こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。
停電した夜、屋根の太陽光で電気は使えるのか。台風や地震のニュースを見るたびに、気になりますよね。
わが家は2026年8月に、シャープの太陽光7.92kWと蓄電池7.7kWhを入れました。停電時は家全体へ自動で切り替わる全負荷型です。実際の停電はまだ経験していませんが、引き渡しのときに切り替わる様子を実演で見せてもらいました。
この記事では、太陽光だけの家と蓄電池がある家に分けて、夜の停電で何がどこまで使えるかを整理します。わが家の電気使用量から出した試算や、蓄電池なしの家の備え方もまとめました。
- 太陽光だけの家が停電した夜に電気を使えない理由
- 蓄電池7.7kWhで夜の停電を何時間しのげるかの試算
- 停電時の切り替えが自動か手動かと事前に確かめたい設定
- 蓄電池なしの家が昼のうちに済ませておく充電の段取り
停電の夜に太陽光だけでは電気は使えない
結論から言うと、蓄電池のない太陽光だけの家では、停電した夜に電気は使えません。太陽光は日射しがあるときだけ発電する設備で、夜は発電がゼロになるからです。

えっ、屋根にあんなにパネルが載っていても、夜は何も出ないの?
そうみたいです。夜はパネルの大きさより、別の電池にどれだけ貯めてあるかが大事みたいですよ。一緒に整理してみましょう。
停電中でも、昼間ならパワーコンディショナの「自立運転」で電気を取り出せます。使えるのは専用コンセントから合計最大1,500Wまで。日が沈めば、この自立運転コンセントからも電気は出なくなります。
三菱電機は、日射が約50W未満などの条件では自立運転を使えないと明記しています。夕方の薄暗い時間帯から、もう頼れなくなると考えておくのが無難かなと思います。(出典:三菱電機『住宅用太陽光発電システムの自立運転機能』)
| 家の構成 | 昼の停電 | 夜の停電 | 夜に使える電気の出どころ |
|---|---|---|---|
| 太陽光だけ | 自立運転コンセントから合計最大1,500W(日射しだい) | 使えない(発電ゼロ) | 昼に充電しておいたポータブル電源・モバイルバッテリーなど |
| 太陽光+蓄電池(特定負荷) | 専用配線の回路だけ。発電しながら充電 | 残量ぶんだけ、専用配線の回路で使える | 蓄電池の残量 |
| 太陽光+蓄電池(全負荷) | 家中の回路。発電しながら充電 | 残量ぶんだけ、家中の回路で使える(出力上限あり) | 蓄電池の残量 |
夜の停電で効いてくるのは、蓄電池の「容量と残量」と「出力の上限」の2つです。屋根のパネルが何kWあるかは、夜には関係しません。
自立運転は夜に止まり翌朝の解除は機種しだい
太陽光だけで自立運転をしている場合、日没とともに運転は止まります。悩ましいのは翌朝の動きで、自動で再開するかどうかはメーカーによって違います。
| メーカー(資料) | 日没後・翌朝・復電時の挙動 |
|---|---|
| シャープ | 日の入りで自動停止し、翌朝は自動で自立運転を始めない(手動で開始) |
| パナソニック | 翌朝は自動で連系運転モードが選ばれる。「自立継続機能」(工場出荷時は無効)を有効にすると翌朝も自立運転 |
| 田淵電機系 | 自立運転で止まった翌日は自動で運転を開始。復電しても自動では連系に戻らない |
| 三菱電機 | 自動復帰機能なし。復旧後は手動で「連系」に戻す |
「自立運転は夜に解除されるのか」と迷う方が多いのは、この違いのせいかもしれません。朝にもう一度自立運転へ入れる操作が要る機種もあれば、停電が明けても通常運転に戻らない機種もあります。
三菱電機の場合、連系に戻さないと発電した電気を家で使えず、売電もできません。停電が終わったら、取扱説明書の手順で通常運転に戻っているかを確かめてください。
操作手順は機種ごとに違うので、停電が起きてから説明書を探さずに済むよう、平時にパワコンの型番と手順を確認しておきましょう。
蓄電池がある家は夜の停電で何時間もつ?
