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オール電化のアンペア変更は得?関西の実量制で基本料金を検算

2026年9月23日

オール電化の契約アンペアを下げたときの基本料金の差額を東京電力エリアと関西電力エリアで対比した図。東京は年間で節約になるが、関西では削減額がほぼ0円になることを示す

こんにちは。エネすけ運営者の「りょう」です。

電気代の明細を見て「アンペアを下げれば基本料金が減るのでは」と思ったこと、ありますよね。私も関西の新築に入居した直後、同じことを考えて検針票を開きました。ところが、そこに契約アンペアの欄はありません。

オール電化の契約容量は、住んでいるエリアと契約中のメニューで扱いがまるで違います。下げれば年数千円が浮く家もあれば、下げる手続き自体が存在しない家もあるのが実情です。この記事では、わが家の請求書で実際に検算しながら、その分かれ目を整理します。

  • 契約を下げて基本料金が減るのはアンペア制と契約容量制の家だけ
  • 関西など枠内定額のオール電化プランで削減額が0円になる理由
  • 必要な契約容量は世帯人数でなくIHとエアコン暖房の重なりで決まること
  • 容量を触るより時間帯別プランの見直しが年額で数倍効く根拠

オール電化のアンペア変更は得か

得になるのは、アンペア制か契約容量制のメニューを契約している家だけです。オール電化向けのプランは基本料金が枠内で定額のものが多く、その場合は契約を小さくしても1円も変わりません。

契約容量を下げたときに基本料金が下がる4つの方式を一覧にした比較表。アンペア制と契約容量制は下がるが、枠内定額の実量制メニューは下げても0円のまま変わらないことを示す

検索すると「アンペアを1段階下げれば年◯千円」という説明がたくさん出てきます。あれは東京電力エリアの従量電灯を前提にした話です。同じ手順を関西で実行しようとすると、最初の一歩から進めません。

オール電化向けメニューの基本料金を、契約の大きさを小さくしたときに下がるかどうかで分けると4種類になります。

基本料金の方式下げたときの基本料金該当するオール電化向けメニューの例
アンペア制(10Aきざみ)下がる東京電力EP スマートライフS
契約容量制(1kVAあたり)下がる東京電力EP スマートライフL
kWあたり比例下がる(実量制なので申込では動かせない)北海道電力 エネとくスマートプラン
枠内定額(10kVA・10kWまで一律)下がらない関西電力 はぴeタイムR、中部電力ミライズ スマートライフプラン ほか

表の下2行がオール電化では多数派です。がっかりする話かもしれませんが、ここを先に確かめておくと、意味のない手続きに時間を使わずに済みます。

基本料金が下がる契約は2方式だけ

契約を小さくして基本料金が確実に下がるのは、アンペア制と契約容量制の2方式です。どちらも「大きさ×単価」の完全な比例で、下げた段数のぶんだけ素直に安くなります。

契約電流東京電力EP 従量電灯B中部電力ミライズ 従量電灯B
30A935.25円963.42円
40A1,247.00円1,284.56円
50A1,558.75円1,605.70円
60A1,870.50円1,926.84円

いずれも税込の月額です。10Aあたり東京電力エナジーパートナーが311.75円、中部電力ミライズが321.14円。刻みはきれいに一定なので、計算に迷うところはありません。

紛らわしいのが「60A」と「6kVA」の関係ですよね。東京電力エナジーパートナーの従量電灯Cは1kVAにつき311.75円で、従量電灯Bの10A区分と同額でした。中部電力ミライズの単価表も、契約電流60Aと契約容量6kVAを同じ金額として並べて載せています。

つまり契約でいう60Aは、100V換算で6kVAと同じ大きさです。分電盤の主幹ブレーカーに書かれた60Aとは別物になります。

ひとつ注意も添えておきます。東京電力エナジーパートナーは、契約アンペアを減らすと基本料金は下がるが電気料金の合計額が必ずしも下がるとは限らない、と公式に注記しています。下げた瞬間に節約が確定するわけではないという前提で受け取るのが安全です。

関西の実量制は下げる手続きがない

関西電力のはぴeタイムRを契約している家では、契約の大きさを変えても基本料金は動きません。基本料金が10kWまで1契約2,842.84円の定額だからです(2026年11月1日改定後の単価。10月31日までは2,409.40円)。枠の中なら6kWでも10kWでも同じ金額になります。なお、このメニューの契約の大きさはkVAではなく契約電力(kW)で数えます。関西電力でも従量電灯Bは1kVAごとに基本料金がかかるので、「関西だからどのメニューでも下げられない」とまでは言えません。(出典:関西電力『はぴeタイムR』)

