こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。オール電化の電気代がいくらになるのか、先に知っておきたい。そう思って検索すると、たいてい入力フォームにたどり着きますよね。
ただ、出てきた金額がどこまで当てになるのかは、どこにも書いてありません。前提の使用量が少し違うだけで、同じ家でも結果は1割以上動きます。
この記事では、請求額を組み立てている4要素の式を先に示します。そのうえで関西のわが家の実測請求額に自分の手計算を当てて、誤差が何%出たかまで公開します。
- 電気代は基本料金・時間帯別単価・燃料費調整額・再エネ賦課金の4要素で決まる
- 同じ使用量でも夜間比率の置き方だけで試算額は約12%動く
- わが家の実測17,442円に手計算を当てた結果は誤差0.5%
- 検針票1枚あれば個人情報を入れずに自分で試算できる
結論:試算は使用量kWhの置き方で決まる
先に結論です。オール電化の電気代シミュレーションで結果を動かしているのは、ほぼ「使用量kWhをどう置くか」だけでした。単価も賦課金も公表された確定値なので、そこに迷う余地はありません。

実際に試してみました。使ったのは、太陽光をつける直前のわが家の請求書です。月の使用量は固定したまま、夜に寄せた割合だけを変えて計算し直しました。
結果は約12%の幅で散らばりました。同じ家・同じ使用量・同じ公式単価なのに、内訳の置き方ひとつでこれだけ変わります。金額にすると、ひと月で二千円近い差ですね。
理由ははっきりしています。単価は各社が公表している値で、再エネ賦課金は全国一律、燃料費調整額も検針月ごとに確定した数字。こちらで動かせる変数は、ほとんどが時間帯ごとのkWhです。
他人の平均値ではなく、自宅の検針票に載っているkWhを入れないと試算の意味がありません。
逆に言えば、内訳さえ合っていれば手計算はかなり当たります。実測にいちばん近い置き方では、誤差0.5%まで再現できました。難しいのは式ではなく、自分の使い方を知ることかなと思います。
なお、この記事の実測値は関西(奈良)の新築戸建・4人家族・断熱等性能等級5・オール電化の条件で得たものです。地域も住宅性能も違えば結果は動くので、あくまで目安として読んでください。
オール電化の電気代の計算方法:4要素の足し算

オール電化向けの時間帯別プランの請求額は、4つの要素の足し算で全部説明できます。事業者のシミュレーターが計算しているのも同じ式で、隠れた項目はありません。

| 要素 | 中身 | 動き方 |
|---|---|---|
| 基本料金 | 契約容量ごとの固定費(関西電力はぴeタイムRは10kWまで2,842.84円・2026年11月1日改定後) | 毎月ほぼ固定 |
| 電力量料金 | 時間帯ごとの使用量kWh × その時間帯の単価 | 使用量しだいで動く |
| 燃料費調整額 | 使用量kWh × 月ごとの燃料費調整単価 | 毎月変わる・マイナスもある |
| 再エネ賦課金 | 使用量kWh × 4.18円(2026年度・全国一律) | 年度で変わる |
ここから電化割引などを引き、書面発行手数料のような固定費を足すと請求額になります。関西電力の電化割引5%は基本料金と電力量料金が対象で、燃料費調整額は割引の対象外という細かい決まりもあります。
単価そのものは各社の公式ページに載っています。はぴeタイムRなら、ナイトタイムは23時から翌7時で16.00円/kWh。夕方から夜のリビングタイムが23.52円、平日昼のデイタイムはその他季26.96円の並びです(2026年11月1日改定後の単価)。
ここで気をつけたいのが、時間帯の切り方が会社ごとにまるで違うところ。東京電力エナジーパートナーのスマートライフS/Lは、安い時間帯が午前1時から6時までの5時間しかありません。
