でEVを持つなら、まずは普通充電で夜に充電するのが素直な選択かなと思います。
停電対策はV2L・蓄電池で足りるか、V2Hが向く家
冷蔵庫・照明・スマホなど100V機器を短時間動かせればいいなら、V2Lやポータブル電源で足ります。エコキュートやIHなど200V機器を含めて家全体を数日動かしたいなら、全負荷型の家庭用蓄電池かV2Hの出番です。

停電対策って言われると、全部そろえたくなっちゃうな……
その気持ち、分かります。でも何日の停電に備えるかで、必要なものが変わるみたいですよ。
平常時の停電は全国平均で年0.13〜0.17回、年間の合計でも10〜36分ほどです(電力広域的運営推進機関・2020〜2024年度)。回数と時間から単純に割ると、1回あたりの目安は約3時間です。一方、2019年の台風15号では全戸復旧まで約2週間、能登半島地震では概ね復旧まで約1か月かかりました。(出典:電力広域的運営推進機関『電気の質に関する報告書(2024年度実績)』)
「年1回あるかないかの数時間」に備えるのか「数日〜数週間」に備えるのかで、選ぶ手段はまったく変わります。3つの手段を並べると、違いは次のとおりです。
| 比較軸 | V2L(車のコンセント・給電器) | 家庭用蓄電池 | V2H |
|---|---|---|---|
| 家の配線への給電 | しない(家電を個別につなぐ) | する(特定負荷か全負荷) | する(代表機は全負荷200V) |
| 200V機器 | 使えない(100Vのみ) | 全負荷型・200V対応なら可 | 全負荷200V対応機なら可 |
| 蓄えられる量 | 車の電池(軽EVで約20kWh) | 数kWh〜十数kWh | 車の電池(軽EVで約20kWh) |
| 車が外出中 | 使えない | 使える | 使えない |
| 費用感 | 車の装備なら追加費用ほぼ無し | 実勢の交換費用で70万〜240万円 | 機器128万円(税抜)+工事費 |
V2Lで足りる家と200V機器を動かしたい家
V2Lで足りるのは、冷蔵庫・照明・スマホ充電・扇風機・電子レンジなどの100V機器を、短時間まかなえればいい家です。延長コードで家電を1台ずつつなぐ使い方になります。
たとえば日産リーフは、標準装備のAC外部給電コネクターで車外へ給電できます。車内の100V電源(1500W・オプション)と合わせると最大3000Wです。給電器を買うなら、ニチコン パワー・ムーバー ライトは3.0kW(1口1.5kW×2口)出せます。
つまり車が家にあれば、冷蔵庫や照明の非常用電源としてはかなり頼れるわけですね。
足りないのは、エコキュートの沸き上げやIH、200Vエアコンを動かしたい家です。V2Lは100Vだけなので、200V機器はそもそもつなげません。
参考までに、三菱の370Lエコキュートは冬期の消費電力が1.50kW、IHは5.8kWです。家の照明やコンセントをそのまま使いたい場合も、家の配線に給電できる蓄電池かV2Hが必要になります。
ちなみにエコキュートは、停電しても貯湯タンクに湯が残っていれば蛇口から給湯できます(パナソニック公式)。お湯については、すぐに困るわけではないんですね。
PHEVの約11日分の読み方
三菱アウトランダーPHEVの「最大約11日分」は、満充電とガソリン満タンでエンジン発電を組み合わせた三菱自動車の試算です(1日約10kWh・V2Hの変換効率は含まない)。しかも三菱の公式FAQでは、V2H機器に接続している間はエンジン始動による発電ができないとされています。家への給電と、エンジンで電池を充電し直す時間は交互になると考えておきましょう。
蓄電池かV2Hかは昼のEV在宅と卒FITで決める
車の有無や外出に関係なく備えたいなら家庭用蓄電池、昼にEVが家にあり、卒FIT後に余剰を活かしたいならV2Hが向きます。判断のポイントは「停電が来たとき、車が家にあるか」です。
V2Hは、停電した瞬間に車が出かけていれば家に送れる電気はゼロです。家庭用蓄電池は車種にも車の外出にも左右されず、停電時も家に残っています(使える量は残量しだいです)。
その代わり、蓄えられる量はEVのほうが大きくなります。家庭用は数kWh〜十数kWhで、わが家は7.7kWhです。軽EVでも約20kWhあるので、量だけ見ればV2Hに分があります。
| 判断の軸 | 家庭用蓄電池が向く | V2Hが向く |
|---|---|---|
| 車の使い方 | 通勤・外出で昼に車がない | 昼に車が家にあることが多い |
| 売電単価 | FIT期間中でも停電対策を優先したい | 卒FIT後・5年目以降で余剰が多い |
| 車種 | 非対応車・車の買い替え予定がある | 対応車種で、次も対応車を選ぶつもり |
| 備えたい停電 | 数時間〜数日、車に頼らず確実に | 雨続きの長期停電で容量を伸ばしたい |