しかもこのメニューは実量制です。各月の契約電力は、その月と前11か月の最大需要電力から自動的に決まります。最大需要電力とは、スマートメーターが30分単位で測った使用量を2倍した値の月内最大です。

ここが効いてきます。実量制には「契約容量を下げる申込」という手続き自体がありません。基本料金を動かせるのは使い方だけで、10kWを超えるピークを一度作ると、以後11か月は基本料金が上がったままになります。逆に10kWの枠に収まっているかぎり、ピークが多少上下しても基本料金は定額のままです。

枠内定額なのは関西に限った話ではありません。オール電化向けメニューの多くが同じ設計です。

  • 関西電力 はぴeタイムR(10kWまで)・eスマート10(6kWまで)
  • 中部電力ミライズ スマートライフプラン・昼とくプラン
  • 東北電力 よりそう+シーズン&タイム/北陸電力 くつろぎナイト12
  • 中国電力 電化Styleコース/四国電力 でんかeプラン
  • 九州電力 電化でナイト・セレクト/沖縄電力 Eeスマート

そもそも関西・中国・四国・沖縄には、契約電流を制限する器具が付いていません。パナソニックの住宅分電盤の選定基準でも、これらのエリアはリミッタースペースなしとされています。検針票に契約アンペアの欄がないのも同じ理由です。(出典:パナソニック『住宅分電盤の選定』(電気設備の基礎知識))

枠内定額のオール電化メニューを使う世帯にとって、アンペアを下げる節約の期待値は0円です。

いまの契約容量を検針票で確認する

最終的な正解は検針票か会員サイトの契約欄にあります。分電盤を眺めるだけでは、契約の大きさも基本料金の方式も確定できません。順番に見ていくのが結局いちばん早いです。

  • 分電盤を開く。アンペアブレーカー(リミッター)があれば、色と数字で契約アンペアが分かる
  • 器具が見当たらないなら、スマートメーターで設定されているか、アンペア制でないエリアかのどちらか
  • 検針票・Web検針票・会員サイトで、契約種別と契約の大きさを確認する
  • 契約種別名から基本料金の決まり方(最低料金制・アンペア制・kVA制・実量制)を確定させる

アンペアブレーカーの色は会社ごとに違います。東京電力エナジーパートナーは10A赤・15A桃・20A黄・30A緑・40A灰・50A茶・60A紫。北海道電力はつまみの色が10A黒・15A黄・20A青・30A赤と、割当がずれています。

色だけで判断すると取り違えます。自分が契約している会社の対応表で読むのが前提、と考えておいてください。

実量制のメニューだと、そもそも機器に表示がありません。契約電力は毎月算定し直されるので、会員サイトの使用量グラフで、どの時刻がピークを作ったのかを見ることになります。関西電力なら「はぴeみる電」で日単位・時間単位の使用量を確認できます。

わが家の場合、マイページの契約メニュー欄には「はぴeタイムR」と表示されていました。2026年7月検針分は549kWhで17,442円。契約アンペアという項目はどこにも出てきませんでした。

契約種別名が分かるまでは、アンペア変更の可否も削減額も判断できません。ここは飛ばさないでください。

関連記事:新築の電気契約はいつ・誰が?入居後も選び直せる流れを実例で解説

目安60Aは世帯人数で決まらない

必要な契約の大きさは、家族が何人かではなくどの機器を同時に立ち上げるかで決まります。よく見る「4人世帯なら60A」のような人数別の目安は、オール電化ではあまり役に立ちません。

冬の朝にIHやエアコン暖房、ドライヤーなどが重なって使用電力が約10kVAまで積み上がる内訳を示した積み上げグラフ
エネすけ
エネすけ

ねえりょう、うちは4人家族だから60Aでいいって書いてあったよ。人数で決まるものなの?

私も最初はそう思っていました。でも調べてみると、人数より「同時に何を動かすか」で決まるみたいですよ。

りょう
りょう
エネすけ
エネすけ

へえ、そうなんだ!じゃあ何を見ればいいの?