蓄電池がある家は、停電が始まった時点の残量ぶんだけ、夜も電気を使えます。わが家の7.7kWhだと、普段どおりで約10時間、絞れば約2日という試算になりました。
ここで大事なのは、平常時に設定している「キープ残量(放電下限)」が停電中は効かない点です。シャープは、停電で自立運転になると、キープ残量の設定によらず0%まで放電すると説明しています。
とはいえ、表示の0%は電池が空という意味ではありません。長い停電のあとでも正常に起動できるよう、シャープは0%になる前に放電を止める仕様にしています。
残量が尽きたあと、翌朝の発電で自動的に給電が戻るのか。ここを明記した公式FAQは、2026年10月時点で私は見つけられませんでした。気になる方は、メーカーや販売店に一度確認しておくと安心ですよ。
わが家7.7kWhは普段10時間・節電で約2日の試算
先にお伝えしておくと、ここで紹介する数字は実際の停電で測ったものではありません。わが家はまだ停電を経験していません。入居後の電気使用量の明細を、蓄電池の容量に当てはめた試算です。

| 項目 | 値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 蓄電池 | シャープ JH-WB2521(7.7kWh)×1台 | わが家の契約内容 |
| 停電時に取り出せる量 | 初期停電時放電容量6.7kWh(劣化・残量を見込むと約5.5〜6.2kWh) | メーカーの性能表示ラベル |
| 普段どおりの生活(1日13.8kWh) | 約10時間 | 電気使用量の明細からの試算 |
| 照明・冷蔵庫・スマホ充電の合計110Wに絞る | 約50〜56時間(約2日) | 同上 |
普段どおりに使えば、夜を1回越えられるかどうか。節電すれば2晩しのげる計算です。停電中の使い方しだいで、持ち時間は大きく変わるわけです。
もうひとつ見落としやすいのが、停電が始まった時点の残量です。わが家のモニターで8月の1時間ごとの履歴を見ると、晴れた8月24日は23時でも残量が約70%ありました。
一方、曇りや雨だった8月27日は、夕方から減り続けて22時には約20%まで下がっていました。わが家は平常時に20%を残す設定で、早い日は22時ごろにそこまで使い切っています。
正直なところ、夜の電気を蓄電池だけで賄いきれるわけではなかったのは少し残念でした。同じ7.7kWhでも、夜の停電で使える量は、その日の天気と夕方の使い方で大きく変わります。
停電中の残り時間の目安
シャープのモニター(JH-RWL8)では、「蓄電池めやす使用可能時間」が自立運転中にだけ表示されます。いまの残量と過去30分の消費電力から計算し、5分ごとに更新される目安です。保証値ではないので、余裕をもって節電しましょう。
IHや暖房は2.8kVA超え、冷蔵庫とお湯は使える
全負荷型なら停電中も家中のコンセントに電気が来ます。ただし、家中の家電を同時に使えるわけではありません。夜は太陽光が発電しないので、蓄電池だけで出せる上限がそのまま天井になります。
シャープの仕様表では、わが家の構成(パワコン JH-59TF4+蓄電池 JH-WB2521×1台)の蓄電池だけの自立出力は2.8kVAです。パワコンの自立出力5.9kVAは太陽光の発電分を含む値なので、夜には出ません。(出典:シャープ『パワーコンディショナ JH-59TF4 仕様/寸法』)
| 機器 | 停電時に必要な電力の目安 | 夜の停電での扱い |
|---|---|---|
| 冷蔵庫(401〜450L) | 常時数十〜百数十W | 使える。夜8時間で約0.3kWh |
| 照明・スマホ充電・テレビ・Wi-Fi | 合計数十〜300W | 使える。1日で1kWh前後 |
| エアコン冷房(6畳機) | 数百W | 使える。夜8時間で約1.4kWh(実験値) |
| エアコン暖房 | 数百W〜(200V機は可変上限4,000W) | 冬の立ち上げで2.8kVAを超えうる。6畳機で夜8時間約3.1kWh(実験値) |
| IHクッキングヒーター | 最大5.8kW | 単体で2.8kVAを超える |
| エコキュートの沸き上げ | 1.0〜1.5kW前後を数時間 | 使うと残量を大きく削る |
表の数字はあくまで一般的な目安で、機種や気温で変わります。それでも、冷蔵庫と照明・スマホなら夜も十分まかなえ、IHと冬の暖房がいちばんの要注意という傾向はつかめるかなと思います。
モーターで動く機器や、運転開始時に大きな電流が流れる機器を使うと、保護機能が働いてシステムが止まる場合があります(シャープの注記)。停電中は、大きな家電をいっせいにスイッチオンしないのが安全です。