夜間単価も九州電力の14.59円から沖縄電力の34.77円まで、20円以上の開きがあります。他の地域の記事に載っている試算結果は、そのままでは自分の家に流用できません。
意外と忘れられるのが書面発行手数料です。検針票を紙で受け取ると月110円といったプランもあり、試算では落ちやすい固定費。契約中のプランの詳しい条件は、各社の公式サイトで確認してください。
燃料費調整額とは?請求額の2割を占める
燃料費調整額は、発電に使う燃料の値段の動きを毎月の請求に反映させる仕組みです。使用量kWhに単価を掛けるだけなので計算そのものは簡単。やっかいなのは、単価が毎月変わることです。
関西電力の2026年7月分は、はぴeタイムRのような自由料金でプラス3円07銭でした。翌8月分は国の料金支援が入ってマイナス0円03銭まで下がっています(支援がなければプラス3円47銭)。支援が入っている月の数字でおトク額を出すと、支援が終わった時点で前提が崩れます。
わが家の2026年7月検針分では、燃料費調整額1,685円と再エネ賦課金2,295円で合わせて3,980円。請求額17,442円の約23%がこの2つでした。
時間帯単価だけで計算する簡易な試算は、この2割強をまるごと落とします。金額の大きさのわりに忘れやすい部分なので、自分の式に入っているか確かめてみてください。
自由料金には上限がない
オール電化向けプランは各社とも自由料金で、燃料費調整の上限がありません。燃料価格が高騰した場合は、上限のある従量電灯などより調整額が高くなることがあります。
地域差も大きい部分です。東北電力が自社の試算条件に採用している燃料費調整単価はマイナス8.36円/kWh(2026年6月分)で、同じ時期の関西とは符号すら逆になっていました。
関西のわが家の請求額で検証:誤差0.5%
実測の請求額に自分の手計算を当ててみたところ、誤差0.5%まで再現できました。式が難しいのではなく、時間帯の内訳を知らないまま仮定するから外れる。これが検証してみた正直な感想です。

え、電卓で出した金額が0.5%しか違わないの? それならシミュレーターっていらないんじゃない?
そこまでは言えないですけど、内訳さえ分かれば自分で出せるみたいですよ。逆に内訳を知らずに置くと、同じ式でも1割以上ずれました。
検証に使ったのは、太陽光をつける直前の2026年7月検針分です。使用量549kWh・請求17,442円、契約は関西電力のはぴeタイムRでした。
家のほうの条件も書いておきます。関西(奈良)の新築戸建で、給湯はエコキュート、コンロはIH。沸き上げは深夜に寄せている、オール電化ではよくある使い方です。
計算に使ったのは、基本料金2,409.40円と各時間帯の公式単価(いずれも当時=2026年10月までの単価)、電化割引5%、燃料費調整プラス3円07銭、再エネ賦課金4.18円。合計549kWhは動かさず、内訳の置き方だけを変えました。(出典:経済産業省『再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2026年度以降の買取価格等と2026年度の賦課金単価を設定します』)
使ったのは、どれも公式ページに出ている値ばかりです。こちらで決めたのは、内訳の置き方だけ。だから結果の差は、そのまま置き方の差になります。
| 置いた内訳 | 試算合計 | 実測17,442円との誤差 |
|---|---|---|
| 夜間50%・リビング50% | 16,223円 | ▲7.0% |
| 夜間40%・リビング60% | 16,610円 | ▲4.8% |
| 夜間30%・リビング50%・デイ20% | 17,357円 | ▲0.5% |
| 夜間25%・リビング50%・デイ25% | 17,640円 | +1.1% |
| 夜間20%・リビング40%・デイ40% | 18,103円 | +3.8% |