うちだとIHとエアコン暖房ですね。どれくらいになるのか、一緒に積み上げてみましょう。

りょう
りょう

根拠は単純です。IHクッキングヒーターの定格は世帯人数で変わりません。エコキュートの沸き上げ電力も、370Lクラスで1.0〜1.5kW、460Lクラスで1.34〜2.00kW。タンクを1段階大きくしても増えるのは0.3〜0.5kW程度で、IHの5.8kWに比べればピークへの効き方はわずかです。

増えるのは同時に立ち上げる機器の数のほうです。2人世帯でもIH2口とエアコン暖房と電子レンジを重ねれば、4人世帯と同じ山ができます。逆に4人世帯でも、1口ずつ順番に使えば山は立ちません。

契約の大きさを決める質問

「何人家族か」ではなく「IHを2口とグリルで使うときに、同時にエアコン暖房を立ち上げるか」。ここが答えられれば、必要な大きさはほぼ決まります。

IHとエコキュート同時で10kVA

オール電化の同時使用を積み上げると、冬の朝と夕食どきに約10kVAへ届きます。IHとエコキュートを持つ家で現実的に起きうる最大が、だいたいこのあたりという目安です。

時間帯重なる機器積み上げ
冬の朝(6〜8時)IHで湯沸かし+IHジャー炊飯器+200Vエアコン暖房の立ち上げ+ドライヤー+照明や冷蔵庫約10.0kVA
冬の夕食どき(18〜20時)IH2口+グリル+200Vエアコン暖房+電子レンジ+食洗機+照明や冷蔵庫約10.1kVA
深夜(23時〜翌7時)エコキュートの沸き上げ+洗濯乾燥機の乾燥+蓄電池の夜間充電+待機電力約5.7kVA
夏の昼(在宅)200Vエアコン冷房2台+IH1口+冷蔵庫+その他約6.2kVA

意外に思われるかもしれませんが、山を押し上げているのはエコキュートではありません。沸き上げ中でも1.0〜1.5kW程度で、IHの5.8kWに比べればずっと軽い負荷です。

ピークを作るのはIHとエアコン暖房の立ち上げのほう。この2つが重なる冬の朝と夕方が、1年でいちばん大きい山になります。

ここから6kVAの心もとなさが見えてきます。200VのビルトインIHは定格5.8kWで、そのまま5.8kVAを食います。同時使用をひとつ足した時点で6kVAは超えますので、「オール電化は60Aが標準」という説明は実態と合いません。

もっとも、上の積み上げは全部が最大で重なる仮定です。実際にはこれより小さくなりますし、10kVAを常時超えるかというと、最大のシーンでちょうど届くかどうか。多くの家が10kVAの枠に収まる根拠もここにあります。

6kVAと10kVAの違いが効く場面

オール電化世帯にとっての実務的な分かれ目は「60Aか50Aか」ではありません。10kVAまたは10kWの枠を超えるかどうかです。押さえどころは大小ふたつの境目。小さいほうから順に見ていきます。

まず6kVAはメニューの境目として効きます。関西電力は従量電灯A(6kVA未満)と従量電灯B(6kVA以上)でメニューが分かれます。東京電力エナジーパートナーのスマートライフも、S(10〜60A)とL(6kVA以上)に分かれています。

どちらの会社も、小さい側と大きい側でメニューそのものを別扱いにしているわけです。ここは制度の入り口なので、押さえておくと迷いません。

ただしオール電化はIH単体で5.8kVAを食うので、ほぼ確実に6kVAを超える側に立ちます。実際に判断が必要になるのは、たいてい大きいほうの枠の話になります。

その10kVA・10kWは、枠内定額の上限として効きます。関西電力はぴeタイムRは10kWまで定額で、超えると1kWあたりの加算。中部電力ミライズ スマートライフプランは10kVAまで定額で、超過分に1kVAあたりの加算が付きます。

枠を超えた瞬間に、それまで動かなかった基本料金が動き出す。ここが実務での分岐点です。

なお東京電力エナジーパートナーのスマートライフは、SとLのどちらが適用されるかを設備状況に応じて同社が決めると公式に明記しています。自分で選ぶ項目ではない点も覚えておくと混乱しません。(出典:東京電力エナジーパートナー『スマートライフ(オール電化)』料金表)

下げるといくら安くなるか検算する

答えを先に書きます。アンペア制なら1段階で年3,741円(東京電力エナジーパートナーの場合)、枠内定額なら0円。同じ「アンペアを下げる」でも、結果は0円か数千円かの二択になります。

アンペアを1段階下げたときの削減額を東京電力エリアと関西電力エリアで比較し、東京は年3741円、関西は0円になることを示す比較図
エネすけ
エネすけ

年3,741円って、けっこう大きくない?