気になるお湯は、停電しても断水していなければ、タンクに残ったお湯を蛇口から使えます(パナソニック)。ただし湯温の調節ができず、高温のお湯が出ることがあります。やけどには注意してください。
夜の停電で困るのは「お湯が出ない」ことより、夜間の沸き上げが止まって翌日の湯量が減ることです。冬の沸き上げは1.5kW前後を数時間流し続ける負荷なので、蓄電池でまかなうと残量を一気に削ります。
なお、ダイキンの2012年以前のMB型は、停電前1時間以内にお湯を使っていた場合だけ停電中に使えます。ご自宅のエコキュートの型番で、一度確認しておくと安心です。
夜に停電したら蓄電池への切り替えは自動か手動か
自動切替に設定された蓄電池なら、夜に停電しても操作は要りません。数秒〜数十秒の瞬断のあと、蓄電池から給電が始まります。一方で、手動切替の構成や太陽光だけの家では、人が操作する必要があります。
| 構成 | 夜に停電したときの操作 |
|---|---|
| 太陽光だけ | 夜は発電ゼロなので、切り替えても意味がない。翌朝、日が出てから手動で自立運転へ |
| 蓄電池(自動切替に設定済み) | 操作不要。数秒〜数十秒の瞬断のあと給電 |
| 蓄電池(手動切替) | 屋内の切替盤やリモコンで人が切り替える。暗い中、懐中電灯を持って盤まで行く前提 |
| わが家(全負荷・自動切替) | 操作不要。切替盤の表示が「B 停電時」側になる |
真っ暗な中で分電盤まで行って操作するのは、ちょっと怖いね。
ですよね。うちは自動で切り替わる構成でしたが、それでも事前に確かめておきたいことがあるみたいです。
わが家の全負荷切替盤は実演で自動に切り替わった
わが家の洗面脱衣室には、分電盤の横に「全負荷専用切替盤」が付いています。見積明細にあった品目名で、日東工業の全負荷用の自動電源切替盤です。

引き渡しのとき、業者さんから「停電時は自動で自立運転に切り替わります」と口頭で説明を受けました。そのうえで、実際にブレーカーを落として切り替わるところを実演で見せてもらっています。
盤の正面には「A 通常時/B 停電時」の表示があります。これは操作するスイッチではなく、いまどちらに切り替わっているかを示す表示窓です。見た目だけだと手で切り替える箱に見えるので、ご自宅の盤も型番で確かめておくと安心です。
ひとつ正直に書いておくと、モニターの設定画面で自動切替の項目を自分の目で確かめたわけではありません。シャープは出荷時に自動切替が無効です。実演で切り替わった以上、施工時に有効化されていたと推測している段階です。
また日東工業のカタログには、非接地の自立電源に切り替わると、ブレーカーの漏電機能は動作しないと書かれています。全負荷型では、その状態の回路が停電中に家中へ広がります。停電中は、水まわりで家電を扱うときにいつも以上に気をつけたいところです。
自動切替の設定と瞬断を停電前に確認しておく
蓄電池があるのに、夜の停電で電気が来ない。そうならないために、自動切替が「設定する」になっているかを平時に確認しておきましょう。シャープは出荷時の設定が「設定しない」で、そのままだと停電時に蓄電池から自動では電気が送られません。
シャープのマルチエネルギーモニタ(JH-RWL8など)では、設定画面2/2の「自立運転自動切替設定」で選べます。設定に自信がなければ、施工した販売店に確認してもらうのが確実です。
自動切替でも、切り替わる瞬間には電気が途切れます。シャープは約5〜10秒(機種により約20〜30秒)、オムロンは約5秒と案内しています。
数秒でも途切れれば、パソコンなどは電源が落ちてしまいます。止まると困る機器は、瞬断が起きる前提で使い方を考えておきたいですね。
- 自立運転の自動切替が「設定する」になっているか
- 停電時の給電範囲が全負荷か特定負荷か
- 特定負荷なら、専用コンセント・専用配線がどの部屋にあるか
- 太陽光側のパワコンの自立運転が手動のまま残っていないか
最後の項目は、蓄電池を後から足した家で見落としやすい点です。単機能型の蓄電池に太陽光を組み合わせた構成では、蓄電池は自動でも、太陽光側の自立運転切替は手動のまま残る場合があります(オムロンの取扱説明書)。
停電が明けたときの戻り方も機種で違います。オムロンの蓄電池は、復電後最大5分程度で自動的に通常の連系運転へ戻ります。
蓄電池なしで夜の停電をしのぐ昼の備え
蓄電池がない家で夜に使える電気は、昼の自立運転中に、持ち運べる電池へ移しておいた分だけです。停電した日の昼のうちに、スマホやモバイルバッテリー、ポータブル電源を充電しておくのが現実的な備えになります。

停電が夜に始まった場合は、その夜はしのぐしかありません。翌朝に日が出てから自立運転へ切り替え、次の夜に向けて充電を始める流れです。順番に見ていきましょう。