いちばん近かったのは、夜間30%・リビングタイム50%・デイタイム20%の置き方でした。エコキュートを深夜に沸かしていても、家族の生活そのものは夕方から夜に寄っている。表を見て、自分でも納得した並びです。
夜間比率は30分値で確定:12%ぶれる
表の上下の幅は1,880円、率にすると約12%です。同じ使用量でも夜間比率の仮定だけで1割以上動くので、ここを当てずっぽうで置いた試算は精度を語れません。
幸い、内訳は推測しなくても分かります。スマートメーターが30分ごとに使用量を計っていて、各社の会員サイトから見られるからです。
関西電力の「はぴeみる電」は最大25か月分の使用量をグラフで確認でき、日別・時間別まで追えます。東京電力エナジーパートナーの「くらしTEPCO web」なら、30分単位の計測値をCSVでまとめて落とせます。
大事なのは、プラン変更前でも内訳は自分で作れるという点。いまが時間帯別プランでなくても、移行先の区切り(たとえば23時から翌7時)で30分値を足し直せば、そのまま試算に使えます。
30分値を見ずに置いた「夜間◯%」は、試算のなかでいちばん誤差を生む部分です。
実効単価で自分の試算の抜けを検算する
試算ができたら、検算をひとつ。試算額 ÷ 想定使用量で実効単価を出し、自宅の実績と見比べる方法です。桁が合っているかを一目で確認できます。
わが家の実測でいうと、2026年7月検針分が約31.8円/kWh。直近12か月(2025年8月〜2026年7月)で32.66円、その前の12か月では34.28円でした。
深夜の安い電気というイメージからすると、ずいぶん高いと感じるかもしれません。ナイトタイム単価のおよそ2倍ですからね。昼の分も燃料費調整額も賦課金もならした数字なので、こうなります。
目安として、関西のわが家と近い条件で試算の実効単価が25円/kWhを割るなら、燃料費調整額・賦課金・昼間の比率のどれかが抜けている可能性があります。夜間単価の安い地域や、夜間の比率がとても高い家では、すべて入れても25円を下回ることはあります。もうひとつ、月額×12が自宅の年間支払と桁で合うかも見ておくと安心。
ガス代から給湯分を抜いて差額を出す

ガス併用からの乗り換えを試算するなら、「消えるガス代」と「増える電気代」を別々に積むのが基本です。電気代の増加だけを見ても、答えは出ません。

意外と大きいのがガスの基本料金。わが家の旧居(賃貸アパート・プロパン)は基本料金が月1,900円で、警報器のリース料と合わせて月2,310円かかっていました。年間だと27,720円、使わなくても出ていく固定費です。
そのうえで、いま払っているガス代から給湯分を抜き出します。手順にすると6つです。
- ガスの検針票で基本料金と従量料金を分ける(基本料金はまるごと消える)
- 暖房も乾燥も使わない夏の使用量を、給湯と調理のベースラインと見る
- 冬との差を暖房分と見る(ガス暖房がなければ水温低下による給湯負荷の増加)
- 給湯分のガス量を熱量に直す(都市ガスは1m³=39.96MJ・従来型給湯器の熱効率は約80%)
- その熱量をエコキュートの年間給湯保温効率(3.0〜4.2)で割り、さらに3.6MJ=1kWhで割って必要な電力量kWhを出す
- 出た電力量を、移行先プランの夜間と昼間の単価に按分して掛ける
ここで効いてくるのが、いまがプロパンか都市ガスかの違いです。旧居の従量単価は1m³あたり約478〜570円で、関西の都市ガス(おおむね150〜200円台)の3倍前後ありました。
わが家の旧居は2025年のガス代が年134,234円、月平均で約11,186円です。この規模のガス代が消えるかどうかで、増減の答えは正反対になります。プロパン物件と都市ガス物件は、まったく別の計算だと思ってください。