そう見えますよね。ただ、オール電化の電気代の規模と並べると印象が変わりますよ。うちの実額でも見てみましょう。

りょう
りょう

東京電力エリアなら年3741円

東京電力エナジーパートナーは10Aあたり月311.75円。1段階(10A)下げると年3,741円の計算になります。中部電力ミライズなら10Aあたり月321.14円で、年3,854円です。

会社・メニュー1段階(10A)年額60A→40A の年額60A→30A の年額
東京電力EP 従量電灯B/スマートライフS311.75円/月3,741円7,482円11,223円
中部電力ミライズ 従量電灯B321.14円/月3,854円7,707円11,561円

この金額をどう受け取るか、ですよね。わが家の新築オール電化は、2026年7月検針分が549kWhで17,442円でした。年3,741円は、その1か月分の請求にも届きません。

契約容量制なら1ステップの効きは大きくなります。東京電力エナジーパートナーのスマートライフL(主開閉器6kVA以上)で10kVAから6kVAへ落とせた場合は、月1,247.00円・年14,964円です。

ただしこれは主幹ブレーカーを実際に小さいものへ交換する工事を伴います。落ちやすさは確実に上がるので、先ほどの積み上げを下回らせてはいけません。工事は有資格の電気工事店の領域です。

もうひとつ。東京電力エナジーパートナーは「電力量料金の単価は契約アンペアで変わらない」としたうえで、合計額が必ず下がるとは限らないとも注記しています。下げれば必ず得、とは公式も言っていません。

関西の新築わが家では削減0円

わが家の契約で検算すると、削減額は0円でした。関西電力はぴeタイムRは基本料金が10kWまで定額で、しかも実量制。下げる申込そのものが用意されていないからです。

項目値
契約メニュー関西電力 はぴeタイムR(2026年4月入居の新築オール電化・関西)
2026年7月検針分549kWh・17,442円(実効単価 約31.8円/kWh)
うち基本料金(10kWまで定額)2,409.40円(7月検針分当時。2026年11月1日からは2,842.84円)
請求額に占める基本料金の割合約13.8%
契約容量を下げた場合の削減額0円

見てのとおり、わが家の当月請求では約86%が基本料金以外でした。電力量料金に燃料費調整額と再生可能エネルギー発電促進賦課金を足した、使った量で動く部分です。ここを動かさずに基本料金だけ触っても、体感できる差は出ません。

基本料金は年に直すと28,913円、2026年11月1日の改定後は34,114円。固定費としてまるごと動かないお金です。動かす手段があるとすれば、30分ごとの使用量を枠の中に抑え続けることだけになります。

旧居の賃貸に住んでいたころの明細も見返しましたが、やはり契約アンペアの欄はありませんでした。関西で暮らしている限り、アンペアを下げる手順はどこにも登場しない。これが2軒ぶんの実感です。

ブレーカーが落ちるのは冬の朝夕

落ちやすいのは冬の朝と夕食どきです。IHとエアコン暖房の立ち上げが重なる時間帯で、ここが1年の山になります。夏の使用感で契約を下げると、この山で痛い目にあいます。

ブレーカーが落ちたときの症状から原因を判断するフローチャート。約10秒で自動復帰するなら契約アンペア超過、家中消えたまま戻らないなら主幹漏電、一部だけ消えたなら分岐回路の容量超過に分かれることを示す図
  • 冬の朝: IHで湯沸かし+エアコン暖房の立ち上げ+ドライヤー
  • 夕食どき: IH2口+グリル+電子レンジ+食洗機

どちらも積み上げると10kVA前後に届く組み合わせです。朝と夕方は家族の動きが集中するので、意識しなくても機器が重なってしまいます。

IH単体で分岐回路を落とすことは、実はあまりありません。2口以上を同時に使うと、合計の消費電力を超えないよう火力が自動で調整される仕様だからです。落ちるのはIHと他の大電力機器が重なったときになります。