太陽光だけなら手動で自立運転へ・上限1,500W
太陽光だけの家で停電したら、日が出ている間にパワーコンディショナを自立運転へ切り替えます。自動では切り替わらないのが一般的なので、手順を知らないと昼の発電も活かせません。
- 主電源ブレーカーをOFFにする
- 太陽光発電用のブレーカーをOFFにする
- パワーコンディショナを自立運転モードにする
- 自立運転用コンセントに機器をつなぐ
これは名古屋市・堺市・北九州市が案内している一般的な流れで、細かな操作は機種ごとに違います。パナソニックの場合、切り替えて10〜20秒後に自立ランプが点灯してから電気が出ます。
使えるのは、専用コンセントから合計最大1,500Wまでです。1,300Wの炊飯器と200Wのテレビなら同時に使えますが、ドライヤーや電気ヒーターは単体で枠を食い潰しかねません。
モーターを内蔵する冷蔵庫や洗濯機は、1,500W以下でも起動時の大きな電流で動かない場合があります。冷蔵庫のように連続して電気が要る機器は使用できない、と明記するメーカー資料もあります(パナソニック・カナディアン・ソーラー)。
専用コンセントの場所
自立運転用コンセントは、パワコンの側面や廊下の足元、屋外など設置場所がさまざまです。導入時に注文していないと付いていないこともあります。黒や赤など色の違うコンセントや「非常用」のラベルが目印。分からなければ販売店・工事店に確認しておきましょう。
関連記事:自立運転コンセントの場所はどこ?見つけ方と無い時の対処
自立運転中にスマホとポータブル電源を充電する
自立運転で電気が使える昼のうちに、夜の分の電気をできるだけ貯めておく。これが蓄電池なしの家の要です。
| 充電するもの | 夜の役割 | 自立運転との相性 |
|---|---|---|
| スマホ・モバイルバッテリー | 連絡・情報収集・明かり | 消費が小さく、曇りでも充電しやすい |
| 充電式のLEDランタン・懐中電灯 | 夜の明かり(裸火を使わない) | 同上 |
| ポータブル電源 | 夜の冷蔵庫・扇風機・照明・スマホ | 充電の入力が大きく、1,500Wの枠の大半を使う |
ポータブル電源は、容量1kWh前後の製品が多く出ています。たとえばAnker Solix C1000は容量1056Whで、AC入力は超急速充電モードで最大1300W、通常モードで1000Wです。
超急速モードのままだと、1台の充電だけで自立運転の上限の約87%を使う計算になります。ほかの機器と同時に使いたいなら、入力を下げる設定ができる機種かを確かめておくと安心です。
Anker Solix C1000
容量1056Whの1kWh級。AC入力を超急速(最大1300W)と通常(1000W)でアプリから切り替えられます
なお、自立運転コンセントにポータブル電源をつないでよいかを明記したメーカー公式FAQは、2026年10月時点で見つけられませんでした。パワコンとポータブル電源、両方の取扱説明書で確認してから使ってください。
夜の冷蔵庫も悩みどころですよね。ポータブル電源につなげば、夜も冷蔵庫へ給電を続けられます。1日約0.85kWhの冷蔵庫なら、1kWh級で丸1日前後もつ計算です。
電源がない場合、扉を開けなければ冷蔵庫は約4時間、冷凍庫は約1〜2日が保冷の目安です(農林水産省)。昼のうちに保冷剤やペットボトルの氷を作っておき、夜は開け閉めを最小限にしましょう。(出典:農林水産省『停電や断水、大雨による浸水に遭われた地域の皆様へ~食中毒に注意しましょう~』)
曇りや雨の日は昼の充電もあてにできない
昼の充電作戦には弱点があります。曇りや雨の日は、発電が晴天時の概ね5〜20%に落ちます。発電はゼロにならないものの、1,500Wの枠は使い切れません。
日射が弱いと15Aまで使えず、つないだ機器の消費が発電を上回ると自立運転そのものができません。ポータブル電源の大きな入力は、曇りの日には通らないと考えておくのが無難です。
わが家の実測でも、天気の差ははっきり出ました。2026年8月の晴れた日は1日45kWh前後発電していましたが、曇雨天の8月27〜29日は24kWh前後に半減しています。
9月はさらに天気が悪く、雨の29日は1日の発電が5.5kWh、ピークでも1.8kWでした。こんな日に停電したら、昼の自立運転でポータブル電源を満タンにするのは難しいはずです。
曇りや雨の予報が続くときは、停電する前からスマホやモバイルバッテリーを満充電にしておくのが確実です。台風の接近は7〜9月に集中するので、この時期は特に意識しておきたいですね。
夜の停電対策に蓄電池を入れるべき家は?