手順だけだと動きが見えないので、旧居の数字で一度通してみます。賃貸アパートのプロパンで、給湯と調理をガスでまかなっていた頃の記録です。
| 手順 | 旧居(賃貸アパート・プロパン)に当てはめると |
|---|---|
| 基本料金を分ける | 基本料金と警報器のリースで月2,310円。年27,720円がまるごと消える |
| 夏の底をベースラインに置く | 暖房も乾燥も使わない2023年8月が3.1m³・4,450円 |
| 冬との差を見る | 冬のピークは2025年2月の23.1m³・16,959円。夏の底との差が寒い時期の上乗せ |
| 熱量に直して電気に換算する | 手元の換算値1m³=39.96MJは都市ガスのもの。プロパンの旧居では円で突き合わせた |
| 移行先の単価で円にする | 給湯を年1,389kWh(統一省エネラベルの前提)と置き、全量を夜間に寄せた単純ケースとしてナイトタイム16.00円(2026年11月1日改定後)で年約22,224円 |
| 消える側と増える側を並べる | 消えるガス代は2025年で年134,234円、増える給湯の電気は年約22,224円が目安 |
こうして並べると、プロパンの家では消えるほうがかなり大きいと分かります。ただし年134,234円には調理の分も入っていますし、IHで増える電気や、オール電化プランで重くなる基本料金は別に積む必要があります。差がそのまま浮くお金ではないので、そこだけ気をつけてください。
引っ越しとセットは切り分ける
わが家は同じ5月どうしの比較で、旧居27,262円から新居12,891円へ1万円以上下がりました。ただし賃貸アパートから断熱等性能等級5の新築戸建てへ移った影響が混ざっており、オール電化だけの効果ではありません。
エコキュート1ヶ月分は出し方で2倍ずれる
給湯分の電気は、出し方によって同じ4人世帯でも2倍以上ぶれます。ここがシミュレーションのブレ幅の正体かなと思います。
| 出し方 | 置いている前提 | 年間 | 月あたり |
|---|---|---|---|
| 統一省エネラベルの前提を借りる | 一般地・4人世帯・効率3.5 | 約1,389kWh | 約116kWh |
| 公的統計の用途別から積む | 戸建の給湯10.4GJ・給湯器の熱効率80%・効率3.5 | 約660kWh | 約55kWh |
| 湯量から直接計算する | 1日300L・水温15℃から42℃・効率3.5 | 約980kWh | 約82kWh |
どれかが間違っているわけではありません。ラベルの前提は4人世帯の標準的な負荷、統計の値は単身から多人数までを含む戸建の平均。そもそも数えている対象が違うだけです。
機器の効率でも動きます。年間給湯保温効率が3.0なら約1,620kWh、4.2なら約1,158kWh。同じ使い方でも年460kWhほどの差がつく計算です。
さらに単価が乗ります。年1,389kWhを関西のナイトタイム16.00円で計算すると年約22,224円ですが、東京電力の夜間27.86円だと年約38,687円。同じ機器・同じ使用量でも地域で1.7倍違います。
「エコキュートは月◯円」という一つの数字を見かけたら、その裏でどの前提が置かれているかを確かめる。それだけで試算の精度はぐっと上がります。
関連記事:オール電化オクトパスのデメリット|実明細で損する条件を試算
年間光熱費はいくら?月平均の12倍では不足
手元にある数か月分の平均を12倍して年間を出すと、冬をまるごと取りこぼします。オール電化は給湯と暖房が電気に寄るぶん、冬の山がはっきり出るからです。

わが家の実測(旧居・賃貸アパート)でいうと、2025年は年5,559kWh・190,766円でした。月平均は約463kWh・約15,900円になります。
ところが実際の1月は704kWh・25,454円、6月は296kWh・9,668円。平均どおりの月がどこにも存在しない、というのが実感に近いところですね。