厄介なのがエコキュートです。沸き上げは深夜に自動で走るので、人が寝ている時間に電流が増えます。昼の体感では余裕があるのに深夜にピークが立つ、という形になりやすいんですよね。

落ちた場所の見当もつけられます。200V機器は、それぞれ専用の分岐回路に載っているのが普通です。分岐の安全ブレーカーが落ちているなら、まず100V側のコンセント回路を疑います。

10秒で戻るなら契約が原因

最初の分かれ目は約10秒で勝手に戻るかどうかです。戻るならスマートメーター内蔵ブレーカーで、原因は契約の大きさ。戻らないなら分電盤側の問題で、契約を上げても直りません。

症状落ちたもの原因と対処
家中が消え、約10秒で勝手に戻ったスマートメーター内蔵ブレーカー契約電流を超える同時使用。アンペア制エリアだけで起きる。分電盤の操作は不要
家中が消えたまま戻らない主幹(漏電ブレーカー)漏電か主幹容量の超過。安全ブレーカーを全部切って主幹を入れ、1つずつ戻して原因回路を探す
一部の部屋・機器だけ消えた安全ブレーカー(分岐回路)その回路の容量超過。同じ回路で大電力の機器を重ねている
何度も落ちて、ついに戻らなくなった内蔵ブレーカーのロックアウトブレーカーを操作せず、送配電事業者のコールセンターへ連絡する

最後の行は東北電力が公式に案内している手順です。自分で復旧させようとせず、連絡を優先してください。

そして大事な前提がひとつ。関西・中国・四国・沖縄では、この「自動で戻る落ち方」自体が起きません。契約電流を制限する器具が、そもそも付いていないからです。

つまりこれらのエリアで落ちたなら、犯人は漏電ブレーカーか安全ブレーカー。「アンペアを上げれば直る」という対処は成立しません。打つ手は主幹・分岐の容量か、使い方の側になります。

下げて後悔する境目

下げたあとに落ちるようになると、失うのは金額ではなく生活のほうです。調理中に家中が消える、深夜のエコキュートの沸き上げが止まって朝に湯が足りない、といった形で出ます。しかも季節限定の戻しは受け付けられません。

変更の申込先と費用と年1回の制限

申込先はいま契約している小売電気事業者です。大手電力でも新電力でも同じで、実際の工事は地域の一般送配電事業者が行います。費用は範囲内なら無料です。

新電力と契約している場合も、送配電事業者への依頼は小売側が取り次ぎます。自分で送配電事業者へ連絡する必要はありません。

無料にならないのは、次のような場合です。

  • 屋内配線の容量が足りない
  • 新たに器具を取り付ける必要がある
  • 60Aを超える契約にする

いずれも電気工事店の工事が必要になり、その費用は自己負担になります。電気工事は資格が要る作業なので、自分で手を出す領域ではありません。

立会いと停電も確認しておきましょう。スマートメーターが設置済みなら立会い不要のことが多く、アンペアブレーカーの取り外しが伴う場合は10〜15分程度の停電があります。九州電力のWeb申込は、工事希望日が申込から2営業日以降と案内されています。

よく「アンペア変更は年1回まで」と要約されます。東京電力エナジーパートナーの手続き案内は「電気のご契約は年間契約を基本としているため、契約開始後、1年間は変更できません」と明記しているので、同社に関してはこの要約でおおむね合っています。

確実なのは「夏だけ上げる」「冬だけ下げる」が断られることです。制限の書き方や、引越し・機器の増設で事情が変わったときの扱いは会社ごとに違うので、まずは契約先の手続き案内を確認してください。(出典:東京電力エナジーパートナー『ご契約アンペアの選び方』)

賃貸や集合住宅では、管理者の承諾が要る場合があります。建物全体の配線容量が上限になっていることもあるので、申し込む前に管理会社へ一声かけておくと安心ですよ。

主幹ブレーカーを小さくして契約容量を下げた場合、契約を戻しても工事をやり直さないと元には戻りません。

容量より時間帯別プランが効く家

わが家のオール電化の請求では、8割以上が基本料金以外でした。だから効くのは容量ではなく、使う時間帯を安い側へ寄せることのほう。容量の見直しは、最後に回して差し支えない順位にあります。

契約容量を1段階下げる節約効果と、月100kWhをいちばん高い時間帯から夜間へ移した場合の上限側の目安の節約効果を金額で比較し、時間帯シフトのほうが2.5〜7倍効くことを示す比較図
エネすけ
エネすけ

え、基本料金じゃなくて時間帯のほうが大事なの?