夜に電気が止まると命や健康に関わる家、長い停電が起きやすい地域の家ほど、蓄電池の価値は大きくなります。逆に、夜はスマホと明かりがあれば足りる家なら、ポータブル電源で十分なことも多いかなと思います。

わが家は蓄電池を入れましたが、夜の停電対策だけで決めたわけではありません。災害で電気が止まったときに最低限の電気を確保できる安心感は、契約の動機のひとつでした。決め手は、収支シミュレーションも含めた総合判断です。
| 判断の軸 | 蓄電池の価値が大きい家 | 価値が小さい家 |
|---|---|---|
| 停電の長さ | 台風常襲地・広域災害で数日以上止まりうる地域 | 平常時の数時間の停電だけを想定 |
| 夜に止められない電気 | 夜間の医療機器、乳幼児・高齢者の冷暖房 | スマホ・照明程度で足りる |
| オール電化かどうか | 調理・給湯・暖房が電気に集中 | ガス併用で調理・給湯が別系統 |
| 代わりの手段 | 車・ポータブル電源・避難先がない | 車やポータブル電源で夜を越せる |
定置型の蓄電池が他の手段と違うのは、停電時に家の回路へ給電できる点です。ただし出力の上限や残量の制約があり、「蓄電池があれば夜も普段どおり」とはいきません。
長期停電の地域や夜に医療機器を使う家は価値大
平常時の停電は、全国平均で年0.13回・年24分です(2024年度・電力広域的運営推進機関)。1回あたりにならすと約3時間の計算になります。(出典:電力広域的運営推進機関『電気の質に関する報告書(2024年度実績)』)
あくまで平均ですが、普段の停電は夜をまたがずに復旧することも多いと考えられます。短時間の停電なら、蓄電池がなくてもスマホと明かりでしのげる家庭は多いでしょう。
ところが大きな災害では桁が変わります。2019年の台風15号では千葉県内の復旧が長引き、ほぼ解消まで約2週間かかりました。2024年の能登半島地震では、概ね復旧まで約1か月を要しています。
こうなると、夜を何度も越すことになります。昼に充電して夜に使う、をくり返す前提で備えなければなりません。
夜に始まった停電の例が、2018年の北海道胆振東部地震です。深夜3時25分に北海道全域が停電しました。札幌の在宅医療法人の資料では、在宅人工呼吸器を使う患者の76%が夜間のみの使用でした。
このとき、日中に医療機器だけを外で充電した人や、自家用車・蓄電池・ソーラー式の発電機で電気を確保した人がいました。夜に要る電気を昼のうちに確保する動きが、実際に取られていたわけです。
夜に医療機器を使うご家庭では、蓄電池は有力な選択肢になります。ただ機器ごとに必要な電力は違うので、導入前に必ず主治医や機器の事業者に相談してください。非常用電源の給付は自治体ごとに条件が違うので、お住まいの窓口にも確認してみてください。
オール電化の家も、停電すると調理・給湯・暖房がまとめて止まります。わが家にも1歳の子どもがいるので、冬の夜の停電は他人事ではありません。ただ暖房は、2.8kVAのような出力の上限に引っかかりやすい点も覚えておきたいところです。
スマホと照明で足りる家はポータブル電源で十分
夜の停電で要るのがスマホの充電と明かりくらいなら、定置型の蓄電池でなく、ポータブル電源とモバイルバッテリーで十分だと私は考えています。平常時の停電は数時間で終わることが多く、その間をしのげれば困らないからです。
照明・スマホ充電・Wi-Fiを合わせて100W程度なら、1kWh級で約10時間という単純計算になります(変換ロスは無視)。一晩を越えるには足りる量です。
費用の差も見ておきたいところです。蓄電池を単体で入れた場合の相場は、9〜10kWhで195.7万円という集計があります(見積もりサービスの2025年成約実績・税込・工事費込み・補助金前)。
夜の停電対策だけが目的なら、ここまでかける必要があるかは冷静に考えたいところ。停電対策は、蓄電池を入れる理由のひとつとして見るのが現実的かなと思います。
ただし、ポータブル電源は家の回路には入らず、つないだ機器にしか給電できません。冷蔵庫を止めたくない、長い停電が心配といった条件が加わるなら、前の項目の判断軸に戻って考えてみてください。
蓄電池がある家でも、曇りの日の夜は残量が少なくなります。蓄電池の有無にかかわらず、スマホとモバイルバッテリーを満充電にしておく備えは無駄になりません。
停電の夜と太陽光・蓄電池のよくある質問
台風の前など、夜の停電に備えて蓄電池を満充電にしておく方法はありますか?