光熱費の全体で見ると、景色はさらに変わります。旧居の2025年は電気190,766円にプロパンガス134,234円が加わり、合計で325,000円。月平均にすると約27,083円で、ガスが約41%を占めていました。
いっぽうオール電化の新居は2026年4月入居で、実測はまだ春から夏の3か月(1,349kWh・42,731円)だけです。給湯の負荷が最大になる冬を通していないので、「年間でいくら」はまだ断定できません。
冬4か月で年間の45%を占める
目安になる公的な数字があります。環境省の家庭CO2統計では、12〜3月の4か月で年間の排出量の約45%を占めます。月別のピークと底の比は、およそ2.2倍でした。(出典:環境省『家庭部門のCO2排出実態統計調査(家庭CO2統計)』)
わが家の実測でも近い形が出ています。冬のピークと底を比べると、使用量ベースで約2.4倍、金額ベースでは約2.6倍。金額の比のほうが大きいのは、冬は使用量が増えるうえに実効単価も高めに出るからです。
なので年間の試算は、冬とそれ以外を分けて積むのが現実的。ざっくり検算したいときは、冬の4か月で年間の45%前後という前提から逆算する方法も使えます。ただしこの45%は排出量ベースの数字で、電気代そのものの比率ではありません。粗い当たりを付ける用途に留めてください。
ちなみに関西のわが家では、夏のピーク(2025年8月 670kWh・21,990円)より冬のほうが重い結果でした。冷房よりも暖房と給湯、という順番になります。
4人家族の平均16,533円は地域も時期も違う
世帯人数別の平均額を自宅の目標値に置くのは、あまりおすすめしません。借りるなら金額ではなく使用量kWhを借りて、自分の単価で掛け直すのが正しい使い方かなと思います。
よく見かけるのが「オール電化の4人世帯は月16,533円」です。使用量が併記されていたので、割り戻して実効単価を出してみました。
| 世帯人数 | 提示された月額 | 併記の使用量 | 逆算した実効単価 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 9,013円 | 356kWh | 約25.3円/kWh |
| 2人 | 13,834円 | 561kWh | 約24.7円/kWh |
| 4人 | 16,533円 | 683kWh | 約24.2円/kWh |
| 5人 | 17,306円 | 705kWh | 約24.5円/kWh |
どの行も24〜25円/kWhで揃っていました。わが家の直近12か月の実効単価は32.66円ですから、この平均額は今より8円ほど安い単価水準で作られていると読み取れます。
同じ683kWhを実測の単価で引き直すと約22,307円。提示額との差は5,774円、率にして35%です。これを目標値に置いていたら、毎月それだけ足りない家計になってしまいます。
使用量の平均も、どれを見るかで基準が動きます。全国平均3,911kWh・戸建は約4,920kWh・太陽光の販売資料が分母に使う値は4,492kWh。わが家の5,559kWhは、比べる相手しだいで「1.1倍」にも「1.4倍」にもなります。
家計調査を出典とする金額でも、総世帯か二人以上の世帯かで3,000円以上ずれます。出所と対象はセットで確認してください。
そしてオール電化はガス代が電気代に寄るので、電気代だけを平均と比べると高い側に出やすくなります。比べるなら、光熱費の合計どうしにするのが公平です。
無料シミュレーションが甘いのは4問の前提
無料シミュレーションが当たらないとしたら、多くは計算が甘いからではありません。あなたが答えていない部分を、事業者がすべて固定しているからです。
4つ質問に答えるだけで年間のおトク額が出るやつ、あれってどうやって計算してるの?