うちの明細だと基本料金は1割台でした。残りの8割以上が使った分の料金なので、そちらを動かすほうが素直に効くんですよね。

りょう
りょう
打ち手効く相手前提・制約
使う時間帯を安い時間帯へ寄せる電力量料金など使用量で動く部分(わが家では8割以上)タイマーのある機器が要る。境界時刻を正確に把握していること
時間帯別メニューへの変更電力量料金夜間蓄熱式機器の所有が加入条件。変更後の継続期間に縛りがある会社も
電力会社の切り替え電力量料金+基本料金オール電化向けメニューを持つ会社が限られる
30分ピークの平準化基本料金(実量制のみ)実量制でなければ効かない。枠内定額なら枠(はぴeタイムRは10kW)を超えたピークだけが11か月残る
契約容量・契約アンペアを下げる基本料金(アンペア制・契約容量制のみ)枠内定額・実量制では効果0。落ちるリスクと引き換え

時間帯を寄せるときの落とし穴は境界時刻です。「深夜電力は23時から」という通念は成り立ちません。東京電力エリアの安い時間帯は午前1〜6時の5時間、中部電力ミライズは22時・21時・23時開始の3択、北陸電力は20時開始の12時間です。

境界を1時間取り違えると、その分が丸ごと高い時間帯に入ります。プランを変えたら、エコキュートや食洗機のタイマーも合わせて直してください。

加入条件と縛りも確認どころです。オール電化向けメニューは、総容量1kVA以上の夜間蓄熱式機器の使用を条件にしている会社が多くあります。中国電力の電化Styleコースは加入後原則1年間は他メニューへ変更できず、中部電力ミライズも変更後原則1年以上の継続が必要です。

最近は昼が安い逆転型のメニューも出てきました。中部電力ミライズの昼とくプラン、九州電力のおひさま昼トクプランなどです。太陽光を載せた家では、夜へ寄せるという前提そのものを疑う価値がありますよ。

月100kWhを夜へ寄せた年額

月100kWhをいちばん高い時間帯から夜間へ動かすと、東京電力エリアで年9,480円、関西で年13,152円、中部で年26,736円になります。いずれも公表単価どうしの差から計算した上限側の目安で、もう少し安い時間帯から移した場合は金額が縮みます。それでもどのエリアでも、アンペアを1段階下げるより大きい金額です。

打ち手月額の効き年額の効き
東京電力EP:契約60A→50A311.75円3,741円
東京電力EP:月100kWhを昼間(35.76円)から夜間(午前1〜6時・27.86円)へ移す790円9,480円
関西電力 はぴeタイムR(2026年11月1日改定後):月100kWhをデイタイム その他季(26.96円)からナイトタイム(16.00円)へ移す1,096円13,152円
中部電力ミライズ スマートライフプラン:月100kWhをデイタイム(38.80円)からナイトタイム(16.52円)へ移す2,228円26,736円

昼夜の差がいちばん小さい東京電力エリアですら、時間シフトのほうが2.5倍効きます。差が大きい中部エリアなら7倍以上。数字の刻みは違っても、結論の向きはどこでも同じです。

関西は昼夜差が中位ですが、基本料金が動かないぶん打ち手が時間シフトに一本化されます。やることが絞られるのは、迷わなくて済むという意味では悪い話ではありません。

では月100kWhをどこから捻出するか。原資になるのは、タイマーで動かせる負荷です。エコキュートの沸き上げ、食器洗い乾燥機(1回約0.77kWh)、ドラム式洗濯乾燥機の乾燥(1回約0.80kWh)あたりが中心になります。

1日3kWh前後を動かせれば、月90kWh前後。上の表の規模にちょうど届く計算です。設備を足さなくても、タイマーの時刻を直すだけで手が届く範囲にあります。

わが家も太陽光を導入してから、夜に回していた食洗機を「明日の昼に回そうかな」と考えるようになりました。機器を買い替えなくても、動かす時刻は今日から変えられます。

ここまでの金額は、すべて公表単価から計算した目安です。燃料費調整額や再生可能エネルギー発電促進賦課金は別に加算されるので、実際の請求とは差が出ます。契約前には必ず電力会社の公式サイトで最新の単価をご確認ください。

時間帯別プランの見直しで電力会社を乗り換える場合の手続きの流れは、こちらで4段階に分けて解説しています。
関連記事:オール電化の電力会社乗り換え手続き

オール電化のアンペア変更でよくある質問

アンペアを下げると、電力量料金の単価は上がりますか?