すでに全負荷型の家庭用蓄電池がある家は、停電時に家全体へ給電する仕組みがもう整っています。V2Hを足して増えるのは、主に蓄えられる量です。
出力は構成しだいで、V2Hの代表機は自立6kVA級です。わが家の蓄電池1台構成だと、蓄電池だけで出せるのは2.8kVAまで(太陽光が発電している間はパワコン全体で最大5.9kVA)です。自動切替は機種しだいで蓄電池側にもあります。出力不足で困っていないなら、蓄電池を持つ家のV2Hは重複投資になりやすいと考えておくといいかなと思います。
例外は、雨が何日も続く大規模停電です。晴れれば太陽光で蓄電池を充電し直せますが、雨続きだとその補充が細ります。EVの大きな容量が効いてくるのは、こうした場面ですね。
蓄電池7.7kWhの施主がV2Hを今入れない理由
わが家がV2Hを今入れない理由は、売電24円の期間中で、停電時の家全体への給電もすでに蓄電池で確保しているからです。見直すのは、売電単価が8.3円に下がる5年目の前と決めています。
わが家の前提条件
関西(奈良)の新築オール電化で、2026年4月に入居。シャープの太陽光7.92kWと蓄電池7.7kWhを入れ、2026年8月18日に連系運転を始めました。FITの受給開始は2026年9月9日で、2026年度認定の二段階FITです。蓄電池はクリーンモード(夜間充電なし・放電下限20%)で動かしています。
ここから先の数字は、すべてこの条件での「わが家の場合」です。お住まいの地域や家族構成で変わる点は、差し引いて読んでくださいね。
りょうさんの家は、V2Hをどう考えたの?
うちの場合は、実測の数字を並べてみたら「今じゃないな」となりました。中身を順番に見ていきますね。
余剰は晴れ24kWh、停電給電も蓄電池で確保済み
まず、V2Hで貯められる上限の目安になる「余剰」の量です。モニターの実測から、蓄電池を満たしたあとに売電した量を並べました。
| 期間 | 売電量(余剰) | 1日あたり | 買電量 | 1日あたり |
|---|---|---|---|---|
| 2026年8月19〜31日(13日・晴天多め) | 314.9kWh | 約24.2kWh | 81.5kWh | 約6.3kWh |
| 2026年9月(30日・寡照月) | 324.4kWh | 約10.8kWh | 171.6kWh | 約5.7kWh |
| 2026年9月の晴れの日(6日) | 131.2kWh | 約21.9kWh | 35.1kWh | 約5.9kWh |
| 2026年9月の雨の日(11日) | 31.1kWh | 約2.8kWh | 75.0kWh | 約6.8kWh |
蓄電池7.7kWhを満たしたあとでも、晴れた日は1日20kWh台の余剰が出ていました。軽EVの電池を1日で満たせる量に近いです。
つまり、わが家は「余剰が足りないからV2Hが無意味」という家ではありません。
ただ雨の日になると、余剰は1日約2.8kWhまで落ちます。買電のほうは晴れでも雨でも1日6kWh前後で、ほとんど変わりませんでした。
夜の電気は、すでに蓄電池が一部をまかなっています。晴れた8月24日のモニター履歴では、23時でも残量が約70%残っていました。
一方、曇雨天だった8月27日は、22時ごろに残量が約20%の下限まで減っています。V2Hを足して効いてくるのは、こうした雨の日や冬に限られやすいわけです。
請求の数字でも確かめました。関西電力の9月分(使用期間8月27日〜9月28日)は146kWh・5,181円で、うち基本料金が約半分です。V2Hで買電をさらに減らしても、基本料金は下がりません。
内訳を見ると、146kWhのうちナイトタイムが111kWhで、デイタイムはわずか1kWhでした。9月はほとんど雨だったのに、昼の買電がほぼ消えていて驚いたのを覚えています。
停電対策も、蓄電池側ですでに手当てができています。パワコンの自立出力は5.9kVA(夜など蓄電池だけのときは2.8kVA)で、全負荷用の自動切替盤も付いています。
工事の引き渡し時には、実際にブレーカーを落として、自動で自立運転に切り替わるところを見せてもらいました。わが家にとってV2Hは、雨続きの長期停電で日数を伸ばす「追加の保険」という位置づけになります。
わが家は売電8.3円の5年目にV2Hを見直す
売電24円の期間は、受給開始の2026年9月9日から数えて2030年秋ごろまで続く計算です。正確な起算日は、買取側の明細で確認するつもりです。
その間に余剰をEVへ回して夜の電気を置き換えると、往復ロス込みで1kWhあたり約12円の損になります。この期間は、素直に売電したほうが家計にはプラスです。