試算条件のページに全部書いてありましたよ。読んでみたら、答えていない前提のほうがずっと多かったです。
たとえば東北電力の「オール電化かんたん光熱費シミュレーション」は4問です。県・家族が3人以下か4人以上か・いまの給湯機器・厨房機器。氏名も住所も入れずに結果まで進めます。
その裏で固定されている前提が、試算条件としてきちんと公開されていました。(出典:東北電力『オール電化かんたん光熱費シミュレーション』試算条件)
| 固定されている前提 | 置かれている内容 |
|---|---|
| 地域 | 選んだ県の県庁所在地(宮城県なら仙台市) |
| 建物 | 戸建・延床100㎡または120㎡・UA値0.87 |
| 暖房 | 延床100㎡なら暖房面積67.55㎡を16時間 |
| 燃料費調整 | ▲8.36円/kWh(2026年6月分) |
| 他燃料の単価 | その県の平均の灯油・プロパン価格 |
断熱性能も床面積も暖房時間も、利用者は変えられません。16時間暖房の前提は在宅時間の長い家庭のモデルなので、共働きで日中いない家庭とは別物の結果になります。
気になったのは、他社と並べたときの入力の粗さです。同じ「シミュレーション」でも、どこまで自宅の数字を入れさせるかは会社ごとにかなり違いました。
| 提供元 | 入力項目 | 個人情報 | 出てくるもの |
|---|---|---|---|
| 東北電力 | 4問(県/家族3人以下か4人以上/給湯機器/厨房機器) | 氏名・住所などの入力欄なし | 年間のおトク額と相談導線 |
| 中国電力 | 地域を選んでからフォームへ進む | 入力内容を試算の基本データに使うと記載 | エコキュートやIHに変えた場合の光熱費 |
| 四国電力 | 検針票を見ながら契約種別・電気料金または使用量・ガスや灯油の実額 | ページ上に明示なし | IHとエコキュートを設置した場合の光熱費 |
4問型が返すのは他人の標準世帯の結果、検針票入力型が返すのは自宅の使用量に基づく結果です。同じ名前でも、答えている問いが違います。手軽なほうを選ぶと、自分の家の話に見えて実は他人の家の話を読むことになりますよ。
免責も各社がきちんと書いています。東北電力は「オール電化にしたとしてもお安くならない場合があります」と明記。中国電力は「あくまでも目安としてご利用ください」としています。
そして3社に共通するのは「機器代・工事費は含まない」と「使用状況で変わる」の2点。出てくるのはランニングコストの差額だけで、エコキュートやIHの初期費用は別に積む必要があります。回収年数はここからは出ません。
算出のロジックそのものは、どの会社も公開していません。試算値が実際の請求額とどれだけ合ったかという検証も、私が探した範囲では見つかりませんでした。だから自分の請求書で確かめよう、というのがこの記事の出発点です。
試算に出ない挙動もある
はぴeタイムRのような実量契約は、30分値のピークで契約電力が決まります。深夜に機器の同時運転が重なって一度ピークを作ると、その値が以後11か月間の契約電力として残ります。ただし基本料金は10kWまで定額なので、金額に効くのはピークが10kWを超えたときだけです。シミュレーターは基本料金を固定値で置くため、この動きは結果に表れません。
太陽光と蓄電池で試算の前提はどう変わる

太陽光を足すと、電気代側の不確かさに発電量側の不確かさが上乗せされます。増える変数は「どれだけ発電するか」と「そのうち何割を自宅で使うか」。どちらも置き方しだいで大きく動く数字です。

わが家は2026年8月18日に太陽光7.92kWと蓄電池7.7kWhを連系しました。費用は265万円の20年ローンです。提案書には、年間の推定発電量8,645kWhと書かれていました。
渡された時点では、この数字が強気なのか控えめなのか判断できませんでした。そこで、よく使われる目安に当てて位置を確かめてみます。
1kWあたりに直すと約1,091kWh。業界団体の一般的な目安は1kWあたり年1,000kWh、制度の想定は約1,200kWhなので、ちょうど間に入る水準でした。どちらの目安で置くかだけでも試算は2割動きます。
正直に言うと、契約を決めた理由そのものがこの収支の試算でした。毎月のローン返済額より、電気代の削減と売電の合計が上回る。提案書のその一行が決め手です。蓄電池を足すと収支はマイナスになりがちと聞いていたので、プラスで出てきた試算に背中を押されました。