上がりません。東京電力エナジーパートナーは「電力量料金の単価は契約アンペアで変わらない」と公式に明記しています。ただし同社は、電気料金の合計額が必ずしも下がるとは限らないとも注記しています。基本料金そのものは下がりますが、使い方が変われば合計額は動く、と受け取っておくのが安全です。

分電盤の主幹ブレーカーが60Aなら、契約も60Aですか?

別物です。契約でいう60Aは100V換算で6kVAを指します。一方、分電盤の主幹に書かれた60Aは、単相3線式では「定格電流×200V÷1,000」の式で12kVA相当になります。同じ60Aでも倍違うので、新築で「主幹75A」と言われた数字も、契約の大きさとは別の話だと考えてください。

200Vのエアコンに替えれば、契約容量を下げられますか?

下げられません。200V化は電流を半分にする措置であって、機器が使う電力そのものは減らないからです。契約容量(kVA)は、負荷設備契約なら機器の入力容量の合計から、主開閉器契約なら主開閉器の定格電流から決まります。どちらも200V機に替えただけでは小さくなりません。契約を小さくしたいなら、同時に立ち上げる機器を減らすほうが確実です。

賃貸住宅でもアンペアを変更できますか?

管理者の承諾が必要になる場合があります。建物全体の配線容量が上限になっていることもあるので、申し込む前に管理会社や大家さんへ確認してください。私も賃貸に住んでいたころは、料金プランの見直しそのものが契約上できませんでした。持ち家との自由度の差は、こうした場面で出ます。

新電力へ乗り換えれば、オール電化でも基本料金は下がりますか?

下がる場合もありますが、選べる会社は限られます。新電力の多くは従量電灯相当のメニューしか持たず、オール電化向けの時間帯別メニューは提供エリアが限られるためです。旧いオール電化プランの契約者は申込を断られる例もあります。公表単価だけで比べず、燃料費調整額まで含めた同じ月の全項目で突き合わせてください。

まとめ:アンペア変更の得はエリアで決まる

エネすけ
エネすけ

結局のところ、うちはアンペアを下げたほうがいいの?

まずは検針票で契約メニューを見てください。そこが分かれば、下げる意味があるかどうかは自然に決まりますよ。

りょう
りょう

オール電化のアンペア変更は、得か損かの前にそもそも手続きが存在するかどうかから確認する話でした。要点を並べておきます。

オール電化のアンペア変更に関する記事全体の要点を1枚にまとめた図。基本料金が下がる方式は限られること、必要容量は人数でなく同時使用で決まること、時間帯シフトのほうが効くことを俯瞰する
  • 基本料金が下がる方式は、アンペア制と契約容量制のふたつに限られる
  • 関西など枠内定額のオール電化プランでは、契約を下げても削減額は0円
  • 必要な大きさは世帯人数でなく、IHとエアコン暖房が重なる冬の朝夕で決まる
  • 約10秒で自動復帰する落ち方はアンペア制エリア限定。関西・中国・四国・沖縄では起きない
  • 「年1回まで」の扱いは会社ごとに違い、東京電力EPは契約開始後1年間の変更不可を明記
  • 月100kWhを夜へ寄せるほうが、アンペア1段階より2.5〜7倍効く

わが家の請求で基本料金が占める割合は、約13.8%でした。残りの8割以上を動かすほうが、手間に対する見返りは大きいと感じています。

なお、この記事の金額はすべて公表値から計算した一般的な目安です。単価も制度も改定されるので、契約前には必ず電力会社の公式サイトと検針票でご確認ください。分電盤や主幹ブレーカーに関わる工事は有資格者の領域なので、判断に迷うときは電力会社や電気工事店の専門家にご相談ください。

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りょう / エネすけ運営者

関西の新築一軒家(オール電化)で、妻と子ども2人と暮らす一般の施主です。2026年8月に太陽光7.92kW+蓄電池7.7kWhを設置しました。導入前24ヶ月分の電気代実測をもとに、「太陽光は本当に元が取れるのか」を導入前後の比較で検証していきます。

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