シャープの場合、「充電モード」で充電を優先できます。ただし24時間たつと経済性モード(自動)へ自動で戻ります。キープ残量を100%に設定すると放電しない運用にもできます。クラウドHEMSの「AI雷注意報連携」を使えば、雷注意報の発令時に停電中の必要量を自動で充電します。設定方法は機種ごとに違うので、取扱説明書や販売店で確認してください。
冬は蓄電池が夜にもつ時間が短くなりますか?
短くなると考えておいたほうが安全です。6畳用エアコンの24時間連続運転の実験値では、暖房は冷房の2倍以上の電力量を使っていました。さらに電池は低温に弱く、シャープの7.7kWh機(JH-WB2521)は25℃で約90%の容量利用率が、−10℃では約72%まで下がります。冬の夜の停電は、夏より厳しめに見積もってください。
太陽光だけの家に、あとから蓄電池を足せますか?
足せますが、条件があります。シャープの場合、蓄電池連携型パワコンなら設置後おおよそ5年以内が後付け・増設の目安で、つなげる蓄電池の機種も決まっています。期間を過ぎたり機種が合わなかったりすると、後付けが成り立たないこともあります。費用は太陽光とは別にかかり、自治体の補助金も地域で条件がまったく違います。まずは販売店に型番を伝えて相談してみてください。
夜の停電が復旧したとき、気をつけることはありますか?
総務省消防庁は、停電中は電気機器のスイッチを切ってプラグを抜くよう呼びかけています。復電時は機器や配線の損傷、近くの燃えやすい物を確認してから電気を戻してください。外から見て傷がなくても、しばらくしてから出火する「通電火災」の例があります。太陽光だけで自立運転をしていた家は、通常の運転に戻す操作も忘れないようにしましょう。
停電の夜に太陽光は使えない、備えは蓄電池か昼の充電
夜は太陽光じゃなくて、貯めておいた電気の勝負なんだね。
そうなんです。うちも蓄電池はありますが、天気しだいで夜の残量が変わるので過信はできないですね。
停電した夜に太陽光だけでは電気は使えません。夜に使えるのは、蓄電池やポータブル電源に貯めておいた分だけです。要点を振り返ります。

- 太陽光だけの家は、停電した夜は発電ゼロで電気が使えない
- 蓄電池がある家は停電開始時の残量ぶんだけ使え、わが家の7.7kWhは普段どおりで約10時間・絞って約2日の試算(実停電の実測ではない)
- 夜は蓄電池だけの出力上限(わが家は2.8kVA)が天井で、IHや冬の暖房は要注意
- 自動切替は設定しだい。シャープは出荷時に無効なので、平時に確認しておく
- 蓄電池なしの家は、昼の自立運転中にスマホやポータブル電源を充電する。曇りや雨の日は出力が落ち、特にポータブル電源の充電はあてにしにくい
- 蓄電池の要否は、停電の長さ・夜の医療機器・家族構成で判断する
ここで紹介した数値は、わが家の条件やメーカーの公表値をもとにした一般的な目安です。機種や設定、使い方で結果は変わります。正確な情報は各メーカーの公式サイトや取扱説明書をご確認ください。
電気工事や機器の設定変更は、有資格の業者の領域です。蓄電池を入れるかどうかも含め、最終的な判断は販売店や専門家にご相談ください。わが家も、実際の停電を経験したら結果をまたお伝えしますね。