そのうえで、保留にしたところも書いておきます。相見積もりは取らず1社で決めたので、他社の試算と前提を見比べていません。売電単価が下がる卒FIT後まで含めたらどうなのか。その引っかかりは、いまも残ったままです。
表示のルールを知っておくと、提案書の読み方も変わります。推定発電量には影・積雪・経年劣化・出力制御の影響が入っていません。つまり、それらの目減りを織り込んでいない楽観寄りの推定値だと思って見るのが安全です。(出典:一般社団法人太陽光発電協会『表示ガイドライン(2026年度)』)
表示条件も5kW・真南・傾斜30度が既定になっています。自宅の屋根に置き換えた計算根拠を出してもらうのが、そのまま確認手順になりますね。
売電単価の前提も変わりました。2026年度に認定を受ける住宅用は、1〜4年目が24円/kWhで5〜10年目が8.3円/kWh。提案書でよく見る14.58円/kWhは、この10年を年数で割った単純平均の値です。
つまり14.58円で売れる年は1年もありません。前半に厚く、後半に薄い形なので、5年目からの落ち込みを織り込んでおくと安心です。
自家消費の割合も効きます。制度の想定は余剰売電70%ですが、実績の平均は64.8%と自家消費側に寄っています。オール電化は昼の給湯や調理で自家消費が増える方向なので、一般的な想定のままだと外れやすい部分です。
わが家の実測はどうかというと、稼働初日の午後にモニタで発電2.00kW・消費0.42kW・売電0.05kW、その日の自家消費率97%を見た、という段階です。まだ日単位の数字しかなく、年間の収支は語れません。冬を通した実測が貯まったら、提案書の試算と突き合わせて報告します。
自作の回収年数ツールに自宅の値を入れる
本業がシステム開発なので、蓄電池が何年で元を取れるかを試算するツールは自分で作って公開しています。計算式と前提を全部見せることを条件に組んだものです。
中身は単純です。回収年数は、初期費用から補助金を引いた額を年間のメリットで割るだけ。年間メリットは、1日にまかなえる電気量に単価差を掛けて365日分にしています。
判定の物差しには、蓄電池の寿命の目安である10〜15年を使いました。10年以内なら早いほう、15年を超えるなら寿命より後ろにずれ込む、という見方です。
含めていないものも正直に書いておきます。寿命後の交換費用・劣化による容量の低下・パワコンの交換費、それに停電時の安心といったお金にしにくい価値は計算に入っていません。1日1サイクルの前提も、季節の変動をならした割り切りです。
私は電気や太陽光の専門家ではなく、ツールを作れるだけの一般の施主です。数字の置き方はご自身でも確かめてほしいですし、契約の判断は最終的に販売店や専門家に相談したうえで決めてください。
関連記事:太陽光がシミュレーション通り発電しない?原因と検算の手順
検針票1枚から個人情報なしで試算する
最後に手順をまとめます。必要なのは検針票1枚と、移行先プランの単価表だけ。氏名も住所も電話番号も要りません。
- 検針票から当月の使用量kWhと使用期間を書き出す
- 時間帯別の内訳を取る(内訳が無ければ会員サイトの30分値を移行先の時間帯で足し直す)
- 移行先プランの基本料金と時間帯ごとの単価を公式ページから写す
- 当月の燃料費調整単価を確認する(オール電化向けは自由料金の行を見る)
- 再エネ賦課金4.18円/kWhを掛けて足す(2026年度・全国一律)
- 電化割引などを引き、書面発行手数料があれば足す
- 実効単価と年額の桁で検算し、冬とそれ以外を分けて年間に伸ばす
ガス併用から乗り換える場合は、ここに「消えるガス代」を足し引きします。ガスの基本料金と給湯分の従量料金が消え、代わりにエコキュートとIHの電気が増える。この差し引きが本当の増減です。
氏名も住所も入れずに試せるシミュレーターはあります。ただ、地域と家族人数だけを答える型なら、返ってくるのは標準世帯の結果です。自宅の数字で見たいなら、検針票の使用量を入れる型を選ぶか、上の手順で時間帯の内訳と燃料費調整額・賦課金を自分で足すか。自宅のkWhを入れた瞬間に、試算は自分のものになります。
単価も制度も年度で変わります。この記事の数字は2026年8月時点で確認したものなので、契約前には必ず各社の公式サイトで最新の条件をご確認ください。判断に迷うときは、電力会社の窓口や専門家にご相談いただくのが確実です。
オール電化の電気代シミュレーションのよくある質問
オール電化にすれば電気代は必ず安くなりますか?