もう一つの理由が、今のパワコンにつなげる機器の動きです。シャープは、わが家のパワコン(JH-59TF4)などにつなげるEV用コンバータを「2026年12月頃に発売予定(2026年8月24日現在)」と公表しています。
1台のパワコンに蓄電池とEV用コンバータを両方つなげば、太陽光・蓄電池・EVを優先順位で一体制御できる仕組みです。今あわてて別メーカーのV2Hを足すより、この機器の価格や対応車種を見てから判断するほうが筋がいいかなと考えています。
契約したときから、「卒FIT後まで考えたらどうなんだ?」という疑問は持っていました。V2Hも、その疑問の延長線上で考えるテーマです。わが家が見直すのは、次の条件がそろってきたときです。
- 売電単価が8.3円に下がる5年目が近づいたとき
- 昼に家にある対応EV(またはPHEV)を持つことになったとき
- 自宅のパワコンにつながるEV用コンバータの価格・対応車種が確定したとき
- 国や自治体のV2H補助の次の公募が出たとき
- 雨続きの長期停電に備えて、蓄電池7.7kWhでは日数が足りないと感じたとき
あなたの家が「必要側」の条件にそろって当てはまるなら、V2Hを検討する価値は十分あります。その場合は複数の販売店で見積もりを取り、対応車種・停電時の給電範囲・補助の公募状況を必ず確認してください。
V2Hの設置は電気工事を伴うので、有資格の業者の領域です。価格や制度は年度で変わるため、正確な情報は各メーカーや国・自治体の公式サイトでご確認ください。最終的な判断は、販売店や専門家にご相談くださいね。
V2Hはいらない?に関するよくある質問
V2Hと普通充電器は何が違いますか?
普通充電器は家からEVへ充電するだけで、V2HはEVの電気を家へ戻す放電もできる双方向の機器です。夜に充電して朝乗るだけなら、普通充電器で足ります。戸建てのコンセント型充電器は、国の令和7年度補正で5万円定額の補助対象になりました(V2H補助とは別制度)。
V2Hを使うとEVの電池は劣化しますか?
充放電の回数が増えるので、劣化を心配する声はよく聞きます。ただ、V2Hの使用と車両の電池保証の関係を明記した自動車メーカー公式の記載は、私が調べた範囲では確認できませんでした。導入前に、車両の保証書と販売店で確認しておくと安心です。
国のV2H補助金はもう使えませんか?
令和7年度補正の国のV2H補助は、2026年8月27日で申請受付が終わっています。次の公募が出るかは、国の発表を待つ必要があります。自治体の補助は別にあり、たとえば奈良県は令和8年度にV2Hで10万円(南部東部は13万円)でしたが、予算到達でV2Hの受付は終わっています。いずれも交付決定前の発注・着工は対象外なので、契約の前に公式サイトで条件を確認してください。
卒FITになればV2Hは元が取れますか?
1kWhあたりでは得になりますが、機器代の回収はなお難しいと私は見ています。卒FIT後は余剰をEV経由で家に戻すと、1kWhあたり約3.5〜9円の得という単純計算です。余剰を月300kWh回せても年約1.2万〜3.1万円の目安なので、停電への備えにどれだけ価値を感じるかで判断するのが現実的かなと思います。
今ある太陽光・蓄電池にV2Hを後付けできますか?
後付けの形は、既設のパワコンにつなぐ連携型か、単独で系統につなぐV2Hかで変わります。どちらを選べるかは既設機器のメーカーと型番しだいなので、販売店に確認が必要です。たとえばシャープは、わが家のパワコンなどにつなげるEV用コンバータを「2026年12月頃に発売予定(2026年8月24日現在)」と公表しています。後付けでも駐車位置と分電盤の距離で追加工事が変わるので、現地調査で置き場所と配線も見てもらいましょう。
まとめ:V2Hがいらないかは昼のEV・売電単価・停電で決まる

V2Hって、家によって答えが全然違うんだね!
そうなんです。うちも今は入れず、5年目の前にもう一度考えるつもりです。
V2Hがいらないかどうかは、「EVが昼に家にあるか」「売電単価が高い期間か」「停電で何を何日動かしたいか」の3つで決まります。最後に要点を振り返りますね。
- EVが昼に家にない・太陽光がない・売電単価が高いFIT1〜4年目なら、多くの家庭でV2Hはいらない
- FIT1〜4年目に余剰をEV経由で家へ戻すと、1kWhあたり約7〜12円の損
- 太陽光なしの家は時間差の得が1kWhあたり数円で、機器代の回収は難しい
- 100V機器を短時間ならV2Lで足り、200V機器も含めるなら蓄電池かV2H
- 向くのは卒FIT後・昼にEVが家にある・長期停電で家全体を動かしたい家
- わが家は蓄電池7.7kWhで停電給電を確保済みのため、売電8.3円の5年目の前に見直す
どの数字も単純計算による一般的な目安で、機器価格や補助、制度は年度で変わります。正確な情報は公式サイトでご確認のうえ、最終的な判断は販売店や専門家にご相談ください。