必ずとは言えません。電力会社自身も試算ページで「オール電化にしたとしてもお安くならない場合があります」と明記しています。オール電化プランは夜間が安い代わりに昼間が高く、基本料金も重めです。関西電力の場合、デイタイム夏季の29.59円/kWh(2026年11月1日改定後)は従量電灯Aの第3段階とほぼ同じ水準。日中に在宅して電気を使う家庭ほど、得になる部分は小さくなります。
賃貸に住んでいてもシミュレーションする意味はありますか?
あります。将来の持ち家や乗り換えの判断材料になりますし、いまの使い方の癖も見えてきます。ただ、私自身は旧居が賃貸で、電気料金プランの見直しが契約上できませんでした。試算はできても実行できない、という状況はあり得ます。まず自宅で何を変えられるかを確認したうえで計算すると、無駄がありません。
統一省エネラベルの「1年間の目安電気料金」はそのまま使えますか?
そのままだとずれます。ラベルの目安金額は1kWhあたり23円の前提で計算されているためです。一般地・4人世帯の例では年1,389kWhで31,900円と表示されますが、わが家の実効単価32.66円で引き直すと約45,365円になりました。ラベルは使用量kWhを借りる資料と考えて、金額は自分の単価で掛け直すのがおすすめです。
深夜に家事を寄せれば、どの地域でも同じだけ得しますか?
地域とプランでかなり変わります。夜間単価は九州電力の14.59円/kWhから沖縄電力の34.77円/kWhまで開きがあり、1kWhを昼から夜へ動かしたときの得も2倍以上違います。夜間の時間帯の長さも5時間から12時間までさまざまです。最近は昼を安くする逆転型のプランも出てきているので、「深夜が常に最安」という前提は一度確認してみてください。
オール電化向けのプランは誰でも契約できますか?
機器の条件が付いていることが多いです。総容量1kVA以上の夜間蓄熱式機器(エコキュートや電気温水器)を使っていることを加入条件にしている会社が一般的で、給湯の一部だけをまかなう小型の電気温水器は対象外とされます。加入後は原則1年間ほかのプランへ変更できない会社もあるため、申し込み前に公式サイトで条件をご確認ください。
オール電化の電気代シミュレーションの要点
結局いちばん大事なのは、自分の家のkWhを知ることってこと?
そこですね。単価も賦課金も公表されている数字なので、あとは使い方をどう置くかだけでした。
試算の精度は、式の難しさではなく前提の置き方で決まります。わが家の実測で確かめた要点をまとめます。

- 請求額は基本料金・時間帯別単価・燃料費調整額・再エネ賦課金の4要素で決まる
- 同じ549kWhでも夜間比率の置き方だけで試算は約12%動いた
- 内訳の置き方を実態に近づけると、手計算は実測との誤差0.5%まで合った
- 燃料費調整額と再エネ賦課金だけで請求額の約23%を占める
- 世帯人数別の平均額は金額ではなく使用量kWhを借り、自分の単価で掛け直す
- 年間試算は手元の数か月の平均を12倍せず、冬とそれ以外を分けて積む
- 事業者の試算は機器代・工事費を含まず、回収年数までは出ない
数字はすべて関西(奈良)のわが家(4人家族・新築戸建・オール電化)の実測と、2026年8月時点で確認した公表値がもとです。あくまで目安として、最後はご自身の検針票と公式サイトの単価で確かめてみてください。
